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戦争まで--歴史を決めた交渉と日本の失敗= [明治以後・国内]

戦争までRtaEsL.jpg戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗
著者名1 加藤 陽子 /著  
出版者 朝日出版社
出版年 2016.8
ISBN 978-4-255-00940-7
ページ数 466,10p  大きさ 19cm


新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館2階 ほか NDC分類(9版) 210.7

内容紹介
かつて日本は、世界から「どちらを選ぶか」と三度、問われた。より良き道を選べなかったのはなぜか。日本近現代史の最前線。
この講義の目的は、みなさんの現在の日々の生活においても、将来的に大人になって社会人になった後においても、交渉事にぶちあたったとき、なにか、よりよき選択ができるように、相手方の主張、それに対する自らの主張を、掛け値なしにやりとりできるように、究極の問題例を挙げつつ、シミュレーションしようとしたことにあります。(「講義の終わり」により)   連続講義に加筆、再構成。
目次
第1章 軍の論理を考える
第2章 政友会における「変化の制度化」―田中義一の方法
第3章 日露戦争開戦と門戸開放論―戦争正当化の論理
第4章 中国とアメリカを同時に捉える視角―一九一四~一九一九年
第5章 ロンドン海軍軍縮問題の論理―常備兵額と所要兵力量の間
第6章 統帥権再考―司馬遼太郎氏の一文に寄せて
第7章 反戦思想と徴兵忌避思想の系譜
第8章 徴兵制と大学
第9章 敗者の帰還―中国からの復員・引揚問題の展開
第10章 政治史を多角的に見る
著者について
加藤陽子(かとう・ようこ)
1960年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授
リットン調査団、三国軍事同盟、日米交渉などについて、たしかに学校で習ったことはありましたが、「もっと知りたいのはこういうことだったんだ!」と思ったのは、初めてのことでした。それは、今まで見
えなかったものが見えてくる喜びでもありました。
〔…〕この本を読んだのは、実家に帰省したときに父に「とてもいい本だから読んでみたら」と、すすめられたのがきっかけでした。大正十三年生まれで戦時中は大学生だった父に、私は当時のことを聞いたこ
とがあります。「戦争への道は決して今言われているような一本道ではなかった。歴史というものはひとつのベクトルではない。どちらに転んでもおかしくないような状況がたくさんあった」という話が特に印
象的で、私はそれを『末裔』という小説の作中で籠原という老人が語ったこととして書きました。それはまさにこの本で検証されていることと重なる内容でした。
「一足飛びの結論」ばかりが目に入ってしまいがちな時代だからこそ、自分の身についている歴史観はどういうものなのかを確認し、ものを見るための筋肉を整えていくことが必要なように思います。過去の歴
史を学ぶことで、私たちは未来を「選択」する覚悟を身につけている――そんな読後感にすっと背筋が伸びるような気がしました。
――絲山秋子さん(女性自身書評)

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徴兵制と近代日本・・1868‐1945‐-加藤陽子 /著 [明治以後・国内]

徴兵制と近代日本MEFRXL.jpg
徴兵制と近代日本
1868‐1945
著者 加藤陽子 /著  
出版年--1996.10
出版者 吉川弘文館
大きさ 20cm
ISBN 4-642-07496-1
新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館2階 /393/カ/
県立図書館収蔵
内容紹介
国家が国民に強制する兵役義務である徴兵制は、国民と社会にどのような影響を与えたか。明治初年から敗戦に至るまで、徴兵制を巡る政府と軍部の熾烈な攻防を子細にたどり、徴兵制を通して日本近代国家の特質を描き出す意欲作。
国民の兵役義務=徴兵制の変遷から、
わが国近代国家の特質を解明
国家が国民に強制する兵役義務=徴兵制は、わが国の国民と社会にどのような影響を与えたのか。
徴兵令制定から、兵役法廃止まで70余年の度重なる改変過程と軍部・政府間の攻防をたどり、日本近代国家の特質を抉出する。
加藤さんのこの「徴兵制と近代日本」は明治6年の徴兵令が度々改正される際の議論やそれに関わった人たちの思惑、国際情勢までも分析し、昭和2年の兵役法を経て、日中戦争や太平洋戦争の激化で必要とされる兵隊の数が増えていくなかで、如何に迅速に徴兵し、教練するかという課題を国家がどのように克服しようとしたかの足跡が分かりやすく分析されていた。
目次
1 武士のなにが問題だったのか
2 徴兵制確立前の兵制
3 徴兵制導入にあたっての論理と兵士の数
4 フランス・ドイツの影響
5 大日本帝国憲法成立まで
6 憲法と徴兵令
7 帝国議会での攻防
8 第一次大戦の影響
9 日中戦争期の兵役法
10 太平洋戦争期の兵役法
著者略歴 
加藤陽子(カトウようこ)
1960年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。2009年現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授

