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パレスチナの農業 01 [ユーラシア・近東]

 2023年
土地と水を巡る紛争 ~イスラエル占領下のパレスチナの農業~ ヨルダン川西岸地区(以下、西岸地区)の事例   筆者 日本工営株式会社 中村友紀 より
図1 パレスチナと県の位置図-ard67_report_network1-fig1.jpg
筆者作成
1948年の第一次中東戦争、1956年の第二次中東戦争(スエズ戦争)、1967年の第三次中東戦争、1973年の第四次中東戦争と度重なる戦争を経て、イスラエルがパレスチナ(ヨルダン川西岸地区とガザ地区)を占領した(図1)。
1991年から中東和平交渉が開始され、1993年には、イスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)の間でオスロ合意が締結され、パレスチナ自治政府による暫定自治と将来の交渉が合意された。治安維持業務の一部をパレスチナ自治政府に委譲し、占領地の最終的な地位については将来の交渉に委ねることが合意されたものの、交渉は難航し、現在までイスラエルによるパレスチナの占領が続いている。
ヨルダン川西岸地区は、面積が5,655km2で三重県と同程度、人口は約319万人である。・三重県178万人・そのうち農地面積は1,115km2で、農家人口は約11万4千人と推計されている。・三重県農地面積は57km2 農家人口29万人・
年平均降水量が300~450mmのパレスチナの西岸地区の農業用水の水源の約56%が地下水、約28%が湧水である。大部分が西岸地区の地下にあるにも関わらず、パレスチナに割り当てられた水資源の割合は22%、イスラエルの割合は78%となっており、不公平な配分となっている。井戸の掘削許可は実質イスラエルが行っているが、許可が下りることはほぼない。
パレスチナの農地の灌漑率は10%以下。近隣のイスラエルが45%、レバノンが35%とされている。かなり低い比率に低迷している。
西岸地区の井戸はほとんどが1950~60年代に掘削されたもので。その後の維持管理が適切に行われていない。、近年はそれらの老朽化も進んでおり、十分に機能していない井戸も多数存在。改修が必要になっているが、イスラエル政府の許可が下りることはほとんどない。

また、制度上、井戸の深さは100mを超えてはいけないことになっている12。一方でイスラエル入植地にはこのような制限はなく、さらに深い井戸を掘って地下水を利用しており、水位の低下も招いている。
井戸から水をくみ上げるための老朽化したポンプ(ジェリコ、筆者撮影)
ard67_report_network1-photo9.jpg
続く


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