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検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?--2023 ⑴ [軍事]

検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?
【著者】小野寺 拓也 オノデラたくや 田野 大輔 タノだいすけ
岩波書店 岩波ブックレット № 1080
(2023/07/05発売)
ISBN 978-4002710808
新潟市立図書館収蔵本 亀田館 234/オ
著者等紹介
小野寺拓也[オノデラたくや]  1975年生まれ。東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了し博士(文学)、専門はドイツ現代史
田野大輔[タノだいすけ]  1970年生まれ。甲南大学文学部教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学)。専門は歴史社会学、ドイツ現代史
(本データはこの書籍に掲載されていたものより)
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本の大筋は、アウトバーン建設や歓喜力行団と言ったナチスが行った「良いこと」とされる政策に関して、新規性、目的の正当性、実効性の3つの観点からの検証です。そして、いずれの政策も戦争前提で政策実施され、上述の観点で低評価を受け、歴史的に低価値である。
 それらの
新規性は、そもそも前政権からの継続か他のヨーロッパ諸国の政策のパクリで、内容的にも到底肯定的に考えられる政策ではないと今の研究では評価されている。
 特に重要なのはこれ。ナチスの全ての政策が、アーリア民族という「民族共同体」構築のために作られたというのが、今のナチス論の主流。この考えは、①ナチ党にとって政治的に信用でき、②「人種的」に問題がなく、③「遺伝的に健康」で、④「反社会的」でもない人びとだけを包摂対象とし、社会主義者や共産主義者などの政治的敵対者やユダヤ人、障害者や同性愛者、子どもを産まない「繁殖拒否者」といった「反社会的分子」とされた人びとは、劣等とみなし徹底的に排除した。
 派生したドイツ民族を一つの身体して捉える「民族体」という考えで、例えば、一人ひとりの健康は個人の問題ではなく、民族全体の問題ということで、遺伝的に悪いものは徹底的に根絶やしにすると政策が執られた。当時のドイツの学者はアルコールは突然変異をもたらす物質と考えて、アルコール中毒患者に対する「断種」。その他の理由を含め法律に基づいて40万人を断種したという。

《事実》《解釈》《意見》の三層 に続く

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