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イスラーム法とは何か?(増補新版) – 2021 [隣の異教]

イスラーム法とは何か (増補新版) APL.jpgイスラーム法とは何か? (増補新版)– 2021
中田 考/著

ページ数 318p、増補は49ページ
大きさ 20cm
出版社: 作品社 
発刊日: 2021;02


内容紹介
地球上の4人に1人が、イスラーム教徒の時代。彼らが従う「法」を知らなければ、世界の未来はわからない。
日本では数少ないイスラーム法学修学免状取得者が、わかりやすい本文と注釈/基本用語集と図版/ファトワー(布告・裁断)の実例によって教える “必携”の取扱説明書。
大幅増補「未来のイスラーム法」を収録。
日本人が知っている「イスラーム法」とは、幻想にすぎない。
ほんとうに、イスラームを理解するには、「イスラーム法」を知らなければならない。「イスラーム法学修学免状取得」をもつ第一人者による、イスラーム法の要諦。
これまで日本人が漠然と持ってきた「イスラーム法」のイメージを脱構築。ムスリムの生き方を規定しているイスラームの教え、「真のイスラーム法」と言うべきものとは何か?その最低限の基本と要諦を、日本では数少ないイスラーム法学の修学免状取得者であり、イスラーム法学の第1人者である著者が教える。

目次
「イスラーム法」などというものは存在しない
第1部 イスラーム法の基礎(イスラーム法とは何か―これだけは知っておこう、基本的なこと
;オリエンタリストのイスラーム法研究の問題点―私たちの「考える枠組み」を考えなおす
;解釈学としてのイスラーム法学―「法」のみを切り取って理解はできない)
第2部 イスラーム神学と法学の交差(言葉として顕現する神―誰に「責任」を負うのか?
;理性と啓示の虚偽問題を超えて―理性による善・悪(利害)の判断
イスラーム法の非霊的権威―もしくは、イスラーム法の「非」宗教的性格)
第3部 イスラーム法学の要諦(現世と来世を貫く法―あの世が組み込まれた構造
;イスラーム法の主体―誰が法を守り、誰が裁き、誰が裁かれるのか?
;イスラーム法の要としてのカリフ―法と法“外”の問題)
「時間のなかを生きる」人間がなすべきこと
増補部 未来のイスラーム法
著者等紹介
中田考[ナカタこう]
1960年生まれ。1984年、東京大学文学部卒業。1986年、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1992年、カイロ大学大学院文学部哲学科博士課程修了(博士号取得)。1992年、在サウディアラビア日本国大使館専門調査員。1995年、山口大学教育学部助教授。2003年、同志社大学神学部教授。現在イブン・ハルドゥーン大学(トルコ)客員教授。クルアーン釈義免状取得、ハナフィー派法学修学免状取得
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


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結核がつくる物語―感染と読者の近代; 2021/1/29 刊行 [国家医学・帝国医療・看護学]

