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組織罰はなぜ必要か--2021刊 [思考の型]

71YetlitckL.jpg組織罰はなぜ必要か
事故のない安心・安全な社会を創るために
著者 組織罰を実現する会 編
現代人文社
シリーズ GENJINブックレット
出版年月日 2021/04/25
ISBN 9784877987800
判型・ページ数 A5・88ページ
定価 本体1,200円+税
内容紹介
日本では、企業など組織がどんなに大きな事故を起こしても、その刑事責任は問われない。現在の刑事司法制度では、刑法に「組織」を罰する条文がないため、責任の所在が多くの部署に分散する組織が引き起こした事故を裁くことには限界がある。
事故によって、尊い命が奪われたにもかかわらず、誰も法的な責任を課せられないということでは、遺族は納得できない。本書は、誰も責任を取らない無責任社会を変え、本当に安全な社会を実現するために「組織を罰する法律」(「組織罰」)の必要性を訴えるものである。現行法の限界を分析し、組織罰の具体的なイメージと実現への展望を提言するはじめての書。
柳田邦男(ノンフィクション作家)推薦 「100人死んでも加害組織が刑事責任を問われない。この国の不可解な不正義を正す理論と議論が、ここに展開される」
目次
はじめに……大森重美(組織罰を実現する会代表、JR福知山線事故遺族)

第1章 組織事故と安全な社会
事故のない安全な社会をめざして……大森重美(JR福知山線事故遺族)
組織事故としての福知山線事故…安部誠治(関西大学社会安全学部教授)

第2章 事故遺族の願い
[JR福知山線事故]事故を忘れないためにJR西日本を見続ける……渡邉勝徳(JR福知山線事故遺族)
[笹子トンネル天井板崩落事故]インフラ老朽化への無策の果てに……松本邦夫・松本和代(笹子トンネル天井板崩落事故遺族)
[軽井沢スキーバス事故]あの日から……田原義則(軽井沢スキーバス事故遺族)
被害者らの共通した想い……坂本哲(弁護士)

第3章 組織罰とは何か
Q&A組織罰とは何でしょうか……安原浩(弁護士、元裁判官、組織罰を実現する会顧問)
諸外国の動向から見た日本の法人処罰(組織罰)……川崎友巳(同志社大学法学部教授)
諸外国の法人処罰(組織罰)一覧

第4章 組織罰の実現のために
「両罰規定の導入」による組織罰実現の社会的意義……郷原信郎(弁護士、元検察官)
組織罰の実現への軌跡とこれから……津久井進(弁護士、組織罰を実現する会事務局長)

おわりに……松本邦夫(組織罰を実現する会副代表、笹子トンネル天井板崩落事故遺族)

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RCT大全ー2020年9月16日発行 [思考の型]

