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ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ―166頁コンポスト [農から見つめる]

1-2-720x540.jpgウンコはどこから来て、どこへ行くのか
――人糞地理学ことはじめ 
湯澤 規子(ゆざわ・のりこ)  (著)
‎ 筑摩書房 
(ちくま新書) 1523 – 
2020/10/9
SBN-13 ‏ : ‎ 978-4480073303
新潟市立図書館収蔵 亀田館 /290.1/ユ/
内容めも
第6章 166頁'
 東京都でも汚泥を資源に変えようとー九七四年以降、汚泥資源化の実験が開始された。ー九七六年からは「コンポスト調査研究プロジェクトチーム」による検討が始まり、ー九八〇年には南多摩処理場内に一日に二〜三トンのコンポストを生産する工場が稼働し、「南多摩おでい石灰処理肥料」という商品名で農協を通じて販売されるようになつた。ほかにも、「みやこ肥料」という 名称で流通するものもあった。
二〇二〇年現在、この肥料は販売されていない。
汚泥をコンポスト【肥料】として再利用するには、下水処理場では分解されない有害化学物質や 重金属類が下水に混入されていない保証がなければならない。しかし、現状ではそれが難しい状況となっているからである。
かつて糞尿を下肥として利用していた時代と比べて、私たちが食べるもの、トイレや台所から下水道に流すものの中には、様々な物質が混入するようになった。私たちの日常生活を振り返ってみれば、そこに原因があることがわかる。つまり、私たちの暮らしが便利になればなるほど、再利用することが難しい汚泥ばかりが増え続けることになるのである。
ウンコがかつてのように農地に還れなくなったのは、ウンコが「汚い」からなのではなく、私たち自身がウンコに含まれる物質を変化させてきたせいなのである。そして、便利な暮らしに慣れきってしまった私たちは、ウンコから目を背けるようになり、ウンコがどこへ行くのかを見届け、想像することを忘れてしまった。
限りなく除菌•抗菌・滅菌・無菌に近づく世界を目指し、ウンコと決別しようとする私たちはたちはしかし、じつは現在でも菌による絶え間ない分解活動が、私たち ウンコをし続ける世界に生さることを可能にしてくれていることを知らないままなのである 。

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ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ―144頁 [農から見つめる]

Env5ve9UUAE.jpgウンコはどこから来て、どこへ行くのか
――人糞地理学ことはじめ 
湯澤 規子(ゆざわ・のりこ)  (著)
‎ 筑摩書房 
(ちくま新書) 1523 – 
2020/10/9
SBN-13 ‏ : ‎ 978-4480073303
新潟市立図書館収蔵 亀田館 /290.1/ユ/
著者  湯澤規子(ゆざわ・のりこ)
1974年大阪府生まれ。法政大学人間環境学部教授。筑波大学大学院歴史・人類学研究科単位取得満期退学。博士(文学)。明治大学経営学部専任講師、筑波大学生命環境系准教授を経て、現職。「生きる」をテーマに地理学、歴史学、経済学の視点から、当たり前の日常を問い直すフィールドワークを重ねている。主な著書に『在来産業と家族の地域史――ライフヒストリーからみた小規模家族経営と結城紬生産』(古今書院、経済地理学会著作賞、地理空間会学術賞、日本農業史学会学会賞)、
『胃袋の近代――食と人びとの日常史』(名古屋大学出版会、生協総研賞、人文地理学会学会賞)
新潟市立図書館収蔵
『7袋のポテトチップス――食べるを語る、胃袋の戦後史』(晶文社)
新潟市立図書館収蔵
内容めも
第6章 144頁'
  科学的処理の技術とバクテリア
屎尿の衛生的科学的処理とは具体的にはどのようなことをいうのだろうか。それを説明するためにここではバクテリア (細菌 )による分解 (生物処理 )について、簡単に触れておこう。
まず「嫌気性消化法」とは、嫌気性細菌によって酸素を使わずに有機物を分解することで、「発酵」や「腐敗」と呼ばれる。これにより、尿は衛生的に無害なものとして、農地に還元できるものとなる。ただし、「嫌気性細菌」による分解行われる時、硫化水素やメチルカプタンなどの臭気を伴うガスが発生する。臭気が無くなるまでに長い時間がかかる分解法である。
これに対して、「好気性細菌」によって分解する方法もある。好気性細菌は取り込んだエサー(有機物 )を、酸索を使って分解する。私たち人間も有機物を取り払み、酸素と反応させて、二酸化炭素と水とエネルギーを作っている。 好気性細菌による分解は、
嫌気性細菌による分解よりも10~100倍の速度で進み、臭気も発生しない。しかし、•酸素が不足すると嫌気性細菌に取って代わられるため、好気性細菌による分解を持統させるには、ポンブで酸素を送り続けなければならない。これを「曝気ばつき (エアレーション)」という。曝気のためには多量の電力が不可欠であるため、十分な電力を確保できない状況下の日本では、まず嫌気性細菌による分解が始められたのである。
バクテリアを使った下水処理 (生物処理 )にはさらに「生物膜法」と「活性汚泥法」とう二つの方法がある。生物膜法は、バクテリアを濾材や濾床に固定させて、そこに下水と空気を送り込む方法で、活性汚泥法は ,ハクテリアを水の中に注入する空気の浮力で浮遊させて十分に酸素に曝す方法である。
バクテリアは有機物を分解しながら増殖し、互いに結合してゼラチン状の塊 (活性汚泥)になり、沈降して水分と分離する。活性汚泥は好気性細菌の塊なので、一部は下水処理に再利用される。残りは焼却されて灰となり、埋め立て地や海洋に投棄される。また、乾燥汚泥をコンポスト(堆肥)として使う方法もある。こうした技術革新により、今日の日本では、この活性汚泥法が主流となっている。
続く


