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三重変異株-B.1618の日本侵入 [コロナウイルス]

インド東部の西ベンガル州で新型コロナウイルスB.1618が検出された。インドで見つかった二重変異株B.1.617から進化したB.1618は、さらに感染力が強い。インドの感染症医マドフカル・パイ氏は「この変異体は三重変異株で、感染速度も従来のウイルスより速い」と説明している。


WHO世界保健機関のイーゴリ・ペレギネツ(緊急事態体制準備プログラムの執行役代理)は、「現時点で、このウイルスの変異株が治療用の抗体の効力を無効化し、コロナ感染を経て取得された抗体も無効化する恐れがあるとわかっている」

WHO欧州地域局のハンス・クリューゲ事務局長は「どんな国でも自衛策が緩み、大規模集会が行われ、ワクチン接種率が極めて低い場合、ウイルスが猛威を振るう理想的環境になる。インドと同じ状況はどの国でも起こりうる。」


日本政府は「水際対策や監視体制の強化」(加藤官房長官)と意気込むが、世界で主流となった変異株の侵入を「漏れなく」許している。 空港検疫は、ウイルス量が少ない場合・時期には感染していても陰性と出やすい抗原検査を採用しており、このままでは「三重変異株」感染者が入国し、新型コロナウイルスB.1618が日本国内に襲来するリスクは高い。


sputniknewsー2021年04月29日 記事などより


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シャネルと華為のロゴの類似性めぐる訴訟 [経済]

フランスのシャネル(CHANEL)が中国の通信機器メーカー「ファーウェイ(華為Huawei)」と両社のロゴの類似性をめぐる商標権紛争で敗訴した。

事の発端は2017年。2017年9月にファーウェイ(華為Huawei)が、欧州連合知的財産庁:EUIPO(European Union Intellectual Property Office)に自社のロゴの商標登録申請を行った。同年12月にシャネル(CHANEL)はファーウェイのロゴが香水、化粧品、革製品、衣服などのために登録されたシャネル社の商標に類似しているとして、商標登録異議の申立てを提出した。
同2017年6月にシャネル(CHANEL)は、アマゾン(AMAZON)を通して同ブランドのロゴを使ったコピー商品を販売していた業者30社などを相手取り、商標権を侵害しているとして損害賠償、各業者に200万ドル(約2億2400万円)の損害賠償を求めていた訴訟に、米国カリフォルニア州裁判所で勝利している。判決では要求の二十分の一の、一業者当たり10万ドル(約1120万円)合計約300万ドル(約3億3600万円)の賠償が業者に命じられた。シャネルは1971年から同名称を商標登録しており、関連商標を含めると八つの商標登録をもっていて、自社のブランド保護に積極的だ。
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上図のファーウェイのロゴは、上下を向いたUの形が真ん中で交差している。そのロゴに対して、シャネルは「シャネルがフランスで登録している左右を向いたCの形が真ん中で交差している商標と類似している」と、異議を同年12月に申立てた。約2年後、2019年11月、欧州連合知的財産庁(EUIPO)は両社のロゴは類似しておらず混同される可能性が低いと判断し、シャネルの申立てを却下した。
その後、シャネルは上訴。ファーウェイ華為を相手にルクセンブルクにあるEU(欧州連合)の一般裁判所General Courtに上訴した。そして、同裁判所は今月2021年4月21日に、シャネルの上訴を棄却した。
裁判所が公開した文書には「問題となっているロゴは、いくつかの類似点を有しているが、その視覚的な違いは大きい。ファーウェイHuaweiのロゴが垂直方向を向いているのに対し、シャネルCHANELのロゴはより丸みを帯びた曲線、太い線を持ち、なおかつ水平方向を向いている。その結果、一般裁判所General Courtは両商標が異なるものであると結論付けた」と記載されている。
シャネルは2019年12月期の通期決算を2020年6月18日に発表した。売上高は122億2700万ドル(前年比13%増、約1兆3082億円*)、営業利益は34億9600万ドル(同16.6%増、約3740億円*)、純利益は24億1000万ドル(同11.3%、約2578億円*)と増収増益だった。
地域別売上高では、中国などのアジアが54億2600万ドル(前年比14.7%増)で総売上高の44%。続いてヨーロッパが45億3400万ドル(同5.9%増)で37%、アメリカが23億1300万ドル(同9.7%)で19%を占めた。
新型コロナウイルスの影響ですべての地域の店舗で売上減になり、2020年は15から20%の減収、2022年頃まで影響があると予測。
これを見ると、売上の多くを占める中国に喧嘩を売るように見られる、受け取られる、EU(欧州連合)の上級審・EU裁判所 Court of Justice への上訴をシャネルは行うだろうか。シャネルは独立した非上場企業で、株の大半はニューヨーク在住のヴェルタイマー(Wertheimer)兄弟が所有している。
この兄弟の祖父のピエール・ヴェルテメールがココ・シャネルと共に現在のシャネルル(ファン・シャネル社)を創業した共同創業者。株の70%は兄弟が保有している。この兄弟の了承を得て、商標登録異議の上訴を止めるのではないか。