61JW2QT9c-L.jpgRCT大全??ランダム化比較試験は世界をどう変えたのか
RANDOMISTAS??How Radical Researchers Are Changing Our World
アンドリュー・リー (著), 上原 裕美子 (翻訳)
四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/312頁
ISBN-13 : 978-4622089339
出版社 : みすず書房
2020年9月16日発行
内容(「BOOK」データベースより)
被験者を2つのグループにランダムに割り当て、介入の効果を測定するランダム化比較試験(RCT)。この決定的手法は、これらの疑問にどう答えてきたのか?壊血病の昔から、最先端のウェブビジネスまで、医療、教育、経済、産業といったあらゆる分野でエビデンス革命を起しつつあるRCTを網羅的に紹介。巻末には「実施の10の掟」を収載する。
[>] 10代の少女に赤ちゃん人形を与えて育児を体験させると、早すぎる妊娠を防げる?
[>] 素行の悪い青少年を、刑務所の極悪犯と対面させると矯正できる?
[>] 貧困地域からの引っ越しを補助すれば、家族の経済状況は改善する?
[>] 不況下で職探しのヒントが詰まった冊子を配布すると就業者は増える?
[>] X線検査で背中の痛みを調べられる?
[>] 『セサミ・ストリート』の1話で教えるのは何文字がいい?
[>] マイクロクレジットは貧困世帯の所得を上げる?
[>] デパートの営業時間を短縮すると利益は増える?
目次
1 壊血病、刑務所見学、そして、もしも電車に乗り遅れたら
2 瀉血からプラセボ手術へ
3 不利益の解消にはコインを投げて
4 ランダム化のパイオニアたち
5 教え方を学ぶ
6 犯罪を制御する
7 貧しい国での貴重な実験
8 農場と企業とフェイスブック
9 政治と慈善活動の仮説を検証する
10 あなたも実験台
11 質の良いフィードバックループを作る
12 次の変化を導く
RCT実施の10の掟
 成功するRCTを行なうには、いささか特殊な素質の組み合わせが必要だ。優れたランダミスタは技術的スキルのほかに、運用面での思慮深さ、政治的知識、そして勇気を備えている。
 次に示す10のステップを参考に、ぜひRCTに挑戦してほしい。
1何を調べるか決める
 新しい介入のインパクトを、何も介入を受けない対照群と比較するのが、RCTの最もシンプルなアプローチだ。その他では、2種類以上の介入を比較することもある。複数のパターンで入れ替えて調べる実験はクロスオーバー実験という。たとえば自営葉者を支援するにあたり、職業訓練を提供する場合、補助金を提供する場合、両方、もしくはどちらもない場合を比べる。インパクトが即座に生じるものであれば、ランダムな間隔で「介入する」「介入しない」を切り替えて詞べてもよい。就寝時の習慣で不眠症が軽減するかどうか、1ヵ月のうち半分の日数だけに介人を行ない、スマートフォンアプリを使って毎日の睡眠の質を調べるなど。
2無作為な差をどのように作り出すか考える。発想は独創的に
 対照群に「あなたはこのプログラムを受けません」と告げることか現実的ではない、もしくは倫理的ではない状況もある。その際は標準的なRCTに代わる選択肢を検討する。たとえば、ある政策が2ヵ年以上で実施されるなら、初年度からの実施対象と次年度からの実施対象を無作為に分ける。採用率の低い既存プログラムを評価したい場合は、宣伝やインセンティブを通じて、無作為に選ばれた一部の人にプログラムへのアク七スを奨励する。
3対照群の行動を予測する
 対照群に入った人の気持ちになって考えてみる。自分なら何をするだろうか。アメリカの就学前教育プログラム「ヘッドスター卜」の例を思い出してほしい。このプログラムの評価では、対照群の幼児が別の公立幼稚園に入園していたことを、当初のうちは認識していなかった。その点を考慮に入れるまで、費用便益比率は2分の1に過小評価されていた。
4 どのアウトカム(結果)を測定するか決める
 行政データならば安価もしくは無料で人手できるだろう。実験対象の全員分のデータを集めることもできる。その点、調査を独白に設計する場合は、仮に対象者の1割しかアンケートに答えないとすると、サンブル数を10倍にして始めなければならない。追跡調査を複数回繰り返すやり方や、回答者に報酬を出すやり方もある(あるチェーン店の実験では、封筒にIドル札を入れたところ、回答事が8%から16%へと倍に伸びた)介入を評価する際は無作為割当に沿って行なうこと。最初は対照群に入っでいた被験者が、自力で同じ介人を手に入れていた際にも、当初の振り分けにもとづいてデータを分析する。
5 どのレベルをランダム化するか決める
 教育に関する介入を調べる際は、ランダム化を生徒間、クラス間、あるいは学校間で行なうことが考えられる。どのレベルを適ぶのが正解となるかは、実賎面や倫理面、もしくは介入内容が介入群から対照群へどう波及するかという検討しだいで変わってくる。たとえばエイズ治療薬に関して行なわれた初期の実験では、介人群の患者と対照町の患者が、実際には薬を分け合って使っていた。当時、この病気に罹患することは実質的に死の宣告だったので、こうした行動に出るのも理解できることだった。全員が治療薬の半分を服用していたので、実験結果は意味のないものとなり、治療薬の承認が下りるまで長い時間がかかってしまった。この実験を患者間ではなく病院間でランダム化していれば、サンプル数は多く要するものの、成功する可能性は高かったと考えられる。
6 ある程度の実験規模を確保する
 介入が、介人群と対照群にかなり大きな差を生むと予測されるなら、サンプルサイズは小規模でも充分だろう。育児支援プログラム「トリプルP」はインパクトが大きく、先住民わずか51世帯という規模でも確かな結果が確認された。だが、変化がかなり小さい事柄を試したい場合は、より大規模なサンプルが必要だ。テレビ広告の効果予測に関する問題を思い出しでほしい。個々のコマーシャルが消費者の購入判断におよぼすインパクトは非常に小さないため、インパクトを確認するのはRCTでもほぼ不可能だ。どの程度の実験規模が必要かヒントが欲しいなら、インターネットで「検出力計算Pawer calculation」」と検索すれば、便利なオンライン計算ツールが見つかる。対象としたいサンプルの規模が充分でない場合は、他の都市や他の国の研究者と協力することを検討しよう。サンプル数を増やせることに加えて、結課が特定の場面だけでなく、場所を問わず当てはまると多くの人に考えてもらえるようになる。
7 実験を事前登録し、倫理委員会の承認を得る
 結果を発表したいなら、まずふさわしい医学専門サイトもしくは社会科学サイトに実験を登録する。可能な限り倫理委員会の承認も得る。介入が被験者に害をもたらすものである場合は、倫理委員会の要請でデータ検証および安全性検証委員会が設立され、実験進行に対する監視を受けることとなるだろう。倫理委員会の承認を得るには時間がかかるが、何か問題が起きた場合の保険になる。2014年に、ある政治学実験が、アメリカのモンタナ州の有権者10万人にチラシを配布した。チラシは、州最高裁に対する選挙立候補者の思想スタンスを示すというも。しかし州の公式な印章が押されていたため、この実験はモンタナの選挙法に違反していた。研究チームがあらかじめ大学内部のレビュー委員会から承認を受けていれば、罪には問われなかったかもしれないが、あいにく承認を受けていなかった。
8 ランダム化に対する関係者の理解と賛同を確保する
その実験を行なう理由について関係者全員の理解を得ること。実験実施者は、資金提供者や運用責任者などに対し、ランダム化の必然性を納得させなければならない。たとえば福祉プログラムのRCTを行なう場合、現場のケースワーカーが無作為の割り当てにもとづき、貧しい人々への支援を拒否しなければならないかもしれない。こうした担当者がランダム化に従うことを拒否したら、おそらく実験は台無しだ。オーストラリアのナッジ・ユニットBETAの責任者マイケル・ヒスコックスは、「実験に私が投じる労力の75%くらいは、協力関係を形成し、関係者全員の認識をそろえて始めることだ」と話していた。専門家が地位をかさに着て行動したり、専門用語を振り回したりして、現場を混乱させてはいけない。RCTで何が学べると予想しているか、それがサービス受益者や組織にとってどう役に立つと考えられるか、実験が倫理にかなっていると考える根拠は向か、充分に時間をとって現場担当者に説明すること。
9確実に無作為でサンプルを分ける
 介人群と対皿群に人々を割り当てる方法は、コインを投げて決める、帽子の中に名前を書いた紙を入れて引く、表計算シートの乱数作成機能を使うなど。一つのリストを半分に分ける場合は、そのリストが順不同で並んでいるようにする。被験者に関する背景情報がある場合は、観察可能な特徴にもとづいて介入群と対照群のバランスをとり、統計精度をやや高めることができる。1930年代に青少年指導プログラムの評価を実施したときは、問題を抱えた若者の年齢、家族構成、非行行動の内容をもとに、条件の近いペアを作った。それから研究チームが各ペアについてコインを投げて、ペアの片方を介入群に、他力を対照群に振り分けた。
10 可能なら、小規模でパイロット実験を行なう
 スポーツ選手が競技前にペースを確認するのと同じで、最初に控えめな規模で実験の完全性を確認するとよいだろう。このときは利用可能な結果を出すのが目的ではなく、ランダム化と実施・調査段階で生じる予想外の問題を拾っておくのが狙いだ。経済学者ディーツ・カーランとジェイコブが共著書で指摘している通り、すぐにでも本格的な実験に着手したいと思っても、「普及率を予測し、実験中に発生しうる実施者側のヘマを明らかにしておくために、小規模のパイロット版で事前テストをするのが最善の策」だ。バグをつぶし、正式なRCTの準備を整えるのである。


