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生き物の死にざま ー稲垣 栄洋/著ー2019 [生き物]

71W26x7r6DL.jpg生き物の死にざま 
稲垣 栄洋/著 
-- 草思社
-- 2019.7
ISBN 978-4-7942-2406-4
県立図書館収蔵
新潟市立図書館収蔵  NDC分類(9版) 481.7
内容紹介 生きものたちは、晩年をどう生き、どのようにこの世を去るのか。子に身を捧ぐハサミムシ、海と陸の危険に満ちた一生をおくるウミガメ…。老体に鞭打って花の蜜を集めるミツバチ、
地面に仰向けになり空を見ることなく死んでいくセミ、
成虫としては1時間しか生きられないカゲロウ……生命の最後の輝きを描く、哀切と感動の29話を収録。生きものイラストも掲載する。
子に身を捧げる、交尾で力尽きる、仲間の死に涙する……
生きものたちの奮闘と哀切を描く珠玉の29話。生きものイラスト30点以上収載。
<目次より>
1 空が見えない最期──セミ
2 子に身を捧ぐ生涯──ハサミムシ
3 母なる川で循環していく命──サケ
4 子を想い命がけの侵入と脱出──アカイエカ
5 三億年命をつないできたつわもの──カゲロウ
6 メスに食われながらも交尾をやめないオス──カマキリ
7 交尾に明け暮れ、死す──アンテキヌス
8 メスに寄生し、放精後はメスに吸収されるオス──チョウチンアンコウ
9 生涯一度きりの交接と子への愛 タコ
10 無数の卵の死の上に在る生魚──マンボウ
11 生きていることが生きがい──クラゲ
12 海と陸の危険に満ちた一生──ウミガメ
13 深海のメスのカニはなぜ冷たい海に向かったか──イエティクラブ
14 太古より海底に降り注ぐプランクトンの遺骸──マリンスノー
15 餌にたどりつくまでの長く危険な道のり アリ
16 卵を産めなくなった女王アリの最期──シロアリ
17 戦うために生まれてきた永遠の幼虫──兵隊アブラムシ
18 冬を前に現れ、冬とともに死す“雪虫”──ワタアブラムシ
19 老化しない奇妙な生き物──ハダカデバネズミ
20 花の蜜集めは晩年に課された危険な任務──ミツバチ
21 なぜ危険を顧みず道路を横切るのか──ヒキガエル
22 巣を出ることなく生涯を閉じるメス──ミノムシ(オオミノガ)
23 クモの巣に餌がかかるのをただただ待つ──ジョロウグモ
24 草食動物も肉食動物も最後は肉に──シマウマとライオン
25 出荷までの四、五〇日間──ニワトリ
26 実験室で閉じる生涯──ネズミ
27 ヒトを必要としたオオカミの子孫の今──イヌ
28 かつては神とされた獣たちの終焉──ニホンオオカミ
29 死を悼む動物なのか──ゾウ
著者紹介
稲垣栄洋[イナガキひでひろ]
1968年静岡県生まれ。静岡大学大学院農学研究科教授。農学博士。専門は雑草生態学。岡山大学大学院農学研究科修了後、農林水産省に入省、静岡県農林技術研究所上席研究員などを経て、2013年より静岡大学大学院教授。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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雑草はなぜそこに生えているのか ─弱さからの戦略、and、はずれ者が進化をつくる --稲垣 栄洋 --筑摩書房 [生き物]

512XGOiN2RL.jpg雑草はなぜそこに生えているのか ─弱さからの戦略

稲垣 栄洋 

-- 筑摩書房 -- 2018.1

シリーズ:ちくまプリマー新書

整理番号:291

ISBN:978-4-480-68995-5

刊行日: 2018/01/09

新潟市立図書館収蔵


この本の内容

「抜いても抜いても生えてくる、粘り強くてしぶとい」というイメージのある雑草だが、実はとても弱い植物だ。それゆえに生き残りをかけた驚くべき戦略をもっている。厳しい自然界を生きていくそのたくましさの秘密を紹介する。


この本の目次

第1章 雑草とは何か?

第2章 雑草は強くない

第3章 播いても芽が出ない(雑草の発芽戦略)

第4章 雑草は変化する(雑草の変異)

第5章 雑草の花の秘密(雑草の生殖生理)

第6章 タネの旅立ち(雑草の繁殖戦略)

第7章 雑草を防除する方法

第8章 理想的な雑草?