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IOCは5月13日からオリンピック仮想(バーチャル)シリーズ(OVS)を行うと発表

2021-04-22-ovs-thumbnail-02.jpgIOC(国際オリンピック委員会)は、来る2021年5月13日から6月23日までオリンピック仮想(バーチャル)シリーズ(OVS OLYMPIC VIRTUAL SERIES)を行う。4月22日に公表した。
 身体運動を伴いながらオンラインで競う仮想スポーツで、野球、自転車・サイクリング、ボート・ローイング、セーリング、モータースポーツの計五種のIOC初の公認大会を、主要な国際スポーツ連盟やゲーム出版社と提携し行う。
世界中の参加者が自宅やトレーニング施設から競い合う。
・世界野球ソフトボール連盟(WBSC)/eBaseball パワフルプロ野球2020、コナミ
・国際自転車競技連合(UCI)/Zwift、Zwift Inc.
・ 国際ボート連盟/オープンフォーマット
・ ワールドセーリング/Virtual Regatta、Virtual Regatta SAS
・ 国際自動車連盟(FIA)/グランツーリスモ、ポリフォニー・デジタル
世界中の参加者が自宅やトレーニング施設から競い合うのだが、参加方法ほか詳細は後日発表される。
情報はwww.olympicchannel.comでもオンラインで公表。  
主要ニュース(共同通信) 2021年4月22日
IOC NEWS  INTERNATIONAL OLYMPIC COMMITTEE MAKES LANDMARK MOVE INTO VIRTUAL SPORTS BY ANNOUNCING FIRST-EVER OLYMPIC VIRTUAL SERIES
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がん免疫療法とは何か [生き物]

がん免疫療法とは何か 
本庶 佑 /著  
岩波書店
岩波新書 新赤版  1768
出版年 2019.4
ISBN 978-4-00-431768-5


新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館新書ほか S/494.5/ホン/

内容紹介

PD‐1抗体による免疫療法は、がん治療の考え方を根本から変えた。偶然の発見を画期的治療法の開発へと導いた著者の研究の歩みをたどりながら、生命現象の不思議、未知の世界に挑むサイエンスの醍醐味、そして「いのち」の思想から日本の医療の未来まで幅広く論じる。ノーベル生理学医学賞受賞晩餐会スピーチも収録する。

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目次

第1章 免疫の不思議(生命システムの一般則;多細胞生物体の特徴 ほか)

第2章 PD‐1抗体でがんは治る(革新的がん免疫療法の誕生;免疫学の発展とがん免疫療法のたどった道 ほか)

第3章 いのちとは何か(幸福感の生物学;ゲノム帝国主義 ほか)

第4章 社会のなかの生命医科学研究(現代の生命科学の置かれた位置;生命科学と医療のあいだ ほか)

第5章 日本の医療の未来を考える(21世紀医療フォーラム;国民皆保険制度の維持に向けて ほか)


著者等紹介

本庶佑[ホンジョタスク]

1942年生まれ。京都大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了、カーネギー研究所招聘研究員、アメリカ国立衛生研究所客員研究員、東京大学医学部助手、大阪大学医学部教授、京都大学医学部教授などをへて現在、京都大学高等研究院副院長・特別教授。専攻は分子免疫学。2018年ノーベル生理学医学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