結核がつくる物語―感染と読者の近代gl+RL.jpg結核がつくる物語―感染と読者の近代
北川 扶生子[キタガワふきこ]【著】
出版社 : 岩波書店 
発売日 : 2021/1/29
寸法 : 12.9 x 1.6 x 18.8 cm
ISBN-13 : 978-4000614481
内容説明
近代最大の感染症、結核は「治療法のない死病」として恐れられてきた。思想統制から戦争に向かう厳しい時代のなかで、患者たちは何を思い、どんな言葉を残したのか。彼らの言葉から何を学ぶことができるのか。結核が国や文化や文学に与えた影響とともに、患者たち個人の療養環境を捉え直し、患者の営みの意味を考える。
自己責任論、あふれるデマ、自宅療養…。おびただしい数の「病んでいない者たち」の言説に囲まれながら、患者たちはどのように生きたのか。膨大な資料の間にこぼれ落ちてきた彼ら自身の声を聴く。
目次
序章 患者って誰のこと?
第1章 病気になるのは誰のせい?―国家と結核
第2章 空気が変わるとき―文化と結核
第3章 患者は特別なひと?―文学と結核
第4章 病むわたしの日常を綴る―書くことと結核
第5章 確かな情報はどこに?―患者とメディア
第6章 「病いはわたしを鍛える」―患者と修養
第7章 発信する、つながる、笑う―患者交流欄のしくみとはたらき
終章 わたしたちのからだは誰のものか
著者等紹介
北川扶生子[キタガワふきこ]
1966年生まれ。神戸大学大学院文化学研究科単位取得退学、博士(文学)。神戸大学大学院文化学研究科助手、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)日本研究センター客員研究員、鳥取大学地域学部准教授を経て、天理大学文学部教授。専門は日本近代文学
主な著書に『コレクション・モダン都市文化 第53巻 結核』(編著、ゆまに書房)、『漱石文体見本帳』(勉誠出版)、『漱石の文法』(水声社)等がある。
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
詳しい目次
結核がつくる物語―感染と読者の近代pmdaHgL.jpg序 章 患者って誰のこと?
 1 近代日本最大の感染症・結核
 2 病気を書く、伝える、笑う
第1章 病気になるのは誰のせい?――国家と結核
 1 環境要因説から体質遺伝説へ――優生学の台頭
 2 自然淘汰としての結核
 3 戦争とからだ――国家による身体の管理
第2章 空気が変わるとき――文化と結核
 1 都市/地方イメージの変化
 2 〈美人の基準〉の変化と健康のステイタス化
 3 結核予防国民運動
第3章 患者は特別なひと?――文学と結核
 1 愛と死をみつめて――闘病純愛もの
 2 志なかばにして――立志青年の英雄的悲劇
 3 貧困と﹁過激思想」――共産主義・無政府主義・テロ
 4 ふだんは見えないものが――鋭敏な感受性のしるし
第4章 病むわたしの日常を綴る――書くことと結核
 1 見ることの凄味――正岡子規の絶筆
 2 日常の発見、地方の発見――写生文・日記文運動と投稿文化
 3 座と笑い――俳諧精神の水脈
第5章 確かな情報はどこに?――患者とメディア
 1 あふれるデマと建前
 2 結核患者向け雑誌『療養生活』と自然療法
 3 療養グッズ通販と患者の格差
第6章 「病いはわたしを鍛える」――患者と修養
 1 サナトリウムと療養小屋
 2 自然療法と信仰
 3 修養主義の系譜
第7章 発信する、つながる、笑う――患者交流欄のしくみとはたらき
 1 〈患者〉からの解放
 2 苦難を交換する
 3 笑いがつくりだすもの――露出とパフォーマンス
終 章 わたしたちのからだは誰のものか
あとがき
参考文献
結核関連年表
索 引


タグ:感染症
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母子家庭にとってベーシックインカムの持つ意味---国際人権ひろば No.114より覚書 [経済]

