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資本主義と奴隷制--エリック・ユースタス・ウィリアムズ [経済]

資本主義と奴隷制61gVV46NwfL.jpg資本主義と奴隷制

副 経済史から見た黒人奴隷制の発生と崩壊
原書:Capitalism & slavery 1961

著 エリック・ウィリアムズ 
  Eric Eustace Williams  (1911-1981)
訳・中山毅・ナカヤマ タケシ
発売日:2020/07/13
出版社: 筑摩書房
レーベル: ちくま学芸文庫
ISBN:978-4-480-09992-1

1968年9月、87年9月に理論社から刊行された『資本主義と奴隷制:ニグロ史とイギリス経済史』(ISBN 4652084056)中山毅訳の文庫化。
内容紹介
イギリスにおける資本主義成立の要因として【外因論ー資本主義の成立は、カリブ海の黒人奴隷の重労働と大西洋三角貿易による重商主義的過程によって蓄積された資本によるものである】を実証的に描く。

英国に代表されるヨーロッパ初期の資本主義と、西インド諸島における黒人奴隷貿易および奴隷制の関係を分析した古典的名著の新訳。何が奴隷を生み出し、奴隷がどう売り買いされ、それがどう資本主義に影響したかを考える。
参照 じんぶん堂  「産業革命は黒人奴隷たちの血と汗の結晶である」 歴史学の常識を覆した研究者とは 川北稔さんが解説 https://book.asahi.com/jinbun/article/13625996

2年生演習で『資本主義と奴隷制』を読んでいたら、西インド諸島で奴隷を使役し大金を手にしたプランターがイギリスに帰り没落貴族と婚姻してなんとか認められようとする一方で自分は西インド諸島に戻る気はまったくなくて、代理に酷い奴を送って酷い不道徳が常態化している話があり暗澹とした。

目次

第1章――黒人奴隷制の起源
第2章――黒人奴隷貿易の発展
第3章――イギリスの商業と三角貿易
第4章――西インド諸島勢力
第5章――イギリス産業と三角貿易
第6章――アメリカ独立革命
第7章――イギリス資本主義の発展 一七八三~一八三三年
第8章――新しい産業体制
第9章――イギリス資本主義と西インド諸島
第10章――実業界と奴隷制
第11章――〈聖人〉と奴隷制
第12章――奴隷と奴隷制
第13章――結論
 監訳者あとがき/原注/参考文献
 索引(事項/地名/人名)
1968年版の[目次]
序文 / p1
第一章 ニグロ奴隷制の起源 / p11
第二章 ニグロ奴隷貿易の発展 / p40
第三章 イギリスの商業と三角貿易 / p62
A 三角貿易 / p62
B 海運と造船 / p69
C グレート・ブリテンにおける大海港都市の発達 / p72
D 三角貿易の取扱い品目 / p77
1 毛織物 / p78
2 綿織物製造業 / p81
3 製糖 / p86
4 ラム酒の蒸留 / p92
5 安ぴかもの / p95
6 冶金工業 / p95
第四章 西インド勢力 / p100
第五章 イギリスの産業と三角貿易 / p114
A 三角貿易の利潤の投資 / p114
1 金融業 / p114
2 重工業 / p119
3 保険業 / p120
B イギリス産業の発展-一七八三年まで / p122
第六章 アメリカ革命 / p125
第七章 イギリス資本主義の発展-一七八三~一八三三 / p144
第八章 新産業体制 / p155
A 保護貿易か、自由放任か? / p157
B 反帝国主義の成長 / p163
C 世界における砂糖生産の増大 / p166
第九章 イギリス資本主義と西インド諸島 / p176
A 綿織物製造業者 / p176
B 製鉄業者 / p179
C 毛織物工業 / p182
D リヴァプールとグラスゴー / p184
E 製糖業者 / p186
F 海運および船員 / p189
第十章 <実業界>と奴隷制 / p193
第十一章 <聖人>と奴隷制 / p202
第十二章 奴隷と奴隷制 / p223
第十三章 結論 / p235
訳者あとがき / p240
注 / p300
文献解題 / p309
索引 / p322
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
エリック・ユースタス・ウィリアムズ(Eric Eustace Williams, 1911年9月25日 - 1981年3月29日)
カリブ海にあるトリニダード島に郵便局員の息子として生まれた。1935年英国オックスフォード大学卒・歴史学科に在籍し38年博士号取得。産業革命をカリブ海域から見るという歴史学の大転換となる研究に取り組んだ。ウィリアムズの研究が、のちの従属理論や世界システム論を導くことになる。
第二次大戦後1956年にはトリニダード独立運動の指導者となった。1962年トリニダード・トバゴ共和国として独立達成した。共和国首相を62年から、1981年に亡くなるまで務めた。「トリニダードの父」と呼ばれる。
代表著書はオックスフォード博士論文"The Economic Aspect of the West Indian Slave Trade and Slavery"(西インド諸島の奴隷貿易および奴隷制における経済的側面、奴隷制を経済的観点から説明する)を加筆修正した『資本主義と奴隷制』(1944)、
1970年刊の”From Columbus to Castro: The History of the Caribbean, 1492-1969”
川北稔訳『コロンブスからカストロまで カリブ海域史I・II』岩波書店、新版2000年/岩波現代文庫、2014年。
中山毅・ナカヤマ タケシ
1930年生まれ。元北海道大学教授。専門は18世紀の百科全書派研究
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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1970年刊の”From Columbus to Castro: The History of the Caribbean, 1492-1969”
川北稔訳『コロンブスからカストロまで カリブ海域史I・II』岩波書店。
、新版2000年/岩波現代文庫、2014年
新潟市立図書館収蔵
県立図書館収蔵
カリブ海のトリニダード島生まれの黒人歴史家であり,すぐれた政治指導者でもあるエリック・ユースタス・ウィリアムズ(Eric Eustace Williams)が、鋭い感性と,長年にわたる研究蓄積をに総合し著わしたカリブ海域全体に対象をすえたほぼ5世紀にわたる通史。
全2冊で分冊Iは、コロンブスのアメリカ大陸「発見」1492からハイチ奴隷革命1791 - 1804年までを扱う。コロンブスの「発見」事業は、奴隷制と砂糖プランテーションに道を開くが、アメリカ独立革命とハイチ革命がそれらを崩しはじめる。分冊IIは,奴隷解放後のカリブ海域の民衆,同地域を自国の「地中海」としてゆく砂糖王国アメリカの政策,それに正面から挑戦したカストロ革命,同地域のゆくえなどを主題とする。
―「現代文庫版への訳者あとがき」より
かつて低開発国の典型とされたアジアのいくつかの国やブラジルが成長への兆しをみせているいま,カリブ海域の厳しい状況はどのように説明されるべきか.そうした問題を考える出発点としても,本書が読み継がれることを期待したい.

