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近世史講義 = 女性の力を問いなおすーちくま新書 1469 [明治以前・国内]

近世史講義 = 女性の力を問いなおす
高埜 利彦/編
--筑摩書房
 ちくま新書 1469
--2020.1
--ISBN 978-4-480-07282-5
県立図書館収蔵
新潟市立図書館収蔵 西川館 /210.5/キ/
内容
第一線の実証史学研究者13人が最新研究に基づき江戸時代の実像に迫る。通史としても読める全く新しい形の入門書。
女性たちはいかに時代を変えてきたか。女性が江戸時代に果たした役割や、女性が時代を担って改革した力について第一線の研究者が実証研究に基づき考察を加えつつ、近世の通史としても読める形でわかりやすく講義を展開する。
日本の近世史については、近年さまざまに研究が進展しているにもかかわらず、その成果が一般に知られていない。江戸時代がユートピアであったかのように評されたり、反対に女性が虐げられていた時代であったと強調されたりといった極端な議論が近年も見られる。そこで女性が江戸時代に果たした役割や、女性が時代を担って改革した力について第一線の研究者が実証研究に基づき考察を加えつつ、近世の通史としても読める形でわかりやすく講義を展開する。全く新しい形の入門書。
目次
織豊政権と近世の始まり  牧原 成征/著 9頁-25
徳川政権の確立と大奥 福田 千鶴/著 27頁-43
天皇・朝廷と女性  久保 貴子/著 45頁-60
四つの口 松井 洋子/著 61頁-77
村と女性 吉田 ゆり子/著 79頁-97
元禄時代と享保改革 高埜 利彦/著 99頁-115
武家政治を支える女性 柳谷 慶子/著 117頁-133
多様な身分 西田 かほる/著 135頁-148
対外的な圧力 岩崎 奈緒子/著 149頁-164
寛政と天保の改革 高埜 利彦/著 165頁-182
女性褒賞と近世国家―官刻出版物『孝義録』の編纂事情 小野 将/著 183頁-201
近代に向かう商品生産と流通 高部 淑子/著 203頁-220
遊女の終焉へ 横山 百合子/著 221頁-238
女人禁制を超えて 宮崎 ふみ子/著 239頁-255


編・著者紹介
高埜利彦[タカノとしひこ] 1947年生まれ。東京大学文学部卒業。学習院大学名誉教授。専門は日本近世史。著書に「近世日本の国家権力と宗教」「天下泰平の時代」「江戸時代の神社」など。
執筆者13人中10人が女性研究者。
感想
「捨て子が野犬に食い殺される」ような殺伐とした(中世を引きずっているような)社会を改めるために徳川綱吉が秩序道徳の普及振興を図るが、一方でそこに導入された観念には「病気で瀕死の下女を寒中の屋敷外に捨てる」ような中世貴族社会のケガレ観も含まれていて、仏教の中に生じた女性差別と融合、全国に「女人禁制」が広がっていく……というのがなんとも難儀。現代もある牢固とした「伝統」や「常識」も、政治的な改革や意識の変革によって作られてきたことを考えれば、社会をよりよい形にして次代に引き渡したいなあ、と思う。
kawasaki さん


タグ:近世
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