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鳥の歌いまは絶え=ケイト・ウイルヘルム/著 -酒匂 真理子 /訳- サンリオ -1982、復刊 創元SF文庫 2020 [思考の型]

78301.jpg鳥の歌いまは絶え;Where Late the Sweet Birds Sang
著者名1 ケイト・ウイルヘルム  
>訳者 酒匂 真理子 

出版者 サンリオ サンリオSF文庫
出版年 1982.7
ページ数 386p
大きさ 15cm
新潟市図書館収蔵 中央・ホンポート館 自動書庫 /933/ウ/
復刊 創元SF文庫 2020年 
内容
シェナンドアの谷に住む一族に生まれたデイヴィッドは、地球上のあらゆる生命が滅亡に向かっていることを知った。一族は資産と人員を谷の上流に集結させ研究所を造り、クローン技術によって人類を存続させようとする。デイヴィッドはクローンたちが従来の人類と異なる性質を持つことに懸念を抱くが……ヒューゴー賞、ローカス賞、ジュピター賞を受賞した美しくも哀切な未来叙事詩。解説=渡邊利道
著者
ケイト・ウィルヘルム
1928年オハイオ州トレド生まれ。アーシュラ・K・ル=グィンらとともに、60年代から70年代にかけてのアメリカSF界のフェミニズム運動の旗手として知られ、ヒューゴー、ネビュラ、ローカス各賞を受賞している。作家・批評家である夫のデーモン・ナイトとはクラリオン・ワークショップを運営し、若手SF作家の育成に尽力した。80年代からはサスペンスやミステリの創作を本格化させ、『炎の記憶』に始まる〈チャーリー・ミクルジョン&コンスタンス・リードル〉シリーズや、女性弁護士〈Barbara Holloway〉シリーズを精力的に執筆。他のSFの著作に『杜松(ねず)の時』、『クルーイストン実験』、日本オリジナル短編集『翼のジェニー』などがある。2018年没。

