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リスボン大地震―世界を変えた巨大災害 [視座をホモサピエンス]

リスボン大地震―世界を変えた巨大災害

The last day : wrath, ruin, and reason in the great Lisbon Earthquake of 1755

シュラディ,ニコラス【著】 Nicholas, Shrady

/山田 和子【訳】

大きさ、容量等 276,11p 図版16p ; 20cm

白水社(2023/09発売)

ISBN 4-560-09371-9
新潟県立図書館収蔵 /236.9/Sh98/


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内容説明
1755年11月1日、万聖節の朝、ポルトガルの首都リスボンで発生した大地震は、大航海時代以来交易都市として栄えたこの街を一瞬にして壊滅させた。市内各所で発生した火災は瓦礫と化した街を焼き尽くし、さらに大津波が人々を襲った。死者2万5千人以上、ヨーロッパ史上最大の地震災害である。しかし、首都壊滅の危機に国家の対応は素早く、国王ジョゼ一世から全権を委ねられた大臣カルヴァーリョは、直ちに被災者の救援と食糧配布、遺体の処理、治安維持などの対策に着手し、その後新たな都市計画のもと首都再建に乗り出した。同時にこの国を支配していた教会・貴族勢力を排除して、ポルトガルの近代化が進められていく。地震の甚大な被害は忽ち各国に伝えられ、聖職者や思想家、科学者たちにも大きな衝撃を与え、様々な議論が沸騰した。
一国の首都を直撃した大地震として関東大震災とも比較され、地震・火災・津波の複合災害として東日本大震災以降再び注目を集めるリスボン大地震の実態と復興の足取りを史料を駆使して鮮やかに描き、社会・経済・科学・思想・宗教など広範囲に及んだ影響をたどる歴史ノンフィクション。
1755年、首都壊滅す。万聖節の朝、リスボンを襲った大地震とそれに続く火災・津波は、欧州最大の交易都市として栄華を誇った街を廃墟に変えた。世界を震撼させた自然災害とその余波、都市復興の物語。
目次
第1章 万聖節の日
第2章 秩序の回復
第3章 被害の詳細
第4章 ポルトガルの変遷
第5章 名ばかりの黄金時代
第6章 説教師と哲学者
第7章 不死鳥のごとく
第8章 啓蒙主義と独裁
エピローグ
著者等紹介
ニコラス・シュラディ [Nicholas,Shrady]
アメリカ合衆国コネティカット生まれ。ワシントンDCのジョージタウン大学で学位(哲学)取得後、著述活動を始め、“ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー”“フォーブス”“ナショナルジオグラフィック・トラベラー”他の雑誌・新聞に、文化、歴史、旅行、建築などの評論、エッセイ、書評を寄稿する。“アーキテクチュラル・ダイジェスト”には定期寄稿者として建築、都市計画、デザイン、美術に関する文章を寄せるとともに、多くのインタビューも行なっている。1986年からバルセロナ在住
山田和子[ヤマダカズコ]
1951年、北九州市生まれ。慶應義塾大学文学部中退。翻訳家・編集者
訳書に、ポール・コリンズ『バンヴァードの阿房宮』(白水社)、アンナ・カヴァン『氷』『アサイラム・ピース』(以上、ちくま文庫)、J・G・バラード『太陽の帝国』『旱魃世界』(以上、創元SF文庫)、アマル・エル=モフタール&マックス・グラッドストーン『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』(早川書房)、アダム・ハート=デイヴィス『サイエンス大図鑑』(共訳、河出書房新社)など
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。


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1348年 気候不順と生存危機--《歴史の転換期》202頁 [視座をホモサピエンス]

1348年 気候不順と生存危機    シリーズ:歴史の転換期 5
著者:千葉敏之=編  長谷部史彦  井上周平  四日市康博  井黒忍  松浦史明 
刊行: 2023年7月
仕様: 四六  ・  280ページ
ISBN: 978-4-634-44505-5
新潟大学 附属図書館 収蔵
4章 元明交替の底流
 崩壊の兆し  202頁より