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組織罰はなぜ必要か--2021刊 [思考の型]

71YetlitckL.jpg組織罰はなぜ必要か
事故のない安心・安全な社会を創るために
著者 組織罰を実現する会 編
現代人文社
シリーズ GENJINブックレット
出版年月日 2021/04/25
ISBN 9784877987800
判型・ページ数 A5・88ページ
定価 本体1,200円+税
内容紹介
日本では、企業など組織がどんなに大きな事故を起こしても、その刑事責任は問われない。現在の刑事司法制度では、刑法に「組織」を罰する条文がないため、責任の所在が多くの部署に分散する組織が引き起こした事故を裁くことには限界がある。
事故によって、尊い命が奪われたにもかかわらず、誰も法的な責任を課せられないということでは、遺族は納得できない。本書は、誰も責任を取らない無責任社会を変え、本当に安全な社会を実現するために「組織を罰する法律」(「組織罰」)の必要性を訴えるものである。現行法の限界を分析し、組織罰の具体的なイメージと実現への展望を提言するはじめての書。
柳田邦男(ノンフィクション作家)推薦 「100人死んでも加害組織が刑事責任を問われない。この国の不可解な不正義を正す理論と議論が、ここに展開される」
目次
はじめに……大森重美(組織罰を実現する会代表、JR福知山線事故遺族)

第1章 組織事故と安全な社会
事故のない安全な社会をめざして……大森重美(JR福知山線事故遺族)
組織事故としての福知山線事故…安部誠治(関西大学社会安全学部教授)

第2章 事故遺族の願い
[JR福知山線事故]事故を忘れないためにJR西日本を見続ける……渡邉勝徳(JR福知山線事故遺族)
[笹子トンネル天井板崩落事故]インフラ老朽化への無策の果てに……松本邦夫・松本和代(笹子トンネル天井板崩落事故遺族)
[軽井沢スキーバス事故]あの日から……田原義則(軽井沢スキーバス事故遺族)
被害者らの共通した想い……坂本哲(弁護士)

第3章 組織罰とは何か
Q&A組織罰とは何でしょうか……安原浩(弁護士、元裁判官、組織罰を実現する会顧問)
諸外国の動向から見た日本の法人処罰(組織罰)……川崎友巳(同志社大学法学部教授)
諸外国の法人処罰(組織罰)一覧

第4章 組織罰の実現のために
「両罰規定の導入」による組織罰実現の社会的意義……郷原信郎(弁護士、元検察官)
組織罰の実現への軌跡とこれから……津久井進(弁護士、組織罰を実現する会事務局長)

おわりに……松本邦夫(組織罰を実現する会副代表、笹子トンネル天井板崩落事故遺族)

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葬式仏教の誕生ー中世の仏教革命--2011;08 [隣の異教]