母子家庭にとってベーシックインカムの持つ意味
 国際人権ひろば No.114(2014年03月発行号) >母子家庭の貧困とベーシックインカム

覚え書


日本の母子家庭には、死別と離婚と非婚という三つの階層がある。
父親がいないのが母子家庭なのに、母が、いないはずの父とどのような関係だったかによって、母子家庭は分断され、差別されるのだ。
死別は、かわいそうだと同情され、離婚は女のわがままだと言われ、非婚となればふしだらの烙印を押される。
死別母子家庭が対象の遺族年金のほぼ半額が、離婚や非婚の母子家庭への児童扶養手当支給の全額である。
所得税の寡婦控除は、死別の場合は所得制限内であれば終生適用され、離婚の場合は、扶養親族があるか生計を一にする子がいる場合のみ適用となり、多くの場合子どもが独立し扶養親族がいなくなると適用外となる。非婚の場合は最初から適用外である。
日本の税制も、社会保障制度も、労働現場も、女が一人で生きていくことを想定していない。これが高度経済成長期に企業と国家によって作られた制度である。
夫がいて外で働き、妻が家で家事労働をするという性別役割分業(ジェンダー不平等)に基づいた家族を標準としている。それが人類の普遍の営みであり、そしてあるべき家族像で、維持すべきであると三位一体的に信じられている。その教線に家族単位の制度は残され、そこからはみ出した母子家庭は差別され、母子家庭の中でも女が選択したかどうかで差別されてる。
母子家庭の困窮を補うための給付にも、あるべき母子家庭像に従えという条件が付けられている。
そんな中で、個人単位で無条件のベーシックインカムは、一筋の希望ではある。女が、暴力を振るわれても父親や夫から離れられないのは経済力がないからだ。ベーシックインカムがあると、別れるチャンスが広がるだろう。もちろんベーシックインカムで何もかもが解決するとは思わない。それでも、今までのような、差別と引き替えに生きさせられているような息苦しさからは逃れられるかもしれない。
そのベーシックインカムで、一人あたり何万円だからシングルだと苦しいが、家族4人だと何万円、だから今までよりお得というような議論をされると首を傾げたくなる。個人単位ではないのか?やっぱり家族なのか?そんな議論でいいのか?
《 コロナウイルス禍対策の給付金で、露呈した。》
母子家庭は、母子家庭の母と子が、元気で生きていける社会を求めているのだ。それは個としての女や子が一人でも生きていける社会である。なぜそれが実現されないのか。
家族とは何か。なぜ家事労働がただ働きで、それに近い介護や保育の仕事が低賃金で、「女の仕事」なのか。性別役割分業が私たちの考え方、感じ方にどう影響しているのか。ジェンダー不平等を解消するには、どういった仕組みが必要なのか。


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森を食べる植物-腐生植物の知られざる世界--2016.5出版 [生き物]

263194.jpg森を食べる植物  腐生植物の知られざる世界
塚谷 裕一 /著
岩波書店
ページ数 5,128p 大きさ 19cm
出版 2016.5
ISBN 978-4-00-006059-2