 中塚武は、人間社会が数十年周期の気候変動に対して脆弱であるとする説を提示する。それによれば、良好な気候条件のもとで人口と生活水準を高めた人間社会は、数十年周期の気候変動が生じ、環境収容力が縮小したにもかかわらず、生活水準の肥大化を制限することができずに危機への対応を誤り、飢饉や疫病、戦争などを引き起こし、社会の混乱と崩壊を導くという。さらにこうした状況が唐・明と並んで元にもあてはまると中塚は指摘する。一三○○年前後を境にして生じた数十年周期での気候変動とこれに対する人間社会の適応と不適応、あるいは過適応元明交替期の底流をなしていたことは間違いない。くわえて、気候変動とも密接な関係性を有する同時期の黄河の河道変移は、この底流に時に棹さし、時に逆行する、もう一筋の流れをかたちづくったのである。
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203頁
『黄河は西から流れきたりて、長江と淮河のあいだをかき乱す』
  淮河(わいが、ホワイホー)は、中華人民共和国を流れる川の一つで、長江・黄河に次ぐ第三の大河。 古くは「河」が黄河の固有名詞であったので、淮水と呼んだ。中国東部、黄河と揚子江の間を東に流れる川。河南省南端の桐柏山地に源を発し、安徽省を流れ、江蘇省の洪沢コウタク湖を経て大運河に注ぎ分流して黄海と揚子江に注ぐ。全長約1000キロ。昔から、河道がしばしば変わり、ことに一二世紀初め、黄河に河道を奪われてからは中・下流が土砂でふさがれて洪沢湖に流れ込み、しばしば水害をもたらした。一九五〇年から大治水工事が行なわれ、現在は安定した水路を復活。淮水。ホワイ川

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どんなスピードでも自動車は危険だ [視座をホモサピエンス]

どんなスピードでも自動車は危険だ
著者 ラルフ・ネイダー   Ralph, Nader,
訳者 河本英三 
出版社 ダイヤモンド社
大きさ、容量等 295p ; 19cm
価格 480円
>調べた限り、国立国会図書館 に蔵書されていた。


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中国が世界をリードするとき・下巻 [視座をホモサピエンス]

中国が世界をリードするとき・下巻
:西洋世界の終焉と新たなグローバル秩序の始まり 

原タイトル:When China rules the world 原著増補改訂版の翻訳
マーティン・ジェイクス (著), 松下 幸子 (翻訳)
出版社 ‏ : ‎ NTT出版
上巻
単行本 ‏ : ‎ 480ページ
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4757142909
新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館 /319.2/ジエ/2
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 巨大な人口と国土をもち、屈辱の時代を経て、いま中国は西洋近代や日本とは違う形で急速な発展を遂げている。西洋近代の国民国家ではなく、古来の文明国家としての中国が世界に君臨するとき、世界秩序はこれまでの歴史にはなかった姿で再編される! 
目次
第9章 中国の裏庭
    中国の新展開
    流動する情勢
    過去からのこだま
    台湾―絶対に譲れない問題
    兄貴分と弟分
    東アジアの巨像・米国
 
第10章 グローバル大国としての中国
     中南米
     アフリカ
     中東とイラン
     ロシア
     インドと南アジア
     ヨーロッパ
     台頭する超大国、衰退する超大国
     深まる米中対立
     国際体制の将来
 
第11章 中国が世界を支配するとき
     中国史の射程の深さ
     世界の首都としての北京
     文明国家の興隆
     朝貢体制の復活
     中国人の民族・人種的階層観
     中華連邦?
     世界経済の牽引役
     新しい資本主義モデルとして
     大国化した中国の振る舞い
     新しい政治の極
     異なる価値観の争い
     新興都市とメガシティ
     中国語話せますか
     中国の大学の台頭
     ソフト・パワーとしての中国文化
     北京オリンピック
     中華料理と中医学
     西洋の衰退と没落
 
