SSブログ
ユーラシア・東 ブログトップ
前の10件 | 次の10件

人口の中国史-先史時代から19世紀までー岩波新書 新赤版--(下) [ユーラシア・東]

人口の中国史   先史時代から19世紀まで

上田 信 [ウエダ マコト]    岩波新書 新赤版 1843 出版 2020.8

IMG_20210521_304.jpg


終章 現代中国人口史のための序章  下
  貨幣経済が地域社会の隅々にまで浸透した結果、農耕を離れて生きることが可能となり、「謀生」・ボウソン・の路に進む独身男性か増えた。地域社会では間引かれてしまう女児の比率か下がり、成年に達する女性の比率が増えたと推測できる。生まれてくる子どもの数か増え、十八世紀の人口爆発が引き起おこされた。
 人口の急増は一九世紀なかばに叛乱が頻発する要因となった。叛乱か収収束たあと、中国の人口分布は大きく変わっていた。
 以上が本書で述べてきた中国人口史の概略である。
グローバルーステージ
 十九世紀なかば以降の中国史も、「合散離集のサイクル」で整理することがでぎる。
  清朝がアヘン戦争に敗れ、一八四二年に南京条約を結んだことで、東ユーラシア・ステージから新たなステージに入る。グローバル・ステージである
 幾度も列強に敗れたことで、清朝の威信は傷つけられ、中国は分散化する。太平天国や捻軍と対峙するなかで、地方有力官僚が指揮をとる湘軍・淮軍という軍隊が編成された。これらの軍隊を支えるために、各省ごとに財政を機動的に運用する必要か生じた。歴史は清朝統治下の「合」から、各省は財政的に独立傾向を強めた「散」のステップに入る。
  一九一一年の亥革命の結果、各省が清朝から政治的に独立することを宣言した。翌年に皇帝が退位することで、三〇〇〇年以上にわたって続いた王朝史は終わりを告げる。省財政を基盤にして、省を単位とする軍隊に支えられた軍閥が、中国全域に割拠するようになる。各軍閥の背後には、グローバルな帝国主義国家か立つことで、「散」の時期の中国は軍閥乱戦の様相を呈する。
 一九三0年代には、日本の介入か深刻化し、マンチュリアには「満洲国」が傀儡政権として建てられる。モンゴル高原の漠南では、チンギス統原理の権威を帯びたデムチュクドンロブ(徳王)が、自治政府を樹立させようと試みるようになった。
 グローバル・ステージにおける「離」のステップでは、蒋介石ひきいる国民党と、毛沢東ひきいる共産党とのあいだで、国造りの方針の違いから「離」の時代となる。単純化して分離の構図を整理すると
、開発独裁へと続く道と、社会主義へと向かう道とのあいだの対立といことになるだろう。一九三六年に
国民党の統治下で、中国は経済的に最良の状況に到達していた。しかし、その翌年に、日中全面戦争が始まるのである。
 戦後の国共内戦を経て、一九四九年に中華人民共和国の建国が宣言される。その国土は清朝の最盛川の版図と、ほぼ重なる。こうして中国は、共産党のもとに「集」のステップに入る。
しかし建国から約三0年間は、路線対立のために国内は混乱した。
 新たな合散離集サイクルは、訪れるのであろうか。「合」のステップに進むタイミングを、鄧小平の改革開放路線がはじまった一九七八年と、仮にしておこう。将来、時代を画するにもッと適切な出来事が出来するかもしれないので。
 中国文明が生み川した「陰陽」思想になぞらえると、「合」が極まったときにはすでに「散」が兆していることになる。グローバル・ステージ第一サイクルの「散」のステップのときに、日本は歴史のうねりを読み間違えた。中国を侵略したために、日中双方に災厄をもたらしたのである。第ニサイクル「散」のステップに中国がもし進んだ場合、私たちはけっして誤りを繰り返してはならない。
p245
人ロピラミッドの男女比に着目すると、中国社会か抱えている問題の一つが浮き彫りとなるとなる。出産前に胎児の性別判定が可能となった結果、男尊女卑の観念が根強く残る社会のなかでは、女の子となるはずの胎児が中絶される可能性が高かった。将来、この世代が成長して結婚適期にさしかかったとき、男女のアンバランスは大きな社会問題となる。
三〇年ほど前に、「だれが中国を養うのか」という問いかけが発せられたことがある。巨大人口を抱えた中国で、工業化が進み農業人口が減少する。富裕層のあいだで、肉食を中心とする食生活が広がる。このことが穀物の生産量を減らし、家畜用飼料として穀物が消費される。中国は世界中から食糧を輸入し始めると、世界的な食糧危機が起きるというのである。マルサスの人口論が、人類全体の問題として議論されたのである。
 こうした危機感か正しいのか、否か。今後も中国の実像を正しく把握するために、中国人口史に立ち返る必要がある。正しく恐れるためには、正しい知識か求められるのである。