163548.jpg葬式仏教の誕生ーー中世の仏教革命
著者 松尾 剛次 [マツオ ケンジ]  
出版者 平凡社
平凡社新書 番号 600
出版年 2011.8
ページ数 172p
大きさ 18cm
ISBN 978-4-582-85600-2
新潟市立図書館収蔵 白根館ほか  NDC分類 182.1
内容紹介
不要の声も多い葬式だが、そもそもは穢れを恐れるあまり、風葬・遺棄葬が当たり前だった中世に、人々が強く求め、仏教がそれに応えたものだった──日本人は“弔い”をいかに獲得したか。
葬式については、昔から不要の声が多くあがっていた。2010年に刊行された『葬式は、要らない』(島田裕巳)は、そうした声を拾うようによく売れ、「葬式仏教」をめぐって、不満や怒りの声が表立って聞こえるようになった。確かに、戒名一行で「数十万円也」の現代の仏教のあり方には、改善しなければならない余地が多くある。だが、そもそも「仏教が葬儀を行う」「墓石を建てる」ようになったのは、なぜなのだろうか。
古代から、日本においては「穢れ」が忌み嫌われていた。遺体に近づいても穢れてしまうため、中世まで、風葬・遺棄葬が当たり前だった。こうした状況のなか、人々は強く葬儀を求めたのである。そして、それに応えたのが仏教だった。
鎌倉仏教のリーダーたちは、いかにして「穢れ」を超える論理を編みだしたのか。そして、墓所になぜ硬い墓石を建てるようになったのか。仏教史を繙くことにより、日本人がいかにして“弔い”を獲得したかをたどる。
目次
はじめに
第一章 現代の葬式事情
国際化と葬儀/四葬法と四元素説/エンバーミング/東アジアの葬儀事情/韓国の二つの葬儀──儒教式とシャーマニズム式/「異常」死者の弔い/中国における葬儀
第二章 風葬・遺棄葬の日本古代
穢れを恐れた古代仏教/五体不具の穢れ/延喜式の定める穢れ/河原などに遺棄される死体/捨てられる病人/『餓鬼草子』に見る葬法/「五体不具穢」史料の減少/葬式従事を忌避した官僧/神事に携わった官僧/二十五三昧会/求められた葬送
第三章 仏教式の葬送を望む人々
鎌倉仏教と改革/遁世僧の誕生/二元的世界観の成立/極楽浄土と阿弥陀信仰/兜率天と弥勒信仰/法然が警戒した弥勒信仰/道長の浄土信仰/二つの信仰の混淆/自業自得から回向追善/死体観、穢れ観の変容/光明真言会と救済/死穢を乗り越える論理/神事からは遠ざけられた/往生人に穢れなし──念仏僧の死穢観/禅僧と葬送/親鸞の葬送観
第四章 石造の墓はいつから建てられたか
依り代を納めるところ/東北・関東に多い板碑/死者への供養塔/供養塔から墓所へ/五輪塔と火葬骨/巨大五輪塔と律宗教団/律僧が分骨する理由/なぜ硬い石を使い、巨大な塔を立てたのか/弥勒下生に備える/五六億七千万年を待つために
一結講衆の時代/六道講と斎戒衆/開かれた墳墓堂から、閉ざされた家の墓へ
第五章 葬式仏教の確立
葬式仏教は革命/強制された檀家制度/新寺建立ラッシュと本末制度/寺請制度と宗門改制度/寺請・檀家制度の弊害/位牌の一般化/真宗寺院の展開
終 章 葬式仏教から生活仏教へ
天皇の葬儀も担った遁世僧/葬式は人間の根源的な願い/暮らしに根ざした仏教へ
あとがき
参考文献
著者
松尾剛次[マツオ ケンジ]
1954年長崎県生まれ。東京大学大学院博士課程を経て、現在、山形大学人文学部教授。東京大学特任教授(2004年度)。日本中世史、宗教社会学専攻。1994年に東京大学文学部博士号を取得。日本仏教綜合研究学会前会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


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なぜ彼女は革命家になったのか--Flora Tristan--2020刊 [メディア]

