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ウクライナの悲劇は、独立後オルガル匕が国の富を独占してしまったこと。 烏賀陽 弘道 [ユーラシア・西]

烏賀陽 弘道 @hirougaya 2023;0721 https://twitter.com/hirougaya/status/1681999176849317888


ウクライナの悲劇は、独立後オルガル匕が国の富を独占してしまったこと。上位50人の富裕者がなんとGDPの半分近くを独占している。貧富の差がどれだけ激しいかわかる。オルガル匕はこうして得たカネを海外の匿名企業を通して外国不動産などで隠してしまう(資金洗浄)ので、税金も払わない。これだけのカネがウクライナ経済のために使われていたら、とため息が出る。 統計は世界銀行より


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イゴール・コロモイスキーというオルガルヒが作ったウクライナ最初の民間銀行「プリヴァト・バンク」は同国の小口預金の40%を持っていた。同行はコロモイスキーが55億ドルを横領してアメリカで資金洗浄し、2018年に中央銀行が査察に入って同行の金庫がほぼカラであることを発見するまで国民のカネを盗み続けました。ウクライナ中央銀行はやむなく公的資金で55億ドルを補填、プリヴァトバンクは国有化された。これは当時のウクライナの年間国家予算の3分の1という巨額でした。
 2023年のコロモイスキーはアメリカの資産を凍結されて入国禁止ながら、逮捕も起訴もされず、今はスイスのジュネーブにいます。
このコロモイスキーの所有するテレビ局が放送した「国民のしもべ」というドラマシリーズが大ヒット、主演俳優は大統領選に当選します。それがゼレンスキーです。つまりゼレンスキーのパトロンがコロモイスキーでした。
ウクライナ紛争ード.jpg
得票率75%で当選したゼレンスキーでしたが、2021年秋には隠し資産がカリブ海のオフショア国にあることがバレて、支持率が20%に急落。次の選挙では落選確実と言われていました。
【参照 https://www.bbc.com/japanese/58784715 】
ところがその3ヶ月後にロシアが軍事侵攻してきたので、ゼレンスキーはたちまち世界的な英雄に。
ロシアが国境付近で大軍事演習を始めたのは、ゼレンスキーが隠し資産スキャンダルでヨレヨレになつていたころです。軍事演習で脅せば屈服する、攻め込んでもすぐに逃亡して首都キエフ(キーウ)を占領できると思ったのがプーチンの誤算でした。ゼレンスキーがキエフに踏ん張り、ウクライナ国民はロシアへの抵抗で団結した。
2014年の第一次ウクライナ戦争では、ロシアはクリミア半島の無血占領に成功しています。現地のウクライナ軍は抵抗するどころか寝返ってしまった。2022年の第二次ウクライナ戦争でも同じように楽勝と思ったのもプーチンの慢心でした。
実は2014年に始まるドネツク・ルハンスクのウクライナからの分離独立を求める民兵の武装蜂起とウクライナ政府軍の内戦は、ロシアのクリミア半島占領に「便乗」したような形です。ですからプーチンにとっても想定外ではなかったか。それが証拠に、プーチンは2022年まで2州を国家承認しません。
ロシアにすれば、内戦にせよロシアとの戦争にせよ、ウクライナで軍事紛争がグジグジと小規模でも続けば、NATOは加盟を認めません。戦争に引き摺り込まれるからです。ウクライナの非NATO化はロシアのレッドラインですので、休戦と戦闘再開を繰り返す「紛争の常態化」がロシアには戦略的に望ましいシナリオになります。
おそらくウクライナはイスラエル・パレスチナのように「なんだかわからんがいつもモメてる国」として軍事紛争が常態化するでしょう。ゼレンスキーはじめウクライナの閣僚も、この戦争は「数年から数十年」「短距離走ではなくマラソン」とそれを肯定しています。
 ちなみにコロモイスキーはただのオルガルヒではありません。正式にドニプロ州の知事に任命され、なんと15000人の私兵を自分のカネで組織して正規のウクライナ軍として認めさせています。当時のウクライナ陸軍の即応戦力は6〜9000人と言われていましたから、正規軍より私兵の方がデカかった。
 財力、正規の権力、そして私兵軍隊を持ったコロモイスキーを例えるなら、戦前中の中国を分裂させていた「軍閥」(war lord)に近い。いわばウクライナという国の中にコロモイスキー王国というもう一つの国がある「二重権力」状態になった。
正当な主権国家の定義は「正統な政府は一国に一つだけ」が絶対ですので、当時(2018年ごろ)のウクライナはすでに分裂状態、主権国家として体をなしてないというのが適当です。
 コロモイスキーは知事に任命されて私兵軍隊を組織したあたりは熱烈な反ロシアで「プーチンは統合失調症のチビ」とかボロクソ。しかし自分の子飼いのゼレンスキーが当選するとコロリと態度を反転させ「ロシアに頼めばすぐに100億ドルくれてワルシャワ条約に入れてくれる」とか無茶苦茶なことを言い出します。ゼレンスキーは当選した途端にコロモイスキーを裏切ってオルガルヒ退治に乗り出した。
ウクライナが食い物にされ、世界最貧国のままなのは、こんなオルガルヒがうじゃうじゃいたからです。
このへんのウクライナ・オルガルヒの話をいま本にまとめています。(こっそり初めて発表)

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