タグ:中国
nice!(0)  コメント(0) 

人口の中国史-先史時代から19世紀までー岩波新書 新赤版--(上) [ユーラシア・東]

図01_145230.jpg人口の中国史

副書名 先史時代から19世紀まで
上田 信 /著  
出版者 岩波書店
シリーズ名1 岩波新書 新赤版
シリーズ番号1 1843
出版年 2020.8
ページ数 6,251,4p
大きさ 18cm
NDC分類(9版) 334.322
ISBN 978-4-00-431843-9
内容紹介 中国の人口増加は18世紀に突如始まり、現代にまで続いている。中国を知るための鍵である。
長くゆらいでいた人口は、なぜ急増したのか。ヒトの生態を羅針盤に、大きな変容の要因を自然と歴史に探り、中国四千年をタイム・トラベルし、現在そして未来までも人口史から読み解く。ヒトの生態史を文明のはじまりから描き、人口爆発のメカニズムを明らかにする斬新な通史。。
目次
序章 人口史に何を聴くのか
第1章 人口史の始まり―先史時代から紀元後二世紀まで
第2章 人口のうねり―二世紀から一四世紀前半まで
第3章 人口統計の転換―一四世紀後半から一八世紀まで
第4章 人口急増の始まり―一八世紀
第5章 人口爆発はなぜ起きたのか―歴史人口学的な視点から
第6章 人口と叛乱―一九世紀
終章 現代中国人口史のための序章
著者等紹介
上田信[ウエダマコト]
1957年生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。専攻、中国社会史・生態環境史。2020年現在、立教大学文学部教授)

終章 現代中国人口史のための序章
 束アジア・ステージから東ユーラシア・ステージヘ
 中国の人口が変遷してきた流れを、本書では「合散離集のサイクル」で述べてきた。
 先史時代から商代までを先史サイクルとし、「中国」という枠組みか意識されことから、東アジア・ステージかはじまる。周代から後漢までを第一サイクルとした。邑・ゆう・のなかの住民だけが人口の対象であった時代から、邑の外に広がる山林叢沢・さんりんそうたく・で自然とともに生活していた異人も含まれるようになる。秦代から漢代にかけて、官僚が戸口を調査して中央に報告する制度か整い、戸口調査に基づく人口統計が史料に残された。
 人口統計は、国家が人民を補足する制度と範囲とに強く規定されている。そのことが、続く第二・第三のサイクルの主題となる。
 第ニサイクルは、後漠の後期にはじまる。華北と華中では、豪族が多く人々を抱えたことで、国家が人民を把握できなくなった。西北からは異民族の鮮卑族・鮮卑(せんぴ、拼音:Xiānbēi)・か北魏を建て、均田制を施行して再び戸口統計を取るようになる。この制度は唐代まで続いた。第三サイクルほ、安史の乱を契機として、節度使が分散したところからはじまる。東アジアは、北に遼・金朝、南に宋朝と分離した時期を過ごしたあと、モンゴル帝国に組み込まれる。
 中国はモンゴル帝国の盟主となった元朝か統治することで、中国人口史は東ユーラシア・ステージへと駆け上がる。西北に北元、東南に明朝と分離・分立する時期を経て、清朝がマンチュリアから興り、中国内地とモンゴル高原・チベット高原・東トルキスタンを版図として統合する。人口統計は二〇〇〇年続いてきた戸口から、保甲制に基づく民数へと替わる。
続ける

