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王法と仏法 (法蔵館文庫) (日本語) 文庫 – 2020/3/11 [中世・国内]

王法と仏法

王法と仏法 5186ERANJ7L.jpg著 黒田 俊雄(くろだ としお)

83年刊、 2001年刊行の「顕密体制論の立場」を増補し、平雅行氏が「解題」した増補新版、さらに解題を大幅に改訂した「解説」と差し替えた2020年刊の法蔵館文庫版。


内容紹介
中世は武士による政権が誕生する「武士の時代」であり、仏教界でも法然・親鸞・日蓮といったスターが登場し、天台宗・真言宗など古代以来の仏教に取って代わる時代、と教わりました。しかし、本書で紹介される歴史は、そういった私たちが抱える「常識」を見事に覆します。網野善彦とともに戦後歴史学を代表する著者・黒田 俊雄が、「武士階級発展史観」にもとづく武士と新仏教を軸とする「中世は武士、そして鎌倉新仏教の時代である」中世理解に鋭く修正を迫り、よりリアルな日本中世史の実態を紹介する「「院政期」の表象」「中世における武勇と安穏」「「中世」の意味」などの論考を収めた83年版。
社会構成史と思想史の両面から中世社会の構造を解明する論考「顕密体制論の立場」を増補し、平雅行氏の解題を加えた増補新版。
さらに、
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黒田氏の論考は、私たちが懐いている歴史像のゆがみを、白日のもとにさらけ出す力をもっている。神話とは古事記や日本書紀だけの話ではない。私たちは今なお神話の時代を生きている。そしてゆがんだ神話が、さまざまな形で現代社会を拘束し、私たちの意識にも大きな影をおとしている。こうした現実への批判意識が、神話的歴史像の解体へと黒田氏を駆りたてつづけた。氏の研究は、学問のための学問から最も遠いところにある。私たちは氏の諸論考から学ぶだけでなく、何よりもその学問的姿勢を継承しなければならないはずだ。(「解説」より抜粋)
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とする解説に解題を差し替えた法蔵館文庫版。
王法と仏法 (法蔵館文庫)71cKo17XueL.jpg
目次
I
顕密体制論の立場―中世思想史研究の一視点
王法と仏法
愚管抄における政治と歴史認識
日本宗教史上の「神道」
II
「院政期」の表象
軍記物語と武士団
太平記の人間形象
III
楠木正成の死
歴史への悪党の登場
変革期の意識と思想
中世における武勇と安穏
IV
中世」の意味―社会構成史的考察を中心に
思想史の方法―研究史からなにを学ぶか
あとがき
成稿一覧
解 説 黒田俊雄氏と顕密体制論(平 雅行)
著者等紹介
黒田俊雄[くろだトシオ]
1926年富山県に生まれる。1948年京都大学文学部史学科卒業。1960年神戸大学教育学部助教授を経て、1961年大阪大学文学部助教授、1975年同教授。1989年同大学を停年退官、大谷大学文学部教授。1993年没著書に『蒙古襲来』(中央公論社、1965年)、『荘園制社会』(社会評論社、1967年)、『日本中世の国家と宗教』(岩波書店、1975年)、『寺社勢力―もうひとつの中世社会』(岩波新書、1980年)、『日本中世の社会と宗教』(岩波書店、1990年)、『黒田俊雄著作集』全8巻(法藏館、1994~95年)など多数。
平雅行[たいらマサユキ]
1951年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学、大阪大学博士(文学)。専攻は日本中世史・古代中世仏教史。2018年現在、大阪大学名誉教授・京都学園大学人文学部特任教授

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