タグ:奴隷貿易
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リスク化する日本社会 -ウルリッヒ・ベックとの対話--ベックが福島第一原発の事故を論じた貴重な論考・序文も収録--岩波書店 [福島第一原子力発電所事故(2011)]

リスク化する日本社会71Jdoy4GvTL.jpgリスク化する日本社会 
副タイトル1 ウルリッヒ・ベックとの対話
著者1 ウルリッヒ ベック /編, 鈴木宗徳 /編, 伊藤美登里 /編, 三上剛史 /ほか著  
出版年 2011.7
出版者 岩波書店
一般件名 社会学 , リスク
ページ数 15,274p
大きさ 19cm
ISBN 978-4-00-025567-7
新潟県立図書館収蔵
内容紹介
様々な危機や不安に直面する日本社会にとって、人々の生活や人生上のリスクを安定化する装置がどのようなものであるべきかが問われている。本書は、リスク社会論の第一人者との対話から、そのためのヒントを探る試みである。「個人化」「第二の近代」「コスモポリタン化」といったベック理論の重要概念に批判的な検討を加えながら、社会理論の役割、リスクの時代の家族と社会保障、日本と東アジアにおける多元的近代をめぐって議論が展開される。2010年秋の連続シンポジウムの記録に、ベックが福島第一原発の事故を論じた貴重な論考・序文も収録
■編者 鈴木宗徳からのメッセージ
リスク社会論の始祖の目を通して日本社会を見る
 ウルリッヒ・ベックのリスク社会論は,社会学者であれば誰しもその重要性に気づきながら,これまで充分に紹介・検討されてきたとは言えません.アンソニー・ギデンズ,ジグムント・バウマン,リチャード・セネット,ロベール・カステルなど,近代社会が新たな段階に入ったことを強調する一群の社会学者の著作を読めば,彼らがどれだけベックから影響を受けていたかは,すぐに分かります.リスク,不確実性,不安….ベックこそ,そうした時代の空気をいち早くつかみ,社会学の課題として定式化した始祖であると言ってよいでしょう.そして,彼の思想形成にもっとも大きな影響を与えたのが,妻であるエリーザベト・ベック=ゲルンスハイムです.
 本書は,そのベック夫妻を迎えて2010年秋に行われた,来日シンポジウムの記録です.遅すぎた初来日講演でしたが,その成果はわれわれの期待を超えるものでした.末尾におかれたベックによるリプライ,「個人化する日本社会のゆくえ」を読んでいただければ,彼が日本側の報告者に対しどれだけ真摯に応答してくれたかが,分かるでしょう.福島第一原発事故について書き下ろしてくれた「この機会に」も見逃せません.リスク社会論や個人化論の考え方を通して日本社会の現在を見つめたい方に,広く読んでいただければと思います.
内容一覧
タイトル 著者名 ページ
はじめに
鈴木宗徳
伊藤美登里
この機会に――福島,あるいは世界リスク社会における日本の未来 ウルリッヒ ベック/著 1‐12
I 再帰的近代化の中の個人と社会――社会理論の現在
第1章 個人化の多様性――ヨーロッパの視座と東アジアの視座 ウルリッヒ ベック/著 15‐35
第2章 個人化論の位相――「第二の近代」というフレーム 三上剛史/著 37‐51
第3章 2010年代の日本における個人化とベックの理論 樫村愛子/著 53‐69
II リスクの時代の家族と社会保障――ベック理論との対話
第4章 リスク社会における家族と社会保障 ウルリッヒ ベック/著 73‐87
第5章 個人化とグローバル化の
時代における家族 エリーザベト・ベック=ゲルンスハイム/著 89‐101
第6章 個人化と家族主義――東アジアとヨーロッパ,そして日本 落合恵美子/著 103‐125
第7章 日本における個人化の現象――福祉国家をとおしてみる 武川正吾/著 127‐139
III 日本と東アジアにおける多元的近代
第8章 第二の近代の多様性とコスモポリタン的構想 ウルリッヒ ベック/著 143‐161
第9章 東アジアにおける第二の近代の
社会変容とリスク予防ガバナンス
――ウルリッヒ・ベックとの対話
韓相震/著 163‐218
第10章 社会学理論,第二の近代,「日本」
――アジア的パースペクティヴとコスモポリタン化をめぐるベックとの対話
油井清光/著 219‐243
IV 個人化する日本社会のゆくえ
――コメントに対するコメント
ウルリッヒ ベック/著 245‐274
著者紹介
著者 ウルリッヒ ベック (Ulrich Beck)1944年生まれ。元ミュンヘン大学教授。社会学者。リスク社会論の第一人者。リスク社会論の第一人者として大きな影響力を持つ。福島第一原発事故を受けて設置されたドイツ政府の「安全なエネルギー供給のための倫理委員会」委員も務める
エリーザベト・ベック=ゲルンスハイム(Elisabeth Beck-Gernsheim)
 1946年生まれ.元エアランゲン―ニュルンベルク大学教授.家族社会学.ウルリッヒ・ベックとの共著Individualization(個人化),Das ganz normale Chaos der Liebe(愛という全く普通のカオス)など著書多数.邦訳書に『子どもをもつという選択』,『出生率はなぜ下がったか』(以上,勁草書房)がある.
著者 鈴木宗徳(すずき・むねのり) 1968年生まれ。法政大学社会学部准教授。理論社会学。
   伊藤美登里(いとう・みどり) 1965年生まれ。大妻女子大学人間関係学部教授。社会学史、知識社会学

