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ライシテから読む現代フランス =伊達 聖伸/著 -- 岩波書店 (岩波新書 新赤版 1710)-- 2018. [ユーラシア・西]

ライシテから読む現代フランス

ライシテ.jpg副タイトル 政治と宗教のいま
著者 伊達 聖伸 [だてキヨノブ]  
出版者 岩波書店
シリーズ名 岩波新書 新赤版  1710
新書判/ページ数 3,243p/高さ 18cm
ISBN 978-4-00-431710-4
出版年 2018.3
県立図書館収蔵 NDC分類(9版) 316.2
内容紹介
数々のテロ事件を受け、政治と宗教、共生と分断のはざまで揺れているフランス。国内第二の宗教であるイスラームとの関係をめぐり、2017年大統領選挙の主要争点ともなったライシテについて論じる。
数々のテロ事件を受け、フランスはいま、政治と宗教、共生と分断のはざまで揺れている。国内第二の宗教であるイスラームとの関係をめぐり、二〇一七年大統領選挙の主要争点ともなったライシテとは何か。憲法一条が謳う「ライックな(教育などが宗教から独立している、非宗教的な、世俗の)共和国」は何を擁護しうるのか。
目次
序章 共生と分断のはざまのライシテ
(揺れる共和国―テロ事件と大統領選挙から;なぜ、いまライシテなのか)
第1章 ライシテとは厳格な政教分離のことなのか
(分離から承認へ;右傾化と治安の重視;同性婚反対運動とカトリック ほか)
第2章 宗教的マイノリティは迫害の憂き目に遭うのか
(シャルリ・エブド事件からヴォルテールの『寛容論』へ;カラス事件とプロテスタント;ドレフェス事件とユダヤ人 ほか)
第3章 ライシテとイスラームは相容れないのか
(ヴェールを被る理由、被らない理由;フェミニズムとポストコロニアリズム;「原理主義」と括られる潮流 ほか)
終章 ライシテは「フランス的例外」なのか
(ライシテを「脱フランス化」する;日本のライシテ)
著者等紹介
伊達聖伸[だてキヨノブ]
1975年仙台市生まれ。フランス国立リール第三大学博士課程修了(Ph.D.)。上智大学外国語学部フランス語学科准教授。フランスやケベックのライシテ(政教分離、世俗主義)を研究しています。著書に『ライシテ、道徳、宗教学』(勁草書房)、『ライシテから読む現代フランス』(岩波新書)など。訳書にフェルナン・デュモン『記憶の未来』(白水社)、フランソワ・オスト『ヴェールを被ったアンティゴネー』(小鳥遊書房)など。
伊達聖伸 / Kiyonobu Date ツイッター
『ライシテから読む現代フランス』では、フランス史のなかで、プロテスタント、ユダヤ、ムスリムが順に差別の焦点になってきたことを論じている(第2章)。ムスリム差別が相対的に後景化するとき、次はアジア系が矢面に立つかもという予感はあった(書いてないけど)。
ヨーロッパのアジア系差別とムスリム差別は構造的に似ていて相関的。フランス映画『最高の花婿』には、ユダヤ人とムスリムの言い争いを中国系が取り持とうとするが、「俺たちは分かり合えるが、おまえのことは分からん」と返される場面がある(映画自体はハッピーエンド)
ただし、私が言いたいのは、フランスの普遍主義は、そういうスケープゴートとしての「他者」を作ってきた一方で、そのような排除の流れを鋭く批判する精神もきちんと形作ってきたということ。
さらに言えば、そのようなに排除の流れを鋭く批判する普遍主義は、フランスや西洋の専有物ではない。フランス革命の理念を掴んで、その欺瞞、端的に言えばフランスの植民地主義を批判することのできた日本人の筆頭に来るのが、中江兆民だと思っている。
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タグ:フランス
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