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化学肥料の値上げが水稲作にも影響するー日刊IWJ No.3653号 [農から見つめる]

急激な化学肥料の値上げ率が、11月からの春肥価格まで続けば、次年度産の水稲作にも影響するということです。 小麦や野菜や果実ばかりか、米にも影響が及びます。  2020年を100とした指数で食料の消費者物価指数の推移を見た場合、2022年7月の時点で、食品全体はすでに104と値上がりしています。

米 窒素肥料の主要原料の硝酸アンモニウムは、ロシア産が世界市場の流通量の45%を占めていた。ウクライナ紛争でロシアは2022年2月2日から輸出を禁止した(2022年2月1日付連邦政府決定第82号)9月14日のロイター通信は、「世界的な食糧危機を防ぐために、国連はロシアに、農作物に必要な肥料の輸出、ロシアからウクライナの黒海のユジニ港にアンモニアを輸送していたパイプライン再開を交渉している」


 岸田文雄政権は、化学肥料の高騰に対して、9日、「下水汚泥」など国内資源の利用を拡大するよう農林水産省に指示しました。 人のし尿など、下水にはリンや窒素など化学肥料に代わる肥料の要素が多く含まれ、処理の過程で出る下水汚泥を発酵させるなどして「国産」肥料になるというのです。《江戸時代のように活用》
 この政府の下水汚泥利用について、OKシードプロジェクトの事務局長、印鑰智哉(いんやく ともや)さんは、フェイスブックへの9月12日の投稿で次のように警鐘を鳴らしています。
「化学肥料の原料は天然ガスや鉱石で、それはほぼすべて輸入に頼っている。その資源はロシア、中国、ベラルーシなど偏って存在し、世界最大の農業生産国、米国やブラジルでも原料を輸入に頼る。争奪戦になれば円安の日本では買い負けて入ってこない。
 下水の中には肥料として有効な窒素やリン酸が含まれる。それを取り出せば肥料として使えるということだが、しかし下水にはさまざまな有毒物質が含まれている。ヒ素やカドミウム、水銀などについては農水省も基準を設けている。でもそれだけではない。
 永遠の化学物質と言われる分解されないPFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)もまた含まれている可能性が高い。しかし、現在、農水省は下水汚泥を利用する際にPFASの規制を設定していない。(中略)
 PFASを摂取すればがん、不妊、糖尿病などの原因となり、医療費も膨大になる。PFASは永遠の化学物質だから放射性物質で汚染されたのと同様の問題にさらされることになる。メイン州は下水汚泥の使用を今年4月に禁止した。それを日本では国策として推進するのだろうか?」
20210420-1-.jpg
 PFASは、1940年代頃から普及していった化学物質で 水や油をはじく、熱に強い、薬品に強い、光を吸収しない等の特性を持ち、撥水剤、表面処理剤、乳化剤、消火剤、コーティング剤等に幅広く用いられてきてきました。
 特に有名なのは、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の2つと言われます
※【環境】化学物質PFASとは何か? ~マクドナルドやアマゾンが使用禁止を決めた背景やPFOAとの違い~(Sustainable Japan、2021年1月17日) https://sustainablejapan.jp/2021/01/17/pfas/58068
PFASの人体への侵入経路には、水と食品の2つがあります。
 水に関しては水道水からの侵入で、食品については農作物栽培での土壌からの侵入と食品の包装・容器から侵入する2つがあります。
 化学肥料の急激な値上がりによって、PFAS規制のないまま下水汚泥を使用する方向へ向かえば、まだ、ほとんど、知られていないPFASの曝露リスクを高める可能性があるのです。
 輸入に頼る重要な物質を他国に買い負けないように、急速に進む円安を食い止めることがまず必要です。
 化学肥料の原料となる天然ガスや鉱石がロシア、中国、ベラルーシに偏っているならば、こうした国々の紛争を停止させる方向へと外交的に働きかけ、制裁を解き、スムーズに輸入できる環境を整えることが、まずは政治の役割ではないでしょうか。

