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シャネルと華為のロゴの類似性めぐる訴訟 [経済]

フランスのシャネル(CHANEL)が中国の通信機器メーカー「ファーウェイ(華為Huawei)」と両社のロゴの類似性をめぐる商標権紛争で敗訴した。

事の発端は2017年。2017年9月にファーウェイ(華為Huawei)が、欧州連合知的財産庁:EUIPO(European Union Intellectual Property Office)に自社のロゴの商標登録申請を行った。同年12月にシャネル(CHANEL)はファーウェイのロゴが香水、化粧品、革製品、衣服などのために登録されたシャネル社の商標に類似しているとして、商標登録異議の申立てを提出した。
同2017年6月にシャネル(CHANEL)は、アマゾン(AMAZON)を通して同ブランドのロゴを使ったコピー商品を販売していた業者30社などを相手取り、商標権を侵害しているとして損害賠償、各業者に200万ドル(約2億2400万円)の損害賠償を求めていた訴訟に、米国カリフォルニア州裁判所で勝利している。判決では要求の二十分の一の、一業者当たり10万ドル(約1120万円)合計約300万ドル(約3億3600万円)の賠償が業者に命じられた。シャネルは1971年から同名称を商標登録しており、関連商標を含めると八つの商標登録をもっていて、自社のブランド保護に積極的だ。
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上図のファーウェイのロゴは、上下を向いたUの形が真ん中で交差している。そのロゴに対して、シャネルは「シャネルがフランスで登録している左右を向いたCの形が真ん中で交差している商標と類似している」と、異議を同年12月に申立てた。約2年後、2019年11月、欧州連合知的財産庁(EUIPO)は両社のロゴは類似しておらず混同される可能性が低いと判断し、シャネルの申立てを却下した。
その後、シャネルは上訴。ファーウェイ華為を相手にルクセンブルクにあるEU(欧州連合)の一般裁判所General Courtに上訴した。そして、同裁判所は今月2021年4月21日に、シャネルの上訴を棄却した。
裁判所が公開した文書には「問題となっているロゴは、いくつかの類似点を有しているが、その視覚的な違いは大きい。ファーウェイHuaweiのロゴが垂直方向を向いているのに対し、シャネルCHANELのロゴはより丸みを帯びた曲線、太い線を持ち、なおかつ水平方向を向いている。その結果、一般裁判所General Courtは両商標が異なるものであると結論付けた」と記載されている。
シャネルは2019年12月期の通期決算を2020年6月18日に発表した。売上高は122億2700万ドル(前年比13%増、約1兆3082億円*)、営業利益は34億9600万ドル(同16.6%増、約3740億円*)、純利益は24億1000万ドル(同11.3%、約2578億円*)と増収増益だった。
地域別売上高では、中国などのアジアが54億2600万ドル(前年比14.7%増)で総売上高の44%。続いてヨーロッパが45億3400万ドル(同5.9%増)で37%、アメリカが23億1300万ドル(同9.7%)で19%を占めた。
新型コロナウイルスの影響ですべての地域の店舗で売上減になり、2020年は15から20%の減収、2022年頃まで影響があると予測。
これを見ると、売上の多くを占める中国に喧嘩を売るように見られる、受け取られる、EU(欧州連合)の上級審・EU裁判所 Court of Justice への上訴をシャネルは行うだろうか。シャネルは独立した非上場企業で、株の大半はニューヨーク在住のヴェルタイマー(Wertheimer)兄弟が所有している。
この兄弟の祖父のピエール・ヴェルテメールがココ・シャネルと共に現在のシャネルル(ファン・シャネル社)を創業した共同創業者。株の70%は兄弟が保有している。この兄弟の了承を得て、商標登録異議の上訴を止めるのではないか。

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