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1348年 気候不順と生存危機--《歴史の転換期》202頁 [視座をホモサピエンス]

1348年 気候不順と生存危機    シリーズ:歴史の転換期 5
著者:千葉敏之=編  長谷部史彦  井上周平  四日市康博  井黒忍  松浦史明 
刊行: 2023年7月
仕様: 四六  ・  280ページ
ISBN: 978-4-634-44505-5
新潟大学 附属図書館 収蔵
4章 元明交替の底流
 崩壊の兆し  202頁より

 中塚武は、人間社会が数十年周期の気候変動に対して脆弱であるとする説を提示する。それによれば、良好な気候条件のもとで人口と生活水準を高めた人間社会は、数十年周期の気候変動が生じ、環境収容力が縮小したにもかかわらず、生活水準の肥大化を制限することができずに危機への対応を誤り、飢饉や疫病、戦争などを引き起こし、社会の混乱と崩壊を導くという。さらにこうした状況が唐・明と並んで元にもあてはまると中塚は指摘する。一三○○年前後を境にして生じた数十年周期での気候変動とこれに対する人間社会の適応と不適応、あるいは過適応元明交替期の底流をなしていたことは間違いない。くわえて、気候変動とも密接な関係性を有する同時期の黄河の河道変移は、この底流に時に棹さし、時に逆行する、もう一筋の流れをかたちづくったのである。
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203頁
『黄河は西から流れきたりて、長江と淮河のあいだをかき乱す』
  淮河(わいが、ホワイホー)は、中華人民共和国を流れる川の一つで、長江・黄河に次ぐ第三の大河。 古くは「河」が黄河の固有名詞であったので、淮水と呼んだ。中国東部、黄河と揚子江の間を東に流れる川。河南省南端の桐柏山地に源を発し、安徽省を流れ、江蘇省の洪沢コウタク湖を経て大運河に注ぎ分流して黄海と揚子江に注ぐ。全長約1000キロ。昔から、河道がしばしば変わり、ことに一二世紀初め、黄河に河道を奪われてからは中・下流が土砂でふさがれて洪沢湖に流れ込み、しばしば水害をもたらした。一九五〇年から大治水工事が行なわれ、現在は安定した水路を復活。淮水。ホワイ川

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