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そのとき、日本は何人養える?―食料安全保障から考える社会のしくみ--2022 [農から見つめる]

そのとき、日本は何人養える-.jpgそのとき、日本は何人養える?
―食料安全保障から考える社会のしくみ
【著】篠原 信[シノハラ マコト]

サイズ 46判/ページ数 184p/高さ 19cm
出版 家の光協会
ISBN  978-4259547769
NDC分類 611.3
【目次】
はじめに
●第1章 日本は何人養える?
日本は何人養える? 一問一答
まとめ
そのとき、日本は何人養える-➁.jpg第2章 飢餓はなぜ起きる?
安い基礎食糧は「貧困の輸出」?
なぜ先進国は安く食糧を輸出するのか?
食品ロスはロスなのか?
先進国の穀物だぶつきは安全余裕?
飢餓は食料が足りないから起きるのか?
【コラム】被災地支援はどうあるべきか?
●第3章 大規模農業はすべてを解決するのか?
なぜ大規模農業が求められているのか?
日本は世界第5位の農業大国?
「命にかかわる」ものは安値で低迷?
大規模農業は儲かるのか?
大規模化は地域の生活インフラを維持できるのか?
大規模農業は「土壌の劣化」を防げるのか?
「荘園」化する日本農業
大規模農業と小規模農家の繰り返し?
農業人口の減少と政治力
そのとき、日本は何人養える-③.jpg●第4章 どうして石油が食料生産に関係するのか?
耕地も増えない、農家も減ったのになぜ大量の食料が?
化学肥料なしで、世界は何人養える?
自然エネルギーで全エネルギーをまかなえる?
軽くて大容量の電池を開発できるか?
運輸をまかなえるほどの電力を生み出せるか?(原子力や核融合について)
運輸をまかなえるほどの電力を再生可能エネルギーで生み出せるか?
【コラム】運輸エネルギーをまかなえたとして、雇用をどうする?
●第5章 混迷する世界と食料安全保障
ローマ帝国崩壊は専門分化しすぎたから?
高額学費はセレブ層製造装置?
なぜ「ステークホルダー資本主義」という言葉が現れたのか?
「消費」して地球は壊れないのか?
消耗しない消費は可能か?
「役に立たないなら人はいらない」のか?
アメリカのドルが強いのは石油のおかげ?
化学農薬なしに食を支えられるのか?
なぜオランダは世界一のココアパウダー輸出国なのか?
社会総エンターテイメント化?
おわりに
著者は、 「海外から食料や化石燃料の輸入がストップした場合、国内の生産力だけでは3000万人分の食料しか作れない」 という恐るべきシミュレーションを明らかにします。
「もしも」のとき、日本は国民をどう養うのか。??
著者等紹介
篠原信[シノハラマコト]
1995年京都大学卒業。京都大学博士(農学)。農業研究者。有機質肥料活用型養液栽培および土壌創製技術を開発。「2012年度農林水産研究成果10大トピックス」を受賞。研究の傍ら、食料問題を調査、レポート「日本は何人養える?」をまとめた((本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの



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ウンコの教室 ─環境と社会の未来を考えるー2022年刊 [農から見つめる]

