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ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ―166頁コンポスト [農から見つめる]

1-2-720x540.jpgウンコはどこから来て、どこへ行くのか
――人糞地理学ことはじめ 
湯澤 規子(ゆざわ・のりこ)  (著)
‎ 筑摩書房 
(ちくま新書) 1523 – 
2020/10/9
SBN-13 ‏ : ‎ 978-4480073303
新潟市立図書館収蔵 亀田館 /290.1/ユ/
内容めも
第6章 166頁'
 東京都でも汚泥を資源に変えようとー九七四年以降、汚泥資源化の実験が開始された。ー九七六年からは「コンポスト調査研究プロジェクトチーム」による検討が始まり、ー九八〇年には南多摩処理場内に一日に二〜三トンのコンポストを生産する工場が稼働し、「南多摩おでい石灰処理肥料」という商品名で農協を通じて販売されるようになつた。ほかにも、「みやこ肥料」という 名称で流通するものもあった。
二〇二〇年現在、この肥料は販売されていない。
汚泥をコンポスト【肥料】として再利用するには、下水処理場では分解されない有害化学物質や 重金属類が下水に混入されていない保証がなければならない。しかし、現状ではそれが難しい状況となっているからである。
かつて糞尿を下肥として利用していた時代と比べて、私たちが食べるもの、トイレや台所から下水道に流すものの中には、様々な物質が混入するようになった。私たちの日常生活を振り返ってみれば、そこに原因があることがわかる。つまり、私たちの暮らしが便利になればなるほど、再利用することが難しい汚泥ばかりが増え続けることになるのである。
ウンコがかつてのように農地に還れなくなったのは、ウンコが「汚い」からなのではなく、私たち自身がウンコに含まれる物質を変化させてきたせいなのである。そして、便利な暮らしに慣れきってしまった私たちは、ウンコから目を背けるようになり、ウンコがどこへ行くのかを見届け、想像することを忘れてしまった。
限りなく除菌•抗菌・滅菌・無菌に近づく世界を目指し、ウンコと決別しようとする私たちはたちはしかし、じつは現在でも菌による絶え間ない分解活動が、私たち ウンコをし続ける世界に生さることを可能にしてくれていることを知らないままなのである 。

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