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不思議の国ベラル-シ・・2004年刊行 [ユーラシア・西]

不思議の国ベラル-シ261791.jpg不思議の国ベラル-シ
   ナショナリズムから遠く離れて

著 服部倫卓 /ハットリみちたか  
出版年 2004.3
出版者 岩波書店
ページ数 224,16p
ISBN 4-00-024623-2
県立図書館収蔵本 NDC分類(9版)  302.385
著者紹介  服部 倫卓(ハットリみちたか)
1964年,静岡県生まれ.東京外国語大学外国語学部ロシヤ語学科卒.青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了(国際政治学修士).1998年4月から2001年3月まで在ベラルーシ共和国日本国大使館専門調査員.2004年現在,(社)ロシア東欧貿易会・ロシア東欧経済研究所 調査役.
共著に,『CIS:旧ソ連空間の再構成』(国際書院,2004年)がある.

内容紹介
ヨーロッパの中心にある不思議な国,ベラルーシ.数々の歴史的建築物に恵まれながら,古都や史跡は訪れる人もないまま廃虚と化し,偉人を称揚するでもなく,民族語であるベラルーシ語にいたってはその命運すら危ぶまれている…独裁国….周辺諸国の強烈なナショナリズムがつとに知られるなか,ひとりナショナリズムを真っ向から「公式に」否定しているのがベラルーシなのです.
その一方でベラルーシはソ連解体後,唯一国民が「入超」の国,しかも民族的にベラルーシ人以外の人たちが,それぞれの出身国の民族的くびきから逃れてやって来ています.あるいは「民族主義が失敗」したベラルーシこそ,「民族共存の楽土」なのか? けれどもそうした寛容の美風をもったまま,この21世紀を生き抜いていけるのか?ベラルーシの生き方は,民族とは何か,国家とは何なのかを私たちに鮮烈に問いかけずにはおきません.
■著者からのメッセージ
 我が国の論壇には,ナショナリズムを過激に否定すればするほど進歩的だというような風潮,ありますよね.でもそれは,ナショナリズムの「成功例」しか見ていないからではないでしょうか.ちなみに,この場合の「成功」というのは,人間を幸福にするという意味ではなく,ナショナリズムが盛り上がるという意味です.確かに,ナショナリズムは時に盛り上がりすぎて,災厄をもたらします.
 それでは,逆にナショナリズムの「失敗例」を目の当たりにしたら,どうでしょう.少なからぬ国民が独立を悪夢と受け止め,隣国(ロシア)に吸収されることを願っている国.大統領がナショナリズムを自己否定し,民族主義者を弾圧している国.そう,この本で紹介しているベラルーシという国が,まさにそれなのです.ベラルーシは「ナショナリズムに関する究極の問い」だと言えるかもしれません.
 かく言う私も,もともとはナショナリズムについてもっぱら否定的で,とくにベラルーシ・ナショナリズムとは距離を置いていました.それが今では…….民族・国民を「想像の共同体」と呼んだのはB.アンダーソンですが,私は本書でベラルーシという対象と格闘することで,想像の所産にすぎないはずのナショナリズムがいかにして人間の心をとらえるのか,身をもって体験したような気がします.ベラルーシという「愛すべき例外」と出会わなかったら,このようなことはなかったでしょう.私の不思議体験を,一人でも多くの読者に分かち合ってほしいと願っています.

タグ:ロシア
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