第9章 本当の雑草魂


著者紹介
稲垣栄洋[イナガキひでひろ]
1968年静岡県生まれ。静岡大学大学院農学研究科教授。農学博士。専門は雑草生態学。岡山大学大学院農学研究科修了後、農林水産省に入省、静岡県農林技術研究所上席研究員などを経て、2013年より静岡大学大学院教授。


51V-F3gb6QL.jpgはずれ者が進化をつくる
稲垣 栄洋/著
 -- 筑摩書房
シリーズ:ちくまプリマー新書
整理番号:353
--刊行日 2020.6
新潟市立図書館収蔵 -- 
内容情報
「平均の人間」なんて存在しない。「平均的な生き物」なんて存在しない。個性の数は無限大。生き物各々が異なっているのには理由がある。唯一無二の生命をつなぐための生存戦略がここにある。生き物たちがとってきたオンリーワンの生存戦略。
目次
1時間目 「個性」とは何か?
2時間目 「ふつう」とは何か?
3時間目 「区別」とは何か?
4時間目 「多様性」とは何か?
5時間目 「らしさ」とは何か?
6時間目 「勝つ」とは何か?
7時間目 「強さ」とは何か?
8時間目 「大切なもの」は何か?
9時間目 「生きる」とは何か?
著者紹介
稲垣栄洋[イナガキひでひろ]


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「雑草」という戦略 予測不能な時代をどう生き抜くか ー 稲垣 栄洋 著ー2020;07 [生き物]

81BY8bqhGPL.jpg雑草」という戦略 予測不能な時代をどう生き抜くか 
稲垣 栄洋  (著)
出版社 : 日本実業出版社 (2020/7/30)
発売日 : 2020/7/30
ISBN-13 : 978-4534057921
内容
オオバコ、カタバミ、スズメノテッポウ、オナモミ、ミゾソバ、スズメノカタビラ、セイタカアワダチソウ、ネナシカズラ…逆境をチャンスに変えるしたたかな成功戦略!植物学者が、ランチェスター戦略、ブルーオーシャン戦略、ドミナント戦略などのビジネス戦略と絡めながら、丁寧に解説。
目次
1 「雑草」という戦略(植物という世界のイノベーション;生物にとって「強さ」とは何か?;ルデラルという戦略)
2 「雑草」の成功法則(雑草の成功法則「逆境」;雑草の成功法則「変化」(変化するために必要なもの;変化とはチャンスである;時代の変化に対応する)
雑草の成功法則「多様性」
雑草の成功法則とは何か?
雑草の特徴的な戦略)
3 「雑草」という哲学(雑草と日本人)
著者紹介
稲垣栄洋[イナガキひでひろ]
1968年静岡県生まれ。静岡大学大学院農学研究科教授。農学博士。専門は雑草生態学。岡山大学大学院農学研究科修了後、農林水産省に入省、静岡県農林技術研究所上席研究員などを経て、2013年より静岡大学大学院教授。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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◎仕事や人生の成功法則は「雑草」が教えてくれる!  うふふ
本書は、雑草生態学が専門の植物学者による、ビジネスや人生にも役立つ雑草の生き方、生存戦略について紹介する一冊です。
オオバコ、カタバミ、スズメノテッポウなど、さまざまな雑草の生き残り策を、「ランチェスター戦略」「ブルーオーシャン戦略」「ドミナント戦略」などのビジネス戦略と絡めながら解説します。
◎予測不能な時代だからこそ役立つ雑草の知恵!  そうだよ
雑草は、踏まれやすい道端や、いつ草刈りされるかわからない空き地など、過酷な場所をあえて選んで生えています。
このような場所の特徴は、「予測不能な激しい変化」が起こることです。こうした環境に適応する雑草の生き方は、 日々激変する世の中で生きる現代人にとっても参考になる点が多々あるはずです。
「雑草魂」という言葉があるように、日本人は雑草に対して生きる力を見出してきました。
そんな日本人だからこそ腑に落ちる、雑草のしたたかな戦略を紹介します!
雑草の生存戦略は、ニッチかつ多様性のオプションを持つこと。木から雑草へのイノベーション、「踏まれても踏まれても立ち上がる」ではなく、わざわざ立ち上がるコストをかけずに、倒れたまま種子を残していく方策を考えて進化するという話に感銘を受けた。
グラスルーツ=草の根 と呼ばれる市民活動がどのようにして資本力や権力のある大企業や行政と闘っていくか。植物の、同じ土俵には"乗らない"したたかさから学びたい。
変化が少ない場所では木が強い
変化が大きい場所で強く生きてきたのが雑草
雑草の戦略要素
・Competitive 競合型戦略
・Ruderal 乱発適応型
・Stress tolerance ストレス耐性型
●例えば、踏まれるスペシャリスト、オオバコ
・柔らかくしなやかで踏まれても折れない
・種子にネバネバ成分があり、靴の裏に着いて分布を広げる
・逆に踏まれないと成功しない状態、逆境を機会に変えたいい例
●例えば草刈りに耐えるススキやエノコログサ
・狩られないよう低い位置に穂を作り種子を実らす
・ゴルフ場では、ラフ、フェアウェイ、グリーンでは、違う高さに成長する種に進化している。
●例えば抜かれるスペシャリスト、カタバミ
・シードバンクを持っており、抜かれる等の刺激で種を蒔く
・シーズの語源はこれ。光を浴びたら種を広げる
●日本人にとっての雑草
・日本人は雑草をいい意味で使ってきた。
 雑草魂
 五大紋の一つ、カタバミ紋は戦国武将が好んで使ってた
 天災の多い日本は変化を乗り越えることが強い
 小よく大を制する
 夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡、松尾芭蕉
・西洋では悪い草=雑草=weed
 いい草はハーブ
・日本こそが雑草に戦略を学ぶことのできる国
●変えることと変えないこと
・雑草は変化に対して変えていくが変えないこと=コアコンピタンスを持っている
・それは、種子を残すということ
●変化を生き抜く条件
①弱さを見つめ、強みに集中する
②シンプルにすることで新たな価値を生み出す
③できるだけ戦わない。変化によって生み出される新しい環境を整える
④戦う場所を絞り込む。オプションは絞込まない。
⑤安易な価値付けをせず、多様であることに価値を置く
雑草はなぜそこに生えているのか へ続く