タグ:中国
nice!(0)  コメント(0) 

複眼人- 呉 明益【著】/小栗山 智【訳】-2021年4月刊行 [ユーラシア・東]

複眼人EyXKOxZVgAIZggd.jpg複眼人

呉 明益【著】/小栗山 智【訳】

価格 ¥2,420(本体¥2,200)

KADOKAWA(2021/04発売)


サイズ 46判/ページ数 368p/高さ 20cm

商品コード 978-4041063262

★呉明益さん自身のイラストによる、台湾原書に近いカバーデザインです。


出版社内容情報

ある日突然、台湾に巨大な塊が押し寄せた。それは人間が捨てた「ゴミの島」だった――。夫と息子を失い絶望する大学教師と、言葉を解さぬ島の少年の出会いを軸に、多元的視点と圧倒的スケールで描く幻想小説。


内容説明

次男が生きられぬ神話の島から追放された少年。自殺寸前の大学教師の女性と、山に消えた夫と息子。母を、あるいは妻を失った先住民族の女と男。事故で山の“心”に触れた技術者と、環境保護を訴える海洋生態学者。傷を負い愛を求める人間たちの運命が、巨大な「ゴミの島」を前に重なり合い、驚嘆と感動の結末へ向かう―。人間と生物、自然と超自然的存在が交錯する世界を、圧倒的スケールと多元的視点で描く未曾有の物語。
『タイムアウト北京』「百年来最優秀小説」、仏の島文学賞「PRIX DU LIVRE INSULAIRE」大賞。香港『亞洲週刊』「年間十大小説」、台湾『中国時報』「開巻十大好書」。台北国際ブックフェア賞(小説部門)大賞。第71回ベルリン国際映画祭「Books at Berlinale」(映画化が期待される小説部門)選出。


著者等紹介

呉明益[ゴメイエキ]

1971年、台湾・台北生まれ。小説家、エッセイスト。国立東華大学華文文学科教授。輔仁大学マスメディア学部卒業、国立中央大学中国文学部で博士号取得。1997年に短編集『本日公休』でデビュー。写真とイラスト入りの自然エッセイ『迷蝶誌』(2000)、写真評論・エッセイ集『浮光』(2014)など多彩な作品を生む。2作目の長編となる『複眼人』で一躍脚光を浴びる。同作は14か国で翻訳されたほか、『タイムアウト北京』「百年来最優秀小説」(2015)、仏の島文学賞「PRIX DU LIVRE INSULAIRE」(2014)など多数受賞。第71回ベルリン国際映画祭「Books at Berlinale」(2021/映画化が期待される小説の部)にも選出。台湾現代文学を代表する作家の一人


小栗山智[オグリ ヤマトモ]

日中通翻訳者。東京外国語大学中国語学科卒業、台湾輔仁大学翻訳学研究所日中通訳筆訳科修了。香港で放送通訳、金融翻訳などのインハウス通翻訳を経て、現在はフリーランス(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
複眼人IMG_20210515_17.jpg

タグ:台湾
nice!(0)  コメント(0) 

中国・中華人民共和国の人口は計14億1178万人 [ユーラシア・東]

BBCニュース記事 https://www.bbc.com/news/world-asia-china-57067180 などより


中国・中華人民共和国は、国勢調査で中国の人口は計14億1178万人に達したと国家統計局と国務院第7回全国国勢調査指導グループ弁公室は11日に発表。国勢調査は2020年後半に実施され、約700万人の人口調査員が中国の世帯に戸別訪問した。

