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皇軍兵士の日常生活 (講談社現代新書) – 2009/2/19刊 [明治以後・国内]

51Mc7h9VVpL.jpg皇軍兵士の日常生活
一ノ瀬 俊也イチノセ としや  (著)
講談社
講談社現代新書
ページ数 278p/高さ 18cm
2009/2/19 刊行
ISBN 978-4062879828
著者紹介
一ノ瀬/俊也 イチノセ としや
1971年福岡県生まれ。九州大学文学部史学科卒業、同大学大学院比較社会文化研究科博士課程中退。博士(比較社会文化)。現在、埼玉大学教養学部准教授。専攻は日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
内容紹介
戦争は本当に日本社会を公平化したのか? 戦時下、不公平を強いられた「皇軍」兵士と家族の群像を描く。戦争は本当に日本社会を公平化したのか? 昇進につきまとう学歴という壁。食糧をめぐる将校と兵の違い。兵士への応召手当をめぐる格差――。戦時下、不公平を強いられた「皇軍」兵士と家族の群像を描く。
 本書の第一の課題は、昭和の人びとが徴兵され、兵士になっていく過程を、自ら志願して兵となった少年たち――その意味で彼らはもっとも純粋な「兵士」だったはずである――もふくめ、制度と心情の両面から、戦後書かれた「従軍体験記」やさまざまな史料にもとづき明らかにすることである。
長い戦争で皆がいったん貧しくなったことにより既存の社会構造が壊れ、戦後の高度成長を経て一億総中流といわれるような「平等」社会が実現したという議論である。
マクロ経済の視点からみたとき、おそらくまちかってはいない。
 ただ、あまりにひねりが効き過ぎ(た説で)戦争や徴兵というものが、「魔法の杖」、「平等化」させる魔法の杖ように思われ、主に保守系の文化人や政治家から、若者にモラルをたたきこみ、いわゆるニード問題を解決すると称して徴兵(徴農!)制の導入を望む発言、徴兵を理想視する思考
の一類型といえる。
 本書が第二の課題としたいのは、戦時下の日本社会には徴兵制がもたらした人びとの生と死をめぐる「不平等」、「不公平」が蔓延しており、誰もそれを助けようとしなかったことを再確認することである。
 ひとまずは、一九四五年までこの日本に存在した軍隊、そして徴兵というくびきのなかで人びとがいかに生きたのかを、彼らの残した回想や日記、手紙などにもとづいて、すなわちその視点に立つていくばくなりとも追体験することをめざしたい。
第一章【「皇軍」兵士はこうして作られる】では兵士を作りだすための制度、
第二章【軍隊での生き方】では彼らの軍隊生活の実態、
第三章【兵士と家族――戦争の「不公平」】では彼らとその家族の生活において生じた不公平の問題、
第四章【「戦死の伝えられ方」をめぐって】では、兵士だもの死に様がいかにして家族のもとに伝えられていったのかを問う。
感想・レビュー
三菱商事など一流企業の社員は出征後も給与が出てた(軍と会社からの二重取り)とか、そのため応召前の駈込み入社が増えたとか、意外と戦争が長引いちやったもんだからコスト増に悩む経営側が軍と協議とか、当時も今と変わらぬ人間臭い(美しくない)日本人像が垣間見れて楽しい。あと軍(国)が建前ばっかなのも今と変わらんなー。
戦陣訓で天皇の呼称を用いても太平洋戦争が始まる以前に軍紀はガタガタ、1943年に軍隊内務令と改正されたのだが、この目的は「上官への反抗や戦地での犯罪防止」にあった。古年兵の自慢話は常に民衆の財産・生命を奪う話ばかり。朝の点呼に出ない下士官・古年兵はザラにいた。やっぱり戦闘は弱い。結構正直に書かれた本だと思います。

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