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敗者の生命史38億年 稲垣 栄洋/著ー2019 [生き物]

71u4C5YAgbL.jpg敗者の生命史38億年  
稲垣 栄洋/著
 -- PHPエディターズ・グループ
 -- 刊行日 2019.03
ISBN 978-4-569-84279-0
県立図書館収蔵
新潟市立図書館収蔵
内容紹介
 38億年に及ぶとされる悠久の生命の歴史の中で、最終的に生き残ったのは常に敗者の方だった。敗者たちはいかにして生き残り、そして新しい時代を切り拓いたのか-。地球の歴史を振り返り、画期的な生き残り戦略を生物に学ぶ。
なぜ、弱くても生き残れたのか?
生物に学ぶ画期的な生き残り戦略。
敗者――。この言葉に、皆さんはどのような印象を持たれるであろうか。戦いに敗れた敗者は、弱い存在であり、みじめな存在であり、憐れむべき存在に見えるかも知れない。しかし、本当にそうだろうか。(中略)
 38億年に及ぶとされる悠久の生命の歴史の中では、最終的に生き残ったのは常に敗者の方であった。そして、その敗者たちによって、生命の歴史が作られてきたのである。じつに不思議なことに滅び去っていったのは強者である勝者たちだったのだ。
 私たちは、その進化の先にある末裔である。言わば敗者の中の敗者なのである。いかにして時代の敗者たちは生き残り、そして新しい時代を切り拓いていったのだろうか(本書より)。
(おもな目次)
プロローグ 敗者が紡いだ物語‒‒‒‒‒38億年前
競争から共生へ‒‒‒‒‒22億年前
単細胞のチーム・ビルディング‒‒‒‒‒10億~6億年前
動く必要がなければ動かない‒‒‒‒‒22億年前
破壊者か創造者か‒‒‒‒‒27億年前
死の発明‒‒‒‒‒10億年前
逆境の後の飛躍‒‒‒‒‒7億年前
捲土重来の大爆発‒‒‒‒‒5億5000年前
敗者たちの楽園‒‒‒‒‒4億年前
フロンティアへの進出‒‒‒‒‒5億年前
乾いた大地への挑戦‒‒‒‒‒5億年前
そして、恐竜は滅んだ‒‒‒‒‒1億4000万年前
恐竜を滅ぼした花‒‒‒‒‒2億年前
花と虫との共生関係の出現‒‒‒‒‒2億年前
古いタイプの生きる道‒‒‒‒‒1億年前
哺乳類のニッチ戦略‒‒‒‒‒1億年前
大空というニッチ‒‒‒‒‒2億年前
サルのはじまり‒‒‒‒‒2600万年前
逆境で進化した草‒‒‒‒‒600万年前
ホモ・サピエンスは弱かった‒‒‒‒‒400万年前
進化が導き出した答え
あとがき 結局、敗者が生き残る
ナンバーワンではなくオンリーワンを目指せ。
著者紹介
稲垣 栄洋
 1968年静岡県生まれ。静岡大学農学部教授。農学博士。植物学者、生物学者。著書に「世界史を大きく動かした植物」「散歩が楽しくなる雑草手帳」「怖くて眠れなくなる植物学」など。