2010年第6回国勢調査と比較すると7206万人増えた。年平均成長率は5.38%増で、2000年から2010年までの0.57%よりも0.04ポイント減となる。2020年、1200万人の新生児が生まれたが、2016年の1800万人だから大幅に減少しています。東アジアの近隣諸国の日本や韓国でも、出生率は近年、過去最低を記録するまで低下しています。2019年、韓国は歴史上初めて出生よりも多くの死者を記録した。

_118462278_chinabirthrate-nc.jpg
中国とグローバリゼーションセンターの人口統計学の専門家であるHuangWenzhang氏は、
「人口減少は2021年か2022年、あるいは間もなくそうなるだろう」とロイター通信は伝えた。

人口性比(女性100人に対する男性の数)は、全体人口では男性が7億2334万人で女性は6億8844万人で人口性比は105.07で、2010年とほぼ同水準。出生数の人口性比は111.3で、2010年より6.8低下。


0-14歳は2億5338万人で、総人口の17.95%・増1.35ポイントを占めている。
15-59歳・生産年齢人口は8億9438万人で63.35%・減4000万人6.79ポイント。
60歳以上は2億6402万人で18.70%・増5.44ポイント(うち65歳以上は1億9064万人で13.50%)。
_118462238_optimised-china_pop_area-nc.jpg

nice!(0)  コメント(0) 

アジア文化圏の時代―政治・経済・文化の新たなる担い手・1987/5/1発刊・続き [ユーラシア・東]

アジア文化圏の時代―政治・経済・文化の新たなる担い手 タイトル別名 Le nouveau monde sinisé

レオン・ヴァンデルメールシュ,【著】〈Léon Vandermearsch,〉

/福鎌 忠恕【訳】〔フクカマ/タダヒロ〕

出版社 : 大修館書店 (1987/5/1)

W020210419512957190734.jpg
=====

中国の評価
人民中国インターネット版 2021年4月29日 「漢字が生む創造力と活力――仏人研究者との対話から」 より

中国が長期的な停滞から90年代以降に経済成長を成し遂げた「蘇生の秘密」の一つに、漢字の創造的活力があると読み解くことができるだろう。たとえそれが長期の冬眠状態にあっても、もともと備わっている創造的な発想と活力の根源が時によみがえっては、社会の発展と経済の成長の有機的な相互作用を促進させる。漢字が使われている限り、こんこんと湧き出る創造的な発想と活力が止まることはない。

1987年出版当時、経済成長の予測に関して、漢字文化圏という地域の集中的成長という観点からの分析はまだなかった。当時の中国はまだ発展途上国に分類されており、経済成長分野の数値の高い日本は先進国に組み込まれていた。だが、こうしたう選択眼以外に、「漢字文化圏」という範囲で観察し、異なる結論が出されている。
バンデルメールシュ教授は、74年の日本のデータと経済企画庁の統計「1961~81年の世界国民生産総生産値」をテキストに、社会学的な視点から60~78年の世界の経済成長率を見ると、ベトナムを除いて漢字文化圏が先頭に立っていることを指摘した。続いて60年時点の中国の現状から、その30年後に迎えられる経済の高度成長を分析・予測し、漢字文化圏が経済発展の先頭に立つという結論を導いた。
世界各国では多くが欧米を発展のモデルとしている。だが、漢字文化圏では、過去に現代化に成功した国(日本など)も含め、全く西洋と同様の方法とプロセスで現代化を実現させた国はない。バンデルメールシュ教授は、ここで日本モデルを成功例に挙げている。例えば、社員食堂や集団旅行、制服、同郷会(県人会)、終身雇用などは、いずれも漢字文化圏共有の共同体主義的な傾向だと同教授は見ている。
他方、西洋の経済発展の停滞に対して、同教授は以下の2点を指摘した。第一に、個人主義に走り過ぎた西洋にとって、アジア共有の共同体精神および生き方が反省の見本となる。第二に、個人主義の合理性を法律にして固めた西洋だが、アジアの人と人との絆の「連帯」を参考にしなければならない。
「アジア人は西洋を理解しようと必死に努力した。だから、それなりの努力を西洋人もしなければ」というメッセージを西洋人に送った。