第12章 結論にかえて―中国を中国たらしめる八つの特色
第13章 補論 金融危機以降―中国主導の世界秩序の始まり
     中国の外交政策
     中国主導の世界経済秩序
     中国のソフト・パワー
     中国という国家
     米国の衰退
     意外な展開が待っている・・・
 
著者紹介
マーティン・ジェイクス (著) Martin,Jacques
1945年生まれ。マンチェスター大学卒業。ケンブリッジ大学で博士号取得。イギリス共産党機関誌『Marxism Today』の編集長を務めたのち、現在は世界各国の新聞・雑誌のコラムニストとして活躍。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの客員研究員を経て、ケンブリッジ大学政治・国際関係研究学部と清華大学の客員研究員
 
訳 松下幸子[マツシタさちこ]
津田塾大学国際関係学科卒業。英日・中日の翻訳家。北京市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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中国が世界をリードするとき・上巻 [視座をホモサピエンス]

中国が世界をリードするとき・上巻
:西洋世界の終焉と新たなグローバル秩序の始まり 

原タイトル:When China rules the world 原著増補改訂版の翻訳
マーティン・ジェイクス (著), 松下 幸子 (翻訳)
出版社 ‏ : ‎ NTT出版
上巻
単行本 ‏ : ‎ 460ページ
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4757142893
新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館 /319.2/ジエ/1
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西洋近代の国民国家ではなく、古来からの文明国家として中国が世界に君臨するとき、世界秩序は従来の歴史にはなかった姿で再編される! 文明国家として世界を覆い始めている中国を描く。
 目次
 第1章 盟主の交代
     新しい世界の形
 
第1部 西洋世界の終焉
     プロローグ
 第2章 西洋の興隆
     前提条件なのか、特性なのか
     ヨーロッパの特殊性
     ヨーロッパの支配
     米国の興隆
 
 第3章 日本――西洋的ではない近代
     日本の成り立ち
     明治維新
     連続するもの
     西洋に倣って
 
 第4章 中国の屈辱
     隆盛期
     国家としての中国
     内部崩壊と侵略
     一九四九年以降
     経済的離陸
 
 第5章 競い合う近代
     東アジア近代の勃興
     移行の速さ
     近代の概念
     支配の強さ
     西洋化の程度
     土着的な近代
     競い合う近代
 
第2部 中国の時代
    プロローグ
 第6章 経済大国としての中国
     中国の経済成長は持続可能か
     老いてゆく中国
     自然環境というジレンマ
     ローテクかハイテクか
     中国モデル
     規模の問題
     中国が世界経済に及ぼす影響
 
 第7章 文明国家
     文明国家
     大陸としての中国
     中国政治の性格
     中国と民主主義
     共産党支配
     特別な国家としての中国
 
 第8章 中華思想
     多様性から均質性へ
     「天下」から国民国家へ
     中国人と人種
     チベットと新疆
     否認と現実
     海外華人・華僑
     中国と他者
 
付表 海外華人
 

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犠牲者意識ナショナリズムー2022.7・・・タタールの軛も⁈ [視座をホモサピエンス]

犠牲者意識ナショナリズム
副書名 国境を超える「記憶」の戦争  VICTIMHOOD NATIONALISM
著者 林 志弦 /いむ・じひょん   訳者 澤田 克己 /  サワダかつみ
出版者 東洋経済新報社  出版年 2022.7
ページ数 19,529p  大きさ 20cm

ISBN 978-4-492-21252-3
新潟市立図書館収蔵 亀田館 /311/イ/
著者プロフィール
林 志弦  いむ・じひょん
 韓国・西江大学教授、同大学トランスナショナル人文学研究所長。1959年ソウル生まれ。1989年西江大学博士(西洋史学)。韓国・漢陽大学教授、同大学比較歴史文化研究所長などを経て2015年から現職。専門は、ポーランド近現代史。現在は、記憶の研究に重点を移し、東アジアの歴史和解を模索している。
訳者
澤田 克己 サワダかつみ
毎日新聞論説委員。1967年埼玉県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。在学中、韓国・延世大学で韓国語を学ぶ。1991年毎日新聞社入社。ソウル特派員、ジュネーブ特派員、外信部長などを経て2020年から現職。
目次
第1章 系 譜  第2章 昇 華  第3章 グローバル化  第4章 国民化
第5章 脱歴史化  第6章 過剰歴史化