タグ:SF
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資本主義と闘った男ー講談社ー2019 [思考の型]

資本主義と闘った男06.jpg資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界
並列タイトル HIROFUMI UZAWA Against Capitalism
著者 佐々木 実 [ササキみのる]  
出版者 講談社
出版年 2019.3
 B6判/ページ数 640p
大きさ 20cm
第6回 城山三郎賞
ISBN 978-4-06-513310-1
新潟市図書館収蔵 中央・ホンポート館 2階 /289.1/ウザ/
新潟県立図書館収蔵 /289.1/U99/

内容紹介
世界から称賛された気鋭の数理経済学者は、なぜ突然「長い沈黙」に入ったのか。経済学の発展に寄与しながら、なぜ経済学を批判するようになったのか。「人々が平和に暮らせる世界」を追求した宇沢弘文の激動の生涯を描く。
ノーベル賞のアローらに認められ、米国でいち早く数理経済学の最先端分野を開拓し国際的名声が頂点にあるなか日本へ帰国。高度成長の負の遺産である公害や都市・環境破壊など社会問題に覚醒し、自ら構築してきた新古典派理論(近代経済学)や米国で支配的となったフリードマンらの新自由主義を根底的に批判。こうした宇沢の葛藤の思索は晩年の「社会的共通資本」の理論に帰結していく。宇沢経済学の変質とその潜勢力とは何か、いわば「未完の思想」は後世に委ねられる。
出版社内容情報
今から半世紀も前、優れた幾多の論文によって世界の経済学界を驚かせた日本人の経済学者がいた!彼の人生は、20世紀の経済学史そのものであり、彼の生涯は、人々が生き甲斐をもち、平和に暮らせる世界を創り出すために捧げられた。そしてそれは資本主義との闘いの人生でもあった――。2014年に逝去した経済学者 宇沢弘文の伝記です。伝記でありながら、難解とされる氏の経済学の理論を、時代と絡めながら解説していきます。
目次
リベラリズム・ミリタント
朝に道を聞かば夕に死すとも可なり
ケネス・アローからの招待状
輝ける日々
赤狩りの季節
カリフォルニアの異邦人
別れ
シカゴ大学「自由」をめぐる闘争
もうひとつのシカゴ・スクール
二度目の戦争
「陰(Shadow)」の経済学へ
“ドレス”と“自動車”
反革命(The Counter‐Revolution)
空白の10年
ローマから三里塚まで
未完の思想Liberalism
著者紹介
佐々木実[ササキみのる]
1966年大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業。日本経済新聞社退社後、フリーランスのジャーナリストとして活動。「市場と権力」で大宅壮一ノンフィクション賞・新潮ドキュメント賞を受賞。

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潜在認知の次元 しなやかで頑健な社会をめざしてー2019 [思考の型]

潜在認知の次元 しなやかで頑健な社会をめざして
潜在認知の次元 DL.jpg著者 下條 信輔 (著)
価格 ¥1,980(本体¥1,800)
有斐閣(2019/07発売)
サイズ B6判/ページ数 192p/高さ 19cm
商品コード 9784641174474
NDC分類 361.4
ISBN-13: 978-4641174474


内容紹介
想定外を乗り越える社会とは? ヒトの本性である潜在認知を長年研究した著者が、原発問題など実社会の現代的問題に対し、「心理リアリティ」「シェアド・リアリティ」といった「逆応...想定外を乗り越える社会とは? ヒトの本性である潜在認知を長年研究した著者が、原発問題など実社会の現代的問題に対し、「心理リアリティ」「シェアド・リアリティ」といった「逆応用科学」からのアプローチを提案する。普遍的な社会課題への示唆に富む渾身の書。
【有斐閣の「 書斎の窓」の「自著を語る」コーナーから】

 本書で「逆応用科学」のもっともリアルな例題として扱ったのは、原発だった。日本で原発の過酷事故が起きた要因については、「原発ムラ」がばらまいた「安全神話」か大きかったとも言われている。だがそれ以前に、そもそも原発の安全管理とその経済が、ヒトの認知の本性にそぐわない。詳しくは本書を見てほしいのだが、安全管理の場面での「馴れ」、危機的状況でのパニック行動(まさに情動の解発!)、また原発経済の「今利益を上げ、ツケは将来に回す」近視眼的な経済論理(時間割引)などが、その具体的な中身だ。
 原発の問題がこのように「社会の制度がヒトの本性にそぐわない」顕著な例だとすると、本当なら心理学者が分析し、社会科学者や政治行政とも協力して処方箋を書くべきだろう。が、現実にはまったく機能していない。これを逆応用科学のアプローチに沿って徹底的に追求してみたらどうなるか。それを試みたのがこの本だ。