9784588364204_0縮.jpgなぜ彼女は革命家になったのか
副書名 叛逆者フロラ・トリスタンの生涯
原タイトル:Flora Tristan
ゲルハルト・レオ /[著]  
小杉 隆芳 /訳  
出版者 法政大学出版局
出版年 2020.8
ページ数 23,304p
大きさ 20cm
ISBN 978-4-588-36420-4
県立図書館収蔵
新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館2階 /289.3/トリ/
内容紹介
離婚が認められなかった19世紀のヨーロッパで、夫や社会と闘った作家フロラ・トリスタン。彼女は、奴隷や娼婦、労働者など底辺の人々に寄り添って声を上げ…。41年の波乱の人生を送った、画家ゴーガンの祖母の物語。
女は男に従うべきとされていた19世紀のヨーロッパで、女性と労働者の地位向上のために連帯を訴え、社会と闘った作家フロラ・トリスタン。夫に執拗につけ回され、当局に目をつけられても、貧民街や監獄、工場や病院を取材し、本を執筆し、正義を主張しつづけた。時代にあらがい、自由を求めたそのたくましい精神は、孫の画家ゴーガンにも受け継がれる。
Flora_Tristan_1838.jpg目次
屋根裏部屋の王女
暗黒の年月
ドン・ゴエネシュの邸宅で
プライアの奴隷たち
ドン・ピオとの対立
アレキパの内戦
リマの女たち
パリで最初の成功
バック通りの襲撃
テームズ河岸での発見
新たな河岸に向かって
『小冊子』への賛否を問う黒玉と白玉
フランス巡り
ゴーガンの驚嘆すべき祖母
原注
訳者あとがき
著者紹介
ゲルハルト・レオ(レオ ゲルハルト)
(Gerhard Leo)
1923-2009年。ベルリンで生まれたユダヤ系ドイツ人ジャーナリスト。戦前レオ一家はナチの迫害を逃れパリに亡命し、青年レオはレジスタント運動に加わり、ヒトラー政権打倒に身をささげた。その功績により、シラク政権下でレジョン・ドヌール勲章を受けた。
小杉 隆芳(コスギ タカヨシ)
1943年生まれ。東京都立大学大学院博士課程単位取得満期退学。豊橋技術科学大学名誉教授。
おもな訳書にS. シャルレティ『サン=シモン主義の歴史』(共訳)、フロラ・トリスタン『ロンドン散策』(共訳)、フロラ・トリスタン『ペルー旅行記』、パラン・デュシャトレ『一九世紀パリの売春』(以上いずれも法政大学出版局)などがある。

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楽園への道--マリオ・バルガス=リョサ /著 [メディア]

4309464416.jpg楽園への道 
著者 マリオ・バルガス=リョサ /著, 田村 さと子 /訳  
出版年 2017.5
出版者 河出書房新社
シリーズ名 河出文庫  ハ9-1
ページ数 632p
大きさ 15cm
ISBN 978-4-309-46441-1
NDC分類(9版) 963
県立図書館収蔵
内容紹介
「スカートをはいた煽動者」フローラ・トリスタン、「芸術の殉教者」ポール・ゴーギャン。--祖母と孫がたどった自由への道--貧困、孤独、病などの逆境の中、それぞれのユートピアの実現を信じて飽くことなくを求めつづけた二人の激動の生涯を、異なる時空をみごとにつなぎながら壮大な物語として展開。
フローラ・トリスタン、「花と悲しみ」という美しい名をもつ一人の女性。彼女は、女性の独立が夢のまた夢だった19世紀半ばのヨーロッパで、結婚制度に疑問をもち、夫の手から逃れて自由を追い求めた。そしてやがて、虐げられた女性と労働者の連帯を求める闘いに、その短い生涯を捧げることとなる。ポール・ゴーギャン。彼もまた、自身の画のためにブルジョワの生活を捨て、ヨーロッパ的なるものを捨てて、芸術の再生を夢見つつ波瀾の生涯をたどる。貧困、孤独、病など、不運な風が吹き荒ぶ逆境の中、それぞれのユートピアの実現を信じて生き抜いた二人の偉大な先駆者を、リョサは力強い筆致で描ききる。
絵を描くためにフランスを捨てて南の島に行ったゴーギャン、男性社会の偽善を糾弾したフローラ。彼らの反逆は今に通じている。この二人が孫と祖母の仲なのだから、文学作家にとってこれほど魅力的な設定はない。
著者ら
マリオ・バルガス=リョサ /著, Mario Vargas Llosa 
1936年、ペルー生まれ。58年、サン・マルコス大学文学部卒業後、スペインに留学。同年、短編集『ボスたち』を発表する。62年、『都会と犬ども』により二つの文学賞(ブレベ図書賞およびスペイン批評家賞)を受けて脚光を浴びる。その後67年『緑の家』、69年『ラ・カテドラルでの対話』、73年『パンタレオン大尉と女たち』など長編を次つぎに発表、ラテンアメリカを代表する作家として確固たる地位を築く。74年、ペルーに帰国してからは作家活動の傍ら政治活動も精力的に行う。76年、国際ペンクラブ会長に就任。85年『世界終末戦争』発表。90年にはペルー大統領選に出馬するが、アルベルト・フジモリに敗れる。2000年『ヤギの祝宴』、2003年『楽園への道』発表。小説のほか『ガルシア=マルケス―ある神殺しの歴史』など評論や戯曲も数多い。2010年ノーベル文学賞を受賞.
 田村 さと子 /訳
1947年、和歌山県新宮市に生まれる。現在、帝京大学教授。お茶の水女子大学卒業後、メキシコ国立自治大学、スペイン国立マドリード大学に留学。帰国後、お茶の水女子大学大学院博士課程修了。1991年、同大学にて学術博士号(Ph.D.)取得。ミストラル研究によりスペイン王立アカデミーチリ支部・チリ言語アカデミー外国人会員に東洋人として初めて選出される。著書に、『イベリアの秋』(第3回現代詩女流賞)、訳書に『ネルーダ詩集』(チリ大統領賞)などがある
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どうしてイスラーム教はわかりにくいの?--危険だと誤解を招く4つの理由-飯塚正人(宗教学者) [隣の異教]

