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高齢者の暮らしを守る 在宅感染症診療--高山義浩--2020;02 [介護]

高齢者の暮らしを守る 在宅感染症診療978-4-7849-5755-2.jpg

著: 高山義浩(沖縄県立中部病院感染症内科/地域ケア科 副部長)
 A5判/ページ数 222p/高さ 21cm
装丁: 口絵カラー
発行日: 2020年02月20日
ISBN: 978-4-7849-5755-2
付録: 電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)
定価:4,730円(本体4,300円+税)
地域ケア科・感染症内科での経験をもとに、時間と資源が限られる在宅での感染症診療と感染対策を、4つの観点から実践的に解説!
感染症を発症した高齢者の診療、本人の再発予防や周囲への拡大抑止をする医師の手助けとなるように書かれたものです。
目次
1章 在宅における感染症診療の考え方
在宅における高齢者診療;高齢者に対する病状説明 ほか
(在宅における感染症診療の考え方について,総論的に解説、社会の高齢化とともに「共存しながら暮らすことを目標とすべき慢性疾患」が増加してきている。しかし感染症の多くが「治癒がめざせる急性疾患」である。共存をめざすような疾患ではない。治せる疾患であり,専門的な見守りが必要ならば,その環境(入院)で治療するのが原則である。
なお,在宅医療を選択したほうがよいことがある。たとえば,限られた時間をなるべく自宅で過ごしたいと考えている終末期患者は少なくない。あるいは,入院生活にどうしても適応できないでいる認知症患者も少なくない。多様なニーズへと対応できる在宅医療があることは,日本の地域医療の裾野の広さを示している。)

2章 発熱に伴う症候からのアプローチ
頭痛、鼻汁、咽頭痛、咳嗽;咳嗽、頻呼吸、呼吸困難 ほか
(症候別に鑑別を挙げる形式で,各論としての感染症診療を解説)
3章 在宅医療で使いこなしたい抗菌薬/抗ウイルス薬
使いこなしたい内服薬;使いこなしたい注射薬、
(使いこなしたい抗菌薬と抗ウイルス薬について,薬剤別に解説、在宅で投与する抗菌薬を選択するときには,起因菌の薬剤感受性が十分であることを確認する。
感染巣に異物が存在しているときは,これを除去しなければ完治は期待できない。たとえば,ペースメーカー,尿管ステント,留置された金属プレート,人工弁,肺内に脱落した歯牙,腐骨化した骨片など
4章─ 在宅ケアにおける感染対策
1)基本的な考え方
(暮らしの感染対策とは,専門家によって一方的に指導されるものではなく,本人や家族,支援者らの参加によって「共通の価値観」として形成されてゆくべきものだ。在宅ケアにおける感染対策では,できる範囲で関係者が心がけることでゴールと考える。本人の疾病観,介護者の知識と経験など,様々な事情を総合的に判断して,とるべき感染対策の落としどころを探す必要がある。
現場で続けることができず,破綻することが明らかな対策を専門家として提案すべきではない。
在宅ケアの現場に挫折感や罪悪感を残すことがないよう,家庭や施設ごとに「継続して実施可能な感染対策」と「対策疲れに陥らない期間」を見きわめる。
特に感染が広がってしまったときに,「誰かのせい」にならないよう説明しておくことが大切である。
ただし,家庭を訪問したり,施設で働いたりしている医療や介護の従事者が,標準予防策を遵守することは最低限必要なことである。手指衛生のほか,個人防護具を適切に使用することで,他の利用者へと伝播させないよう注意しなければならない。
手を介して病原微生物が伝播する経路を断つこと。これが最も重要な感染対策であることは,病院であっても,居宅や施設であっても同じである。)
2)医療資器材の感染対策
3)高齢者施設における感染対策
4)外国人材の受け入れと感染対策
【コラム】 家庭における薬剤耐性菌の水平感染

