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自発的隷従の日米関係史: 日米安保と戦後 単行本 – 2022/8/11 [対USA]

71q5Zslg+OL.jpg自発的隷従の日米関係史
: 日米安保と戦後
?(著)松田武[マツダタケシ]
?? 岩波書店 
発刊日?? : ? 2022/8/11??
: ? 222ページ
ISBN-13 ? : ? 978-4000615518

内容紹介

本書では、日米関係を「イコール・パートナーシップ」とは程遠いものにさせている二国間関係の [レジスタードトレードマーク]桔の原因を明らかにするために、過去にも触れながら両国の政治?文化?思想?価値観などを中心に考察したい。そして、戦後から今日に至る日本政府の対米追随、もしくは対米従属や対米 ^従と言われる対米姿勢は、政府あるいは国民が、それとも双方が、主体的に選んだ選択肢なのか、それとも米国の圧力の下で選ばざるを得なかった選択肢なのかの問いについても考えてみたい。
米国は、一八五三年の黒船の来航以来、わが国《日本》にとって太平洋を挟んだ重要な隣国であり、それゆえに研究者はもちろんのこと、国民にとっても大きな関心の的であり続けている。
《米国にとっては重要な隣国と認識されてきたか》
筆者は、軍事 (安全保障 )、経済、文化の三要素が、「糾える縄のように」縫り合わさり、三位一体となって日米関係をつくり上げている、と捉えている。
米国の対日政策は、「善意からではなく、明確に自覚した自らの国益に基づいた」ものであり続ける、と。なぜならば、米国はこれまでと同じようにこれからもあくまで国益優先の立場から日本を眺め続けていく。
米国では、日本研究者や一部のインテリ以外は、政府関係者およびマスコミ関係者を含め国民の大半が、日本人が米国を知っているほどには「日本について知らない」とい、っことである。このインフォメーション・ギヤツプが、これまで日米両国の関係に少なからず影響を及ぼしてきた。
戦後日米関係について筆者は、日米関係の第一の行為主体が米国で、第二の行為主体が日本の保守勢力、そして第三の行為主体が日本の国民と考えている。
第一の行為主体としての米国―――その横顔
米国は、独立を達成してからーー〇世紀前半まで、大西洋と太平洋とい、音然の障壁により国の安全が守られたため、孤立主義の伝統を保ってきた。その方針は、初代米大統領ワシントンの「告別演説」 (一七九六年 )にはっきりと見て取れる。しかし、ーー〇世紀に入ると、米国は第一次と第二次の世界大戦に参戦することになった。その経験から、米国は孤立主義の高い代価を払う一方、他方で貴重な教訓も学んだ。
《 孤立主義を辞めた米国内の要因は何か。》
 その教訓の一つが、独裁者に毅然とした態度をとることの重要性と、「力による平和の維持」に関する教訓である。すなわち、独裁者には妥協することなく断固反対し、そして、事態が戦争に発展するならば軍事力をフルに動員して、独裁者の野心を完膚なきまで打ち砕くことであった。その教訓の背景には、ー九三八年の英国の宥和政策が、第二次世界大戦勃発の大きな引き金となったという反省があった。
《 南中米諸国の独裁者は・・・・》
もう一つの教訓は、国の安全を確かなものにするには、臨戦態勢の周到な準備 ( Prepdness )と、将兵がひと時も気を緩めることなく緊張感を持ち続けることの重要性であった。これまでこの教訓は、米国人がー九四一年の「真珠湾奇襲攻?」の反省から学んだものと説明されてきた。それに異議を唱えるわけではないが、筆者は、同時に、「真珠湾奇襲攻?」事件によって、米国人に共有されたピューリタン的世界観の正しさが再確認され、米国人の心底にさらに強固に根付くことになつたと考えている。ところで、ピューリタン的世界観とは、「片時も警戒心を緩めてはいけない。だ

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米兵はなぜ裁かれないのかー信夫 隆司著 [対USA]

4622090384.jpg米兵はなぜ裁かれないのか
信夫 隆司【著】
みすず書房
(2021/09発売)
サイズ 46判/ページ数 291p/高さ 20cm
商品コード 978-4622090380
新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート NDC分類 319.53
出版社内容情報
1995年の米兵による沖縄での少女暴行事件をきっかけに、日米は地位協定の運用を改善した。しかし、その後もつづく米兵による犯罪の多くは、おもに「公務」を理由に日本に裁判権のないまま、被害者や関係者も知らないまま、闇に葬り去られている。なぜこのような実状になるのか。
本書は、刑事裁判権を中心に、NATO軍地位協定やフィリピン、韓国、アイスランド、オランダ、そして日本と同じように敗戦・占領期をへたドイツの事情などを具体的事例にもとづいて検討しながら、またアメリカや米軍の基本方針も考慮に入れつつ、日米行政協定・地位協定下の米兵犯罪の実態を実証的に明らかにするものである。そのうえで、実現可能な日米地位協定の改善策をいくつか提示する。
このような比較考察をへて浮き彫りになるのは、各国の法制度との共通性や違いをこえて、日米同盟をより強固にするべくアメリカにすり寄り、沖縄にほぼすべての犠牲を強いる日本の現実であろう。日米地位協定とその背後をより深く考えるために、国際的視点から考察した類のない書である。