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金貸しの日本史ー水上 宏明 /著 [経済]

金貸しの日本史610096_l.jpg金貸しの日本史
シリーズ名1 新潮新書
シリーズ番号1 096
著者名1 水上 宏明 /著  
出版者 新潮社
出版年 2004.12
ページ数 220p
大きさ 18cm
ISBN 4-10-610096-7
貨幣の誕生以来、人の歴史は「金貸しと借金」にずっと振り回されてきた。日本最古の銭で賭博にはまった天武天皇、政府自らが金貸しをしていた律令時代、貨幣が行き届いて徳政令に揺れた鎌倉期、大名から百姓まで借金で縛り太平の世を築いた江戸幕府、明治の文明開化も高利貸しのおかげ……。いつの世でも疎まれながら、しかし決してなくなることのない存在、「金貸し」。全く異質な観点から日本史を読み直す。
目次
第1章 律令期―国家の「米貸し」から寺院の「銭貸し」へ
第2章 鎌倉・室町期―銀行のはしり「合銭」
第3章 江戸前期―太平の世に両替屋誕生
第4章 江戸後期―高利貸し百花繚乱の時代
第5章 幕末―西洋における金貸しのルール
第6章 明治以降―文明開化はしたものの金詰まり
第7章 金貸しはなぜ嫌われるのか
クレジットの基本-51yVwJrYk7L.jpgクレジットの基本
シリーズ名1 日経文庫
シリーズ番号1 1286
著者名1 水上 宏明 /著  
出版者 日本経済新聞出版社
出版年 2013.6
ページ数 223p
大きさ 18cm
ISBN 978-4-532-11286-8
新潟市立図書館収蔵 中央 新書 Map S/338.7/ミズ/ 
内容紹介
改正貸金業法、改正割賦販売法の施行により、大きな転換期を迎えているクレジット業界。信用収縮の影響、進む業界再編など、その全体像と現状、問題点を簡潔に解説し、これからの業界の動向を見通す。
目次
第1章 曲がり角に立つクレジット産業(クレジットとは何か;クレジットの物流支援機能 ほか)
第2章 規制の移り変わりとクレジット(クレジットの規制が流通秩序の維持でよかった時代;消費者保護の潮流と悪質販売業者との取引 ほか)
第3章 二〇〇八年改正割賦販売法に見る新しい規制の考え方(消費者被害防止法という新しい概念;個品とカードが別の規制体系に ほか)
第4章 法改正によって引き起こされた信用収縮(ショッピング枠現金化という複合汚染;信用収縮による新たなマーケットの創出 ほか)
第5章 次の時代に向けて(銀行も交えた消費者信用統一法;消費者保護への対応の齟齬 ほか)
著者等紹介
水上宏明[ミズカミ ヒロアキ]
1955(昭和30)年、北海道札幌市生まれ。消費生活アドバイザー。立教大学法学部卒業。社団法人「日本クレジット産業協会」に勤務。その傍ら、「金貸し」と「借金」に関する文献を読み漁り、独自の視点から日本通史を提示する


タグ:金、経済
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アメリカに潰された政治家たちー孫崎 享 著 [対USA]

81YsdFAbGaS.jpg アメリカに潰された政治家たち
孫崎 享 著
河出書房新社
河出文庫 文庫 ● 240ページ ISBN:978-4-309-41815-5 ● Cコード:0195
発売日:2021.05.06
内容紹介
日本の戦後対米史は、追従の外交・政治史である。なぜ、ここに描かれた政治家はアメリカによって消されたのか。沖縄と中国問題から、官僚、検察、マスコミも含めて考える。岸信介、田中角栄、小沢一郎…。
2012年出版本・新潟市立図書館収蔵本で、岸信介、田中角栄、小沢一郎を特記したものですが、小沢、鳩山由紀夫に関する部分等増補し文庫化。
◉目 次

文庫版のためのまえがきーー隷属者が隷属せざる者を排除する
 陰謀論なのか/アメリカに潰された海外の政治家たち/隷属体質国ニッポン

序章 官邸デモの本当の敵
 「日本国総理大臣」は誰が決めるのか/官邸デモが突きつける「野田政権打倒」
 1960年安保闘争との違い/原発依存も1960年に始まった

