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古代史講義 宮都篇ー新潟市立図書館収蔵の本3冊③ [明治以前・国内]

古代史講義 宮都篇

佐藤 信/編

-- 筑摩書房

-ちくま新書 シリーズ1480

刊行日- 2020.3

ISBN 978-4-480-07212-2


新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館 S/210.3/コダ/


内容紹介

日本古代の代表的宮都を、飛鳥の宮々から難波宮、平城京、平安京、太宰府、平泉に至るまで紹介。最新の調査結果と研究を紹介しつつ、宮都の実像を叙述し、各時代の社会的背景となる古代都市のあり方をも明らかにする。

【目次】

1.飛鳥の宮々──大王宮から飛鳥宮へ 、鶴見泰寿
2.難波宮──改新政権の宮と天平の都 、磐下徹
3.大津宮──滋賀の都の実像 、古市晃
4.藤原京──中国式都城の受容 、市大樹
5.平城宮──古代王宮の実像 、山本祥隆
6.平城京──奈良の都の特質 、佐藤信
7.恭仁京──天平の新京造営 、増渕徹
8.紫香楽宮──聖武天皇の夢の都 、北村安裕
9.長岡京──新都造営の実像 、國下多美樹
10.平安宮──千年の都の形成 、北康宏
11.平安京──都市の発展と貴族邸宅の展開 、西山良平
12.白河・鳥羽──古代宮都の変貌 、土橋誠
13.大宰府──対外交渉の拠点 、杉原敏之
14.多賀城──城柵国府と街並み 、古川一明
15.平泉──奥州藤原氏の首都 、佐藤嘉広
「はじめに」より《大王の代替わりごとに大王宮が移転した時代には、王位を継承した新大王の皇子宮が新たに大王宮となった。七世紀に入って飛鳥に大王宮が集中するようになると、飛鳥の地に国家的施設が集中し、また大王宮と国家的大寺院がセットで営まれるようになる。そして、中国の都城にならって藤原宮(649-710)が営まれると、天皇の住む内裏や政庁かせ位置する宮の周りに条坊制をもつ京が置かれ、天皇の膝元に王族・貴族・官人が集住するようになった》


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古代史講義ー新潟市立図書館収蔵の本3冊① [明治以前・国内]

古代史講義 邪馬台国から平安時代まで

佐藤 信/編

-- 筑摩書房

-ちくま新書 シリーズ1300

刊行日- 2018.1

ISBN 978-4-480-07117-0


新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館 S/210.3/コダ/


内容紹介 大化の改新は645年のクーデタではない、「聖徳太子」は厩戸王でありその役割は限定的であった、東北の城栅は行政官庁だった…。15人の専門家の知を結集。古代史の最新の研究成果と研究動向をわかりやすく解説し、かつての教科書で書かれていたために広まっている誤解などを正す。


【目次】

1.邪馬台国から古墳の時代へ 吉松大志 13-29頁

2.倭の大王と地方豪族 、須原祥二 31-52頁

3.蘇我氏とヤマト王権 、鈴木正信 53-71頁

4.飛鳥・藤原の時代と東アジア 、中村順昭

5.平城京の実像 、馬場基

6.奈良時代の争乱 、佐々田悠

7.地方官衙と地方豪族 、佐藤信

8.遣唐使と天平文化 、飯田剛彦

9.平安遷都と対蝦夷戦争 、吉野武

10.平安京の成熟と都市王権の展開 、仁藤智子

11.摂関政治の実像 、榎本淳一

12.国風文化と唐物の世界 、河内春人

13.受領と地方社会 、三谷芳幸

14.平将門・藤原純友の乱の再検討 、宮瀧交二

15.平泉と奥州藤原氏 、大平聡


吉松大志 1.邪馬台国から古墳の時代へ

 邪馬台国の位置は三万五千里四方という中国王朝の世界観の東端に位置づけられたもので、距離は遠方からの朝貢を強調するもの(p.19)。

 列島と朝鮮半島との交易は壱岐対馬と北九州が中心だったが、山陰地方にも列島側の拠点が拡大するなど《多極的ネットワークが形成された》(p.27)。


須原祥二 2.倭の大王と地方豪族 31-52頁

巨大な盟主墓を含む古墳はオオヤマト、佐紀、馬見(大和)、古市(河内)、百舌鳥(和泉)、三島(摂津)に別れているが、有力首長たちは通婚を重ねて血縁的に近しかったと推測される(p.39)。