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目次
刑事裁判権問題とは何か
第1部 変わる地位協定(日米地位協定の運用改善;米比軍事基地協定の失効;米韓地位協定の改正)
第2部 変わらない地位協定(公務犯罪;刑事裁判権放棄;身柄拘束)
<>刑事裁判権条項をどのように変えるか
著者等紹介
信夫隆司[シノブたかし]
1953年山形生まれ。日本大学大学院法学研究科修士課程、Portland State University 大学院政治学研究科修了。博士(政治学)。日本大学特任教授。専攻、国際政治学・国際関係史。著書『米軍基地権と日米密約―奄美・小笠原・沖縄返還を通して』(岩波書店2019年、一般財団法人櫻田會特別功労賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


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アメリカに潰された政治家たちー孫崎 享 著 [対USA]

81YsdFAbGaS.jpg アメリカに潰された政治家たち
孫崎 享 著
河出書房新社
河出文庫 文庫 ● 240ページ ISBN:978-4-309-41815-5 ● Cコード:0195
発売日:2021.05.06
内容紹介
日本の戦後対米史は、追従の外交・政治史である。なぜ、ここに描かれた政治家はアメリカによって消されたのか。沖縄と中国問題から、官僚、検察、マスコミも含めて考える。岸信介、田中角栄、小沢一郎…。
2012年出版本・新潟市立図書館収蔵本で、岸信介、田中角栄、小沢一郎を特記したものですが、小沢、鳩山由紀夫に関する部分等増補し文庫化。
◉目 次

文庫版のためのまえがきーー隷属者が隷属せざる者を排除する
 陰謀論なのか/アメリカに潰された海外の政治家たち/隷属体質国ニッポン

序章 官邸デモの本当の敵
 「日本国総理大臣」は誰が決めるのか/官邸デモが突きつける「野田政権打倒」
 1960年安保闘争との違い/原発依存も1960年に始まった

第1章 岸信介と安保闘争の真相
1. 安保闘争神話の大ウソ
 「岸信介=対米追随」の誤り/「アメリカは自分の力を借りに来る」
 安保という不平等条約/岸信介CIA工作員説の真相/対米追随の基礎を作った吉田茂
 安保闘争を工作したのは誰か/岸政権打倒のシナリオ
2. 岸信介とCIAの暗闘
CIAは岸を警戒していた/「中国との関係改善」は虎の尾
3. メディア・官僚の対米追随体制
 メディアも岸政権打倒に加担した/論説主幹とアメリカとの関係/アメリカによる官僚支配
 対米自主派官僚は消えた/アメリカは日本の国益などどうでもいい

第2章 田中角栄と小沢一郎はなぜ葬られたのか
1. 田中角栄が踏んだ「本当の虎の尾」
 角栄はなぜ狙われたのか/日中国交正常化が主因だった
 またもやアメリカ、メディア、政界の連動/中曽根も認めた異常な裁判
2. 最後の対米自主派、小沢一郎
 角栄に学んだ小沢の「第七艦隊発言」/小沢裁判とロッキード事件の酷似
 東京地検特捜部とアメリカ
3. アメリカにNOと言った政治家たち
 鳩山由紀夫に流れる自主派の血/アメリカからの露骨な恫喝/竹下登も潰された政治家だった
 サダム・フセインもアメリカに切り捨てられた
〈増補 4. 〉小沢・鳩山首相潰し
 小沢潰し① 危険なチャレンジャーに対する東京地検、メディア
 小沢潰し② 人物破壊キャンペーン
 鳩山潰し① 日本の対米政策の変更を許さないと述べたヒラリー・クリントン国務長官
 鳩山潰し② 鳩山政権発足時、米国はどのような圧力をかけたでしょうか
 鳩山潰し③ 外務省は早々に、局長や事務官が在京米国大使館と、
       鳩山首相の意向に沿わない意思表示をしています
 鳩山潰し④ 「トラスト・ミー」を誰が間違って新聞にリークしたのでしょうか
 鳩山潰し⑤ 鳩山元首相を貶める報道は今日も続いています

第3章 戦後最大の対米追随政権
1. オスプレイが示した野田政権の本性
 「日本がどうしろという話ではない」/橋本龍太郎は戦った/米軍完全撤退を主張した重光葵
2. 日米地位協定という不平等条約
 レイプされても起訴できない/アメリカに日本を守る義務はない
 米軍基地は自動的に延長される
3. TPPで日本経済が崩壊する
 菅直人の「第三の開国」暴言/TPPの大きなデメリット/中国外交官スパイ事件の真相
4. 尖閣問題で得するアメリカ
 アメリカに尖閣諸島を守る気はない/尖閣上陸で浮上する「在日米軍必要論」
 北方領土はアメリカが仕込んだ火種/尖閣・竹島を外交カードに利用

終章 本当の「戦後」が終わるとき
 吉田茂名宰相論の正体/60年にわたって続いた対米追随
 アーミテージ・リポートが評価した原発再稼働/60年体制のほころび
 民意が変われば政治が変わる

特別付録 アメリカと戦った12人の政治家
 鳩山一郎/石橋湛山/重光葵/芦田均/岸信介/佐藤栄作/田中角栄/竹下登/梶山静六/橋本龍太郎/小沢一郎/鳩山由紀夫
文庫版のためのあとがきーーアメリカに潰される政治家は今後も必ず出る
著者
孫崎 享 (マゴサキ ウケル)
1943年生まれ。元外交官。現在、外交・政治評論家。著書に、『戦後史の正体』『日本外交 現場からの証言』『日米同盟の正体』『日本の国境問題』など。

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アメリカ侵略全史 =ウィリアム・ブルム/著 -- 作品社 -- 2018;12 [対USA]

