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靖国の子 [メディア]

FVdBHO8agAAjqud.jpg靖国の子
教科書・子どもの本に見る靖国神社

著者 山中 恒 /ヤマナカ ヒサシ

出版者 大月書店 出版年 2014.12

ページ数 159p  大きさ 21cm

ISBN 978-4-272-52105-0

新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館2階 /372.1/ヤマ/


内容情報
戦争は子どもたちにどんな運命を強いるのか? 「誉れの子」「靖国の遺児」と呼ばれた、日本軍兵士の遺児たち。国家に翻弄され、利用された子どもたちの実像を、貴重な一次資料と証言を通して明らかにする。
「誉れの子」「靖国の遺児」と呼ばれた戦没者の子どもたち。戦時下の日本にあって、毎年五千人を超える彼らが、靖国神社に参集したという「社頭の対面」。この一大行事を通して、国家は何を意図し、どのような効果を及ぼそうとしたのか。肉親の死を、国家への絶対的忠誠へと転化し、さらに戦争へと駆り立てていくという、子どもたちが担わされた戦争の一断面を、貴重な一次資料と証言を通して明らかにする。
目次
第1章 「社頭の対面」と「誉れの子」
 戦死者の遺児らを全国から集め、靖国神社に参拝させる式典「社頭の対面」が、1939~43年まで毎年開催
第2章 軍人援護政策の展開と「誉れの子」
第3章 「誉れの子」と国家
「お父さんのあとに続いて銃を取れ、女の子には看護婦になれ、国のために尽くせ、それが父の遺言なんだと。子どもにも役割を与え、国家の思想を内面化させようとしている。あまり知られていませんが、忘れてはいけない事実です」
第4章 「誉れの子」たちが受けとめたもの
第5章 「誉れの子」への国家の冷徹なシナリオ
 五 明仁皇太子と「誉れの子」たちとの遭遇
   明仁 ( あきひと 、 1933年〈昭和8年〉12月23日生まれ -
 
第6章 「誉れの子」たちの「愛国」
おわりに 「誉れの子」たちの記憶と現代
70年以上を経た「誉れの子」らに著者が行ったアンケートには、(父の死で)「毎日さびしさで一杯でした」「無謀な戦争をしたと思います」という言葉が語られている。戦争する国家は子どもの悲しみさえ冷酷に利用

著者 山中 恒 ヤマナカ ヒサシ

1931年北海道小樽市生まれ。児童読み物・ノンフィクション作家。1960年『赤毛のポチ』で日本児童文学者協会新人賞、1974年『三人泣きばやし』で第21回産経児童出版文化賞、1978年『山中恒児童よみもの選集』で第1回巌谷小波文芸賞、1993年『とんでろじいちゃん』で第31回野間児童文芸賞、2003年第38回エクソンモービル児童文化賞受賞。 映画化された作品に「サムライの子」、「転校生」、「さびしんぼう」、「はるかノスタルジイ」、「あの、夏の日」、テレビドラマ化された作品に、「あばれはっちゃく」、「ぼくがぼくであること」、「おれがあいつであいつがおれで」などがある。
戦時下を描いた代表的なノンフィクションに『ボクラ少国民』シリーズ(辺境社、1974~1981)、ほか『少国民の名のもとに』、『新聞は戦争を美化せよ! 戦時国家情報機構史』、『すっきりわかる「靖国神社」問題 』(小学館)、『アジア・太平洋戦争史』(岩波書店)、『反日という呪縛』(勁草書房)、『戦争ができなかった日本~総力戦体制の内側』(角川書店)など多数。
感想・レビュー
映画「転校生」の原作となった「おれがあいつであいつがおれで」(うろ覚え?)では男女入れ替わりの視点から人間を考えさせたりする児童小説で楽しいだけでなく、物事の本質を見つめろという深い洞察のヒントを与えてくれる
靖国神社は平和を祈る施設ではない。「軍神(いくさがみ)」となった戦死者を称え、「次は私もあなたがたをお手本にして立派に死にます」と誓う場だ。本書はそんな靖国原理主義をいかに子供にまで強制したかを語る。靖国に祀られることは日本男児の本懐、畏くも天皇陛下直々御参拝あそばされるのだから、これ以上の光栄はまたとない。遺族は感謝して当然で、悲しみを公の場で表すなどもってのほか。抑圧されまくり、おそろしく卑屈な土人の歴史がここに。
「「靖国の子」というのは、戦没して「靖国神社の神」とされた将兵の遺族の子弟のこと」とのこと。山中恒氏が児童向け以外に戦中の書物をたくさん書かれていることに驚きつつ読む。多くの資料から戦中の少国民を取り囲む空気が伝わる。山梨県の八巻少年の写真が印象的。彼の引き結んだ口元と堪えるような目元が70有余年を経て伝えるものを考えたいと思う。添書「父は戦死し母も亡いこの孤児が(略)靖国神社に祀られた父に会うために上京(略)靖国神社参拝の記念品をしっかりと握り春男君は感涙にむせぶ」はたしてそれは感涙だったのだらうか。
「お菓子をもらったときはなんとも言われない、感無量で、本当に涙が出ました。でも、撮影前、目薬をさされました」
【朝日新聞8月16日朝刊】(見出しはデジタル版のもの)
文集は捏造、撮影前に目薬…「誉れの子」いまの思いは
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