バンデルメールシュ教授の六十数年をかけた研究成果によると、漢字には創造の発想と活力のパワーが内蔵されている。王朝と時代の変化に伴い、漢字の書体は甲骨文、金文、小篆、現代漢字……と字体の変化はあっても「創造」的要素と活力の遺伝子は変化がない。また、創造のための発想と活力の波があっても、「それはイデオロギーと政治体制を超えている」と同教授は言い切る。

漢字の非言語学的役割
中国の甲骨文から古文、白話文の成立までを考察すると、漢字は口語の記述ではなく、口語と並列する書き言葉に当たる。この性格を有する漢字は古来、相互の意思疎通の媒介として有効に機能してきた。例えば、多民族・多言語の社会において、漢字が共有の記号として伝達の通路を整備してくれる。
孫文(1866~1925年)と日本の交流の美談を可能にしたのは漢字による筆談の成果でもある。他方、日本をはじめアジア諸国が漢字を導入したのも、お互いに言語(話し言葉)不通の障害を克服する最善の利器(書き言葉)と認識できたからである。古来、漢字圏の人々は、それぞれの母語(話し言葉を中心に)と漢字語(書き言葉)を重層的に応用して、漢字経由の知識と方法を手に入れ、漢字圏の良性循環を促進したと考える。
漢字がもたらしてきたのは生産性向上のための知の伝播以外に、精神や思想、考え方など、創造の発想と活力のような目に見えない部分が大きい。抽象的な儒教や道教、倫理、道徳、しつけなどの生活規範と社会理念も漢字を通して学び、知の種みたいに播き散らされ、漢字を使う地域をつなぐ絆となる。
もう一つ。漢字には象形性と表意性が備わっている。形を見て意味をある程度測り知ることができる。例えば、「雨」という字は、形を見てその意味を想像できよう。現代人がカメラや映像によって可視化を実現したのと同じように、いにしえの漢字がその役割を担った。従って、漢字を言語の記号として扱うだけでは不十分だ。
漢字の一つ一つにはそれぞれ独立した意味があり、また他の漢字と組み合わせることにより新たな意味を生み出す。例えば、活+力では、「活力」という熟語になるように、縦横無尽に新たな意味を生産的に創造していける。この角度から、「語学」としての漢字を超えたところで漢字の学習をしていけば、漢字の役割と本質が見えてくる。何よりも現代の漢字文化圏の実体と発想を総合的に把握できよう。これが、バンデルメールシュ教授が六十数年の研究によって検証・確認した漢字の「非言語的アプローチ」の役割だ。

nice!(0)  コメント(0) 

アジア文化圏の時代―政治・経済・文化の新たなる担い手・1987/5/1発刊・漢字を共有し、儒教伝統のルネッサンスと経済発展との相乗作用 [ユーラシア・東]

アジア文化圏の時代―政治・経済・文化の新たなる担い手

81zMOEV-L2L.jpgタイトル別名 Le nouveau monde sinisé

レオン・ヴァンデルメールシュ,【著】
〈Léon Vandermearsch,〉

/福鎌 忠恕【訳】〔フクカマ/タダヒロ〕

出版社 : 大修館書店 (1987/5/1)