アメリカ侵略全史 ーー第2次大戦後の米軍・CIAによる軍事介入・政治工作・テロ・暗殺

91jGEWtpc-L縮.jpg原著2014年版の翻訳 Killing Hope: US Military and CIA Interventions Since World War II
「希望を殺すこと: 第二次世界大戦以降の米軍とCIAによる介入」

ウィリアム・ブルム /著, 益岡 賢 /訳, 大矢 健 /訳, いけだ よしこ /訳  
出版者 作品社
A5判/ページ数 722p/高さ 22cm
ISBN 978-4-86182-689-4
出版年 2018.12

新潟市図書館収蔵 中央・ホンポート館 二階 /319.5/ブル/
県立図書館収蔵 

内容紹介
アメリカが、第2次大戦後に世界中で行なった政治的・軍事的介入の包括的な記録。アメリカが「民主主義」の名のもとに、世界の“民主主義の希望”を、いかに残虐な方法で圧殺してきたかを明らかにする。
クーデター、社会不安定化、選挙工作、死の部隊、虐殺者の養成、拷問、洗脳、テロ、暗殺、麻薬密売、拉致、盗聴……

本書は、米国で「最も検閲を受けたジャーナリスト」と言われる著者ウィリアム・ブルムが、50年近くにわたって綿密に調べ上げた、米国による第2次大戦以降の侵略行為の包括的な歴史である。ここには、米国が「民主主義」の名のもとに、世界の“民主主義の希望”を、いかに残虐な方法で圧殺してきたかが、完膚なく明らかにされている。他に類のない書として、世界10カ国で翻訳刊行され、米国の真の姿を知るための基礎資料として、高い評価を得ている。

目次

新版への序文 アメリカは常に「敵」を求めている―共産主義者からジハーディストへ、そして…
序文 第二次大戦後、米国は世界の人々に何をしてきたのか?
中国 1945年~1960年代―毛沢東は、パラノイアに冒されていただけなのか?
イタリア(1)1947~1948年―ハリウッド・スタイルの自由選挙
ギリシャ(1)1947年~1950年代初め―誕生した“民主主義国家”が、“雇われ国家”に変貌するまで
フィリピン 1940年代~1950年代―アメリカの最も古い植民地
朝鮮 1945~1953年―事態は見えていたままのものだったのだろうか?
アルバニア(1)1949~1953年―由緒正しき英国人スパイ
東ヨーロッパ 1948~1956年―「オペレーション・スプリンター・ファクター」
ドイツ 1950年代―青少年の非行からテロリズムまで、何でもあり〔ほか〕

著者等紹介

ウィリアム・ブルム [William Blum ]
1933年、ニューヨーク生まれ。米国政府の対外政策を、一貫して批判的に分析・報道しつづけているジャーナリスト。2018年12月初めに85歳で永眠
1960年代半ば、アメリカ国務省の外交担当部門に勤務。当初は反共派で、外交官を目指していたが、ベトナム戦争の真実を国務省内部の情報で知ったことにより幻滅し、1967年に辞職。辞職後、アメリカが行なっている戦争犯罪・国家犯罪を明らかにするために、ワシントン初の独立系の新聞『ワシントン・フリープレス』を創刊するが、FBIの圧力で廃刊に追い込まれる。1969年、秘密のベールに包まれていたCIAの内部を暴く告発書を刊行。200人以上のCIA工作員の名と住所を公開して波紋を呼ぶ。

その後、米国やヨーロッパ、南米などで、フリー・ジャーナリストとして活動し、1972~73年には、チリに滞在し、アジェンデ政権の「社会主義の実験」と、CIAが計画した軍事クーデターによるその崩壊を、現地からリポートしつづけ世界に真実を訴えた。1970年代半ばには、元CIA職員フィリップ・アジェとともに、ロンドンで、CIAの職員・エージェントとその犯罪を暴露するプロジェクトを立ち上げ、その謀略や暗殺計画を明らかにしていった。1980年代後半には、映画監督オリバー・ストーンとともに、米国外交の真実についてのドキュメンタリー映画の製作に乗り出した。1998年に発表した、米国がイラクの生物兵器・化学兵器のための原料を提供していたという記事は、米国で「最も検閲を受けた事実」として、米国のメディア団体「プロジェクト検閲」から「模範的ジャーナリスト賞」を授与された。現在は、ふたたびワシントンに住み、書籍や記事の執筆活動を行なっている

益岡賢[マスオカ ケン]
翻訳家。1990年から東ティモールの連帯運動に参加

大矢健[オオヤ タケシ]
明治大学理工学部准教授。専攻:アメリカ文学

いけだよしこ[イケダ ヨシコ]
著述・翻訳に従事
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

益岡賢氏より 

もちろん、「アメリカはこういうことをしている」は、「こういうことをしているのはアメリカだけ」という意味にはなりません(「みかんは果物である」は、「果物はみかんだけである」にはならないし、「みかんだけが果物だ」にもならない)。けれども「アメリカはこういうことをしている」ことにかわりはないわけです。そしてアメリカは実際問題として「唯一の超大国」。