県立図書館収蔵

新潟市立図書館収蔵 中央・ホンポート2階 /471.7/ツカ/


内容紹介
腐生植物に深い思い入れをもつ著者が,その奇妙な生態をいきいきと紹介.本邦初の腐生植物本!
森の落ち葉や枯れ枝を栄養源とするカビやキノコから、その栄養を奪い取っている腐生植物。間接的に森を食べて暮らす腐生植物に深い思い入れを持つ著者が、その奇妙な生態をいきいきと紹介する。
〈タヌキノショクダイ〉,〈ヒナノシャクジョウ〉…….植物図鑑の中でも異彩を放つ腐生植物.透明感あるその姿は,キノコからの「略奪」の賜物である.そしてキノコたちの栄養源はといえば,背後の豊かな森なのだ――.腐生植物に深い思い入れをもつ著者が,その奇妙な生態をいきいきと紹介するとともに,新種探しの旅へと読者をいざなう.[カラー80ページ]
本文「はじめに」より抜粋
腐生植物をご存じだろうか.まるで海の動物,ホヤやイソギンチャクのようでもあるが,れっきとした陸上植物,花を咲かせる被子植物だ.ただし緑の葉は持たない.
腐生植物とは,緑の葉を持たず,光合成をしない代わりに,カビやキノコを食べて暮らす植物のことである.カビやキノコを食べると言っても,曲がりなりにも花の咲く植物のこと,動物のようにキノコをもぎ取って食べるというような乱暴なことはしない.もっと静かで,優雅なやり方をする.すなわち,この腐生植物の根に自ら侵入してくるカビやキノコの菌糸を返り討ちにして,自らの栄養源としてしまうのだ.腐生植物の地下部では人知れず,静かな戦いがくり広げられているのである.
 ではそのカビやキノコは,そもそもどこから栄養をとっているのか?
 それは森からだ.なぜならカビやキノコは森の樹と共生したり,森の落ち葉や枯れ枝を栄養源とすることによって,暮らしている.そのカビやキノコから,腐生植物は栄養を奪い取っている.ということはすなわち腐生植物は,間接的に森を食べて暮らす植物なのである.
 この不思議で美しい植物たちについて紹介しよう.
26-9784.jpg
目次
はじめに
1 腐生植物のことはじめ
ギンリョウソウ/花の下には死体が埋まっている?/日本の腐生ラン/奇花・タヌキノショクダイ
コラム1 失われた葉緑体への分化
2 腐生植物のくらし
カビやキノコを食べるくらし/間接的には森を食べている?/特殊な根/選り好みの生活/腐生植物の嗜好/相手を換える
コラム2 奄美大島のサクライソウ
腐生植物を育てる/緑の葉を持たない自由さ/訪花昆虫も変化する
コラム3 岡崎市のエンシュウムヨウラン
3 腐生植物は新種の宝庫
パプア・ワイゲオ島のホンゴウソウ属――新種発見か/ボルネオ・ムラーのタヌキノショクダイと腐生ラン――秘境中の秘境/ブトゥン・クリフンのタヌキノショクダイ,新属の腐生ラン/サバ・マリアウ盆地のタヌキノショクダイ――めぐり合わせとどんでん返し/ランビルのホンゴウソウ――まだまだ調査の足りないボルネオの森
コラム4 屋久島のヤクノヒナホシ
4 腐生植物の探しかた
ポイント1 よい森に行く/ポイント2 きれいな林床/ポイント3 目線は前方斜め下/ポイント4 尾根から谷筋まで/ポイント5 あとは実践あるのみ
腐生植物小図鑑
本書に写真で紹介した腐生植物の分類表
引用文献
あとがき
著者
塚谷裕一(つかや ひろかず)
1964年生まれ,1993年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了,博士(理学).東京大学 分子細胞生物学研究所助手,自然科学研究機構 基礎生物学研究所助教授を経て,東京大学大学院理学系研究科教授(現職).放送大学客員教授,自然科学研究機構 岡崎統合バイオサイエンスセンター客員教授を併任.著書として『スキマの植物図鑑』『スキマの植物の世界』(中公新書),『変わる植物学 広がる植物学』(東京大学出版会)ほか.専門は植物学.フィールドから発生遺伝学までを扱っている.

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中国の何が問題か? - ハーバードの眼でみると-2021年2月刊行 [ユーラシア・東]