第1章 岸信介と安保闘争の真相
1. 安保闘争神話の大ウソ
 「岸信介=対米追随」の誤り/「アメリカは自分の力を借りに来る」
 安保という不平等条約/岸信介CIA工作員説の真相/対米追随の基礎を作った吉田茂
 安保闘争を工作したのは誰か/岸政権打倒のシナリオ
2. 岸信介とCIAの暗闘
CIAは岸を警戒していた/「中国との関係改善」は虎の尾
3. メディア・官僚の対米追随体制
 メディアも岸政権打倒に加担した/論説主幹とアメリカとの関係/アメリカによる官僚支配
 対米自主派官僚は消えた/アメリカは日本の国益などどうでもいい

第2章 田中角栄と小沢一郎はなぜ葬られたのか
1. 田中角栄が踏んだ「本当の虎の尾」
 角栄はなぜ狙われたのか/日中国交正常化が主因だった
 またもやアメリカ、メディア、政界の連動/中曽根も認めた異常な裁判
2. 最後の対米自主派、小沢一郎
 角栄に学んだ小沢の「第七艦隊発言」/小沢裁判とロッキード事件の酷似
 東京地検特捜部とアメリカ
3. アメリカにNOと言った政治家たち
 鳩山由紀夫に流れる自主派の血/アメリカからの露骨な恫喝/竹下登も潰された政治家だった
 サダム・フセインもアメリカに切り捨てられた
〈増補 4. 〉小沢・鳩山首相潰し
 小沢潰し① 危険なチャレンジャーに対する東京地検、メディア
 小沢潰し② 人物破壊キャンペーン
 鳩山潰し① 日本の対米政策の変更を許さないと述べたヒラリー・クリントン国務長官
 鳩山潰し② 鳩山政権発足時、米国はどのような圧力をかけたでしょうか
 鳩山潰し③ 外務省は早々に、局長や事務官が在京米国大使館と、
       鳩山首相の意向に沿わない意思表示をしています
 鳩山潰し④ 「トラスト・ミー」を誰が間違って新聞にリークしたのでしょうか
 鳩山潰し⑤ 鳩山元首相を貶める報道は今日も続いています

第3章 戦後最大の対米追随政権
1. オスプレイが示した野田政権の本性
 「日本がどうしろという話ではない」/橋本龍太郎は戦った/米軍完全撤退を主張した重光葵
2. 日米地位協定という不平等条約
 レイプされても起訴できない/アメリカに日本を守る義務はない
 米軍基地は自動的に延長される
3. TPPで日本経済が崩壊する
 菅直人の「第三の開国」暴言/TPPの大きなデメリット/中国外交官スパイ事件の真相
4. 尖閣問題で得するアメリカ
 アメリカに尖閣諸島を守る気はない/尖閣上陸で浮上する「在日米軍必要論」
 北方領土はアメリカが仕込んだ火種/尖閣・竹島を外交カードに利用

終章 本当の「戦後」が終わるとき
 吉田茂名宰相論の正体/60年にわたって続いた対米追随
 アーミテージ・リポートが評価した原発再稼働/60年体制のほころび
 民意が変われば政治が変わる

特別付録 アメリカと戦った12人の政治家
 鳩山一郎/石橋湛山/重光葵/芦田均/岸信介/佐藤栄作/田中角栄/竹下登/梶山静六/橋本龍太郎/小沢一郎/鳩山由紀夫
文庫版のためのあとがきーーアメリカに潰される政治家は今後も必ず出る
著者
孫崎 享 (マゴサキ ウケル)
1943年生まれ。元外交官。現在、外交・政治評論家。著書に、『戦後史の正体』『日本外交 現場からの証言』『日米同盟の正体』『日本の国境問題』など。

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人口減少社会の未来学ー2018 [視座をホモサピエンス]

人口減少4163908323.jpg人口減少社会の未来学
著者  内田 樹 / 池田 清彦 /[ほか著]  
出版者 文藝春秋
商品コード 9784163908328
2018/04発売
文春文庫 番号1 う19-26
出版年 2021.4

内容紹介
21世紀末、日本の人口は約半数に――。人類史上かつてない急激な人口減少を迎える先進国・日本の苦悩に挑む11人の論考集。21世紀末、日本の人口は約半数に――。人口減少社会の「不都合な真実」をえぐり出し、文明史的スケールの問題に挑む?生き残るため?の論考集。各ジャンルを代表する第一級の知性が贈る、新しい処方箋がここに。
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2020年7月14日公表の米国ワシントン大学のIHME(Institute for Health Metrics and Evaluation) の研究では、地球上の人口は2064年頃に97億人にピークを迎え、今世紀末までに88億人に減少すると予測しています。中国、韓国、日本、タイ、スペイン、イタリア、ポルトガルなど23か国では、2100年までに人口が半減すると予想。
<第一級の知性が贈る、新しい処方箋>では
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内容一覧
タイトル 著者名 ページ
序論 文明史的スケールの問題を前にした未来予測 内田 樹/著   13-47
ホモ・サピエンス史から考える人口動態と種の生存戦略 池田 清彦/著 49-76
頭脳資本主義の到来 井上 智洋/著 77-104
日本の“人口減少”の実相と、その先の希望 藻谷 浩介/著 105-128
人口減少がもたらすモラル大転換の時代 平川 克美/著 129-153
縮小社会は楽しくなんかない ブレイディみかこ/著 155-177
武士よさらば 隈 研吾/著 179-196
若い女性に好まれない自治体は滅びる 平田 オリザ/著 197-218
都市と地方をかきまぜ、「関係人口」を創出する 高橋 博之/著 219-244
少子化をめぐる世論の背景にある「経営者目線」 小田嶋 隆/著 245-263
「斜陽の日本」の賢い安全保障のビジョン 姜 尚中/著  265-287
世界の人口動態と帝国再編 内田 樹/述   288-299 