まあ、この情勢下、個人的には、アメリカ以外のcovert operationの当事国についてもどんどん調査・記録が進んでほしいと思っているのですが。原著の出版は2003年、まさにイラク戦争の時期(ウィキリークス以前、エドワード・スノーデン以前)で、その後に明らかになったことはこの本には含まれていません。内容はタイトル通りで、全56章プラス序章や補章からなる、全部で700ページを超える分厚い本です。しかも上下二段組。原注もそのまま入れていますし、訳注もがっつり入れたので、みっちり詰まってます。むしろ、詰まりすぎ。
著者のWilliam Blum氏(正しくは「ブラム」と読むらしい)は、残念なことに2018年12月初めに85歳で永眠され、ご本人によるこの本のアップデートは望むべくもなくなりましたが、こういった記録・分析(特に公的文書に基づいた記録・分析)の仕事は世代を超えて継続されていくと信じています。

ジョン・ダワー『アメリカの暴力の世紀』(ハードカバー)との比較写真です。ダワーの本が理論的なまとめとすれば、ブルムのこの本は実証的というか資料を丹念に読み込み、細かく引用した検証と言えるかもしれません。

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永続敗戦論―戦後日本の核心=白井 聡 (著) – 2013刊、-2016刊、追記 消えた「戦争と終戦」の記憶について [対USA]

永続敗戦論―戦後日本の核心  白井 聡(著)=(しらい サトシ)

永続敗戦論―戦後日本の核心2013_001.jpg出版社: 太田出版
(atプラス叢書)
判型:B6縦:20cm:221ページ
ISBN-13:978-4778313593
販売開始日: 2013/03/09
価格 ¥1,836(本体¥1,700
新潟市図書館収蔵 中央・ホンポート館  2階社会 書架09 /319.1/シラ/



永続敗戦論―戦後日本の核心-2016_.jpg出版社名:講談社
(講談社プラスアルファ文庫)
判型:文庫: 15 x 10.6 x 1.5 cm:295ページ
ISBN-13:978-4062816519
発行年月日:2016/11/17
価格¥842(本体¥780)

新潟市図書館収蔵 中央・ホンポート館  1F文庫 書架36 /319.1/シラ/


要旨(「BOOK」データベースより)

「永続敗戦」それは戦後日本のレジームの核心的本質であり、「敗戦の否認」を意味する。国内およびアジアに対しては敗北を否認することによって「神州不滅」の神話を維持しながら、自らを容認し支えてくれる米国に対しては盲従を続ける。敗戦を否認するがゆえに敗北が際限なく続く―それが「永続敗戦」という概念の指し示す構造である。今日、この構造は明らかな破綻に瀕している。1945年以来、われわれはずっと「敗戦」状態にある。「侮辱のなかに生きる」ことを拒絶せよ。


出版社・講談社からのコメント

アメリカに服従しつつ「敗戦の否認」を続ける戦後日本の欺瞞性を暴き、その終焉を宣言した衝撃の書。今こそ侮辱のなかの生を拒絶せよ
アメリカに服従しつつ「敗戦の否認」を続ける戦後日本の欺瞞性を暴き、その終焉を宣言した衝撃の書。今こそ侮辱のなかの生を拒絶せよ米国に対する敗戦を骨の髄まで内面化する対米無限従属と、一方でアジアに対する敗戦否認。戦後から内在し、今日顕在化してきた現代日本のねじれた姿を「永続敗戦レジーム」と喝破し、各界に衝撃を与えた注目書、待望の文庫化。


内容紹介

米国に対する敗戦を骨の髄まで内面化する対米無限従属と、一方でアジアに対する敗戦否認。
戦後から内在し、今日顕在化してきた現代日本のねじれた姿を「永続敗戦レジーム」と喝破し、各界に衝撃を与えた注目書、待望の文庫化。
「永続敗戦」。それは敗戦後、「平和と繁栄」の物語のもとで連綿と続き、その物語が失われようとするいま、露になってきた戦後日本体制のグロテスクな姿。それは、米国に対する敗戦を骨の髄まで内面化する対米無限従属と、一方でアジアに対する敗戦否認として表れる。負けを正面から認めないがゆえに、さらなる敗戦を招く。現政権下でさらに進む「永続敗戦レジーム」を解く。
解説・進藤榮一


著者紹介(「BOOK著者紹介情報」より)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

白井 聡(シライ サトシ)
1977年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位修得退学。博士(社会学)。専攻は政治学・社会思想。日本学術振興会特別研究員等を経て、京都精華大学人文学部専任講師。『永続敗戦論―戦後日本の核心』(太田出版)で第4回いける本大賞、第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞


目次(「BOOK」データベースより)

永続敗戦論―戦後日本の核心-2016b_.jpgエピローグ―三つの光景

目次
第一章 「戦後」の終わり
第一節 「私らは侮辱のなかに生きている」――ポスト3・11の経験
第二節 「戦後」の終わり
第三節 永続敗戦

第二章 「戦後の終わり」を告げるもの――対外関係の諸問題
第一節 領土問題の本質
第二節 北朝鮮問題に見る永続敗戦

第三章 戦後の「国体」としての永続敗戦
第一節 アメリカの影
第二節 何が勝利してきたのか?