発売日 : 1987/5/1

言語 : 日本語

単行本 : 279ページ

ISBN-10 : 4469290637

ISBN-13 : 978-4469290639


新潟大学 附属図書館 収蔵


新潟大学 附属図書館 収蔵
内容説明
最善のメディアである漢字を共有し、儒教伝統のルネッサンスと経済発展との相乗作用によって、アジアの地に新しい一大文明形態が出現する。西欧によって作られた東アジアの敵対関係は、今や漢字文化諸国民みずからの意志によって、和解と連帯の方向へと進路を変えている。
目次
序論 漢字文化圏の咋日・今日
第1部 経済的局面(独特な経済成長の活力;同一構造の経済発展)
第2部 政治的局面(日中関係 和解と緊密化は民衆の意欲;朝鮮半島の諸問題 連帯への高まる気運;中国、台湾、香港、澳門の再統一;中越危機 鍵握る中ソ関係)
第3部 文化的局面(共有する最善のメディア―漢字;儒教の伝統とそのルネッサンス)
結論 新しい文明形態の出現
=====
中国の評価
人民中国インターネット版 2021年4月29日 「漢字が生む創造力と活力――仏人研究者との対話から」 より

中国が長期的な停滞から90年代以降に経済成長を成し遂げた「蘇生の秘密」の一つに、漢字の創造的活力があると読み解くことができるだろう。たとえそれが長期の冬眠状態にあっても、もともと備わっている創造的な発想と活力の根源が時によみがえっては、社会の発展と経済の成長の有機的な相互作用を促進させる。漢字が使われている限り、こんこんと湧き出る創造的な発想と活力が止まることはない。

続ける

nice!(0)  コメント(0) 

朝鮮後期財政史研究 - 軍事・商業政策の転換 [ユーラシア・東]

朝鮮後期財政史研究 81AtSzaNceL.jpg朝鮮後期財政史研究 - 軍事・商業政策の転換
山本進 著
九州大学出版会 刊
発売日 : 2018/02/27
サイズ A5判/ページ数 227p/高さ 22cm
ISBN-13 : 978-4798501383
内容紹介
17世紀以降の朝鮮は、軍事的緊張の下で商品経済が発展し、市場の構造化が進んだ。本書は、対軍事財政と対商業政策の両側面から朝鮮後期の経済的成熟を検証し、好戦的で侵略的な近代国民経済とは異なる前近代型「国民経済」形成への可能性を展望するものである。
〔軍事政策〕日本や清国の再侵略に備えるため、朝鮮政府は大量の倭銅買い付けや大砲の鋳造に励んだ。壬辰倭乱の経験から、大砲や火縄銃は射程距離の長いものが貴ばれた。加えて、軍用布として強靱な綿布が中国より輸入されたが、平和が続くとソウルの兵士は絹を愛用するようになった。一方北辺の兵士には最後まで粗末な防寒着しか支給されなかった。
〔商業政策〕商品市場の発達は都庫という仲買問屋を生んだ。しかし政府は流通を新財源に組み込めず、都庫は旅客主人として各種の権力機関に納税して庇護を受け、独占的仲買権を行使するようになった。一方政府機関や各邑は官営高利貸しを通して商業的剰余を収取するようになり、被害は一般庶民にも及んだ。国家は商人を総体的に掌握するより、特定商人の囲い込みや高利貸しの強制を通して個別的・間接的に利益を得たと言える。
総じて近世朝鮮は近世中国や日本と比較して強い限界性を帯びながら、銅銭本位制を基軸とした「国民経済」へと収斂しつつあったことを明らかにする。
目次
序章朝鮮における前近代型「国民経済」の形成
第Ⅰ部軍備の強化と財政
第一章鋳砲政策と鋳銭政策
十七世紀の銭/十八世紀の銭/十九世紀の銭
第二章火器の種類と製造
朝鮮前記の火器/壬辰倭乱と火器/朝鮮後期の火器
第三章軍用綿布としての青布輸入
朝鮮前記の青布と綿布/壬辰倭乱と青布/朝鮮後期の青布
第四章北辺戍卒への衣料支給
衣料支給の開始/衣料支給の変化
第Ⅱ部商業の発達と財政
第五章都庫の成長
貢人と都庫/市廛と都庫/権力と都庫
第六章旅客主人と中都児
初期の旅客主人/中都児の登場/旅客主人の仲買商化
第七章京主人の殖利活動
京主人と防納制/邸債の利権化と米辺
第八章公債の登場と展開
使行貿易と公債/民庫と公債
第九章雑種量制の収斂
中央財政と量制/還政と量制/民間量制
終章
あとがき