FalBb.jpgウンコの教室 ─環境と社会の未来を考える
湯澤 規子 著
出版社 筑摩書房  :ちくまプリマー新書:409
刊行日: 2022/08/04ページ数:224
ISBN:978-4-480-68434-9
学校のトイレに行けない問題からSDGsまで、ウンコから考える未来。衣食住に「便」を入れると見えるものとは。文理、歴史の壁を越えた探究の旅に出かけよう。

目次

はじめに
衣食住に「便」を足す /清濁入り混じる世界の魅力/ Lifeの研究  混沌の面白さ
 Ⅰ ウンコと未来
第一章 ウンコから世界を知ることはできる ?
「野外排泄をゼロに」という目標 /縁の下の力持ち /未来を考える視点 /ウンコは何者か? /自分から他者へ /学校の教科書にウンコが出てこないワケ /生産と消費と分解と /ウンコで学ぶとウンコを学ぶ /未来のウンコを描いた漫画
Ⅱ  ウンコと社会
第二章 学校でウンコがしにくいのはなぜ ?
我慢とトイレと心と便秘 /湿式トイレと乾式トイレ /学校のトイレについて子どもたちが感じていること /学校でウンコをしないワケ /学校のトイレにまっわる五つの K /学校のトイレについての研究/建築士の視点から見た現実 /理想のトイレとは ? /和式便器と洋式便器をめぐる問題―トイレについての統計データ /トイレの練習―和式便所は未知の世界 /洋式便器の普及一自宅と学校のギヤツプ
第三章   トイレとウンコの海外事情はどうなっている? 
二一世紀の「学校のトイレ」ルポ―日本編 /「男子が個至に入りにくい」問題など /二一世紀の「学校のトイレ」ルポ―アメリカ編 /休み時間とトイレの関係 /トイレという場所について /あらためて日本の学校のトイレを考えてみる /安全に管理されたトイレを使える地域と使えない地域 /トイレから社会を変革する /ケニアのフライング・トイレット
Ⅲ   ウンコと環境
第四章 ウンコは役に立つ?
ヨーロツパの「夜の土」とニ一世紀の「バイオソリッド」 /フラーの宇宙船地球号 /窒素・リン・カリウムという物質 /下水汚泥のリサイクル /江戸時代の農書をひもとく―大蔵永常の『農稼肥培論』 /江戸の下肥と「環」の世界 /生きることと死ぬこと /ウンコを肥料にする技術——宮崎安貞の『農業全書』 /自分に連なる世界から
第五章  「食べること」と「出すこと」はつながっている ?
下水処理のその先は ? /二一世紀の下肥利用は可能か? /「食べること」と「出すこと」 /小さなレストランと下水道をつなげる? /下水道は資源の宝庫 / BISTRO下水道の実践地域を歩く /連携が生み出す新しい循環世界 /ガストロノミーを支える「食べること」と「出すこと」
 
第六章 サラブレッドのウンコはどこへ行く ?
馬糞と畑と食堂と /サラブレッドのウンコはどこへ行くのか /土づくり職人の技 /シアトルの動物園のウンコとごみ箱―自然の隠れた半分 /シアトルの「 Zoo Doo」 / Loop (環 )の取り組み /イタリアの環境教育と土の話 /イタリアのウンコ祭り
Ⅳ   ウンコと生きる
第七章 健康で文化的な生活に必要なものとは ?
南極のフィールドワークで常々思っていたこと /健康で文化的な生活とは /災害とトイレ /「もしもの時」に備える /災害時に不可欠なモノやコトを知る /介護の現場で考える /最後のウンコ /時代をさきがける「排泄」をめぐる議論
第八章  「ウンコと生きる」が意味するものとは ?
拓かれていく「排泄」に関する実践と議論 /常に健やかなる人 /一括りにできない個性 /体や心と向き合うパランスと社会復帰について /入れることと出すことの循環 /自己肯定感の低さと向き合うには―言 葉のカ
むすびにかえて ― 「わたし」が「誰か」と生きる社会を考えること
「下から目線」の八つの問い /ウンコについて朗らかに話せる社会
あとがき  