9784865782967.jpg中国の何が問題か? - ハーバードの眼でみると
ジェニファー・ルドルフ/マイケル・ソーニ編 朝倉和子訳
藤原書店
ISBN-13: 9784865782967
刊行日: 2021/2
“近すぎる隣国”日本からは見えない中国の実像。
米中関係の行方から目が離せない今、ハーバード大学の一流研究者らが、政治、国際関係、経済、環境、社会、歴史と文化という多様な視角から、「世界の中の中国」を見据える。最先端の中国研究からの36の問いかけ。
共同編者は、中国専門家ではないアメリカの読者が知りたいと思うことは何かを各執筆者に考えてもらい、その答を短いエッセイにまとめてもらおうとしたのである。大げさでなく、この本には数百年分、いや、数千年分の知恵がこめられている。
●米大統領選を受けた緊急寄稿収録
目次   虹屋の関心項目黄色
 日本語版への序文   マイケル・ソーニ
 序   マイケル・ソーニ
●政治
 Q.1 中国共産党体制に正統性はあるか?   エリザベス・J・ペリー
 Q.2 腐敗との戦いは党を救えるか?   ジョゼフ・フュースミス
 Q.3 毛沢東はまだ意味があるのか?   ロデリック・マクファーカー
 Q.4 中国における民族的緊張の源は何か?   マーク・エリオット
 Q.5 中国の世論について何を知るべきか?   雷雅雯
 Q.6 中国指導層にとって長寿は何を意味するか?   アルナブ・ゴーシュ
 Q.7 中国共産党は歴代皇帝に学べるか?   王裕華
●国際関係
 Q.8 中国はアジアのリーダーになるか?   オッド・アルネ・ウェスタッド
 Q.9 中国軍はどのくらい強いか?   アンドリュー・S・エリクソン
 Q.10 中国の台頭はアメリカにとって何を意味するか?   ロバート・S・ロス
 Q.11 中国例外論は中国の外交利益を損ねるか?   アラステア・イアン・ジョンストン
 Q.12 台湾は(いつ)大陸と再統一するか?   スティーヴン・M・ゴールドスタイン
 Q.13 中国と日本は果たしてうまくやっていけるのか?   エズラ・F・ヴォーゲル
●経済
 Q.14 中国の高度成長はつづくか?   リチャード・N・クーパー
 Q.15 中国経済はハードランディングに向かうのか?   ドワイト・H・パーキンズ
 Q.16 都市化は中国経済を救うか、それとも滅ぼすか?   メグ・リトミア
 Q.17 中国は貿易についての約束を守っているか?   伍人英(マーク・ウー)
 Q.18 中国のニューリッチはその富をどのように社会へ還元するか?   トニー・セイチ
 Q.19 貧困との戦いについて、私たちは中国から何を学べるか?   ナーラ・ディロン
●環境
 Q.20 中国は大気汚染と気候変動に対処できるか?   マイケル・B・マカロイ
 Q.21 中国に環境意識はあるか?   カレン・ソーンバー
●社会
 Q.22 一人っ子政策の終焉はなぜ重要なのか?   スーザン・グリーンハルジュ
 Q.23 中国とその中産階級は高齢化と精神保健の問題にどう対処しているか?   アーサー・クライマン
 Q.24 中国で宗教はどのくらい重要か?   ジェイムズ・ロブソン
 Q.25 次のダライ・ラマは現れるか?   レオナード・W・J・ファン・デル・クイジプ
 Q.26 中国で法は大切か?   ウィリアム・P・アルフォード
 Q.27 なぜこれほど多くの中国人学生がアメリカに留学するのか?   ウィリアム・C・カービー
●歴史と文化
 Q.28 今日の中国で孔子とは何者か?   マイケル・プエット
 Q.29 シルクロードはどこから来たか?   ローワン・フラッド
 Q.30 知識人は中国の政治にとってなぜ大切なのか?   ピーター・K・ボル
 Q.31 中国古典小説はなぜ大切なのか?   李恵儀
 Q.32 中国人作家は中国の未来をどう描いたか?   王徳威
 Q.33 中国のプロパガンダは身も心も摑んだか?   李潔
 Q.34 文化大革命はなぜいまだに語るのがこれほど難しいのか?   田暁菲
 Q.35 中国の過去の未来は何か?   スティーヴン・オーウェン
 Q.36 過去六十年で中国研究はどう変わったか?   ポール・A・コーエン
謝辞
訳者あとがき――37番目の問い   朝倉和子
参考文献/索引


【編者紹介】
●ジェニファー・ルドルフ(Jennifer Rudolph)
ウースター工科大学チャイナ・ハブ所長、教授、歴史学・国際関係論。ハーバード中国基金、およびハーバード大学フェアバンク中国研究センター前事務局長。現在もフェアバンク・センター共同研究員。
●マイケル・ソーニ(Michael Szonyi)
ハーバード大学フェアバンク中国研究センター所長、教授(フランク・ウェンシュン・ウー寄付講座)中国史。専門は明朝史および20世紀中国史。
【訳者紹介】
●朝倉和子(あさくら・かずこ)
翻訳家(SWET会員)、ピアニスト。訳書 リン・パン『華人の歴史』(1995)、ティモシー・モー『香港の起源』2(2001)(片柳和子として、いずれもみすず書房)、ブラッドレー・マーティン『北朝鮮 「偉大な愛」の幻』(全2巻、青灯社、2007年。アジア・太平洋賞特別賞受賞)など

タグ:中国
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古代史講義 宮都篇ー新潟市立図書館収蔵の本3冊③ [明治以前・国内]

