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ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ―144頁 [農から見つめる]

Env5ve9UUAE.jpgウンコはどこから来て、どこへ行くのか
――人糞地理学ことはじめ 
湯澤 規子(ゆざわ・のりこ)  (著)
‎ 筑摩書房 
(ちくま新書) 1523 – 
2020/10/9
SBN-13 ‏ : ‎ 978-4480073303
新潟市立図書館収蔵 亀田館 /290.1/ユ/
著者  湯澤規子(ゆざわ・のりこ)
1974年大阪府生まれ。法政大学人間環境学部教授。筑波大学大学院歴史・人類学研究科単位取得満期退学。博士(文学)。明治大学経営学部専任講師、筑波大学生命環境系准教授を経て、現職。「生きる」をテーマに地理学、歴史学、経済学の視点から、当たり前の日常を問い直すフィールドワークを重ねている。主な著書に『在来産業と家族の地域史――ライフヒストリーからみた小規模家族経営と結城紬生産』(古今書院、経済地理学会著作賞、地理空間会学術賞、日本農業史学会学会賞)、
『胃袋の近代――食と人びとの日常史』(名古屋大学出版会、生協総研賞、人文地理学会学会賞)
新潟市立図書館収蔵
『7袋のポテトチップス――食べるを語る、胃袋の戦後史』(晶文社)
新潟市立図書館収蔵
内容めも
第6章 144頁'
  科学的処理の技術とバクテリア
屎尿の衛生的科学的処理とは具体的にはどのようなことをいうのだろうか。それを説明するためにここではバクテリア (細菌 )による分解 (生物処理 )について、簡単に触れておこう。
まず「嫌気性消化法」とは、嫌気性細菌によって酸素を使わずに有機物を分解することで、「発酵」や「腐敗」と呼ばれる。これにより、尿は衛生的に無害なものとして、農地に還元できるものとなる。ただし、「嫌気性細菌」による分解行われる時、硫化水素やメチルカプタンなどの臭気を伴うガスが発生する。臭気が無くなるまでに長い時間がかかる分解法である。
これに対して、「好気性細菌」によって分解する方法もある。好気性細菌は取り込んだエサー(有機物 )を、酸索を使って分解する。私たち人間も有機物を取り払み、酸素と反応させて、二酸化炭素と水とエネルギーを作っている。 好気性細菌による分解は、
嫌気性細菌による分解よりも10~100倍の速度で進み、臭気も発生しない。しかし、•酸素が不足すると嫌気性細菌に取って代わられるため、好気性細菌による分解を持統させるには、ポンブで酸素を送り続けなければならない。これを「曝気ばつき (エアレーション)」という。曝気のためには多量の電力が不可欠であるため、十分な電力を確保できない状況下の日本では、まず嫌気性細菌による分解が始められたのである。
バクテリアを使った下水処理 (生物処理 )にはさらに「生物膜法」と「活性汚泥法」とう二つの方法がある。生物膜法は、バクテリアを濾材や濾床に固定させて、そこに下水と空気を送り込む方法で、活性汚泥法は ,ハクテリアを水の中に注入する空気の浮力で浮遊させて十分に酸素に曝す方法である。
バクテリアは有機物を分解しながら増殖し、互いに結合してゼラチン状の塊 (活性汚泥)になり、沈降して水分と分離する。活性汚泥は好気性細菌の塊なので、一部は下水処理に再利用される。残りは焼却されて灰となり、埋め立て地や海洋に投棄される。また、乾燥汚泥をコンポスト(堆肥)として使う方法もある。こうした技術革新により、今日の日本では、この活性汚泥法が主流となっている。
続く


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