著者紹介
山本 進(やまもと すすむ)
1959年 滋賀県生まれ
1984年、熊本大学文学部史学科卒。
1989年、名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。
北九州大学(現・北九州市立大学)商学部専任講師、
北九州市立大学経済学部助教授を経て、
2006年より北九州市立大学外国語学部教授。博士(歴史学、名古屋大学)。


nice!(0)  コメント(0) 

「愛国ネットメディアが絶対報じない尖閣問題」講演会--沖縄タイムズ-2021年04月17日 [ユーラシア・東]

沖縄タイムズ-2021年04月17日-【WEB限定記事】-「愛国ネットメディアが絶対報じない尖閣問題」講演会で見えた、日本と中国の温度差--より覚書
沖縄県・尖閣諸島000.jpg
講師の泉川友樹さん(42)は沖縄県出身。中華人民共和国との貿易促進の日本国際貿易促進協会の業務本部次長を務める。
2014年に第2次安倍政権と習近平政権の間で「4項目合意」が結ばれた。それで両国が見解の相違を認めた上で事態をコントロールすることになったため、以降、中国公船が尖閣諸島の領海に侵入する回数は減っている。
領海の外側の広大な海域には日中漁業協定が適用され、両国の当局がそれぞれ自国の漁船を取り締まる決まりだから、日本漁船が中国公船に追尾されることはない。中国政府は現在、自国の漁船が尖閣周辺に行くことを認めていない。
中国公船が領海に長時間とどまるのはほとんどが日本の漁船を追跡したケース。広い海でいくらでも漁ができるのに、なぜあえて追いかけられるリスクがある狭い領海へ行くのか「中国は漁業ではなく政治目的とみなしている」という。日本の「漁船」の中には「愛国保守団体」の船がある。
 報道で「海警局に武器使用を許可する法律」と紹介される中国の海警法については、講師の泉川友樹さんは「武器使用を抑制する法律だ」と条文を紹介した。船舶が装備する武器を使えるのは「反テロリズムの任務」「深刻な暴力事件の処理」「攻撃を受けた場合」に限定されている。泉川さんは「機関砲で日本漁船を砲撃することは不可能だ。」「海警法をきちんと読みましょう」と話した。
沖縄県・尖閣諸島の久場島6.jpg

タグ:中国
nice!(0)  コメント(0) 

1984年に生まれてー郝 景芳 [ハオ ジンファン]/著--2020刊 [ユーラシア・東]

1984EnPGXEFVgAEgNnY.jpg1984年に生まれて 
郝 景芳 [ハオ ジンファン]/著,
櫻庭 ゆみ子 [サクラバ ユミコ]/訳  
装画(平野実穂)
装幀(岡本歌織)
出版年 2020.11
出版者 中央公論新社
ページ数 408p
大きさ 20cm
ISBN 978-4-12-005355-9
NDC分類(9版) 923.7
県立図書館収蔵
新潟市立図書館収蔵
内容紹介
ヒューゴー賞受賞作「折りたたみ北京」の郝景芳が描く〈中国×1984年〉。 一九八四年、春。天津市の工場でエンジニアとして働く沈智は、半年後に第一 子の誕生を控えていた。ある日、友人の王老西から起業の計画を持ちかけられ、 一度は断るが、自分が間もなく三十歳になること、毎日同じことを繰り返す日々 を過ごしていることにふと気がつき愕然とする――
時代の大転換に翻弄され、ついには家族を置いて国を出る決断をした父・沈智。 代中国で自分の生き方を見失う娘・軽雲。選択しなかったもう一つの人生へ の憧憬。二つの時代の中国で、人生の分岐をさまよい続けた父娘が描く円環の 軌跡の先に、物語は衝撃の結末を迎える!
1984年。父は出奔し、私は生まれた。2006年。大学卒業前に進路を見失った軽雲は、父の暮らすプラハに来ていた。二つの時代の中国社会に翻弄され、父と娘は人生の分岐をさまよい続ける…。自伝の形をとった小説。
ページの先頭へ
著者紹介
郝 景芳 [ハオ ジンファン/かく・けいほう]
1984年中華人民共和国生まれ。精華大学経管学院博士学位取得。作家。ヒューゴー賞中編小説部門を受賞。著書に「郝景芳短篇集」など。
櫻庭ゆみ子[サクラ バユミコ]
東京都生まれ。中国文学研究者、慶應義塾大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


