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母子家庭にとってベーシックインカムの持つ意味---国際人権ひろば No.114より覚書 [経済]

母子家庭にとってベーシックインカムの持つ意味
 国際人権ひろば No.114(2014年03月発行号) >母子家庭の貧困とベーシックインカム

覚え書


日本の母子家庭には、死別と離婚と非婚という三つの階層がある。
父親がいないのが母子家庭なのに、母が、いないはずの父とどのような関係だったかによって、母子家庭は分断され、差別されるのだ。
死別は、かわいそうだと同情され、離婚は女のわがままだと言われ、非婚となればふしだらの烙印を押される。
死別母子家庭が対象の遺族年金のほぼ半額が、離婚や非婚の母子家庭への児童扶養手当支給の全額である。
所得税の寡婦控除は、死別の場合は所得制限内であれば終生適用され、離婚の場合は、扶養親族があるか生計を一にする子がいる場合のみ適用となり、多くの場合子どもが独立し扶養親族がいなくなると適用外となる。非婚の場合は最初から適用外である。
日本の税制も、社会保障制度も、労働現場も、女が一人で生きていくことを想定していない。これが高度経済成長期に企業と国家によって作られた制度である。
夫がいて外で働き、妻が家で家事労働をするという性別役割分業(ジェンダー不平等)に基づいた家族を標準としている。それが人類の普遍の営みであり、そしてあるべき家族像で、維持すべきであると三位一体的に信じられている。その教線に家族単位の制度は残され、そこからはみ出した母子家庭は差別され、母子家庭の中でも女が選択したかどうかで差別されてる。
母子家庭の困窮を補うための給付にも、あるべき母子家庭像に従えという条件が付けられている。
そんな中で、個人単位で無条件のベーシックインカムは、一筋の希望ではある。女が、暴力を振るわれても父親や夫から離れられないのは経済力がないからだ。ベーシックインカムがあると、別れるチャンスが広がるだろう。もちろんベーシックインカムで何もかもが解決するとは思わない。それでも、今までのような、差別と引き替えに生きさせられているような息苦しさからは逃れられるかもしれない。
そのベーシックインカムで、一人あたり何万円だからシングルだと苦しいが、家族4人だと何万円、だから今までよりお得というような議論をされると首を傾げたくなる。個人単位ではないのか?やっぱり家族なのか?そんな議論でいいのか?
《 コロナウイルス禍対策の給付金で、露呈した。》
母子家庭は、母子家庭の母と子が、元気で生きていける社会を求めているのだ。それは個としての女や子が一人でも生きていける社会である。なぜそれが実現されないのか。
家族とは何か。なぜ家事労働がただ働きで、それに近い介護や保育の仕事が低賃金で、「女の仕事」なのか。性別役割分業が私たちの考え方、感じ方にどう影響しているのか。ジェンダー不平等を解消するには、どういった仕組みが必要なのか。


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