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38億年の生命史に学ぶ生存戦略 稲垣 栄洋/著ー2020 [生き物]

61bwuTcmp8L.jpg38億年の生命史に学ぶ生存戦略 
稲垣 栄洋/著
 -- PHPエディターズ・グループ
 -- 2020.9 
ISBN 978-4-569-84575-3
県立図書館収蔵
NDC分類(9版) 468.04
内容紹介
 植物や生き物たちは、勝ち抜き、生き抜くための「戦略」を発達させてきた。「GAFAの雑草戦略」「コウモリのずらす戦略」「タンポポたちのドミナント戦略」など、38億年の生命史から企業の生存戦略のヒントを読み解く。
ビジネスの戦略は生物の戦略と似ている」
それが本書の結論である。
何しろ人間も、所詮は生物の一種である。
そして、経済もビジネスも人間が作り出したものである。
その人間たちの営みが、生物の営みと似通っているといっても、
それはごく自然なことだろう。
それが、どんなに弱そうに見える生き物でも、
どんなにつまらなそうに見える生き物でも、
すべて生き抜くための戦略を持っているのだ。
そして、私たちの目の前には、
38億年の生物の進化が導き出した
成功戦略の「答え」が広がっているのである。
本書「はじめに」より抜粋
著者紹介
稲垣 栄洋
 1968年静岡県生まれ。静岡大学農学部教授。農学博士。植物学者、生物学者。著書に「世界史を大きく動かした植物」「散歩が楽しくなる雑草手帳」「怖くて眠れなくなる植物学」など。

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イラン現代史 改訂増補 従属と抵抗の100年   吉村 慎太郎/著 [ユーラシア・近東]

イラン現代史4908672393.jpgイラン現代史  改訂増補 従属と抵抗の100年
吉村 慎太郎/著
 -- 有志舎
 -- 2020.4
ISBN 978-4-908672-39-2
新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館2階 /227.2/ヨシ/
県立図書館収蔵
内容紹介
 中東の大国イランの歴史を平易に解説する入門書。「イスラム原理主義国家」というイメージ先行の理解と異なる、この国の本当の姿と歴史のダイナミズムを描き出す。2001年から2019年までの新章を加えた改訂増補版。
現代世界のなかで無視できない中東の大国イラン。その現代史は欧米諸国への従属と抵抗に彩られている。19世紀から21世紀の現在まで、欧米列強の度重なる露骨な介入と支配に対して、あるときはそれを受容し、またときにはそれに激しく反発・抵抗してきたイランの歴史を平易に解説する入門書。
 「核開発」疑惑や「テロ」問題に絡めて、欧米から貼られる「イスラム原理主義国家」というレッテルとは一線を画し、イラン内部の葛藤や苦悩にも光を当て、この国の真の姿と歴史のダイナミズムを描き出す。初版に改訂を施し、さらに2001年から2019年に至るイラン政治と国際政治の激動に関する新章を加えた待望の「改訂増補」版。
目次
序論 「域内大国」イランの特異性
第1章 19世紀帝国主義時代下のイラン
第2章 立憲革命の展開と政治危機の深化
第3章 第一次大戦と戦後イランの混迷
第4章 レザー・シャー独裁王政の成立と変転
第5章 石油、冷戦と民族的抵抗
第6章 「改革」志向の独裁と米国、そして抵抗運動
第7章 革命、戦争と「党派対立」の激化
第8章 さらなる苦難の道へ
著者等紹介
吉村慎太郎[ヨシムラしんたろう]
1955年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。一橋大学言語社会研究科博士(学術)。広島大学大学院人間社会科学研究科教授。専門はイラン近現代史と中東国際関係
著書に「核拡散問題とアジア」など。

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台湾、あるいは孤立無援の島の思想--台灣重返世界-受困的思想--みすず書房 [ユーラシア・東]