 楽浪・帯方郡の滅亡によって九州中心の交易ネットワークは終焉、畿内のヤマト王権が伽耶地域と交易を行うようになる(宗像・沖ノ島の祭祀が開始される)。


 卑弥呼の墓と有力視されている箸墓古墳を含むオオヤマト古墳群でも、二系統に分ける見解がある。初期の高句麗王は五つの部族から交互に出ていたり、新羅でも二人の王が役割を分担して併存していた。草創期や初期段階の王位のあり方は《もはや「一系統の王朝」の存否だけを議論する状況ではない(p.33)。


 421年 倭の五王(讃、珍、済、興、武)が宋に遣使、478年までに7回の朝貢は奈良時代の遣唐使を上回る頻度(p.41)。


 古墳の規模規制は制度に基づく統治の先駆け(p.44)。


鈴木正信 3.蘇我氏とヤマト王権 、53-71頁


 蘇我氏を滅亡させた645年の乙巳の変の前年、高句麗でも似たようなクーデターが勃発、百済と新羅でも混乱が生じており、朝鮮半島情勢が緊迫していた(p.68-)。


 初期段階の王位のあり方(部族からの交互選出、王位の役割分担など、)を含めて半島と列島の政治はクロスしてる。


古代史講義 戦乱篇 に続く


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古代史講義 戦乱篇ー新潟市立図書館収蔵の本3冊⓶ [明治以前・国内]

古代史講義 戦乱篇

佐藤 信/編

-- 筑摩書房

-ちくま新書 シリーズ1391

刊行日- 2019.3

ISBN 978-4-480-07212-2


新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館 S/210.3/コダ/


内容紹介

日本の古代を大きく動かした15の戦い・政争を最新の研究成果に基づき正確に叙述。通時的に歴史展開を見通すとともに、時代背景である古代社会のありさまを解明する。

【目次】

1.磐井の乱 、大髙広和
2.蘇我・物部戦争 、加藤謙吉
3.乙巳の変 、有富純也
4.白村江の戦い 、浅野啓介
5.壬申の乱 、北啓太
6.長屋王の変 、山下信一郎
7.藤原広嗣の乱 、松川博一
8.橘奈良麻呂の変 、小倉真紀子
9.藤原仲麻呂(恵美押勝)の乱 、寺崎保広
10.律令国家の対蝦夷戦争──「三十八年戦争」を中心に 、永田英明
11.平城太上天皇の変 、佐藤信
12.応天門の変 、鈴木景二
13.菅原道真左降事件 、森公章
14.平将門の乱・藤原純友の乱 、寺内浩
15.前九年合戦・後三年合戦 、戸川点

編者について

佐藤 信(さとう まこと、1952年11月 - )

1952年生まれ。東京大学名誉教授、人間文化研究機構理事。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の宮都と木簡』(吉川弘文館)、『古代の遺跡と文字資料』(名著刊行会)、『出土史料の古代史』(東京大学出版会)、編著『大学の日本史1古代』(山川出版社)など。


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朝鮮半島との関係が悪化したときに戦乱や政変が起きている大局的な関連性も読み取れる。新羅と連携したと言われる磐井の乱や百済救援に向かった白村江の戦いはもちろんだし、乙巳の変もそうした半島情勢の緊迫に対する倭国の対応であったことはもはや不動の定説。その同じ動乱の延長上に壬申の乱もあり、はるかのち藤原広嗣の乱の時も新羅との緊張が生じていたらしい。挙げ句に応天門の変にまで新羅との関係の悪化が関係していたとする説もあるそうだ。衝撃!
一読明らかに、ほとんどの主要な戦乱の直接的なきっかけは皇位をめぐる争いにあり、皇位継承のルールが確立していなかったことが問題の根本にあったことは明白。それだけに藤原摂関家の支配体制の確立には皇位継承の正当性の保証という意味があったとする見方にはあらためて納得した次第。いわば「藤原の平和」の実現だったわけだ。その藤原摂関家支配の終焉=院政の開始が中世の動乱の時代の開幕を告げるというのも頷ける。


古代史講義 宮都篇 に続く

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