暮らすことで,介護することで,精いっぱいの家庭も少なくありません。様々な事情を総合的に勘案して感染対策の落としどころが探せるよう,感染防護具の活用や医療資器材の消毒法などを紹介しています。
また,介護現場で働く外国人が増えてきています。そこで,彼らとの共生社会の形成をめざしつつも,特に高齢者施設へ輸入感染症が持ち込まれないよう,実施すべき感染対策についても解説しています。
『在宅感染治療学』とでもいうべき新しい学術フィールドの提案
佐々木 淳(医療法人社団悠翔会 代表医師)
ここ数日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大対策に追われている。在宅というセッティングでの厳格な感染管理の難しさを感じていたまさにその時、この新刊を手にすることになった。
在宅高齢者は脆弱だ。感染症を繰り返し、感染症で亡くなる人が多い。
だからこそ私は、在宅医療の使命の1つは感染症の予防、つまり発症を予防すること(一次予防)、早期発見・早期治療で入院を減らすこと(二次予防)、入院を選択する場合は、機能障害が顕在化する前に退院させること(三次予防)にあると考えている。
しかし感染症の予防には限界がある。また症状が非典型的であったり、認知症などで訴えのない人もおり、早期発見は容易ではない。治療にはアドヒアランスから自ずと制約が生じる。多剤耐性菌に対しても在宅ではグリーンゾーンとレッドゾーンを明確に区分できない。そして人生の最終段階で、どこまで感染症として治療すべきか、臨床倫理的な状況判断、意思決定支援が求められる。
つまり感染治療学の教科書通りにはいかないのが、在宅での感染症治療なのだ。
多くの仲間たちが、日々悩みながら在宅での感染症治療に取り組んでいることと思う。
本書は、そんなモヤモヤに対する明確なガイダンスとなっている。
エビデンスに基づくbiologicalな視点、患者・家族の生活をそっと見守るbiographicalな視点、この2つがバランスよく配され、在宅での感染症治療のあり方を立体的に捉えることができる。そのタイトル「高齢者の暮らしを守る在宅感染症診療」にある通り、生活を支えるための手段としての感染症治療のあるべき姿が具体的に示されている。
超高齢化の進行に伴い、感染症治療のメインフィールドは病院から自宅や施設にシフトしていく。優れた感染症専門医でありながら在宅医療にも精通する筆者による、まさに「在宅感染治療学」とでもいうべき新しい学術フィールドの提案といってもいいかもしれない。
在宅医療のみならず、高齢者医療に関わる病院の関係者にもぜひご一読をお願いしたい。
目次
1章─ 在宅における感染症診療の考え方
1)在宅における高齢者診療
2)高齢者に対する病状説明
3)在宅における抗菌薬療法
4)感染症治療のチーム形成
5)抗菌薬投与の差し控え
【コラム】 在宅での死亡確認は丁寧に
2章─ 発熱に伴う症候からのアプローチ
1)頭痛,鼻汁,咽頭痛,咳嗽
普通感冒/インフルエンザ/溶連菌性咽頭炎/急性副鼻腔炎/細菌性髄膜
炎/ウイルス性髄膜炎/扁桃周囲膿瘍/咽後膿瘍/口腔底蜂窩織炎/感染
性血栓性頸静脈炎/急性喉頭蓋炎/側頭動脈炎/Crowned dens症候群
2)咳嗽,頻呼吸,呼吸困難
市中肺炎/誤嚥性肺炎/異型肺炎/無気肺/膿胸/肺結核/心不全/肺梗塞/
胃食道逆流/咳喘息/薬剤性咳嗽
3)嘔気・嘔吐,下痢,血便,腹痛
急性胃腸炎/ノロウイルス胃腸炎/クロストリディオイデス・ディフィ
シル腸炎(CDI)/カンピロバクター腸炎/サルモネラ腸炎/急性虫垂炎/
憩室炎/糞線虫症/糖尿病ケトアシドーシス(DKA)/薬剤性下痢/低
アルブミン血症/浸透圧性下痢/胃内貯留不全
4)頻尿,排尿時痛,尿混濁
急性腎盂腎炎/細菌性前立腺炎/膀胱炎
5)皮膚の発赤・腫脹・熱感,皮疹
蜂窩織炎/壊死性筋膜炎/褥瘡感染/動物咬傷/感染性骨髄炎/帯状疱疹/
疥癬/深部静脈血栓症/虫刺症/接触性皮膚炎/腫瘍随伴症候群
6)関節の疼痛・腫脹・熱感
化膿性関節炎/偽痛風/痛風/リウマチ性多発筋痛症
7)熱源が明らかでない発熱
熱源不明の発熱/感染性心内膜炎/カテーテル関連血流感染症/急性胆
囊炎/化膿性胆管炎/結核/深部膿瘍/薬剤熱/ネコひっかき病
【コラム】 どうやったら死ねるんだ!
3章─ 在宅医療で使いこなしたい抗菌薬/抗ウイルス薬
1)使いこなしたい内服薬
アモキシシリン/アモキシシリン・クラブラン酸/セファレキシン/レボ
フロキサシン/アジスロマイシン/ドキシサイクリン/クリンダマイシン/
ST合剤/メトロニダゾール/オセルタミビル/バラシクロビル
2)使いこなしたい注射薬
セファゾリン/セフトリアキソン/メロペネム/トブラマイシン
【コラム】 家族の関わりの中で抗菌薬を選択する
4章─ 在宅ケアにおける感染対策
1)基本的な考え方
2)医療資器材の感染対策
3)高齢者施設における感染対策
4)外国人材の受け入れと感染対策
【コラム】 家庭における薬剤耐性菌の水平感染
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