タグ:中国
nice!(0)  コメント(0) 

黒魔術がひそむ国 ミャンマー政治の舞台裏ー2020/10 [ユーラシア・東]

9784309249797.jpg黒魔術がひそむ国 ミャンマー政治の舞台裏

春日 孝之 /著  

出版年 2020.10
出版者 河出書房新社
ページ数 277p
大きさ 19cm
ISBN 978-4-309-24979-7
県立図書館収蔵
内容紹介 ミャンマーの国家指導者は黒魔術を心底恐れていて誕生日を明かさない!? 大統領の誕生日と呪術の関係、著名な占星術師による「スーチー大統領」誕生の予言など、ミャンマーの「政治とおまじない」を4つの視点から描き出す。
なぜ、国家元首の誕生日は最高機密なのか?――日本では「敬虔な仏教国」として知られるミャンマーだが、その内実を読み解くには占星術や呪術、数秘術、手相術、ウェイザー(超能力者)信仰など、今も人々の暮らしに息づく「おまじない」の理解が必要不可欠だ。
 政治家の権謀術数に利用される黒魔術、予言通りに最高権力を得たアウンサンスーチーと国軍の水面下での攻防、謎のネピドー遷都の背後にあるもの、そしてクーデター計画で密かに作られた「呪いの人形」の存在……。大統領、国軍最高司令官から市井の人たちまでを幅広く取材し、文化人類学的手法を駆使した斬新な切り口でミャンマーの現代政治をスリリングに描いたノンフィクション。
正統派ジャーナリストの敏腕ぶりと、黒魔術から内幕を暴くという奇策の二刀流に痺れた!
画期的でスリリングなミャンマー読本。
――高野秀行氏(ノンフィクション作家)
謎多きミャンマー、
気鋭のジャーナリストがあぶり出したその「深層」に驚嘆!
――工藤年博氏(政策研究大学院大学教授、ミャンマー地域研究)

目次
はじめに
プロローグ

第1章 誕生日は国家機密
生年月日とオカルト/黒魔術を除けるには……/テインセイン大統領の兄が明かす出生情報/政権の「お抱え占星術師」現る/漏らされた「国家機密」

第2章 アウンサンスーチーと占星術
アウンサン将軍も惹かれたスピリチュアル世界/予言「スーチーは国家指導者になる」/占星術は「サイエンス」/スーチーに次ぐ民主化運動闘士も占星術師/「暗闇で針穴に糸を通した」予言/スーチーとロヒンギャ問題、そして彼女の行く末

第3章 ネピドー遷都の謎
遷都のキーワードは数字の11/なせヤンゴンが首都ではダメなのか?/遷都を決めたのは誰だ?/ヤダヤ(厄払い)という「魔法の薬」/白象の並外れた存在感

第4章 「呪いの人形」とクーデター
計画の背後に「黒魔術師」/ネウィン一家が最も恐れた「ネウィンの死」/ネウィンの歴史的評価とオカルト趣味/ネウィンは当初、オカルト排除を目指した/「ビルマの鄧小平」キンニュンと占星術師/「呪いの人形」が暗示する「闇の奥」

あとがき
著者
春日 孝之 (カスガ タカユキ)
1961年生まれ。ジャーナリスト、元毎日新聞編集委員。著書に「アフガニスタンから世界を見る」「未知なるミャンマー」など。

nice!(0)  コメント(0) 
前の10件 | 次の10件 ユーラシア・東 ブログトップ