著者紹介

湯澤 規子 ユザワ ノリコ
1974年大阪府生まれ。法政大学人間環境学部教授。筑波大学大学院歴史・人類学研究科単位取得満期退学。博士(文学)。明治大学経営学部専任講師、筑波大学生命環境系准教授を経て、現職。「生きる」をテーマに地理学、歴史学、経済学の視点から、当たり前の日常を問い直すフィールドワークを重ねている。主な著書に『在来産業と家族の地域史――ライフヒストリーからみた小規模家族経営と結城紬生産』(古今書院、経済地理学会著作賞、地理空間会学術賞、日本農業史学会学会賞)、
胃袋の近代――食と人びとの日常史』(名古屋大学出版会、生協総研賞、人文地理学会学会賞)https://hatakeno-archive.blog.ss-blog.jp/2019-01-31
7袋のポテトチップス――食べるを語る、胃袋の戦後史』(晶文社)
https://hatakeno-archive.blog.ss-blog.jp/2019-03-25-1
『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか――人糞地理学ことはじめ――』(筑摩書房)、
『うんこでつながる世界とわたし』(農山漁村文化協会)、
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『ウン小話――世界一たのしくてまじめでちょっとクサい授業』(ホーム社)などがある。
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書評・レビュー うかびあがる「みえにくくさせていく現代社会」
という問い  檜垣立哉 が掲載しています

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ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ――人糞地理学ことはじめ [農から見つめる]

Env5ve9UUAE.jpgウンコはどこから来て、どこへ行くのか ――人糞地理学ことはじめ
 湯澤 規子(ゆざわ・のりこ)  (著)
 筑摩書房 (ちくま新書) 1523
発行 2020/10/9 
SBN-13 ‏ : ‎ 978-4480073303

新潟市立図書館収蔵 亀田館 /290.1/ユ/

私たちの身近な存在でありながら、流されてしまえば忘れられてしまうウンコ。
しかし、お尻の拭き方、始末の仕方も世界では様々な方法があったりするし、歴史的にはそれが重宝される時代もあったのだ。
さらに、処理の対象とされるがその処理も一筋縄ではいかなかった。
ウンコの視点から環境、経済、世界を見渡せば、新たな一面が見えてくる。
近世から近代にかけてのウンコをめぐる政治経済史である。下肥として「利用」されていたものが,「屎」として,廃棄物として処理される。ウンコを近世から近代,そして敗戦後までを通覧する
【目次】
第1章:ウンコとは何か
第2章:世界がウンコに求めているもの―一番身近なSDGs
第3章:宝物としてのウンコ―近世日本の下肥
第4章:せめぎあうウンコの利用と処理―近代における「物質循環」の再編
第5章:都市でウンコが「汚物」になる―産業革命と大量排泄の時代
第6章:消失するウンコの価値―地域固有の清掃行政と戦後下水道物語
第7章:落し紙以前・トイレットペーパー以後―お尻の拭き方と経済成長
第8章:ウンコが教えてくれたこと―世界の分岐点についてのダイアローグ
著者  湯澤規子(ゆざわ・のりこ)
1974年大阪府生まれ。法政大学人間環境学部教授。筑波大学大学院歴史・人類学研究科単位取得満期退学。博士(文学)。明治大学経営学部専任講師、筑波大学生命環境系准教授を経て、現職。「生きる」をテーマに地理学、歴史学、経済学の視点から、当たり前の日常を問い直すフィールドワークを重ねている。主な著書に『在来産業と家族の地域史――ライフヒストリーからみた小規模家族経営と結城紬生産』(古今書院、経済地理学会著作賞、地理空間会学術賞、日本農業史学会学会賞)、
胃袋の近代――食と人びとの日常史』(名古屋大学出版会、生協総研賞、人文地理学会学会賞)
https://hatakeno-archive.blog.ss-blog.jp/2019-01-31
7袋のポテトチップス――食べるを語る、胃袋の戦後史』(晶文社)
https://hatakeno-archive.blog.ss-blog.jp/2019-03-25-1
などがある。


タグ:施肥
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ブラッドランド :Bloodlandsーヒトラ-とスタ-リン大虐殺--2015年刊 [農から見つめる]

71fpvzqKv8L.jpgブラッドランド  :Bloodlands

副タイトル1 ヒトラ-とスタ-リン大虐殺の真実
著者 ティモシ- スナイダ- /Timothy Snyder,
訳者 布施由紀子 
 上巻  下巻
出版年 2015.10
出版者 筑摩書房