目次
序章 現代社会と「逆応用科学」のススメ
1章 「想定外」を科学する──原発問題では何が起きていたのか
2章 ヒトの認知の本性──なぜ安全に見えたのか
3章 心理リアリティと実態リアリティ──心は事実と乖離する
4章 実態を動かすシェアド・リアリティ──心理リアリティの共有と歪み
5章 カタストロフィをどう回避するのか


著者紹介
下條信輔[シモジョウ シンスケ]
1955年東京生まれ。1985年マサチューセッツ工科大学大学院修了(Ph.D.)。1986年東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。スミス・ケルトウェル視覚研究所ポスドク研究員、東京大学助教授などを経て、カリフォルニア工科大学生物学・生物工学部教授。京都大学こころの未来研究センター、東北大学脳科学センター、玉川大学脳科学研究所などでも特任・特命教授を務める。専門:知覚心理学、視覚科学、認知神経科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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Tao老子の教え あるがままに生きる--2017 [思考の型]

Tao老子の教え あるがままに生きる
著者名 老子 /[著] 
[訳]者名 安 冨 歩 [ヤストミ/アユミ あゆむ、も可] 
出版者 ディスカヴァー・トゥエンティワン
出版年 2017.6
46判: 18.8 x 12.8 x 2.5 cm;ページ数 255p

タイトル注記 奥付のタイトル:老子の教え
版注記 エッセンシャル版のタイトル:老子あるがままに生きる
価格 ¥1,620(本体¥1,500)
新潟市図書館収蔵 亀田館 NDC分類(9版) 124.22
ISBN 978-4-7993-2115-7
内容紹介 「ものごとは常に変化する。あなた自身もそうだ」「言葉に縛りつけられるな。言葉を縛りつけるな」「ただただ生きればいい」…。「東大話法」批判の安冨歩教授が、5年の歳月をかけて取り組んだ、渾身の「老子」新訳。

目次
Tao老子の教え.jpgものごとは常に変化する。あなた自身もそうだ。
言葉に縛りつけられるな。言葉を縛りつけるな。
確かなものにすがろうとするから不安になる。あやうさを生きよ。
あやうい状態からこの豊かな世界が生まれた。
この世界にはもともと、善悪も優劣もない。
言葉で世界を切り分けようとするな。
支配者が頭を回さなければ、うまく治まる。
「道」とは、ものごとを成り立たせる不可思議な力。
よく生きるには、感性を豊かにすればよい。
自らの内なる声に従え。〔ほか〕


著者    ※書籍に掲載されていた訳者などの紹介情報す。
安冨歩[ヤストミ/アユミ]
あゆむ、も可。東京大学東洋文化研究所教授。1963年生まれ。京都大学経済学部卒業後、株式会社住友銀行勤務。京都大学大学院経済学研究科修士課程修了。京都大学人文科学研究所助手、名古屋大学情報文化学部助教授、東京大学大学院総合文化研究科・情報学環助教授を経て現職


内容紹介
斬新な解釈が大反響を呼び、中国語や韓国語にも翻訳された『超訳 論語』。その著者・安冨歩東京大学東洋文化研究所教授が、今度は『老子』に挑んだ。五年の歳月をかけ、数多く存在するテキストの吟味と綿密な解釈とを経たうえで、可能な限りわかりやすく現代語訳したものが本書『老子の教え あるがままに生きる』だ。

二千数百年前に書かれた『老子』という書物は、具体的な人名や地名がまったく現れない、抽象的な議論に終始した内容であるにもかかわらず、長い年月にわたって東アジアの人々の思考の指針であり続けてきた。それはこの書物の内容の深さと広さとの証明である。また、欧米の知識人の興味を強く惹きつけ、そのキーワードである「道(タオ)」という言葉は広く流通している。世界全体を見渡せば、『老子』は『論語』よりもはるかに広く読まれ、大きな影響を与えているのだ。


『老子』がこれほど広く深い影響を与えた理由は、その抽象論が、単なる思考の遊戯ではなく、生きるための実践的意味を持っているからだ。その言葉を理解するための手掛かりは、本の中にではなく、私たちの生活の中にある。読者が、老子の言葉を手助けとして日々の困難を乗り越え、それらの経験によって言葉の意味を感じ取る、という過程が積み重ねられ、『老子』は二千数百年にわたって読まれてきた。


