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女性たちのフランス革命--2022.01 [ユーラシア・西]

81tKXGU7iPL.jpg女性たちのフランス革命 
原タイトル:Les femmes et la Révolution
クリスティーヌ・ル・ボゼック /著, 藤原 翔太 /訳  
出版年 2022.1
出版者 慶應義塾大学出版会
ページ数 208,10p  大きさ 20cm
ISBN 978-4-7664-2794-3
新潟市立図書館収蔵 亀田館 NDC分類(9版) 235.06

著者紹介

クリスティーヌ・ル・ボゼック(Christine le Bozec)
1947年生まれ。歴史学博士(ルーアン大学)、フランス革命の専門家。

訳者
藤原 翔太(ふじはら しょうた)
1986 年生まれ、島根県出身。2016 年トゥールーズ・ジャン・ジョレス大学博士課程修了(フランス政府給費留学)、博士(歴史学)。現在、福岡女子大学国際文理学部准教授。
目次
はじめに
 第Ⅰ部 フランス革命前夜の女性たち
第1章 女性とサロン―――014
 サロンの精神/伝統の継承者たち/権威か、社交界の慣例か
第2章 女性の権利と従属―――028
 妄想にすぎなかった一八世紀の女性の権利/フェミニズムの先駆者/女子教育
第3章 自立へのほんのわずかな可能性―――043
 女性画家/一八世紀の女性作家/女優、ダンサー、歌手/大勢の家庭教師と教師/華々しく成功した二人の女性経営者/限界/女性たちの両義的な反応/反乱の先頭に立つ女性たち
 第Ⅱ部 革命期の女性たち
第4章 革命の舞台に飛び込む女性たち―――060
 一七八九年以来の革命への参加/女性たちが表舞台に立った一七八九年一〇月五日と六日/様々な運動形態/連携した集団行動へ/喜ばれるも不十分な成果/女性たちのほど遠い一体性
第5章 一七九三年春と夏に絶頂を迎える急進的運動―――078
 女性革命運動の組織化と急進化/女性運動の現場/一七九三年九月の動揺/不安視されるアンラジェ
第6章 一七九三年秋、反撃される女性たち―――095
 最前線/ジャン= ピエール= アンドレ・アマールの演説/当座の措置/軍隊からも排除される女性たち/女性から取り上げられた芸術/職業からの排除の典型例/逆説的で曖昧な態度をとる当局/問題の裏側/革命の道徳厳格主義的ブルジョワ化
第7章 闘い続ける女性活動家―――177
 一七九三年一一月から一七九四年七月二七日まで、たえず要求し続ける女性たち/女性たちと徒党の闘争/いらだちと失望/テルミドール派国民公会と共和暦三年の冬/一七九五年冬/一七九五年四月から五月にかけての事件/フロレアルの危機で先頭に立つ女性たち/共和暦三年プレリアル一日(一七九五年五月二〇日)事件の首謀者たる女性たち
 第Ⅲ部 公共生活から排除される女性たち
第8章 暗い未来―――136
 鎮圧/あらゆる分野での後退/女性教師の例外/総裁政府期に戻ってきた「きらびやかな」女性たち/総裁政府期の「サロンの女主人」
第9章 問題の両義性―――153
 進展と行き詰まり/弱い動員力にもかかわらず、不安を喚起し、動揺させた理由/教育の闘い/オランプ、たえず、依然として/古くから続く抑圧/革命に対する女性たちの激しい抵抗/突然の停止の衝撃
第10章 停滞と後退の三〇年  一七九九~一八三〇年―――171
 ボナパルトと民法典/法律で定められた不平等/妻と母親/存続するも厳しく監視されたいくつかのサロン/女性たちと復古王政/復古王政期に活躍した女性たち/七月革命前夜の変化
おわりに―――189
註---193
訳者あとがき―――203
文献案内―――ⅴ
フランス革命関連年表―――ⅱ
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内容紹介  本書は、始点を1770年、終点を1830年とし、その間の移り変わりを辿った。「自由・平等・友愛」の社会を目指したフランス革命は女性たちにとって何を意味したのか。これまで注目されていなかった農民、教師、経営者、芸術家など、政治に覚醒した市井の女性たちの「リアル」を明らかにする。
パンと武器のために立ち上がれ!
「自由・平等・友愛」の社会を目指したフランス革命は女性たちにとって何を意味したのか。
政治に覚醒した市井の女性たちの「リアル」を明らかにする
フランス革命期の女性といえば、マリー・アントワネット、オランプ・ド・グージュ、ロラン夫人、テロワーニュ・ド・メリクールなどがよく知られている。しかし本書の主役は、これまで注目されていなかった、多様な職業(教師、芸術家、企業経営者……)を営む民衆層の女性たちである。
彼女たちの多くが革命運動の中に引き込まれていくことで、女性の社会的・政治的解放に向けてのかつてない議論を呼び起こした。市井の女性たちがパンの不足と高騰に抗議したことなどが契機となり、教師や芸術家や労働者たちが社会の反発に遭いながらも自由と平等を求めて政治運動に参加の契機となった「女性運動としてのフランス革命史」を描きだす。
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革命以前、サロンの主宰者や画家・女優など一部の仕事など限られた場での活躍のチャンスがあったものの、全体としては女性の権利は制限されていた。それがフランス革命で一変する。革命の表舞台に立つ女性も現れ、女性のみの組織が結成されたり、女性も参加可能な組織などが生まれていく。投票権からの排除などがあったものの、「離婚」を法的に認めさせるなど一定の成果を勝ち取っている。ただ、以前からの慣習などにとらわれる女性も少なからずいたため「一体性」を持ち得なかったこと、直接民主制を志向したため、ジャコバン派・山岳派モンタニャールMontagnard。に忌避され弾圧が強まっていく。
また、日本では、ナポレオンが皇帝になった点を批判したとしても、トータルとしては英雄として持ち上げられることが多いが、この民法典の部分を読むと「ナポレオン民法典」などによる女性への圧迫されられている。
こういった流れを描きながら、必ずしも著名ではない女性たちの活動が浮き彫りにされるのが本書の大きな特色だ。

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