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内容紹介
植民地主義や世界大戦、ジェノサイドで犠牲となった歴史的記憶を後の世代が継承し、自分たちを犠牲者とみなして正当化を図るナショナリズム。世界各地で激しさを増している、記憶が引き起こす歴史認識紛争に警鐘を鳴らす書。
 ポーランド研究者だった著者の林志弦教授は、自分たちは犠牲者なのだという記憶を世襲した攻撃的な民族主義・意識をポーランドやイスラエルに見出し、韓国も同じだと考えました。そうした問題意識から15年前に研究を始めたそうです
 
【犠牲者意識ナショナリズム】
植民地主義や二度の世界大戦、ジェノサイドで犠牲となった歴史的記憶を後の世代が継承して自分たちを悲劇の犠牲者だとみなし、道徳的・政治的な自己正当化を図るナショナリズム。グローバル化した世界で出会った各民族の記憶は、互いを参照しながら、犠牲の大きさを競い、絡み合う。記憶が引き起こす歴史認識紛争がいま、世界各地で激しさを増している。
 
【はじめにより】
2007年1月18日朝、新聞を広げた私は首をひねった。購読する進歩系と保守系の新聞どちらも、『ヨーコの物語』(邦訳:『竹林はるか遠く:日本人少女ヨーコの戦争体験記』を批判する記事が文化面トップを飾っていたのだ。どうということのない本のように思えたが、驚くほど大きな記事だった。
 
 韓国メディアの激しい批判は、「韓国民族イコール被害者」「日本民族イコール加害者」という二分法が揺さぶられたことへの当惑を表すものだったのだろう。避難する日本人女性を脅し、強姦する加害者という韓国人のイメージが日本の植民地支配に免罪符を与え、歴史を歪曲するという憂慮が行間から読み取れた。
 
 その心情は理解できるものの、その二分法が常に正しいわけではない。韓国が日本の植民地主義の被害者だったというのは民族という構図でなら正しいが、個人のレベルでは朝鮮人が加害者に、日本人が被害者になる場合もある。個々人の具体的な行為ではなく、集団的所属によって加害者と被害者を分ける韓国メディアの報道は、「集合的有罪」と「集合的無罪」に対するハンナ・アーレントの批判を想起させた。】


 戦後日本の民族主義と朝鮮半島の民族主義には「敵対的な共犯関係」があると指摘。二つの民族主義は政治現象としては激しく対立しているものの、実際には共犯関係を享受しているという見立てだった。  現象的には、東アジアの国際政治は民族主義のゼロサムゲームという法則  


被害の歴史記憶が集団を団結させ、擬似ナショナリズムになり得ることを指摘している。


ロシア・ウクライナの関係も、13世紀のモンゴルの侵攻とそれにつづくモンゴル人(モンゴル=タタール)による現在のロシア・ウクライナ・ベラルーシ地域の支配を「タタールの軛」とする被害妄想・歴史記憶が集団を団結させ、擬似ナショナリズムに成ってないかな。

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先住民から見た世界史 コロンブスの「新大陸発見」-2023 [視座をホモサピエンス]

先住民から見た世界史 コロンブスの「新大陸発見」
著者 山本 紀夫    ヤマモトのりお
 KADOKAWA    角川ソフィア文庫 
発売日:2023年5月23日 判型:文庫判  ページ数:320 ISBN:978-4044007577
殺戮、奴隷化、疫病による大量死――先住民の悲劇とグローバル化のはじまり
  コロンブスが15世紀に持ち帰った中南米原産のトウモロコシや、その後に伝わったジャガイモは、ヨーロッパの人口増加に大きく貢献した。他方、アメリカ大陸へ持ち込まれた疫病は、先住民の急激な人口減少を引き起こす。世界の食卓を豊かにした作物の伝播は、のちに「コロンブスの交換」と呼ばれるが、先住民にとっては略奪や侵略に他ならなかった南米アンデスをフィールドに農学と人類学を研究する著者が描く、もう一つの世界史
(『コロンブスの不平等交換 作物・奴隷・疫病の世界史』を、再構成・加筆・改題のうえ、文庫化したものです。)
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もくじ
まえがき 