『老子』の思想の根幹は、その動的な世界観にある。つまり、世界のいかなるものも、動かないものとしてではなく、生まれ、変化し、滅ぶものとして理解する。そしてそれを、固定した動かし得ないものと思い込んでしまうことの危険性を、さまざまな角度から指摘し、粘り強く繰り返し、叱咤激励する。一度言われたらわかるようなことではなく、繰り返しとされなければ、私たちの中に入ってこないからである。そうすることで読む者は、ここに込められた知恵を、生活の中で把握し豊かに生きる道を見出すことができるようになるのである。

目次
ものごとは常に変化する。あなた自身もそうだ。

言葉に縛りつけられるな。言葉を縛りつけるな。

確かなものにすがろうとするから不安になる。
あやうさを生きよ。

この世界にはもともと、善悪も優劣もない。

言葉で世界を切り分けようとするな。

よく生きるには、感性を豊かにすればよい。

自らの内なる声に従え。

ただただ生きればいい。

最高の善は、水に似ている。

わかったつもりにならない。

有と無は互いに支え合って用をなす。

わが身を大切にすることがすべての始まり。

世界をありのままに見る。

下らぬ学識は人間の自由を奪うだけだ。

曲ったものこそが完全となる。

自分の本質から離れないでいる。

道は本来、名付けることもできない。

自らに勝つ者は他人に勝つ者よりも強い。

大きなことを為さないから、大きなことを成せる。

柔らかく弱いものが強いものに勝つ。

道に従えば、万物はありのままの姿を実現する。

有は無から生じる。

減らすと増えて、増やすと減る。

無為は有益である。

足るを知れ。

無理に健康になろうとすると衰える。

ものごとを知るには、言葉に頼るな。

無為無事によって天下を取る。

災いは福、福は災い。

人はそれぞれの道に従う。

執着しなければ失わない。

民は智ではなく愚をもって治めよ。

争うことがない者には争い得る者はいない。

大物は空気を読まない。

嫌々ながら戦う者が勝つ。

知らないということを知るのはすばらしい。

抑圧や暴力を捨てて、権力と威厳を得る。

天の網は、ゆったりしていて目が粗いというのに、何者をも見逃さない。


タグ:安冨 歩
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日本人はなぜ存在するか-2013;文庫2018 [思考の型]

日本人はなぜ存在するか

 著 與那覇 潤[ヨナハジュン]
集英社インターナショナル
 知のトレッキング叢書
B6判/ページ数 189p
価格 ¥1,080(本体¥1,000)
(2013/10発売)
新潟市図書館収蔵 新津館 NDC分類(9版) 361.42
集英社文庫 2018年5月 

文庫: 10.5 x 1.1 x 15.2 cm:240p
ISBN-13: 978-4087457391
発売日: 2018/5/18

定価 583円=540円+税


内容紹介 日本人は、日本民族は、日本史はどのように作られた? その問いに、歴史学、社会学、哲学、心理学から民俗学、文化人類学まで、様々な学問的アプローチを駆使して迫る。愛知県立大学の教養科目「日本の歴史・文化」を書籍化。
 書き下ろしの「解説にかえて 平成のおわりから教養のはじまりへ」が新たに加わって、文庫として再刊された。


 この本を通じて、「あなたは日本人ですか?」という一見、単純な問いへの答えも、それほど自明でないことを、知ってほしいとしていた。本書をつらぬくキーワードが「再帰性」である。近代社会は、「私たち自身の認識によって次々と新しい現実が生まれては、消えていく」。第10章では、「君たちはどう生きるのか」(吉野源三郎著)と、「構造と力」(浅田彰著)が同様に指摘することを敷衍し、「私たちが、私たち自身の意識を媒介としない「あるがままの自然」にしたがって生きることをやめ、みずからの周囲にある環境を再帰的に認識し、再構成し、同じ社会のメンバーのあいだだけで通用する現実を作り上げることを始めたときから、動植物とは異なる「人間」の歩みが始まった。それを自覚することが、この世界でよりよく生きるための基礎だ」と指摘する。


「解説にかえて」では、「再帰的な「みんな」に埋没しないために」で、「「人間」を単位に、因果関係で物事を捉えて、「よいことが起きたら「すごい人のおかげ」「嫌なことがあったら「悪いやつ」のせい」みたいな考え方はやめよう。むしろ私たち一人一人の「あいだ」で働いている、相互的なやりとりの結果としてもたらされる「再帰性」を主人公にして、社会で起きていることを捉えられるようになろう」と呼びかける。このような方向に、知性の可能性をみるという著者の姿勢に強く共感する。ぜひ一読をお勧めする。(渡部 晶)