どうしてイスラーム教はわかりにくいの?--危険だと誤解を招く4つの理由--宗教学者・飯塚正人 さん



まずひとつ目は「宗教会議がない」ので、「これが正統教義です」という統一の見解が決まらない。例えば、一般的にイスラーム教は一夫多妻制だと思われていますが、トルコやチュニジアなどではそうではありません。正統教義が決まっていないことはイスラーム教徒同士でも意見が割れる大きな要因にもなっています。


二つ目は「イスラーム教徒自身でさえイスラーム教のことをわかっていないことがある」ということ。エジプトやスーダンには、女性器の一部または全部を切除する女子割礼という風習があるのですが、彼らはこれをイスラームの教えだと信じて行っています。でも、実は割礼の儀式はイスラーム諸国のなかでもこの近辺でしか見られない。


三つ目は「政治が宗教を利用する」。イスラーム教と民主主義は共存できるはずですが、独裁政権の大統領や国家元首が民主化を拒む理由として「イスラーム教が禁じているから」と言ったりする。

四つ目は教徒以外の人たちが「イスラーム教徒の行動のすべてを、イスラームの教えの反映だと思い込んでしまう」ことです。

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イスラーム教は、犯罪を犯した人に対する「刑罰」と「敵対する異教徒に対する戦闘」だけ暴力が認められる。
イスラーム教は、もともと人口1万人程度の小さなまちメッカで生まれた宗教です。それが「敵対する異教徒に対する戦闘」でアラビア半島を統一して、中東や北アフリカにまで拡大した。カリフ制度のカリフ(指導者)の指導により、他国に攻めて行ってもいいことになっている。

ただ、1920年代にカリフ制度はイスラーム世界からなくなり、それ以降に行われている戦争はすべて、もともとの土地を取り返す防衛戦争という位置づけです。
イスラエルの紛争も、イスラーム教のパレスチナ人が支配していた土地にユダヤ教徒がやってきてイスラエルを建国したことに対する防衛戦争。現代のイスラーム教徒は歴史上支配したことのない土地を占領するために侵略戦争を起こすことはない。
ユダヤ教やキリスト教はイスラーム教より前にできたので先輩。ただ、「先輩たちが教えに対しての解釈を間違えてしまったので、神さまがあらためてイスラーム教をつくった」、「神さまはたった一人しかいないはずなのに、キリスト教では‟神さまに子ども(=イエス)がいる”と言っている。それはおかしいじゃないか」というのが彼らの立場です。そうした‟間違い”を正すために生まれたのが、イスラーム教だと言うんです。