第一部 ヨーロッパに与えたもの 
 第一章 トウモロコシ――コロンブスが持ち帰った穀類 
 第二章 トウガラシ――世界各地の食文化をになう 
 第三章 ジャガイモ――ヨーロッパの飢えを救う 
 コラム1 コロンブスより前に海を渡った栽培植物 
 
第二部 先住民にもたらされた災厄 
 第四章 サトウキビ――砂糖の生産と奴隷 
 第五章 馬と牛――生活を破壊したヨーロッパの家畜 
 第六章 天然痘――先住民の凄惨な悲劇 
 コラム2 ラテンアメリカ音楽の誕生 

終 章 コロンブスの功罪 

あとがき 
初出

参考文献
山本 紀夫[ヤマモト ノリオ]
1943年大阪市生まれ。国立民俗学博物館名誉教授。京都大学卒業。同大学院博士課程修了。1978年に京都大学で「トウガラシの起源と栽培化に関する研究」で農学博士の学位を取得し、2015年には東京大学で「中央アンデス農耕文化論」で文化人類学分野の学術博士の学位を取得。農学博士。民俗学、民族植物学、山岳人類学を専攻。1976年より国立民族学博物館に勤務。1968年よりアンデス、アマゾン、ヒマラヤ、チベット、アフリカ高地などで主として先住民による環境利用の調査に従事。1984‾87年には国際ポテトセンター客員研究員。

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1348年 気候不順と生存危機--《歴史の転換期》5. [視座をホモサピエンス]

1348年 気候不順と生存危機    シリーズ:歴史の転換期 5
著者:千葉敏之=編  長谷部史彦  井上周平  四日市康博  井黒忍  松浦史明 
刊行: 2023年7月
仕様: 四六  ・  280ページ
ISBN: 978-4-634-44505-5
新潟大学 附属図書館 収蔵
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解説:
  1348年前後はユーラシア大陸全域が寒冷化した。こうした気候不順は自然災害(洪水など)を引き起こし、各地の生産活動(とくに農業)に打撃を与えた。さらに、栄養不足が疫病の蔓延を助長し、生活に困窮する農民の暴動や反乱を招いた。これら災害・飢饉・戦争・人口減少は、人々を生存危機へと追いやり、既存の体制の土台を掘り崩した。本巻では、気候不順に由来する生存危機を人々がどのように認識し、いかなる克服の試みを重ねていったかという点に着目し、渦中の人々による危機打開の模索の現場を、その成否を含めて論じる。また同時に、「体制(システム)の転換」という点で、とくに中央ユーラシアにまたがるモンゴル帝国の崩壊局面に光を当て、「崩壊」という歴史の転換の現場をビビッドに描く。
目次:
総論 気候不順と生存危機
1章 中東社会とペスト禍・自然災害
 ペストの大流行と社会
;自然災害;農村と都市の社会的危機
;死の日常化とイスラーム信仰の変容
 
2章 十四世紀ヨーロッパのペスト
 ヨーロッパにおける一三四八年
;天変地異と社会不安
;学識層におけるペスト原因論
;ペストへの対処と医療実践
 
3章 モンゴル帝国の覇権と解体過程、そのインパクト
 モンゴル帝国のユーラシア統合とその支配構造
;モンゴル政権の解体とその影響
;十四世紀の長期変動とモンゴル覇権のインパクト
 