8157u+jvFNL.jpg台湾、あるいは孤立無援の島の思想
民主主義とナショナリズムのディレンマを越えて
受困的思想--台灣重返世界
著者 呉叡人 ご・えいじん Wu Rwei-ren
訳者 駒込武 こまごめ・たけし
みすず書房
発行日 2021年1月18日
ISBN 978-4-622-08974-2
台湾は近代以降、清、日本、中華民国、アメリカという複数の帝国による連続的な支配を受け、またその複雑な民族構造のために統一的なナショナリズムや共通の歴史認識の形成を阻まれてきた。台湾の主体化を達成すべく、人々は歴史を紐解き、過去の国家暴力や不正義をただして内部的な分断を乗り越えることを通じて民主化を推し進め、生存空間を共にする者たちの同盟としての「台湾民族」と、多元・民主・平等に基づいて同盟を強化するためのイデオロギーとしての「台湾ナショナリズム」を志向した。しかしそうした内部的な努力にもかかわらず、国際社会においては、主権国家体制からの排除や、新興の中国を含む諸帝国の狭間にあるという地政学的構造に起因する現実政治の桎梏を自力で克服することはできず、その命運はいまなお強権によって掌握されている。
台湾の市民社会はそうした賤民(パーリア)的境遇を自覚的に引き受け、新たな帝国と資本主義による支配に対抗することを通じて逆説的に民主主義を深化させた。そしていまや普遍的価値を台湾社会に体現することに世界への回帰の道を見出し、行動している。
政治学者による20年におよぶ思想的格闘の集成。
目次
フォルモサ、香港、日本に献げる――日本語版への序文
序 幸福な島にて
I 窮境を脱するために――歴史のヴェールをはがす
1 台湾ポストコロニアル・テーゼ――A Partisan View
2 民主化のパラドックスとディレンマ?――台湾ナショナリズム再考
3 国家建設、内部植民と冷戦――戦後台湾における国家暴力の歴史的文脈および移行期正義問題の根源
II 窮境に嵌まりこむ――帝国の狭間で
4 賤民宣言――あるいは台湾の悲劇の道徳的意義
5 比較史、地政学、そして日本において寂寞の内に台湾を研究するという営みについて――ベネディクト・アンダーソンへの応答
  “De courage, mon vieux, et encore de courage!”――ベネディクト・アンダーソンへの手紙
III-1 再び、窮境を脱するために――ニーチェ的カント主義者の夢想
日本「我は一個の他者である」
6 反記憶政治論――日台関係の再構築にかかわる歴史学主義の観点
7 賤民の救済と過去の償い――「村山談話」をめぐる一台湾人の省察
8 最も高貴な痛苦――大江健三郎『ヒロシマ・ノート』『沖縄ノート』における日本への郷愁
世界「虐げらるるものの解放、沈めるものの向上、自主独立なるものの平和的結合」
9 道徳の政治的基礎を論ずる――南アフリカと台湾との移行期正義モデルにかかわる初歩的比較
10 琉球共和国に捧ぐ――一台湾人による松島泰勝『琉球独立への道』読解
11 リリパット人たちの夢――香港ナショナリズムにかかわる思索ノート
12 歴史と自由の弁証法――香港における「国民教育科」推進問題をめぐる内省
13 ユートピアへの航行――「小国の魂」について
III-2 再び、窮境を脱するために――社会的意志の創造
14 社会運動、民主主義の再定着、国家統合――市民社会と現代台湾における市民的ナショナリズムの再構築(2008-10年)
15 黒潮論
付録
1 民主、平和、守護台湾(1996年3・22世界キャンドル守護台湾民主運動宣言)
2 野イチゴをしてわれわれを団結せしめよ(2008年野イチゴ運動に捧げる詩)
初出一覧
戦後台湾政治史関係年表
訳者あとがき
著者
呉叡人 ご・えいじん Wu Rwei-ren
1962年、台湾桃園生まれ。台湾大学政治系卒、シカゴ大学政治学博士。現職は中央研究院台湾史研究所副研究員。訳書にベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』の中国語版(《想像的共同体》台北:時報文化、1999年)がある。比較史的な歴史分析、思想史、文学に知的関心を持ち、台湾と日本と世界を往来し、詩を愛し、自由を夢想する。
訳者
駒込武 こまごめ・たけし
東京都駒込生まれ。東京大学教育学部卒、教育学博士(東京大学)。現職は京都大学大学院教育学研究科教授。専攻は植民地教育史、台湾近現代史。単著に『世界史のなかの台湾植民地支配――台南長老教中学校からの視座』(岩波書店、2015年)、編著に『生活綴方で編む「戦後史」――〈冷戦〉と〈越境〉の1950年代』(岩波書店、2020年)等。

タグ:台湾
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