洪水と水害をとらえなおす: 自然観の転換と川との共生 (著)大熊 孝 – 2020/5/28 [農から見つめる]
自然観の転換と川との共生
大熊 孝 (著)
出版社: 農文協プロダクション
ISBN-13: 978-4540201394
発売日: 2020/5/28
河川工学の泰斗が、日本人の伝統的な自然観に迫りつつ、今日頻発する水害の実態と今後の治水のあり方について論じ、ローカルな自然に根ざした自然観の再生と川との共生を展望する。大熊河川工学集大成の書。
━━━━「農業文化マガジン『電子耕』」 第412号 より
編集に関わらせていただいた大熊孝先生の新刊『洪水と水害をとらえなおす─自然観の転換と川との共生』完成しました。大熊先生からこの本の構想をうかがったのが昨年の6月。完成まで1年ちかくかかった格好になります。
洪水は自然現象ですが、水害は社会現象です(洪水があってもそこに人間が住んでいなければ水害にはなりません)。この洪水と水害の関係性を中心に論じられたのが本書です。
本書の読みどころは3つあります。
(1)2000年代に頻発するようになった大規模水害(2004年新潟・福井水害、2011年紀伊半島・相野谷川水害、2015年利根川水系鬼怒川破堤、2016年岩手県小本川川水害、2018年岡山県倉敷・小田川水害、2019年台風19号広域水害等)の検証と今後の治水のあり方への提言
(2)民衆の自然観が近代国家の自然観に押しつぶされていった歴史についての考察
(3)新潟でのNPO活動(新潟水辺の会)にもとづいた新しい「都市の自然観」「地域の自然観」の創造と、自然と共生する都市の復活の提唱
オビの推薦文を記します。
高橋裕(東京大学名誉教授)洪水と水害を論ずれば当然ながら立ち向かう大波──伝統と近代化の相克──それを見事に泳ぎ切った著者ならではの快著。確固たる歴史観と地域特性の理解なくしては到達できない。
内山節(哲学者)民衆の自然観を破壊していった近代国家の自然観。本書は、それを見据えながら川と人間の関係を問い直す大熊河川工学の集大成である。
目次
1 川と自然を私はどう見てきたのか
(日本人の伝統的自然観・災害観とは、近代化のなかで失われた伝統的自然観、小出博の災害観と技術の三段階)
(日本人の伝統的自然観・災害観とは、近代化のなかで失われた伝統的自然観、小出博の災害観と技術の三段階)
2 水害の現在と治水のあり方
(近年の水害と現代治水の到達点、究極の治水体系は400年前にある―堤防の越流のさせ方で被害は変わる
(近年の水害と現代治水の到達点、究極の治水体系は400年前にある―堤防の越流のさせ方で被害は変わる
今後の治水のあり方―越流しても破堤しにくい堤防に)
3 新潟から考える川と自然の未来
(民衆の自然観の復活に向けて―自然への感性と知性をみがく、自然と共生する都市の復活について―新潟市の「ラムサール条約湿地都市認証」への期待)
(民衆の自然観の復活に向けて―自然への感性と知性をみがく、自然と共生する都市の復活について―新潟市の「ラムサール条約湿地都市認証」への期待)
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
大熊孝(オオクマたかし )
新潟大学名誉教授・水の駅ビュー福島潟名誉館長・NPO法人新潟水辺の会顧問・日本自然保護協会参与・(公財)こしじ水と緑の会理事。1942年台北生まれ、高松・千葉育ち、1974年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士)、新潟大学工学部助手、講師、助教授、教授、附属図書館長を経て、2008年新潟大学名誉教授、同年新潟日報文化賞受賞。専門は河川工学・土木史、自然と人の関係、川と人の関係を地域住民の立場を尊重しながら研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
2020-06-12 11:00
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