目次
1 入門編―日本人論を考える(「日本人」は存在するか
「日本史」はなぜ間違えるか
「日本国籍」に根拠はあるか
「日本民族」とは誰のことか
「日本文化」は日本風か)
2 発展編―日本人論で考える(「世界」は日本をどう見てきたか
「ジャパニメーション」は鳥獣戯画か
「物語」を信じられるか
「人間」の範囲はどこまでか
「正義」は定義できるか)

日本人はなぜ存在するかOL.jpg

著者等紹介
與那覇潤[ヨナハジュン]
1979年生まれ。発刊時は愛知県立大学日本文化学部歴史文化学科准教授。東京大学教養学部超域文化科学科卒業、同大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了。専門は日本近現代史





評者

渡部 晶

本書は、2013年10月に、集英社インターナショナルのシリーズ「知のトレッキング叢書」(高校生から大人まで、これから知の山脈を歩き始める人たちに向けた新しいタイプの叢書)の1冊として出版されたが、今回、書き下ろしの「解説にかえて 平成のおわりから教養のはじまりへ」が新たに加わって、文庫として再刊されたものである。

著者の與那覇潤氏は、1979年生で、東京大学教養学部・同大学院総合文化研究科博士課程を終了後、2007年から15年まで愛知県立大学准教授であった。日本近現代史を専門とする。このときに教養科目の授業で担当している講義を1冊にまとめたものが本書である。

與那覇氏の著作については、ファイナンス2013年10月号で、東島誠氏との共著「日本の起源」(太田出版)、同2015年1月号で、「中国化する日本 増補版」(文春文庫)を紹介している。また、三谷博氏に学部以来指導を受け、博士論文をもとにした「翻訳の政治学 近代東アジア世界の形成と日琉関係の変容」(岩波書店 2009年)は、「翻訳」(言語行為を通じて同一性を創造する文化実践)に着目して、「琉球処分」についての東アジアの国際秩序の中での受け止めや、大正期の沖縄の本土への「同化」について、斬新な視点を提示した画期的な著作で、本書第4章にその成果も盛り込まれている。

次々と話題作を世に問うた與那覇氏であったが、2014年春にうつ状態と診断され、2015年から2年間の休職を経て、17年に大学を辞している。最近、本を書くまでに回復し、そのうつ体験と同時代史を綴った最新作「知性は死なない―平成の鬱をこえて」(文藝春秋2018年4月)は、主要紙の書評欄などで大きく取り上げられ、大変な話題作となっている。

本書の構成は、「introduction グローバル時代の「教養」とは何か」、「Part1 入門編 日本人論を考える」(第1章「日本人」は存在するか、第2章「日本史」はなぜ間違えるか、第3章「日本国籍」に根拠はあるか、第4章「日本民族」とは誰のことか、第5章「日本文化」は日本風か)、「Part2 発展編 日本人論で考える」(第6章「世界」は日本をどう見てきたか、第7章「ジャパニメーション」は鳥獣戯画か、第8章「物語」を信じられるか、第9章「人間」の範囲はどこまでか、第10章「正義」は定義できるか)、「解説にかえて」などとなっている。歴史学だけでなく、心理学や社会学などの様々な「知の光」が当てられる。

単行本時の担当者は、この本を通じて、「あなたは日本人ですか?」という一見、単純な問いへの答えも、それほど自明でないことを、知ってほしいとしていた。本書をつらぬくキーワードが「再帰性」である。近代社会は、「私たち自身の認識によって次々と新しい現実が生まれては、消えていく」。第10章では、「君たちはどう生きるのか」(吉野源三郎著)と、「構造と力」(浅田彰著)が同様に指摘することを敷衍し、「私たちが、私たち自身の意識を媒介としない「あるがままの自然」にしたがって生きることをやめ、みずからの周囲にある環境を再帰的に認識し、再構成し、同じ社会のメンバーのあいだだけで通用する現実を作り上げることを始めたときから、動植物とは異なる「人間」の歩みが始まった。それを自覚することが、この世界でよりよく生きるための基礎だ」と指摘する。

「解説にかえて」では、「再帰的な「みんな」に埋没しないために」で、「「人間」を単位に、因果関係で物事を捉えて、「よいことが起きたら「すごい人のおかげ」「嫌なことがあったら「悪いやつ」のせい」みたいな考え方はやめよう。むしろ私たち一人一人の「あいだ」で働いている、相互的なやりとりの結果としてもたらされる「再帰性」を主人公にして、社会で起きていることを捉えられるようになろう」と呼びかける。このような方向に、知性の可能性をみるという著者の姿勢に強く共感する。ぜひ一読をお勧めする。


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文化人類学の思考法-2019 [思考の型]