タグ:人口
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三体・The Three‐Body Problem-Ⅰ~Ⅲ [波、亜細亜から・へ]

81+uDkMM-ML.jpg三体・The Three‐Body Problem
著者名1 劉 慈欣 /[リウ ツーシン]  
著者名2 大森 望 /訳 
著者名3 光吉 さくら /訳 
著者名4 ワン チャイ /訳 
出版者 早川書房


出版年 2019.7
Ⅱ 黒暗森林
(上)(下)
発売日 : 2020/6/18 
 死神永生
(上)(下)
発売日 : 2021/5/25
著者等紹介
劉慈欣[リウ ツーシン]
1963年、山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を執筆。『三体』が、2006年から中国のSF雑誌“科幻世界”に連載され、2008年に単行本として刊行されると、人気が爆発。“三体”三部作(『三体』『黒暗森林』『死神永生』)で2100万部以上を売り上げた。中国のみならず世界的にも評価され、2014年にはケン・リュウ訳の英訳版が行刊。
  2015年、翻訳書として、またアジア人作家として初めてSF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞。また、原作短篇「さまよえる地球」が『流転の地球』として映画化、春節中の中国での興行収入が3億ドル(約330億円)に達したと報じられた。今もっとも注目すべき作家のひとりである
大森望[オオモリ ノゾミ]
1961年生、京都大学文学部卒。翻訳家・書評家。訳書多数
光吉さくら[ミツヨシ サクラ] 翻訳家、訳書多数
内容紹介
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物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。
数十年後。ナノテク素材の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体〈科学フロンティア〉への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象〈ゴースト・カウントダウン〉が襲う。そして汪淼が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?
本書に始まる“三体”三部作は、翻訳書として、アジア圏の作品として初のヒューゴー賞長篇部門・2015年に輝いた。
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人類に絶望した天体物理学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)が宇宙に向けて発信したメッセージは、三つの太陽を持つ異星文明・三体世界に届いた。新天地を求める三体文明は、千隻を超える侵略艦隊を組織し、地球へと送り出す。太陽系到達は四百数十年後。人類よりはるかに進んだ技術力を持つ三体艦隊との対決という未曾有の危機に直面した人類は、国連惑星防衛理事会(PDC)を設立し、防衛計画の柱となる宇宙軍を創設する。だが、人類のあらゆる活動は三体文明から送り込まれた極微スーパーコンピュータ・智子(ソフォン)に監視されていた! このままでは三体艦隊との“終末決戦”に敗北することは必定。
絶望的な状況を打開するため、前代未聞の「面壁計画(ウォールフェイサー・プロジェクト)」が発動。人類の命運は、四人の面壁者に託される。そして、葉文潔から“宇宙社会学の公理”を託された羅輯(ルオ・ジー)の決断とは? 作〈三体〉の第二部、ついに刊行!
三体世界の巨大艦隊は、刻一刻と太陽系に迫りつつあった。地球文明をはるかに超える技術力を持つ侵略者に対抗する最後の希望は、四人の面壁者(ウォールフェイサー)。人類を救うための秘策は、智子(ソフォン)にも覗き見ることができない、彼らの頭の中だけにある。面壁者の中でただひとり無名の男、羅輯(ルオ・ジー)が考え出した起死回生の“呪文”とは? 二百年後、人工冬眠から蘇生した羅輯は、かつて自分の警護を担当していた史強(シー・チアン)と再会し、激変した未来社会に驚嘆する。二千隻余から成る太陽系艦隊に、いよいよ出撃の時が近づいていた。一方、かつて宇宙軍創設に関わった章北海(ジャン・ベイハイ)も、同じく人工冬眠から目醒め、ある決意を胸に、最新鋭の宇宙戦艦に乗り組むが……。
『三体』の第二部、衝撃の終幕!
E2NgogxVoAMVcNiⅢ--.jpg
圧倒的な技術力を持つ異星文明・三体世界の太陽系侵略に対抗すべく立案された地球文明の切り札「面壁計画」。その背後で、極秘の仰天プランが進んでいた。侵略艦隊の懐に、人類のスパイをひとり送る――奇想天外なこの「階梯計画」を実現に導いたのは、若き航空宇宙エンジニアの程心(チェン・シン)。計画の鍵を握るのは、学生時代、彼女の友人だった孤独な男・雲天明(ユン・ティエンミン)。この二人の関係が人類文明の――いや、宇宙全体の――運命を動かすとは、まだ誰も知らなかった……。
一方、三体文明が太陽系に送り込んだ極微スーパーコンピュータ・智子(ソフォン)は、たえず人類の監視を続けていた。面壁者・羅輯(ルオ・ジー)の秘策により三体文明の地球侵略が抑止されたあとも、智子は女性型ロボットに姿を変え、二つの世界の橋渡し的な存在となっていたが……。
帰還命令にそむいて逃亡した地球連邦艦隊の宇宙戦艦〈藍色空間〉は、それを追う新造艦の〈万有引力〉とともに太陽系から離脱。茫漠たる宇宙空間で、高次元空間の名残りとおぼしき“四次元のかけら"に遭遇する。〈万有引力〉に乗り組む宇宙論研究者の関一帆は、その体験から、この宇宙の“巨大で暗い秘密"を看破する……。
一方、程心(チェン・シン)は、雲天明(ユン・ティエンミン)にプレゼントされた星から巨額の資産を得ることに。補佐役に志願した艾AA(アイ・エイエイ)のすすめで設立した新会社は、数年のうちに宇宙建設業界の巨大企業に成長。人工冬眠から目覚めた程心は、羅輯(ルオ・ジー)にかわる二代目の執剣者(ソードホルダー)に選出される。それは、地球文明と三体文明、二つの世界の命運をその手に握る立場だった……。
『三体』三部作、ついに完結。