エピローグ――三つの光景


関連 消えた「戦争と終戦」の記憶についてーー1945予定された敗戦  =小代有希子/著より

 追記に

消えた「戦争と終戦」の記憶について


タグ:対米従属
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空洞化と属国化―日本経済グローバル化の顛末--2017 [対USA]

空洞化と属国化―日本経済グローバル化の顛末
【著】坂本雅子[サカモトマサコ]

新日本出版社(2017/09発売)
 A5判: 22 x 16 x 3.6 cm/ページ数 776p
発売日: 2017/9/23
ISBN-13: 978-4406061612
価格 ¥6,048(本体¥5,600)


新潟市図書館収蔵 中央・ホンポート館2F NDC分類 332.107
 
内容紹介
総崩れの電機、崖っぷちの国内自動車生産、20年も停滞してきた日本経済。政府の成長戦略はそれらに効果的な対策を取れているか。米国企業とファンドに日本市場を開放、年金基金にも手をつけ、さらに集団的自衛権行使にまで進んだのはなぜか。変容しつつある日本経済の現状と、その陥った二つの危機の正体を明らかにする。

崩れと変容、建前と思惑。現実の奥にある闇に迫る。

目次
空洞化と属国化0_.jpg序章 日本経済と産業空洞化
第1章 日本電機産業の敗北―生産の海外移転が行きつくところ
第2章 自動車産業は空洞化するか
第3章 成長戦略と日本経済―インフラ輸出戦略で空洞化は止められない
第4章 安倍成長戦略・「日本再興戦略」の本質
第5章 インフラ輸出と「安全保障」の一体化―安倍内閣期のインフラ輸出
第6章 空洞化、属国化の協定・TPPと米国のアジア回帰戦略


電機産業、自動車産業の海外移転、財界のインフラ輸出と成長戦略、米国から日本への規制緩和の要望と安倍政権の政策、安倍政権の安全保障政策と財界の海外生産の関係、その背後にあるアメリカの要請、TPPの本質などをあらゆる文献と資料にあたり尽し、その本質は「空洞化と属国化」だとズバリ指摘しています。坂本先生の研究方法は、「私は研究を始めるとき、テーマに関する研究書や論争は山ほど読みますが、最初にテーゼ(命題)を設定するのではなく、資料や事実にまず当たりつくすことを何よりも優先して研究してきました」(「経済」12月号より)と述べておられるように、実に徹底しています。


【国際アジア共同体学会第5回岡倉天心賞 推薦文】本書は、日本経済が長期停滞から抜け出せず、国内総生産の上昇が進まない中で、日本企業の海外進出が急速に進み、海外設備投資が急増している状況を具体的な事実をもとに実証的に論じた書である。親企業のみならず下請け企業も海外進出するようになり、80年代に日本を世界最大の債権国に押し上げた輸出力が急速に落ち込み、国内製造業の就業者数や出荷額も減少し、産業空洞化が進んでいる。
この書では、そうした日本経済の停滞の要因を産業の空洞化とアメリカへの従属化に求め、具体的な資料を駆使しながら詳細に分析を進めている。産業の空洞化として注目される産業として、電機産業と自動車産業を取り上げ、それら産業の海外展開による競争力の低下について、各社の経営戦略まで立ち入って分析し、現在、日本政府と大企業が力を入れている安全保障政策と一体となったインフラ輸出についても、その危険性を説得的に議論している。
この書では、アメリカ政府による日本に対するさまざまな要望が、日本経済の停滞に導いたことについて、具体的事実に基づいた議論が進められている。1994年から毎年取り交わされることになった「要望書」の内容に沿って実行されたさまざまな規制改革が、日本の経済社会システムをグローバル資本に都合のよいように改変してきたことは周知の事実だが、本書では、日本経済の米国流「機関投資家資本主義」への転換が、日本企業のかつての競争力をそぎ、ひいては日本経済の停滞を招いた要因となったことも説得的に論じられている。グローバル化と米国への従属が経済の停滞を招いた以上、それからの脱却は、日本のモノづくりの技術を生かしながら、自立的な産業構造の構築を目指すことによってなされるべきであろう、本書では、各国政府、外務省、民間有識者らの共同によって構想され、現実化しつつあった「東アジア共同体」について、「戦後の長きにわたり米国による戦争、介入、戦略に翻弄され、また社会主義国と資本主義国という分断で反目を強いられてきたアジアが、はじめて協力・団結して一致した協調体制を築こうとした画期的な動きでもあった」(本書644㌻)という積極的評価を下している。
本書を、国際アジア共同体学会第5回岡倉天心賞につよく推薦したい。(萩原伸次郎:学会顧問、横浜国立大学名誉教授)

著者等紹介
坂本雅子[サカモトマサコ]
名古屋経済大学名誉教授。一橋大学大学院・社会学研究科博士課程修了。社会学博士(学術博士)。一橋大学助手、札幌学院大学助教授、名古屋経済大学教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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国体論 菊と星条旗 (著)白井 聡(集英社新書) – 2018 [対USA]

国体論 菊と星条旗 (集英社新書) 新書 – 2018/4/17
白井 聡  (著)

出版社: 集英社
(集英社新書)
新書判: 17.2 x 10.8 x 2.2 cm: 347+5ページ
ISBN-13: 978-4087210286
発売日: 2018/4/17
価格 ¥1,015(本体¥940)

新潟市図書館収蔵  NDC分類(9版) 155


内容紹介
天皇とアメリカ
誰も書かなかった日本の深層!
明治維新から現在に至るまで、日本社会の基軸となってきたものは「国体」である--。
象徴天皇制の現代社会で「国体」? それは死語ではないのか? 否、「国体」は戦後もこの国を強く規定している。一九四五年八月、大日本帝国は「国体護持」を唯一の条件として敗戦を受け容れた。ただし、その内実は激変した。「戦後の国体」とは、天皇制というピラミッドの頂点に、アメリカを鎮座させたものなのだ。
なぜ、かくも奇妙な「国体」が生まれたのか。「戦後の国体」は、われわれをどこに導くのか。『永続敗戦論』の白井聡による、衝撃作!