4章 元明交替の底流
 崩壊の兆し
;開発と挫折
;冬の到来
;とだえぬ流れ
 
5章 東南アジアの十四世紀と気候不順
 カンボジア、アンコール朝の解体と気候不順
;十四世紀の大変動
;気候変動は東南アジアに何をもたらしたのか



日本
1348年その時日本は―鎌倉幕府が滅んで室町幕府が成立しますが、まもなく南北朝の動乱期を迎えました。14世紀半ばの日本の気候も寒冷期にあり農業生産力は低下しましたが、商業流通の活発化によって大きな飢饉は抑制されていました。
============================================
異見
1336年、後醍醐天皇と対立した足利尊氏が持明院統(北朝)の天皇を擁立し幕府を開いたが、暫く京都を脱出した後醍醐天皇が吉野行宮に遷り朝廷(南朝・大覚寺統)がある、二つの朝廷が並存するという、王権の完全な分裂状態、南北朝時代が続いた。1392年、3代将軍義満によって南北朝が統一され、最終的に武家が優位に立った。将軍直轄の軍事力や財政基盤は弱く、中央の幕府が上位に立ち、地域権力たる守護大名がその監督下にありつつも、両者が相互補完的に政治的経済的支配を展開した(室町幕府-守護体制)。
応仁の乱(1467年から1477年)ないし明応の政変(1493年)以降は全国動乱の時代(戦国時代)を迎え、それまでの幕府 - 守護体制・荘園公領制が崩壊するとともに、各地に独立勢力とも言える戦国大名が並立するようになる。
農業面では、施肥量の増大や水稲の品種多様化、灌漑施設の整備によって稲の収穫量が高まり[3]、また、鎌倉時代にもたらされた二毛作が普及するなど、生産力が著しく向上した[1]。こうして、食料生産が十分になったことにより、カラムシ(糸が作れる)、真綿、エゴマ(油が取れる)などの原料作物も多く作れるようになった[
1270年代に、中国で元朝が南宋を征服して交鈔(紙幣の一種)を普及させたことから、余った宋製の銅銭が、大量に日本になだれこんだ。「(南宋の滅亡により)貨幣が出回ったから商工業が発達したのではないか」という説を大田由紀夫が唱え、2014年現在はこちらの説が支持されるようになっている。
文化面では、上記の農業・商工・経済の発達によって、民衆の勢力が増し大衆文化が隆盛し、猿楽(能楽)[4]・連歌[3]・闘茶(茶道の原型)[3]・ばさら(かぶき者・歌舞伎の原型)[3]などが生まれた。
宗教面では、古い寺社と結びつく南朝や公家勢力に対抗するために、室町幕府は新しく日本に輸入された仏教である禅宗を優遇し、京都五山を定め


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進化的人間考 [視座をホモサピエンス]

進化的人間考   著者 長谷川 眞理子 /ハセガワまりこ  
出版者 東京大学出版会  出版年 2023.2 
ページ数 3,180,4p  大きさ 19cm 
ISBN 4-13-063955-2