上巻
ISBN 978-4-480-86129-0
目次
序論 ヒトラーとスターリン
第1章 ソ連の飢饉
第2章 階級テロル
第3章 民族テロル
第4章 モロトフ=リッベントロップのヨーロッパ
第5章 アポカリプスの経済学
第6章 最終解決
下巻
ISBN 978-4-480-86130-6
目次
第7章 ホロコーストと報復と
第8章 ナチスの死の工場
第9章 抵抗の果てに
第10章 民族浄化
第11章 スターリニストの反ユダヤ主義
結論 人間性
新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館2階 NDC分類(9版) 209.74

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第一次世界大戦から第二次次世界大戦の戦間期にあたる1920年・30年代に、ウクライナは2回の大飢饉に襲われている。
1920〜1921年 ウクライナ南部で飢饉発生。
内戦による疲弊と、共産党による農業の集団化で生産が下落。しかし共産党はお構いなしに強制的に食糧を徴発。ロシアへ送った。約100万人が死亡。
レーニンは社会主義政策を一時中断して自由主義経済を復活(新経済政策=NEP)。農業生産が回復する。
1924年 レーニン死去。
1927年 スターリンが権力を掌握。

工業化と農業集団化を急ぐ


1928〜1932年 ソ連「第一次五カ年計画」
ウクライナは工業化の重点地域に。全国の投資の20%が注入される。1400の新工場のうち400がウクライナに。東南部を中心に、ヨーロッパ最大規模の製鉄所、トラクター工場やコンビナートが建設される。ドニエプル川にダムや水力発電所が開発された。

食料の徴発は続く

1930年:生産量;2100万トン (うち徴発量760万トン)
1931年:1400万トン (うち徴発量760万トン)
つまり生産した穀物の半分以上をモスクワのソ連政府に持っていかれる
飢饉はウクライナだけでなく、北カフカース、ヴォルガ川流域、カザフスタンでも起きた。
飢饉はソ連内各地で発生したということになる。ウクライナ民族を狙い撃ちして虐殺したというよりは、無理な食料調達を強行したために、ソ連内の農業地帯がことごとく犠牲になった。
全ソ連での死者数は
農民の死亡者:1100万人
強制収容所での死亡者:350万人
計 1450万人
ソ連国内の農民が餓死してまでスターリンが取り上げた「ソ連が輸出する穀物」。スターリンはそれを取引材料に、自国の国際的な承認を取り付けようとした。


列強諸国は大恐慌に安価に国民に与えられるソ連の穀物と、自国製品を売るためのソ連市場がほしかった。
ウクライナを含むソ連国民 1450万人は、そんな国際社会の犠牲にされた。



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SOY!大いなる豆の物語 [農から見つめる]

51NpJv56sQL.jpgSOY!大いなる豆の物語 
著者 瀬川深 /セガワしん
出版年 2015.3
出版者 筑摩書房
ページ数 508p
ISBN 978-4-480-80456-3

新潟市立図書館収蔵 NDC分類(9版) 913.6

内容紹介 バイトとゲ-ム作りで日々を過ごす原陽一郎27歳。ある日届いた封書には穀物メジャ-の刻印が。自らのル-ツを東北に探ると大豆をキイに巨大な物語が顕現する。

有名大学は卒業したものの就職したIT企業を一年半で退社した原陽一郎。バイトと、友人と始めたゲーム制作で食いつなぐ彼のもとに、ある日、仰々しい紋章入りの封筒が届く。それはとある穀物メジャーのCEO、コウイチロウ・ハラの遺産管財人となることを依頼する手紙であった。南米ハラ家のルーツは果たして陽一郎につながるのか。陽一郎の謎解きの旅は、東北地方から満州へ、パラグアイへ、明治から現代へと大きく展開し、世界のすべてを塗りかえ、彼の人生もまた大きく変わっていく。彼を、彼らを動かしたもの、それこそが大豆だった。豆に導かれ、時空をまたいで展開する壮大な物語と、そこに連なる、ある情けない男の崩壊と再生を描く。

著者ツイート
 ちなみに当時の満州に移民した日本人、特段満州国民になったわけでもなく、というか確か満州にはまともな国籍法が存在してなかった。

 満州移民の悲劇を矮小化するつもりなどないけど、国策移民で鉦や太鼓で送り出した「開拓」の実態は結局旧来の満州農民の農地収奪だったとか、「移民」したところで満州国民という意識など醸成されもしなかったとか、いろいろな出鱈目や矛盾が最後に噴出して一番弱い層を襲った感が強いですね……