国体論 菊と星条旗 (集英社新書)  – 2018_.jpg目次
第1章 「お言葉」は何を語ったのか
第2章 国体は二度死ぬ
第3章 近代国家の建設と国体の誕生(戦前レジーム:形成期)
第4章 菊と星条旗の結合―「戦後の国体」の起源(戦後レジーム:形成期1)
第5章 国体護持の政治神学(戦後レジーム:形成期2)
第6章 「理想の時代」とその蹉跌(戦後レジーム:形成期3)
第7章 国体の不可視化から崩壊へ(戦前レジーム:相対的安定期~崩壊期)
第8章 「日本のアメリカ」―「戦後の国体」の終着点(戦後レジーム:相対的安定期~崩壊期)
終章 国体の幻想とその力


『国体論 菊と星条旗』刊行にあたって 白井 聡
 もうすぐ平成時代が終わります。後世の歴史家はこの時代をどう規定するだろうか。その答えはすでに出ています。「きわめて愚かな時代」――これしかありえません。「失われた20年(否、30年)」は、ほぼ平成と重なるのですから、平成時代は丸ごと「失われた時代」なのです。
 しかも、平成が終われば「失われた時代」も自動的に終わる、などという保証はどこにもありません。日本の現状は、「極東バナナ共和国」あるいは「一等国だと思い込んでいる四等国」といった酷いものであり、現在の日本人は、言うなれば、精神的な複雑骨折の状態にあります。
 平成の終わりに加えて、日本の近代は、間もなく(2022年に)154歳を迎えます。2022年という年がなぜ重要なのでしょうか。
 周知のように、日本の近代史は、1945年という大きな転回点を持っています。その年に日本は敗戦し、それをきっかけとしていわゆる民主化改革が行なわれ、「国のかたち」が大きく変わったために、私たちはその時点から現在までを「現代」として、その時点から過去を「昔の時代」として認識しています。明治維新(1868年)から敗戦までの期間が77年。2022年を迎えると、敗戦から「現在」までがちょうど同じく77年になります。
 「現代」も随分歳月を重ねました。にもかかわらず、「現代」(それは、「戦後」と呼ばれもします)がどんな時代だったのか、私たちが持っている歴史のイメージは、あまりに貧しいのではないでしょうか。とりわけ、「戦後=平和と繁栄の時代」という華々しいイメージが維持不可能になって以降、私たちはあるべき「国のかたち」を見失い、「失われた時代」から脱出できなくなってしまったのです。
 しかし、歴史の歩みを了解することによって、このトンネルは必ず脱け出せるはずです。
 日本近代の前半につくり出され、封建社会だった日本を少なくとも外見的には列強に伍する近代国家へと成長させた装置が「国体」でした。しかしそれは進路を誤り、1945年に一度破滅します。近代後半(現代)の日本もまた、一旦は華々しい発展を経験した後、進路を誤り、破滅へと着々と向かっているように見えます。それはきっと、「国体」の二度目の茶番的な破滅なのでしょう。
 しかし私たちは、この現実に絶望するべきではありません。カール・マルクスの次のよう言葉を噛みしめながら、『国体論』を読んでいただきたいと、著者としては思います。

「ギリシアの神々は、アイスキュロスの『縛られたプロメテウス』のなかですでに一度傷つき悲劇的に死んだのであったが、ルキアノスの『対話篇』のなかでもう一度喜劇的に死なねばならなかった。なぜ歴史はこのように進行するのか? それは人類が明るく朗らかにその過去と訣別するためである。」(『ヘーゲル法哲学批判序説』より)


国体論 菊と星条旗 (集英社新書)  – 2018-06頁a_.jpg

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「日米基軸」幻想―凋落する米国、追従する日本の未来-2018発行 [対USA]

「日米基軸」幻想―凋落する米国、追従する日本の未来
著者名:進藤 榮一[しんどうエイイチ]  白井 聡[しらいサトシ]
出版社名:詩想社
 詩想社新書
判型:新書: 18.2 x 11.3 x 2 cm;224ページ
発行・刊行日:2018/06/23

ISBN-13:978-4908170034
税込み価格 ¥993(本体¥920+税)
 
内容説明
米国に追従することが、日本の国力をつけ、民衆を豊かにする時代は終わった。米国主導の世界秩序の崩壊が始まりつつあるいま、なぜ日本は依然として米国に盲従し続けるのか。「日米基軸」という幻想に憑かれたこの国の深層を解き明かし、日本の進むべき道を探る。

目次
「日米基軸」幻想 (詩想社新書)0_.jpg序章 衰退するアメリカとトランプ政治のこれから(「大逆転する世界」へ;「パクス・アメリカーナ終焉」の予兆 ほか)

第1章 トランプ出現とアメリカ帝国の崩壊(東アジアに残る冷戦構造と北朝鮮問題で垣間見えたアメリカの限界;日本外交はまた、米中関係を見誤るのか ほか)

第2章 「凋落するアメリカ」に従属し続ける日本の未来(安倍首相の目指す「戦後レジームからの脱却」とは何か;トランプの対日外交はどうなるか ほか)

第3章 戦後日本の「日米基軸」論を超えて(「アメリカの解体」がトランプ大統領を生んだ;リーダーの座から滑り落ちつつあるアメリカと日本の共通点 ほか)

終章 破綻した政権と国民(取り入りの果ての侮蔑と憎悪;対露外交の破綻 ほか)