ムハンマドの直系の子孫は9世紀に11代目で途絶えたが、11代目には隠し子がいた。その隠し子がいつか救世主として戻ってくるというのをイランをはじめとするシーア派の多くはいまも信じて待っているわけです。シーア派はムハンマドの子孫をリーダーにするべきだと考える人たちですが、
イスラーム教は、「この世が終わったあとに神の審判が下り、天国か地獄に行く」「いま使っているこの体をあの世でもそのまま使う」という考え方なので、火葬しない。
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石の叫びに耳を澄ます--中東和平の探索
板垣雄三 著  
平凡社
/1992年
新潟市立図書館収蔵 豊栄館
ユダヤ人を知ることからがスタート
わたしの恩師の本で、パレスチナ問題の構造について書かれたものです。この本を読むと、イスラエルを建国したユダヤ人がどんな風に生み出されて、なぜキリスト教世界で迫害され続けてきたのかがわかります。
パレスチナ問題の根源は、簡単に言ってしまうと現在にも通じる移民難民問題なんですよね。ヨーロッパは、20世紀にイスラエルを建国することで、ユダヤ人の移民難民問題を中東に押し付けましたが、それによって生まれたパレスチナ難民の問題は解決されないまま、70年後のいま、今度はシリア難民がヨーロッパに押し寄せています。ヨーロッパと中東との関係、そして、中東を理解するための最初の一冊になると思います。日本人が知らない話がたくさん載っています。

タグ:イスラーム
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朝鮮後期財政史研究 - 軍事・商業政策の転換 [ユーラシア・東]

朝鮮後期財政史研究 81AtSzaNceL.jpg朝鮮後期財政史研究 - 軍事・商業政策の転換
山本進 著
九州大学出版会 刊
発売日 : 2018/02/27
サイズ A5判/ページ数 227p/高さ 22cm
ISBN-13 : 978-4798501383
内容紹介
17世紀以降の朝鮮は、軍事的緊張の下で商品経済が発展し、市場の構造化が進んだ。本書は、対軍事財政と対商業政策の両側面から朝鮮後期の経済的成熟を検証し、好戦的で侵略的な近代国民経済とは異なる前近代型「国民経済」形成への可能性を展望するものである。
〔軍事政策〕日本や清国の再侵略に備えるため、朝鮮政府は大量の倭銅買い付けや大砲の鋳造に励んだ。壬辰倭乱の経験から、大砲や火縄銃は射程距離の長いものが貴ばれた。加えて、軍用布として強靱な綿布が中国より輸入されたが、平和が続くとソウルの兵士は絹を愛用するようになった。一方北辺の兵士には最後まで粗末な防寒着しか支給されなかった。
〔商業政策〕商品市場の発達は都庫という仲買問屋を生んだ。しかし政府は流通を新財源に組み込めず、都庫は旅客主人として各種の権力機関に納税して庇護を受け、独占的仲買権を行使するようになった。一方政府機関や各邑は官営高利貸しを通して商業的剰余を収取するようになり、被害は一般庶民にも及んだ。国家は商人を総体的に掌握するより、特定商人の囲い込みや高利貸しの強制を通して個別的・間接的に利益を得たと言える。
総じて近世朝鮮は近世中国や日本と比較して強い限界性を帯びながら、銅銭本位制を基軸とした「国民経済」へと収斂しつつあったことを明らかにする。
目次
序章朝鮮における前近代型「国民経済」の形成
第Ⅰ部軍備の強化と財政
第一章鋳砲政策と鋳銭政策
十七世紀の銭/十八世紀の銭/十九世紀の銭
第二章火器の種類と製造
朝鮮前記の火器/壬辰倭乱と火器/朝鮮後期の火器
第三章軍用綿布としての青布輸入
朝鮮前記の青布と綿布/壬辰倭乱と青布/朝鮮後期の青布
第四章北辺戍卒への衣料支給
衣料支給の開始/衣料支給の変化
第Ⅱ部商業の発達と財政
第五章都庫の成長
貢人と都庫/市廛と都庫/権力と都庫
第六章旅客主人と中都児
初期の旅客主人/中都児の登場/旅客主人の仲買商化
第七章京主人の殖利活動
京主人と防納制/邸債の利権化と米辺
第八章公債の登場と展開
使行貿易と公債/民庫と公債
第九章雑種量制の収斂
中央財政と量制/還政と量制/民間量制
終章
あとがき


著者紹介
山本 進(やまもと すすむ)
1959年 滋賀県生まれ
1984年、熊本大学文学部史学科卒。
1989年、名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。
北九州大学(現・北九州市立大学)商学部専任講師、
北九州市立大学経済学部助教授を経て、
2006年より北九州市立大学外国語学部教授。博士(歴史学、名古屋大学)。


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