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土地規制法  長州新聞第9102、9105号  その01 [経済]

長州新聞第9102、9105号 より


夜中に採決した土地規制法
 
 土地規制法は二〇二一年六月五日に参院本会議で可決・成立している。同法案の捉出に際して自民党政府(当時は菅政府)は「外国資本による基地周辺の土地買収を防ぐ」と宣伝していた。だが実際に提出された法案は基地や原発等の周辺住民を監視し「危険」と見なせば立ち退きまで強要する内容だった。そのため参院内閣委員会の審議では、参考人が曖昧な条文への懸念や国民監視強化への問題点を多数指摘した。ところが自民党政府は国民が寝静まった真夜中の審議と採決で強引に成立させた。
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 この土地規制法の中心的な内容は、重要施設の周囲1㎞範囲の区域や国境の離島を「注視区域」に指定し、所有者らの行動や思想状況について調べる権限を国に付与するというものだ。重要施設の「機能阻害行為」に対して中止勧告や命令を出し、厳罰に処すことを定めている。
 ところが同法が指定する「重要施設」は「いくらでも拡大解釈が可能」だった。表向きは「米軍施設、自衛隊施設、海上保安庁の施設が対象」としたが、法律には「国民生活に関連を有する施設であって、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもので政令(国会審議を経ずに内閣が決定する)で定めるもの」も「重要施設」と規定していた。それは軍事施設だけでなく、原発、風力発電、空港、鉄道、港湾、官公庁、医療、水道などの公共施設も内閣内部の協議で「重要施設」と規定し、その周辺を「注視区域」に指定できることを意味していた。
 
 しかも「注視区域」の調査内容について、土地利用者や関係者の氏名、住所に加え「その他政令で定めるものの提供を求めることができる」と明記し、これまた拡大解釈が可能になっていた。それは行政が蓄積している個人情報だけでなく、日頃の土地活用状況や交友関係の調査など、政令で「必要」と定めた内容は、無制限に「調査項目」として追加できることを意味する。「土地所有者や利用者がどんな人か調べる」「施設の機能を阻害。する恐れがあるかも知れない」と恐怖感を煽り、名前、住所、国籍、土地の利用状況にとどまらす、思想・信条、所属団体、交友関係、海外渡航歴、図書館の利用履歴の調査など調査範囲をいくらでも広げることができる内容だ。
続く

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