著者等紹介
進藤榮一[シンドウエイイチ]
北海道生まれ。1963年京都大学法学部卒業。同大学大学院法学研究科博士課程修了。法学博士。筑波大学教授、ハーバード大学、プリンストン大学などの上級研究員、早稲田大学アジア研究機構客員教授などを歴任。現在、筑波大学名誉教授、アジア連合大学院機構理事長。専門はアメリカ外交、国際政治経済学。主な著書に、『アジア力の世紀』『分割された領土』(ともに岩波書店)、『東アジア共同体をどうつくるか』(筑摩書房)、『現代アメリカ外交序説』(創文社、吉田茂賞受賞)、『アメリカ帝国の終焉』(講談社)などがある。


白井聡[しらいサトシ]
1977年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。専門は政治学、社会思想。文化学園大学助教等を経て、現在、京都精華大学人文学部専任講師。著書『永続敗戦論』(太田出版)はベストセラーとなり、石橋湛山賞、角川財団学芸賞を受賞。そのほか、『増補新版 「物質」の蜂起をめざして』(作品社)、『誰がこの国を動かしているのか』(詩想社 鳩山友紀夫、木村朗との共著)、『国体論』(集英社)などの著書がある。


内容紹介
戦後日本人の、
いまだ覚めることのない「日米基軸」という幻想。
凋落する米国に、日本はどこまでついて行くのか!?

米国に追従することが、日本の国力をつけ、民衆を豊かにする時代は終わった。
米国の国力が衰退を始め、中国が急速に台頭するなか、米国主導の世界秩序の崩壊がいま始まりつつある。
3世紀にわたるアングロサクソン支配の世界構造が激変を始めるなか、なぜ日本は依然として米国に盲従し続けるのか。
「日米基軸」という幻想に憑かれたこの国の深層を解き明かし、日本の進むべき道を探る。


目次

序章 衰退するアメリカとトランプ政治のこれから(進藤榮一)

第1章 トランプ出現とアメリカ帝国の崩壊(白井聡 進藤榮一)
偉大なるアメリカを求めてさまよう帝国
情報革命がもたらしたアメリカの衰退
新自由主義がつくり上げたアメリカの新たな徴兵制
「国家の民」と「市場の民」
など


第2章 「凋落するアメリカ」に従属し続ける日本の未来(白井聡 進藤榮一)
安倍首相の目指す「戦後レジームからの脱却」とは何か
トランプの対日外交はどうなるか
日本の軍備増強、兵器開発とともに必然的に進むアメリカへの従属
オバマの広島訪問で見えた日本のアメリカコンプレックス
発掘された天皇メッセージが示す日米安保の正体
アメリカニズムに洗脳された日本の知の現場
欧米への劣等感と、アジアに対する優越感と
など


第3章 戦後日本の「日米基軸」論を超えて(白井聡 進藤榮一)
リーダーの座から滑り落ちつつあるアメリカと日本の共通点
アメリカ・中国の衝突は本当に起こるのか
金権政治の驚異的な拡大が招いた民主主義の機能不全
巨大な転換期の兆候がすでに見えている
三世紀にわたるアングロサクソンによる世界支配の終焉
北朝鮮問題解決に必要なアジア的な知恵とは
など


終章 破綻した政権と国民(白井聡)


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アメリカン・センター―アメリカの国際文化戦略 岩波書店 – 2008 [対USA]

アメリカン・センター―アメリカの国際文化戦略 単行本 – 2008/5/27
渡辺 靖  (著)
出版社: 岩波書店 (2008/5/27)
体裁 四六版・: 19 x 13.6 x 2.4 cm・ 234=221+13頁
ISBN-13: 978-4000220439
発売日: 2008/5/27
定価 2160円=本体2,000円+税
内容(「BOOK」データベースより)
近年、世界各国で急速に高まるパブリック・ディプロマシーへの関心。それは、いかに国益に適うように自国を他者(他国)に理解させうるか、いかに世界認識の仕方を設定できるか、言説を支配できるかということに関わる事柄である。そこには、外交とは何か、政治とは何かという問いにとどまらず、他国や文化を「理解」するとはどういうことかという、より根源的な問いが含まれている。著者は、米国のパブリック・ディプロマシーの主たる担い手である「アメリカン・センター」に着目し、創設以来約半世紀にわたるその活動理念や活動実態の変遷を究明。パブリック・ディプロマシーをめぐるさまざまな言説のせめぎ合いを「文化の政治学」として考察し、文化研究、またアメリカ理解に一石を投ずる。注目を集める気鋭の研究者による年来の研究成果を総合する意欲的考察。
9.11以後,米国で急速に高まるパブリック・ディプロマシーへの関心.本書は,言説を支配する対外文化戦略という観点から米国史および対日政策の変遷を捉え直し,知と権力の関係や文化と政治の不可分性について論じる意欲的考察.言説をめぐるせめぎ合いを「文化の政治学」として考察することを通して,アメリカ理解のあり方にも一石を投じる.
著者からのメッセージ

これまでアメリカのコミュニティでフィールドワークをしてきた文化人類学徒が,いきなりパブリック・ディプロマシー(文化・広報外交)の本など出して,驚かれている方も多いかもしれません.でも,コミュニティ研究を通して考えてきたのは,結局のところ,〈文化の政治学〉――すなわち〈文化〉と〈政治〉の関係性です.今回,扱う対象こそ国際的な場=フィールドへと変わりましたが,それを見つめる眼差しには何ら変わりなく,自分のなかでは同じ問いを追っているつもりです.