古代史講義 宮都篇

佐藤 信/編

-- 筑摩書房

-ちくま新書 シリーズ1480

刊行日- 2020.3

ISBN 978-4-480-07212-2


新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館 S/210.3/コダ/


内容紹介

日本古代の代表的宮都を、飛鳥の宮々から難波宮、平城京、平安京、太宰府、平泉に至るまで紹介。最新の調査結果と研究を紹介しつつ、宮都の実像を叙述し、各時代の社会的背景となる古代都市のあり方をも明らかにする。

【目次】

1.飛鳥の宮々──大王宮から飛鳥宮へ 、鶴見泰寿
2.難波宮──改新政権の宮と天平の都 、磐下徹
3.大津宮──滋賀の都の実像 、古市晃
4.藤原京──中国式都城の受容 、市大樹
5.平城宮──古代王宮の実像 、山本祥隆
6.平城京──奈良の都の特質 、佐藤信
7.恭仁京──天平の新京造営 、増渕徹
8.紫香楽宮──聖武天皇の夢の都 、北村安裕
9.長岡京──新都造営の実像 、國下多美樹
10.平安宮──千年の都の形成 、北康宏
11.平安京──都市の発展と貴族邸宅の展開 、西山良平
12.白河・鳥羽──古代宮都の変貌 、土橋誠
13.大宰府──対外交渉の拠点 、杉原敏之
14.多賀城──城柵国府と街並み 、古川一明
15.平泉──奥州藤原氏の首都 、佐藤嘉広
「はじめに」より《大王の代替わりごとに大王宮が移転した時代には、王位を継承した新大王の皇子宮が新たに大王宮となった。七世紀に入って飛鳥に大王宮が集中するようになると、飛鳥の地に国家的施設が集中し、また大王宮と国家的大寺院がセットで営まれるようになる。そして、中国の都城にならって藤原宮(649-710)が営まれると、天皇の住む内裏や政庁かせ位置する宮の周りに条坊制をもつ京が置かれ、天皇の膝元に王族・貴族・官人が集住するようになった》


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古代史講義ー新潟市立図書館収蔵の本3冊① [明治以前・国内]

古代史講義 邪馬台国から平安時代まで

佐藤 信/編

-- 筑摩書房

-ちくま新書 シリーズ1300

刊行日- 2018.1

ISBN 978-4-480-07117-0


新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館 S/210.3/コダ/


内容紹介 大化の改新は645年のクーデタではない、「聖徳太子」は厩戸王でありその役割は限定的であった、東北の城栅は行政官庁だった…。15人の専門家の知を結集。古代史の最新の研究成果と研究動向をわかりやすく解説し、かつての教科書で書かれていたために広まっている誤解などを正す。


【目次】

1.邪馬台国から古墳の時代へ 吉松大志 13-29頁

2.倭の大王と地方豪族 、須原祥二 31-52頁

3.蘇我氏とヤマト王権 、鈴木正信 53-71頁

4.飛鳥・藤原の時代と東アジア 、中村順昭

5.平城京の実像 、馬場基

6.奈良時代の争乱 、佐々田悠

7.地方官衙と地方豪族 、佐藤信

8.遣唐使と天平文化 、飯田剛彦

9.平安遷都と対蝦夷戦争 、吉野武

10.平安京の成熟と都市王権の展開 、仁藤智子

11.摂関政治の実像 、榎本淳一

12.国風文化と唐物の世界 、河内春人

13.受領と地方社会 、三谷芳幸

14.平将門・藤原純友の乱の再検討 、宮瀧交二

15.平泉と奥州藤原氏 、大平聡


吉松大志 1.邪馬台国から古墳の時代へ

 邪馬台国の位置は三万五千里四方という中国王朝の世界観の東端に位置づけられたもので、距離は遠方からの朝貢を強調するもの(p.19)。

 列島と朝鮮半島との交易は壱岐対馬と北九州が中心だったが、山陰地方にも列島側の拠点が拡大するなど《多極的ネットワークが形成された》(p.27)。


須原祥二 2.倭の大王と地方豪族 31-52頁

巨大な盟主墓を含む古墳はオオヤマト、佐紀、馬見(大和)、古市(河内)、百舌鳥(和泉)、三島(摂津)に別れているが、有力首長たちは通婚を重ねて血縁的に近しかったと推測される(p.39)。


