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古代史講義 戦乱篇ー新潟市立図書館収蔵の本3冊⓶ [明治以前・国内]

古代史講義 戦乱篇

佐藤 信/編

-- 筑摩書房

-ちくま新書 シリーズ1391

刊行日- 2019.3

ISBN 978-4-480-07212-2


新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館 S/210.3/コダ/


内容紹介

日本の古代を大きく動かした15の戦い・政争を最新の研究成果に基づき正確に叙述。通時的に歴史展開を見通すとともに、時代背景である古代社会のありさまを解明する。

【目次】

1.磐井の乱 、大髙広和
2.蘇我・物部戦争 、加藤謙吉
3.乙巳の変 、有富純也
4.白村江の戦い 、浅野啓介
5.壬申の乱 、北啓太
6.長屋王の変 、山下信一郎
7.藤原広嗣の乱 、松川博一
8.橘奈良麻呂の変 、小倉真紀子
9.藤原仲麻呂(恵美押勝)の乱 、寺崎保広
10.律令国家の対蝦夷戦争──「三十八年戦争」を中心に 、永田英明
11.平城太上天皇の変 、佐藤信
12.応天門の変 、鈴木景二
13.菅原道真左降事件 、森公章
14.平将門の乱・藤原純友の乱 、寺内浩
15.前九年合戦・後三年合戦 、戸川点

編者について

佐藤 信(さとう まこと、1952年11月 - )

1952年生まれ。東京大学名誉教授、人間文化研究機構理事。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の宮都と木簡』(吉川弘文館)、『古代の遺跡と文字資料』(名著刊行会)、『出土史料の古代史』(東京大学出版会)、編著『大学の日本史1古代』(山川出版社)など。


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朝鮮半島との関係が悪化したときに戦乱や政変が起きている大局的な関連性も読み取れる。新羅と連携したと言われる磐井の乱や百済救援に向かった白村江の戦いはもちろんだし、乙巳の変もそうした半島情勢の緊迫に対する倭国の対応であったことはもはや不動の定説。その同じ動乱の延長上に壬申の乱もあり、はるかのち藤原広嗣の乱の時も新羅との緊張が生じていたらしい。挙げ句に応天門の変にまで新羅との関係の悪化が関係していたとする説もあるそうだ。衝撃!
一読明らかに、ほとんどの主要な戦乱の直接的なきっかけは皇位をめぐる争いにあり、皇位継承のルールが確立していなかったことが問題の根本にあったことは明白。それだけに藤原摂関家の支配体制の確立には皇位継承の正当性の保証という意味があったとする見方にはあらためて納得した次第。いわば「藤原の平和」の実現だったわけだ。その藤原摂関家支配の終焉=院政の開始が中世の動乱の時代の開幕を告げるというのも頷ける。


古代史講義 宮都篇 に続く

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