新潟県立図書館収蔵 /469/H36/
内容紹介
大きすぎる脳、火を使う調理、言語による伝達、文化の蓄積、様々な性差…。進化の視点からヒトの性質や社会のあり方などを考察する。『UP』連載に既発表論文を改稿したものを加えて書籍化。
著者紹介
長谷川 眞理子 /ハセガワまりこ
1952年東京都生まれ。1983年東京大学大学院理学系研究科人類学専攻博士課程単位取得退学。理学博士。専門は行動生態学。現在、総合研究大学院大学学長。
主著に、『進化とは何だろうか』(岩波書店、1999年)、『生き物をめぐる4つの「なぜ」』(集英社、2002年)、『クジャクの雄はなぜ美しい? 増補改訂版』(紀伊國屋書店、2005年)、『人間の由来』(上・下)(訳、講談社、2016年)、『私が進化生物学者になった理由』(岩波書店、2021年)他多数
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内容紹介
進化に興味を持った人に、最初に読んでほしい本
ヒトに固有な特徴や性差について進化という軸を通して検討し、なぜ言語や文化を持つのか、ヒトの進化環境がどんなものだったかなどについて、領域横断的に考察する。第一人者が明晰かつ親しみやすい語り口で、進化という視点から人間の本性に迫る。 
【第1章より】
人間がなぜこのような生き物なのかを科学的に探るには、人間の進化の理解が必須である。進化を理解するには、進化のプロセスに関する一般的な理論を知らねばならない。その進化の理論を最初に科学的な形で提出したのはチャールズ・ダーウィンだった。…
ダーウィンは、遺伝について何も知らずに進化の理論を考えたのだが、その後の遺伝学の発展に伴い、進化理論はどんどん進んでいった。現在の理解をもとに、人類の進化を考えると何が見えてくるか、本書では、進化という軸を通して、人間の理解を統合してみようと思う。進化学の越境であり、新たな人間学の試みの萌芽でもある。
目次
第1章 人間への興味――越境する進化学
第2章 ヒトとチンパンジーはどこが違う?
第3章 ヒトの生活史――赤ん坊、子ども、年寄り
第4章 ヒトの子育て――ヒトは共同繁殖
第5章 進化生物学から見た少子化――ヒトだけがなぜ特殊なのか
第6章 ヒトの食物と人間性の進化
第7章 ヒトにはどんな性差があるのか
第8章 ヒトのからだの性差と配偶システム
第9章 ヒトの脳と行動の性差1――食物獲得との関連
第10章 ヒトの脳と行動の性差2――文化との関連
第11章 三項表象の理解と共同幻想
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第12章 群淘汰の誤りとヒトにおける群淘汰
第13章 ヒトはなぜ罪を犯すのか――進化生物学から見た競争下での行動戦略
第14章 ヒトの適応進化環境と現代人の健康
第15章 ヒトの適応進化環境と社会のあり方
第16章 言語と文化
第17章 人間の統合的理解の行方
第18章 進化心理学・人間行動生態学の誕生と展望

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見知らぬものと出会う  ファースト・コンタクトの相互行為論--2018 [視座をホモサピエンス]

見知らぬものと出会う  ファースト・コンタクトの相互行為論
著者 木村 大治 [キムラだいじ]  
出版年 2018.9  出版者 東京大学出版会
大きさ 20cm    ページ数 8,253,17p
ISBN 4-13-013152-0
NDC分類(10版) 389.04
新潟県立図書館 収蔵

内容紹介 もしも宇宙人と出会ったら? “未知との遭遇”の多様な思考実験の場であるSF(サイエンス・フィクション)作品を手がかりにファースト・コンタクトを分析し、コミュニケーションの成立条件を明らかにする。
「未知との遭遇」の多様な思考実験の蓄積があるSF(サイエンス・フィクション)作品を渉猟し、著者自身によるフィールドワーク、文化人類学、霊長類学、相互行為論、分析哲学などの知見を縦横無尽に参照して、コミュニケーションの成立条件を考察する。

「宇宙」とはすなわち、いまだわれわれの手の届かない場所のことを指している。しかしそこに、「人」すなわち何らかの意味でわれわれの理解可能な存在がいるというのである。「宇宙・人」を考えるということ自体がまさに、想像できないことを想像しようとする営為なのだ。さらに言えば、よりわれわれに身近なはずの「他者」さえも、同様な構造を持っている。「他・者」とは、私の手の届かない「他」であると同時に、石ころなどの「物(もの)」とは異なる、私と同質の「者(もの)」でもあるのだ。(「プロローグ」より)
著者紹介
木村大治[キムラだいじ]  1960年愛媛県生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授。理学博士。専門は人類学、コミュニケーション論。著書に「括弧の意味論」「共在感覚」など。


目次
プロローグ 宇宙・人
I 想像できないことを想像する
第1章 宇宙人という表象
1 寓意としての宇宙人
「あいつは宇宙人だ」/哲学と火星人
2 宇宙人表象の歴史的変遷
「人間もどき」たち/歴史上の宇宙人譚/サイエンス・フィクションの誕生/SFと人類学/UFO表象
3 SETIにおける宇宙人
SETIの歴史/ドレイク方程式/SETIと人類学
第2章 投 射――想像できないことを想像するやり方
1 人間というピボット
2 さまざまな引き延ばし
3 窓の向こう側
4 となりの宇宙人
出会い/「宇宙人」という支持点
第一の幕間 双対図式――投射と「枠」

