SSブログ

疫病の古代史 ー2023年刊行ーー① [国家医学・帝国医療・看護学]

疫病の古代史  天災、人災、そして
著者 本庄 総子  ホンジョウふさこ
吉川弘文館  歴史文化ライブラリー 573
出版年月日 2023/07/21
判型・ページ数 4-6・216ページ
ISBN 978ー4642059732



疫病の流行により多くの人命が失われた古代。それは単なる自然災害だったのか。
藤原四兄弟が全滅した天平の大流行をはじめ、奈良・平安の都を繰り返し襲った事例を読み解くと、都市環境、食料生産体制、文化や倫理など、当時の社会の構造的問題がみえてくる。
疫病対策や死者数の実態に触れつつ、ヒト社会の「隣人」ともいうべき疫病の姿に迫る。

61fRg-vyVeL.jpg

目次
疫病から古代の社会を考える―プロローグ
蘇民将来(そみんしょうらい)伝説のリアリティ /出土した蘇民将来礼 /疫病史観で終わらない疫病史のために
疫病へのまなざしと二つの大疫病
 疫病という概念
  疫病とは何か/疫病の原因いろいろ/疫病の語釈と定義/歴史に残る疫病/疫病報告制度/報告制度の後退/疫病観測手段の変化
 奈良時代の大疫病
  未曽有の事態 /疫病の正体 /天平七年の疫病流行 /一時的な収束 /楽観と復興策 /行政の停滞 /疫病の再来と遣新羅使 (けんしらぎし)/天平九年の疫病流行 /犠牲者はどのくらいいたのか
 平安時代の大疫病
  大疫病の再来 /第二波の到来 /疫病の正体
 大疫病の共通点
  新種の脅威 /海外から流入する疫病
古代疫病流行の仕組み
 都と疫病
  疫病はどこから /京と畿内の死亡率 /京から伝播する疫病 /家族から切い離されて /運脚(うんきゃく)たちの食料不足 /帰国できない運脚たち /運脚と調邸 / 京での日雇い労働 /疫病を運ぶもの
 【運脚・・律令時代,調や庸の貢納品を都まで運んだ農民。正丁(せいてい)の農民の義務で,食料は自弁。実際に京まで運ぶ者以外は,運脚の行旅の費用を負担した。】
 疫病と農業
  飢餓が起こす疫病 /古代日本の季節感覚 /流行する時期 /コメの生産時期 /あまねく支給される田/ 田租の徴収と備蓄 /コメ中心の経済 /コメ依存とそのリスク /コメ社会の「持続可能性」 /コメ以外の裁培とその限界 /疫病が起こす飢餓/耕作不能の田の増加
 信仰と感染の観念
  禊の文化が疫病を防ぐ ? /穢れの忌避と疫病の関係 /経験的な感染の観念 /疫病回避の方法 /生存戦略としての防疫 /防疫と倫理 /病人を追い出す貴族たち /穢れを理由に追い出す /貴族と「下人」
疫病の時代相と人々の向き合い方
 奈良時代の疫病
  流行の波 /人口は減ったのか
 桓武朝の転機―疫癘間発
  遅延する復興 /桓武天皇の方針転換 /負の遺産を受け継いだ平城天皇 /止まぬ疫病 /疫病頻発の時代へ
 古代における疫病対策
  政府の通達した対策 /薬の禁止と食料給付 /食料給付の実効性 /農業と分権 /勧農と復興 /交通路での祭り /二つのオオエ山 /神仏への祈り /接触の自粛 /免疫の活用 /食を求めて /祈りの向かう先 /霊の仕業か、神の仕業か /故実を参照する
人間社会と疫病の姿―エピローグ
 菅原道真の漢詩にみる疫病 /古代の疫病流行の特徴 /稲作社会が抱えたりスク /現代社会と疫病
 
あとがき
参考文献
続ける

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

Facebook コメント