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玉砕の島ペリリュー -- 平塚 柾緒 /著 [軍事]

ペリリュー81LwqX7Cw1L.jpg玉砕の島ペリリュー   副書名 生還兵34人の証言
著者 平塚 柾緒 /ひらつか まさお
出版者 PHPエディターズ・グループ
出版年 2018.7

版注記 「生還」(学研パブリッシング 2010年刊)の改題,加筆修正

 生還(玉砕の島ペリリュー戦記) 平塚 柾緒 /著     出版者 学研パブリッシング  出版年 2010.8
版注記  証言記録太平洋玉砕戦」(新人物往来社 1975昭和50年刊)の改題改訂

証言記録太平洋玉砕戦 : ペリリュー島の死闘   平塚柾 ヒラツカ, マサシ 著    新人物往来社, 1975.8

筑波大学 附属図書館 中央図書館 など4館所蔵
内容紹介
壮絶な攻防が展開された激戦の島・ペリリュー島で、戦闘終結から2年もの歳月を生き延びた日本兵たちがいた。生存者34人への取材を通じて、玉砕戦の実態を明らかにする。
一九四四年九月十五日、パラオ諸島のペリリュー島へ精鋭米第1海兵師団を中心とする延べ四万に及ぶ米軍が襲いかかった。当時東洋一といわれた飛行場奪取を目的とするこの作戦について、第1海兵師団のルパータス少将は三~四日で終わると公言していた。
 だが、迎え撃つ一万名弱の日本軍守備隊は、珊瑚礁の洞窟に潜み、中央高地を利用した縦深防御により米軍を待ち構えていた。未曽有の激戦によりおびただしい犠牲を出した海兵隊は、継戦能力をなくしこの戦場から撤退して行った。
 さらに驚くべきことに、玉砕の島で敗戦・終戦後の昭和二十二年四月まで、洞窟やジャングルに潜み三四人の日本軍兵士が生き残っていた。本書は、この三四人の証言記録をもとにペリリューの激戦の模様と救出までの苦闘のドラマを描いたものである。

筆者は、週刊誌に元兵士の体験談を聞き連載記事にする出版社業務をしていた1970昭和45年に、「玉砕の島で、戦後まで洞窟に潜んでゲリラ戦を続けていた三十数人の日本兵がいる」と聞き<異常事に飛びつく週刊誌記者のならいで、調べを開始>。主力は茨城県水戸の連隊で生還者は34人、懇親・戦友会の「三十四会みとしかい」を知り連絡を取り、取材を1970年開始。それから1995平成7年の間に、大半の聞き取りを行っている。

著者
平塚 柾緒(ひらつか まさお:平塚柾まさし、1937昭和12年9月3日 - )茨城県生まれ。茨城県立下妻第一高等学校卒。出版社勤務後、独立して取材・執筆グループ「太平洋戦争研究会」「近現代フォトライブラリー」主宰。数多くの従軍経験者への取材を行う。文殊社代表取締役
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ペリリュー51JkmRKyfzL.jpg玉砕の島々
副書名 サイパン・グアム・ペリリュー・硫黄島
平塚 柾緒  
出版者 洋泉社
出版年 2015.2
ISBN 978-4-8003-0538-1
内容紹介
太平洋の島々、北マラリアのサイパン・グアム・ペリリュー島・硫黄島の戦闘は、「バンザイ突撃」は許さず。下した命令は「最後の一兵にいたるまでの徹底抗戦」。それで全滅に次ぐ全滅。しだいに「玉砕」の美名のみではその実態を押し通しきれなくなった。そのうえ多くの民間人が戦闘に巻き込まれ、犠牲になり…。
 天皇、皇后両陛下は、この島々へ「慰霊」を強く望み、1994平成6年に硫黄島、2005平成17年にサイパン、2015平成27年4月にペリリュー島を慰霊訪問。
敗戦・終戦70年目にたどる、知られざる戦場の記憶。
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スカンクウォーターとは何ですか?=音響弾や催涙弾、ゴム弾ーと並び、デモ対策などに使われる。 [軍事]

高野遼 @takano_r
東エルサレムでデモを取材中、迂闊にもイスラエル警察の放水に巻き込まれてしまった。スカンクウォーターE1_c2zzWUAIUh3g.jpg

キレイな写真に見えるが、これは「スカンクウォーター」という。下水のような臭いは想像以上に強烈。何度シャワーを浴びても臭いが残る。本当の下水ではなく化学的に配合した液体で、デモ対策に使われている。

スカンクウォーターはイスラエル企業が開発。08年からパレスチナに対し軍などが使用し、海外にも輸出されているという。群衆対策は音響弾や催涙弾などいろとあるが、あの臭いは兵器としてかなり強力。臭いが残るから街の掃除も大変。地味だけど厄介。
https://twitter.com/takano_r/status/1396077271438462980