 満州移民は開国以来綿綿と続けられてきた移民政策の総仕上げというか矛盾先送りの集大成みたいな面があって調べるほどゲンナリした気分になるのですが、この満州と南米移民を混ぜ合わせて大豆という作物の歴史を描いた小説が拙作「SOY!大いなる豆の物語」になります。たまには宣伝しよう、読んでね!https://twitter.com/segawashin/status/1505507937170915329

著者紹介

瀬川深 /セガワしん 1974年岩手県生まれ。小説家・小児科医。イェ-ル大学医学部研究員(神経生物学)。「mit Tuba」で第23回太宰治賞受賞。他の著書に「ミサキラヂオ」「ゲノムの国の恋人」など。

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越後蒲原平野の成立ちと開発 ・・③潟のでき方 [農から見つめる]

2019年3月の講演会「越後平野の地盤と防災」・(鴨井幸彦 理学博士)などを基に、越後蒲原平野の成立ちと開発を纏める。  http://daichinokai.sakura.ne.jp/oitatchi/oitatchi97.pdf

 新砂丘Ⅰ-1の砂丘列の内側、上流側、山側に古塩津潟(紫雲寺潟しうんじがた)・古福島潟・古白根潟などの海水〜汽水の潟湖(せきこ)ができた。 
(2)潟ができる仕組み
潟湖(せきこ)。砂丘と砂丘の間のくぼ地に取り残された水面です。
砂丘湖。一つの砂丘のくぼ地に水が溜まったものです。
 砂丘というのは非常に地下水を含んでいる。その地下水がくぼんだところに湧き出て、溜まった湖。
三日月湖(川跡湖)。蛇行していた流路がまっすぐに変わったことによって取り残された三日月状の水面

河口閉塞湖。
河口の砂嘴(さし)状になったところに溜まったもの、
河口閉塞湖、.jpg
落堀(おっぽり)、洪水によってできた水面です。
落堀、.jpg
一口に潟と言ってもこのような種類があるのです。それを具体的に分類してみます。今ここにあげているは現存している潟です。
市報0717_P5-2縮.jpg

タグ:水郷
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「越後蒲原平野の開発と浄土真宗の展開を考える―長谷川伸」を近世の環境と開発 ・ 2010から② [農から見つめる]

近世の環境と開著者 根岸茂夫 /編, 大友一雄 /編, 佐藤孝之 /編, 末岡照啓 /編  

出版年 2010.12  出版者 思文閣出版

県立図書館収蔵 /210.5/N62/

から

第二編 開発と景観・生活・生業
中世~近世初期、低湿地における「村」の形成過程――越後蒲原平野の開発と浄土真宗の展開を考える―― 長谷川伸/著  117頁~143頁
松ヶ崎堀割の決壊の調べ。
阿賀野川の堀割新潟市北区のWebページなどより
江戸時代以前、砂丘に遮られて荒川河口から信濃川河口までの間に、日本海に直接流入する河川はありませんでした。そのため、人々は常に水との闘いを余儀なくされていました。
 新発田藩は、紫雲寺潟干拓や福島潟開発を目論み、行いました。この工事には、新潟湊の水位の低下を心配する新潟町の猛反対がありました。そのため、増水分だけを流す堀とすること、堀割が破壊されたらすぐに復旧すること、湊として使用しないことなどを条件に実施されました。
 阿賀野川を松ヶ崎で全長は約690m、平均幅約54mで掘り割り、日本海に直接流す工事を享保15年(1730年)に行いました。翌年・1731年の春の雪解け水・雪代洪水で堰は破壊され、幅が約5倍・270mに拡大し、掘割りが阿賀野川の本流と化してしまった本流となってしまいました。この結果、阿賀野川の水位は4尺(約1.2メートル)も下がりました。
、島見前潟は美田となり、福島潟周辺にも広大な干上り地ができたといわれます。以後、阿賀野川右岸の開発は急速に進展することとなり、葛塚をはじめ多くの村が成立しました。反面、新潟湊への水量増加のための工事や用水の確保のための新江用水の開削など多くの負担を背負うこととなりました。

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