II 見知らぬものと出会う
第3章 コンタクトの二つの顔
1 自然コード
2 関係に規則性をつくる
コンとポン/挨拶と規則性
第4章 「規則性」の性質――不可知性・意外性・面白さ
1 シャノン‐ベイトソンのバラドックス
2 アルゴリズム的複雑性
規則性を測る方法/計算不可能性/規則性をめぐる二つの困難
3 内向きの探索の困難――「別種の説明」がありうる
人類学における「説明」と「実践」/技術やゲームにおける「別種のやり方」/生命現象における「別種のやり方」
4 外向きの探索の困難――「意外な構造」がありうる
行為に対するタグづけ/言語ゲーム/ゲームの面白さ
5 粒度と階層の問題
構成要素の粒度/プログラムとパターンの階層

第5章 規則性のためのリソース――コードなきコミュニケーションへ
1 「リソース」の概念
道具性/「探索」の構え
2 コードというリソース
コードをリソースに還元する/「使い方」としての言語/言語は認識を決定するか?
3 身体というリソース
ベジタリアンの傾斜/宇宙人の類似性/動物と出会う/身体による理解の方法
4 「自分」というリソース

第二の幕間 それでもなお相互行為は可能か

III 枠と投射

第6章 ファースト・コンタクトSFを読む
1 友好系
『最初の接触』/『宇宙(あま)翔けるもの』
2 敵対系
『バーサーカー』/『エンダーのゲーム』
3 わからん系
『ソラリス』/『最悪の接触』/『戦闘妖精・雪風』/半可知な他者

第7章 仲良く喧嘩すること
1 トムとジェリーのパラドックス
2 翻訳の不確定性と寛容の原理
3 会話の格率と関連性の原則
4 「このようにやれ」と「とにかくがんばれ」

第8章 枠・投射・信頼
1 長い投射と短い投射
2 投射を定める枠・枠を探り当てる投射
3 生命と投射

エピローグ 接触に備えたまえ

Encounters with Extra-Terrestrials: Interaction Theory on “First Contact”
Daiji KIMURA

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評・伊藤 亜紗(美学者・東京工業大准教授)
 以前こんなゲームをしたことがある。六人のプレイヤーのうち、二人は目隠し、二人は耳栓をし、残りの二人は口を開いてはいけない。この相互に異なる身体的条件下で「しりとり」をするのだ。身振ぶりや筆談を交えて何とか言葉をつないでいくのだが、途中で困ったことが起こった。プレイヤーの一人がルールを誤解していて、「しりとり」ではなく「伝言ゲーム」を始めてしまったのだ。この異変に気づくのに数分、それを他のメンバー間で共有するのに数分、何度か試みたものの、結局当人に間違いを分からせることはできなかった。

 コミュニケーションというと、ついメッセージの発信者と受信者の間であらかじめルールが共有されており、そのルールに基づいて情報をやりとりするような状況を想定しがちだ。しかし実際には、必ずしもルールは共有されているとは限らない。というか大部分の場合において共有はされていないのであって、お互いにルールをすり合わせることと情報のやりとりが同時進行するのがコミュニケーションである。先のゲームのように、自分には思いもよらないルールに相手が従っているかもしれない可能性は、実際にある。

 本書が分析するのは、そんな「ルールを共有しない他者」の究極たる「宇宙人」とのコミュニケーションである。なんだ、SFか? 確かにSFネタは存分にちりばめられているのだが、著者の専門はあくまで人類学。アフリカの狩猟採集民の村等でフィールドワークを行いながら、コミュニケーションの多様な形態を分析してきた研究者による、宇宙人類学の書だ。ウィトゲンシュタインやベイトソンを用いた規則の成立に関する詳細な分析のほか、「ベジタリアンの傾斜」「規則性の窪くぼみ」など現象を命名する著者独特のセンス(詩的だが数学の定理のようでもある)も楽しい。さあ、接触にそなえたまえ。

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