パブリック・ディプロマシーとは,端的にいえば,相手国の人びとの関心や認識を自国へと引きつけること,すなわち言説を支配するということです.日本という場でアメリカ研究を行う一人として,アメリカのパブリック・ディプロマシーに対してナイーブでいるわけにはいきません.アメリカのパブリック・ディプロマシーの影響下にあるかも知れない,自分自身の認識を相対化するためにも,この研究は避けては通れないものになりました.と同時に,アメリカのパブリック・ディプロマシーを俯瞰することで,ソフトパワー論,税金の使い方と国益の関係,文化政策における評価の問題など,今日的なテーマについて考えるうえのヒントを得たいと思った次第です

目次
アメリカン・センター―アメリカの国際文化戦略 単行本 – 2008_.jpg第1章 プロパガンダか広報か(例外としてのアメリカアメリカ最初の宣伝機関 ほか)
第2章 冷戦下の広報文化活動(広報と文化天皇批判の回避 ほか)
第3章 パブリック・ディプロマシーの誕生とベトナム戦争(「パブリック・ディプロマシー」の誕生と挫折ケネディ=ライシャワー路線 ほか)
第4章 ポスト冷戦時代のパブリック・ディプロマシー(USIAの終焉孤立主義の台頭 ほか)
第5章 パブリック・ディプロマシーとソフト・パワー(税金の論理パブリック・ディプロマシーの課題 ほか)

‹「public diplomacy  広報文化交流」

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
渡辺/靖 (わたなべ やすし)
慶應義塾大学SFC環境情報学部教授(文化人類学、文化政策論、アメリカ研究)。1967年生まれ。90年上智大学外国語学部卒業後、92年ハーバード大学大学院修了、97年Ph.D.(社会人類学)取得。ケンブリッジ大学、オクスフォード大学、ハーバード大学客員研究員を経て、2006年より現職。2005年日本学士院学術奨励賞受賞。著書に『アフター・アメリカ―ボストニアンの軌跡と“文化の政治学”』(慶應義塾大学出版会、2004年、サントリー学芸賞、アメリカ学会清水博賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

関連
アメリカ大使館主催:米朝の「核」外交 – 歴史的背景と今後の展望
開催期間:2018年6月25日(月) 18:00~19:30
司 会   渡辺 靖 (Yasushi Watanabe) 【慶應義塾大学SFC教授】
講 師    パトリック・マッカカーン (Patrick McEachern) 【以前は駐日米国大使館で外交政策・二国間関係部の次長、現 米外交問題評議会国際関係フェロー、米ウィルソンセンター公共政策フェロー】


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対米従属の起源 「1959年米機密文書」を読む 単行本(大月書店) – 2019 [対USA]

対米従属の起源 「1959年米機密文書」を読む 単行本(ソフトカバー) – 2019

谷川 建司 (翻訳), 須藤 遙子 (翻訳)
出版社: 大月書店 (2019/5/17)
判型・ページ数 4-6: 18.8 x 12.8 x 2.5 cm・432ページ
ISBN-13: 978-4272521135
発売日: 2019/5/17
定価 3888円=本体3,600円+税

内容紹介
親米国家日本をつくった「文化工作」の全貌

冷戦下、日本を自由主義的で親米的な国家とするためさまざまな活動を行ったUSIS: United States Information Service (アメリカ広報・文化交流局、1953年に発足し1999年に国務省に統合)ジャパン。
影響力のある文化人や大学教員への工作、反共的な映画の製作など、その任務と成果を記した機密文書の全訳。
目次
第1章 日本の欲求とアメリカの外交政策

第2章 野党――実力と潜在力
第3章 USISと連合国軍
第4章 日本での世論評価
第5章 日本におけるUSISの役割に関する評価
第6章 将来の展望
解説 マーク・メイ報告書※に見る戦後日本の「De」と「Re」の攻防(須藤遙子)
付録A 事例報告
付録B 日本の知識人へのインタビューについての報告
精査報告
解説 USIAによる日本の商業映画への製作資金拠出の試み(谷川建司

マーク・メイ報告書 米国立公文書館所蔵のUSIA文書の中に含まれていた、イェール大学のProfessor マーク・T・メイ教授による『USIS日本報告書』(1959年6~7月)

著者について
谷川建司(たにかわ たけし)

早稲田大学教授。主要著作:『アメリカ映画と占領政策』(京都大学学術出版会、2002年)、『高麗屋三兄弟と映画』(雄山閣、2018年)。
須藤遙子(すどう のりこ)
筑紫女学園大学教授。主要著作:『コンテンツ化する東アジア』(共編著、青弓社、2012年)、『自衛隊協力映画』(大月書店、2013年)。


関連
アメリカン・センター―アメリカの国際文化戦略 岩波書店 – 2008/5/2
宮田昇氏の「図書館に通う」, 月刊「みすず」2011年9月号(597号)の第8回「『ドクトル・ジバゴ』とアメリカ文化センター」


冷戦初期米国の東アジア広報文化外交―「原子力平和利用映画」に焦点を当てて
土屋 由香  愛媛大学, 法文学部, 教授 2012-04-01 – 2015-03-31
研究ではアイゼンハワー政権期の原子力平和利用キャンペーン、特に世界各国で上映された原子力平和利用USIS映画に焦点を当て、そのグローバルな展開や民間企業の協力を明らかにしようとした
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24510349/

米国の広報外交と沖縄 −米民政府・広報局に焦点を当てて - 山口県立大学 吉本秀子 著 
http://www.l.yamaguchi-pu.ac.jp/archives/2014/01.part1/01.intercultural%20studies/05.inter_YOSHIMOTO.pdf
05-01-b.jpg



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