東エルサレムで取材をしていて、数人に見せられました。何だか分かりますか?
これはイスラエル治安当局が、抗議するパレスチナ人に対して発砲した「ゴム弾(Rubber Bullet)」です。
意外と大きく、先端はゴムで覆われているが、押してもへこまない固さ。殺傷能力はないとされるが、骨折や失明のケースも。音響弾や催涙弾、スカンクウォーターと並び、デモ対策などに使われる。
スカンクウォーター-ゴム弾E1_0w6dXsAEa2C6.jpg
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米国の警察署は、抗議者を撃退するためにイスラエルで開発された悪臭のする液体「スカンクウォーター」を購入しています。「スカンクウォーター」とは何で、どのように使用されるのか。
それは本当に腐敗した悪臭です。噴霧されたパレスチナ人は、それを「生の下水よりも悪い」そして「排泄物、有害ガス、分解するロバの混合物のように」と説明しています。
イスラエルの会社Odortecによって発明されたスカンクウォーターは、2008年に占領下の西岸でデモ隊に対してイスラエル軍(IDF)によって最初に使用されました。それ以来、臭い液体の放水砲噴霧ジェットを装備した装甲車が定期的に見られるようになりました。Odortec社によれば、「酵母、ベーキングパウダーなど100%食品グレードの成分」でできています。
イスラエル国防軍(IDF)のスポークスマンは、スカンクウォーターは死傷者のリスクを減らすことができる「効果的で非致死的な暴動群衆の分散手段」。警察の広報担当者ルバ・サムリも、スカンク水は「人道的な」選択肢「群衆が暴力的に行動したとしても、このツール使用は抗議者を傷つけず非致死的な方法なので、倫理的な問題は解決されます。」としている。
イスラエルの人権団体「ベツェレム」のサリット・ミカエリは「問題は、スカンクウォーターの使用方法です。非常に多くの場合、それは地域全体の集団的罰の一形態です。」と指摘する。

ヨルダン川西岸のカフルカダム村では、イスラエルによる近くの道路の閉鎖に反対する毎週の集会があり、抗議者群衆を解散するためにスカンクウォーターが使用されてきました。抗議の主催者MuradIshteweは、「放水噴霧砲の高圧スカンクウォーター水が窓を壊して中に入ると、私の家具はすべて台無しになりました。彼らは意図的に私の家を狙ったことが何度かありました。」汚い液体スカンクウォーターで家、店と学校が打たれ、何万人ものパレスチナ人の生活に影響を及ぼしたケースが記録されている。
米国でスカンクウォーターを供給販売しているミストラルセキュリティ社は、「国境検問所、矯正施設、デモンストレーション、座り込み」での使用を推奨しています。警官らがスカンクウォーターをスプレーされた場合、臭いを中和することができる特別な石鹸も供給販売している。セントルイスメトロポリタン警察を含むいくつかの米国の警察署がそれを購入したと報告されています。

一般の人々にはこのオプションはありません。スカンクウォーターにさらされた面をトマトケチャップでこすり洗いすると、臭いがかすかになるとある写真家は言っています。
スカンクウォーターgiaCo.jpg

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人口の中国史-先史時代から19世紀までー岩波新書 新赤版--(下) [ユーラシア・東]

人口の中国史   先史時代から19世紀まで

上田 信 [ウエダ マコト]    岩波新書 新赤版 1843 出版 2020.8

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終章 現代中国人口史のための序章  下
  貨幣経済が地域社会の隅々にまで浸透した結果、農耕を離れて生きることが可能となり、「謀生」・ボウソン・の路に進む独身男性か増えた。地域社会では間引かれてしまう女児の比率か下がり、成年に達する女性の比率が増えたと推測できる。生まれてくる子どもの数か増え、十八世紀の人口爆発が引き起おこされた。
 人口の急増は一九世紀なかばに叛乱が頻発する要因となった。叛乱か収収束たあと、中国の人口分布は大きく変わっていた。
 以上が本書で述べてきた中国人口史の概略である。
グローバルーステージ
 十九世紀なかば以降の中国史も、「合散離集のサイクル」で整理することがでぎる。
  清朝がアヘン戦争に敗れ、一八四二年に南京条約を結んだことで、東ユーラシア・ステージから新たなステージに入る。グローバル・ステージである
 幾度も列強に敗れたことで、清朝の威信は傷つけられ、中国は分散化する。太平天国や捻軍と対峙するなかで、地方有力官僚が指揮をとる湘軍・淮軍という軍隊が編成された。これらの軍隊を支えるために、各省ごとに財政を機動的に運用する必要か生じた。歴史は清朝統治下の「合」から、各省は財政的に独立傾向を強めた「散」のステップに入る。
  一九一一年の亥革命の結果、各省が清朝から政治的に独立することを宣言した。翌年に皇帝が退位することで、三〇〇〇年以上にわたって続いた王朝史は終わりを告げる。省財政を基盤にして、省を単位とする軍隊に支えられた軍閥が、中国全域に割拠するようになる。各軍閥の背後には、グローバルな帝国主義国家か立つことで、「散」の時期の中国は軍閥乱戦の様相を呈する。
 一九三0年代には、日本の介入か深刻化し、マンチュリアには「満洲国」が傀儡政権として建てられる。モンゴル高原の漠南では、チンギス統原理の権威を帯びたデムチュクドンロブ(徳王)が、自治政府を樹立させようと試みるようになった。
 グローバル・ステージにおける「離」のステップでは、蒋介石ひきいる国民党と、毛沢東ひきいる共産党とのあいだで、国造りの方針の違いから「離」の時代となる。単純化して分離の構図を整理すると
、開発独裁へと続く道と、社会主義へと向かう道とのあいだの対立といことになるだろう。一九三六年に
国民党の統治下で、中国は経済的に最良の状況に到達していた。しかし、その翌年に、日中全面戦争が始まるのである。
 戦後の国共内戦を経て、一九四九年に中華人民共和国の建国が宣言される。その国土は清朝の最盛川の版図と、ほぼ重なる。こうして中国は、共産党のもとに「集」のステップに入る。
しかし建国から約三0年間は、路線対立のために国内は混乱した。
 新たな合散離集サイクルは、訪れるのであろうか。「合」のステップに進むタイミングを、鄧小平の改革開放路線がはじまった一九七八年と、仮にしておこう。将来、時代を画するにもッと適切な出来事が出来するかもしれないので。
 中国文明が生み川した「陰陽」思想になぞらえると、「合」が極まったときにはすでに「散」が兆していることになる。グローバル・ステージ第一サイクルの「散」のステップのときに、日本は歴史のうねりを読み間違えた。中国を侵略したために、日中双方に災厄をもたらしたのである。第ニサイクル「散」のステップに中国がもし進んだ場合、私たちはけっして誤りを繰り返してはならない。
p245
人ロピラミッドの男女比に着目すると、中国社会か抱えている問題の一つが浮き彫りとなるとなる。出産前に胎児の性別判定が可能となった結果、男尊女卑の観念が根強く残る社会のなかでは、女の子となるはずの胎児が中絶される可能性が高かった。将来、この世代が成長して結婚適期にさしかかったとき、男女のアンバランスは大きな社会問題となる。
三〇年ほど前に、「だれが中国を養うのか」という問いかけが発せられたことがある。巨大人口を抱えた中国で、工業化が進み農業人口が減少する。富裕層のあいだで、肉食を中心とする食生活が広がる。このことが穀物の生産量を減らし、家畜用飼料として穀物が消費される。中国は世界中から食糧を輸入し始めると、世界的な食糧危機が起きるというのである。マルサスの人口論が、人類全体の問題として議論されたのである。
 こうした危機感か正しいのか、否か。今後も中国の実像を正しく把握するために、中国人口史に立ち返る必要がある。正しく恐れるためには、正しい知識か求められるのである。

