SSブログ

脚気ー小説「奏鳴曲 北里と鷗外」より㈠  [国家医学・帝国医療・看護学]

91hYBRKvWOL.jpg奏鳴曲 北里と鷗外 

著 海堂 尊 カイドウたける
文藝春秋 社刊行
2022年2月21日 刊
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4163915005
新潟市立図書館収蔵
内容紹介
明治時代のニッポンにも、『感染症との終わりなき闘いに、「感染症から命を守る」という同じ目標へと突き進ん挑んだ二人の男がいた。』という病理医が書いた評伝小説。奏鳴曲(そうめいきょく)、ソナタと題されている。
一人はドイツのコッホ研究所に留学し血清療法を確立し、ペスト菌を発見し「日本の細菌学の父」の異名を持つ北里柴三郎。
一人は同時期にドイツで学び、コッホ研究でも北里に実験の初歩の手ほどきを受けて1年間研鑽し、帰国後は陸軍で「兵士の命を病気・感染症から守る」軍医を勤め、最高位である軍医総監にまで上り詰めた森林太郎、「ぼくは、軍医、評者。作家の三面の顔を持った。ページp117」文名『森鴎外』
91hYBR.jpg
 著者は、1961年千葉県に生まれ、放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院に2010年3月まで17年間勤務している病理医である。我々が診療所や病院で患者、病人として接する臨床医ではない。本名・医師名は明かしてない。
 2006年、『チーム・バチスタの栄光』で、第4回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、デビューした作家でもある。文名が海堂尊カイドウたける。左に写真。
海堂氏はあとがきp449に
「これは明治の医学、 特に衛生学の史伝でもあります。
 明洽時代、内務省は欧外から学んだ最先端の医学を基本とし、優れた対応をしていました。
 海軍も疫学的研究を土台に対応し、脚気を激減させています。
 ひとり陸軍だけが、脚気に関する統計をごまかし、誤った対応に固執して多数の兵を損じ、その死者の数は戦死を凌駕しました。」「 昭和になると陸軍軍医部は更に暴走し、関東軍防疫給水部(七三一部隊)を生み、中国大陸で生物兵器開発、人体実験へ向かいます。内務省も引きずられるようにして、特高警察が人民の弾圧に励むようになり、変質していきます。」
 「日清・日露両大戦で、脚気蔓延の事実を隠蔽した石黒忠悳、それを継続した森鴎外の対応が源流だと言えるでしょう。それはコロナに関し、衛生学の基本をないがしろにして医学統計を発表せず、科学的根拠に基づかない対応をし続けている、政府や厚生労働省の姿と重なります。」と評している。
より詳しく見てみよう。 私が患者、病人として接する医師、軍医の面を詳しく見てみよう。続く

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

Facebook コメント