文化人類学の思考法ー2019/04/30
著者 松村 圭一郎 編、中川 理 編、石井 美保 編
出版社: 世界思想社
判型・ページ数 4-6: 13 x 1.5 x 18.6 cm・224ページ
出版年月日 2019/04/30

ISBN  978‐4790717331
定価 本体1,800円+税
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はじめに(抜粋)

考えるって、めんどうくさい。限られた人生、細かいことは気にせず、ぼぉっと気楽に生きていたい。学問を仕事にしていても、ときどきそう思うことがある。

毎日、テレビやインターネットから、たくさんの情報が降り注いでくる。あきれてしまう報道も多い。なんでそうなるんだ、と怒りが込み上げてくる。そんなとき、どうすれば世の中が少しはましになるのか考えなければ、という気になる。でも同時に、考えてもしかたない、何も変わらない、聞かなかったことにしよう、と誘惑する声も聞こえてくる。

考えるためには、時間の余裕が必要だ。気力や体力もいる。でも、それだけではない。なにより、筋道をたてて思考するための「方法」がいる。うんうんとひとりで頭をひねりまわしても、考えは深まらない。

考えるために役立つ道具箱をつくりたい。しかも、文化人類学というユニークな学問が育ててきた思考の道具がたくさん詰まった道具箱を。この本は、そんな思いで編集された。
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目次
文化人類学の思考法_.jpgはじめに すべての考える人のために

序  論 世界を考える道具をつくろう  (松村圭一郎・中川理・石井美保)

第I部 世界のとらえ方

 1 自然と知識――環境をどうとらえるか?(中空 萌)
 2 技術と環境――人はどうやって世界をつくり、みずからをつくりだすのか(山崎吾郎)
 3 呪術と科学――私たちは世界といかにかかわっているのか(久保明教)
 4 現実と異世界――「かもしれない」領域のフィールドワーク(石井美保)

第II部 価値と秩序が生まれるとき
 5 モノと芸術――人はなぜ美しさを感じるのか?(渡辺 文)
 6 贈り物と負債――経済・政治・宗教の交わるところ(松村圭一郎)
 7 貨幣と信用――交換のしくみをつくりだす(深田淳太郎)
 8 国家とグローバリゼーション――国家のない社会を想像する(中川 理)
 9 戦争と平和――人はなぜ戦うのか(佐川 徹)

第III部 あらたな共同性へ
 10 子どもと大人――私たちの来し方、行く先を見つめなおす(高田 明)
 11 親族と名前――関係している状態をつくるもの(髙橋絵里香)
 12 ケアと共同性――個人主義を超えて(松嶋 健)
 13 市民社会と政治――牛もカラスもいる世界で(猪瀬浩平)

参考文献
もっと学びたい人のためのブックガイド
索  引


○コラム
1 認識人類学の展開 分けることと名づけること(中空 萌)
2 ブルーノ・ラトゥール STSと人類学(山崎吾郎)
3 スタンレー・タンバイア 呪術・科学・宗教(久保明教)
4 合理性論争(石井美保)
5 岡本太郎 境界線を吹き飛ばす爆発(渡辺 文)
6 マルセル・モース 贈与論のその先へ(松村圭一郎)
7 貨幣の多義性(深田淳太郎)
8 フーコー権力論と人類学(中川 理)
9 日常的暴力と日常的平和(佐川 徹)
10 生業と子育て(高田 明)
11 あらたな親族研究の潮流(髙橋絵里香)
12 民族誌、実践誌、人類学(松嶋 健)
13 デヴィッド・グレーバー アナキズムと人類学(猪瀬浩平)


著者について
松村圭一郎(まつむら けいいちろう)
岡山大学大学院社会文化科学研究所准教授。フィールドは、エチオピア、中東。研究テーマは、所有と分配、経済人類学。著書に『所有と分配の人類学』(世界思想社)、『うしろめたさの人類学』(ミシマ社)。

中川理(なかがわ おさむ)
立教大学異文化コミュニケーション学部准教授。フィールドは、フランス。研究テーマは、市場・国家・周縁性の民族誌。著書に『移動する人々:多様性から考える』(晃洋書房、共編著)

石井美保(いしい みほ)
京都大学人文科学研究所准教授。フィールドは、タンザニア、ガーナ、インド。研究テーマは、宗教実践、環境運動。著書に『精霊たちのフロンティア』(世界思想社)、『環世界の人類学』(京都大学学術出版会)。


カバーデザインは、BOOTLEG(スープ・デザインより商号変更)の尾原史和氏
本の内容にあわせて、視点を変えるといろいろなものに見えてくる図形を掲載。
さわって開くとわかる、「あたりまえ」を覆すカバー。


タグ:文化人類学
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