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満洲国の阿片専売 [正] 2002年刊 [続] 2021年刊 [満州・大東亜]

 590435.jpg満洲国の阿片専売 [正] 2002年刊 [続] 2021年刊 
山田 豪一/著 -- 汲古書院
県立図書館収蔵 
山田豪一氏は満洲事変から満洲国終焉までの包括的な満洲国阿片専売史の執筆を予定した。研究計画の全体構想がしだいに膨大となって、ついに満洲国阿片専売の前半期のみを先行して『満州国の阿片専売』(2002年、汲古書院)で刊行する.
二〇〇四年一二月一四日付で『続・満洲国の阿片専売――日中戦争期中国占領地での阿片政策』の未定稿をまとめている。同氏は稿に手を加えて完成稿を仕上げる予定であったが、不幸なことに、二〇〇五年三月に交通事故に遭遇して健康を害し、二〇〇六年九月九日に逝去された。
山田豪一氏は1931年9月18日の満洲事変前の関東州の阿片専売、満洲事変後の満洲国阿片専売、及びその周辺事情について、財政・経済・法制・煙政・保健衛生・警察行政等の各方面から詳細なデータを収集してきたが、日中戦争勃発後については、質・量ともに入手できる情報量が限られて、難易度が飛躍的に高くなっている。こうした状況下で、同氏は山像「やまがた」氏、満洲国民生部禁煙総局の官吏として、阿片断禁政策の最前線で実務を担当した山像虎興氏とのインタビューを重ねた。
満洲国阿片専売には、財政収入をできるだけ多く確保する財政専売という側面とともに、阿片断禁政策という大義名分の下で、阿片・麻薬中毒者を救療する保健・衛生政策という側面が存在している。
 山像氏は長崎医科大学を卒業して薬剤師の資格を得てる。1933年(昭和8年)に氏は満洲に派遣され、現地の阿片流通の実態調査に従事する。満洲国官吏として阿片・麻薬中毒者を救療する保健・衛生政策の立場を代表する人物で、龍江省で阿片中毒者のモデル救療施設を創設してのち、満洲国の中国人大官の積極的支持を得て、「阿片断禁十カ年計画」を含む「阿片断禁方策要綱」(一九三七年一〇月一二日)の制定を推進する原動力になっている。また、禁煙総局が発足してのち、同氏は「阿片麻薬断禁方策要綱」(一九四〇年一〇月三〇日)という重要法令の原案を起草している。さらに、禁煙総局において康生院の普及を主導したほか、一九四一年から興安西省に異動して、罌粟集団栽培の実務で中心的役割を果たしている。
山田豪一氏はインタビューを重ねる中で、満洲国阿片専売の内部構造に対する理解を深めて、続編を執筆する基本的着想を得た。

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