SSブログ

「帝国」ロシアの地政学---⑧ー[内部]としての旧ソ連諸国 [ユーラシア・東西]

「帝国」ロシアの地政学  「勢力圏」で読むユーラシア戦略
著者  小泉 悠   コイズミゆう
出版年 2019.7 出版者 東京堂出版 ISBN 978-4-490-21013-2
新潟市立図書館収蔵 NDC分類(9版) 319.38
著者紹介  1982年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了(政治学修士)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教。専門はロシアの安全保障政策、軍事政策等。
第2章 1 主権 ロシア的用語法、 復活した「ロシアの脅威」
図2はソ連崩壊後にロシアが軍事プレゼンスを展開させている地域や軍事介入を行った地域を地図上にプロットしたものだが、シリアと北方領土を除けば、ロシアの介入が旧ソ連諸国に集中していることが見て取れよう。
参同できるかどうは別として、そこには何らかのロシアなりの論理が存在している筈である。
91R-83.1%.jpg
 ロンドン大学キングス・カレッジのロシア専門家であるデヤーモンドは、ロシアの態度が旧ソ連国境の内部と外部で正反対になるという興味深い傾向を指摘している。
 旧ソ連域外におけるロシアの振る舞いは、古典的な国家主権を基礎としたウェストファリア的秩序そのものである。たとえばロシアは諸国家間の法的平等や内政不干渉、領土的一体性の尊重といった諸原則を擁護する
一方、人道的理由に基づいて国家主権が制限されうるとした冷戦後の「保護する責任(R2P:Responsibility to Protect)論には強硬な反発を示してきた。NATOによるユーゴスラヴィアヘの介入や、2003年のイラク戦争においてロシアが示した反発はその好例である
(一方、アフカニスタンヘの介入については、同時多発テロを受けた米国の自衛権の範囲内であるとし、ロシアは積極的な協力姿勢を示した)。また、ロシアはシリアに対する米国の軍事介入に対しても同様の反発を示す一方、主権を有するアサド政権から要請を受けたロシアの介入は法的に正統なのだという立場を示し続けている。ロシアの行動に賛否はあろうが、古典的な秩序という点に照らすならば、そこに一定の筋が通っていることは否定できない。
 ところが、旧ソ連域内においては、ロシアの立場は真逆になる。  
続く

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

Facebook コメント