 楽浪・帯方郡の滅亡によって九州中心の交易ネットワークは終焉、畿内のヤマト王権が伽耶地域と交易を行うようになる(宗像・沖ノ島の祭祀が開始される)。


 卑弥呼の墓と有力視されている箸墓古墳を含むオオヤマト古墳群でも、二系統に分ける見解がある。初期の高句麗王は五つの部族から交互に出ていたり、新羅でも二人の王が役割を分担して併存していた。草創期や初期段階の王位のあり方は《もはや「一系統の王朝」の存否だけを議論する状況ではない(p.33)。


 421年 倭の五王(讃、珍、済、興、武)が宋に遣使、478年までに7回の朝貢は奈良時代の遣唐使を上回る頻度(p.41)。


 古墳の規模規制は制度に基づく統治の先駆け(p.44)。


鈴木正信 3.蘇我氏とヤマト王権 、53-71頁


 蘇我氏を滅亡させた645年の乙巳の変の前年、高句麗でも似たようなクーデターが勃発、百済と新羅でも混乱が生じており、朝鮮半島情勢が緊迫していた(p.68-)。


 初期段階の王位のあり方(部族からの交互選出、王位の役割分担など、)を含めて半島と列島の政治はクロスしてる。


古代史講義 戦乱篇 に続く


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古代史講義 戦乱篇ー新潟市立図書館収蔵の本3冊⓶ [明治以前・国内]

古代史講義 戦乱篇

佐藤 信/編

-- 筑摩書房

-ちくま新書 シリーズ1391

刊行日- 2019.3

ISBN 978-4-480-07212-2


新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館 S/210.3/コダ/


内容紹介

日本の古代を大きく動かした15の戦い・政争を最新の研究成果に基づき正確に叙述。通時的に歴史展開を見通すとともに、時代背景である古代社会のありさまを解明する。

【目次】

1.磐井の乱 、大髙広和
2.蘇我・物部戦争 、加藤謙吉
3.乙巳の変 、有富純也
4.白村江の戦い 、浅野啓介
5.壬申の乱 、北啓太
6.長屋王の変 、山下信一郎
7.藤原広嗣の乱 、松川博一
8.橘奈良麻呂の変 、小倉真紀子
9.藤原仲麻呂(恵美押勝)の乱 、寺崎保広
10.律令国家の対蝦夷戦争──「三十八年戦争」を中心に 、永田英明
11.平城太上天皇の変 、佐藤信
12.応天門の変 、鈴木景二
13.菅原道真左降事件 、森公章
14.平将門の乱・藤原純友の乱 、寺内浩
15.前九年合戦・後三年合戦 、戸川点

編者について

佐藤 信(さとう まこと、1952年11月 - )

1952年生まれ。東京大学名誉教授、人間文化研究機構理事。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の宮都と木簡』(吉川弘文館)、『古代の遺跡と文字資料』(名著刊行会)、『出土史料の古代史』(東京大学出版会)、編著『大学の日本史1古代』(山川出版社)など。


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朝鮮半島との関係が悪化したときに戦乱や政変が起きている大局的な関連性も読み取れる。新羅と連携したと言われる磐井の乱や百済救援に向かった白村江の戦いはもちろんだし、乙巳の変もそうした半島情勢の緊迫に対する倭国の対応であったことはもはや不動の定説。その同じ動乱の延長上に壬申の乱もあり、はるかのち藤原広嗣の乱の時も新羅との緊張が生じていたらしい。挙げ句に応天門の変にまで新羅との関係の悪化が関係していたとする説もあるそうだ。衝撃!
一読明らかに、ほとんどの主要な戦乱の直接的なきっかけは皇位をめぐる争いにあり、皇位継承のルールが確立していなかったことが問題の根本にあったことは明白。それだけに藤原摂関家の支配体制の確立には皇位継承の正当性の保証という意味があったとする見方にはあらためて納得した次第。いわば「藤原の平和」の実現だったわけだ。その藤原摂関家支配の終焉=院政の開始が中世の動乱の時代の開幕を告げるというのも頷ける。


古代史講義 宮都篇 に続く

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