タグ:中国
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人口の中国史-先史時代から19世紀までー岩波新書 新赤版--(上) [ユーラシア・東]

図01_145230.jpg人口の中国史

副書名 先史時代から19世紀まで
上田 信 /著  
出版者 岩波書店
シリーズ名1 岩波新書 新赤版
シリーズ番号1 1843
出版年 2020.8
ページ数 6,251,4p
大きさ 18cm
NDC分類(9版) 334.322
ISBN 978-4-00-431843-9
内容紹介 中国の人口増加は18世紀に突如始まり、現代にまで続いている。中国を知るための鍵である。
長くゆらいでいた人口は、なぜ急増したのか。ヒトの生態を羅針盤に、大きな変容の要因を自然と歴史に探り、中国四千年をタイム・トラベルし、現在そして未来までも人口史から読み解く。ヒトの生態史を文明のはじまりから描き、人口爆発のメカニズムを明らかにする斬新な通史。。
目次
序章 人口史に何を聴くのか
第1章 人口史の始まり―先史時代から紀元後二世紀まで
第2章 人口のうねり―二世紀から一四世紀前半まで
第3章 人口統計の転換―一四世紀後半から一八世紀まで
第4章 人口急増の始まり―一八世紀
第5章 人口爆発はなぜ起きたのか―歴史人口学的な視点から
第6章 人口と叛乱―一九世紀
終章 現代中国人口史のための序章
著者等紹介
上田信[ウエダマコト]
1957年生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。専攻、中国社会史・生態環境史。2020年現在、立教大学文学部教授)

終章 現代中国人口史のための序章
 束アジア・ステージから東ユーラシア・ステージヘ
 中国の人口が変遷してきた流れを、本書では「合散離集のサイクル」で述べてきた。
 先史時代から商代までを先史サイクルとし、「中国」という枠組みか意識されことから、東アジア・ステージかはじまる。周代から後漢までを第一サイクルとした。邑・ゆう・のなかの住民だけが人口の対象であった時代から、邑の外に広がる山林叢沢・さんりんそうたく・で自然とともに生活していた異人も含まれるようになる。秦代から漢代にかけて、官僚が戸口を調査して中央に報告する制度か整い、戸口調査に基づく人口統計が史料に残された。
 人口統計は、国家が人民を補足する制度と範囲とに強く規定されている。そのことが、続く第二・第三のサイクルの主題となる。
 第ニサイクルは、後漠の後期にはじまる。華北と華中では、豪族が多く人々を抱えたことで、国家が人民を把握できなくなった。西北からは異民族の鮮卑族・鮮卑(せんぴ、拼音:Xiānbēi)・か北魏を建て、均田制を施行して再び戸口統計を取るようになる。この制度は唐代まで続いた。第三サイクルほ、安史の乱を契機として、節度使が分散したところからはじまる。東アジアは、北に遼・金朝、南に宋朝と分離した時期を過ごしたあと、モンゴル帝国に組み込まれる。
 中国はモンゴル帝国の盟主となった元朝か統治することで、中国人口史は東ユーラシア・ステージへと駆け上がる。西北に北元、東南に明朝と分離・分立する時期を経て、清朝がマンチュリアから興り、中国内地とモンゴル高原・チベット高原・東トルキスタンを版図として統合する。人口統計は二〇〇〇年続いてきた戸口から、保甲制に基づく民数へと替わる。
続ける

タグ:中国
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