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病が分断するアメリカ--平体 由美/著 -- 筑摩書房 -- 2023.8 [国家医学・帝国医療・看護学]

病が分断するアメリカ   公衆衛生と「自由」のジレンマ 
  平体 由美 (ヒラタイ ゆみ)/著
出版者 筑摩書房 ちくま新書 番号1 1744  ページ数 222頁
  出版年 2023.8
ISBN 978-4-480-07571-0

新潟市立図書館収蔵 内野館 /498/ヒ/

著者紹介 平体 由美 (ヒラタイ ゆみ)
:1966年生まれ。東洋英和女学院大学国際社会学部教授・学部長。専門はアメリカ史・公衆衛生史。国際基督教大学大学院行政学研究科修了。学術博士。著書に『連邦制と社会改革――20世紀初頭アメリカ合衆国の児童労働規制』(世界思想社、2007年)、『医療化するアメリカ──身体管理の20世紀』(共編著、彩流社、2017年)、『社会科学からみるSDGs』(共編著、小鳥遊書房、2022年)などがある。

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内容紹介

 コロナ禍のアメリカは、迅速な疫学調査とワクチン開発がなされたにもかかわらず、世界で最悪の死者が出た。ワクチン接種に当初から反対が根強く、マスク着用では国が分断された。アメリカの公衆衛生が抱える深刻なジレンマ―国民の健康と自由な活動という背反する価値のどちらを優先するかをめぐって、どんな論争があったのか。20世紀初頭以来の公衆衛生史を繙きつつ、社会・地域・人種などの格差により分断されているアメリカの問題を探る。そうすることによって、日本社会が抱える諸問題との比較が可能になり、アメリカ社会の成功と失敗から学べることが見えてくる。

目次

はじめに

第1章 そもそも公衆衛生とは何か

(公衆衛生の三要素
;数を数えることの諸問題 
健康教育の光と影
行動制限の影響
/機構の整備と迎用
第2章 「自由の国」アメリカ―個人の選択と公衆衛生管理の相克
  1 アメリカの自由のイデオロギー
    「抑圧」が可能にした自由/自治・権力肥大化の回避・選択肢の存在
  2 公衆衛生政策に対抗する自由の「論理」
    慣れと読み替えの繰り返し/新しい病気の出現と繰り返される抵抗
  3 自由のイデオロギーと政治制度
    奴隷解放のロジック/通商権限と食肉検査法
  4 連邦と州の役割の相克ー州際通商を規制する連邦、住民の健康管理を統括する州
    一九世紀末の倹疫と隔離/COVIDー19と連邦政府/ニューヨーク州の対策
第3章 ワクチンと治療薬―科学と自然と選択肢
  1 疫学転換とワクチン
  2 天然痘ワクチンと19世紀アメリカ社会
    アメリカにおける種痘の広がり/大然痘ワクチンとはどのようなものだったか
  3 反ワクチンの戦い
    ジェイコプソン対マサチューセッツ判決(一九〇五)/二〇世紀の反ワクチンー
  4 COVID-19下のワクチン開発と接種
    飛行機の時代の感染症/前例のない速さで開発されたCOVIDー19ワクチン/COVIDー19ワクチン義務化をめぐる議論/黒人はなぜワクチン接種に消極的だったのか
第4章 病の社会格差―貧困層を直撃する社会制度
  1 国の豊かさと健康
  2 社会経済的地位と健康
    貧困と病/社会経済的地位(SES)への注目
  3 顧みられないフロンティア
    見過ごされる非都市部の貧困/非都市部の健康リスク
  4 COVID-19と社会経済的地位
    都市エッセンシャルワーカーの苦闘/非都市部の医療崩壊/公衆衛生に不都合な「自由」
第5章 社会の分断―「マスク着用」が象徴するもの
  1 「スペイン風邪」とマスク
    「スペイン風邪」/他者への配慮、自己防衛/反マスク連盟-マスクは効果なし、かえって不潔
  2 COVID-19下のマスク要請
    CDCの勧告/州政府の動向/反マスク法とレイシャル・プロファイリング
  3 政治化するマスク着用
    政治の分極化とマスク/マスクは緋文字か?
おわりに
    「物語」とコミュニケーション/公衆衛生システムが支えてきた健康
あとがき
主要参考文献
はじめに  要約に続く


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