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稲の大東亜共栄圏―帝国日本の「緑の革命」--2012;09 [食から見る]

稲の大東亜共栄圏―帝国日本の「緑の革命」
藤原 辰史【著】
吉川弘文館

  歴史文化ライブラリー 352

サイズ B6判/ページ数 200p/

ISBN 978-4-642-05752-3

価格 ¥1,836(本体¥1,700)
(2012/09発売)


県立図書館収蔵    資料コード 0010012348944   NDC分類(9版) 616.21


目次
稲の大東亜共栄圏04.jpg稲も亦大和民族なり―プロローグ
「育種報国」の光と影―「富国」と天皇
「陸羽一三二号」の伝播―賢治の米の植民地
育種技師の自民族中心主義―永井威三郎と朝鮮
蓬莱米による「緑の革命」―磯永吉と台湾
品種改良による統治―「緑の革命」の先駆的形態
日本のエコロジカル・インペリアリズム―エピローグ


著者等紹介
藤原辰史[フジハラタツシ]
1976年、北海道に生まれ、島根県で育つ。1999年、京都大学総合人間学部卒業。2002年、京都大学大学院人間・環境学研究科中途退学。京都大学人文科学研究所助手を経て、京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史。著書に『ナチスのキッチン』(水声社、河合隼雄学芸賞、2012、2016=決定版、共和国)、『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房、日本ドイツ学会奨励賞、2005、2012=新装版)など


内容説明
稲の品種改良を行ない、植民地での増産を推進した「帝国」日本。台湾・朝鮮などでの農学者の軌跡から、コメの新品種による植民地支配の実態を解明。
現代の多国籍バイオ企業にも根づく生態学的帝国主義の歴史を、いま繙く。


【編集者の眼】
 稲の大東亜共栄圏―1).jpg ブランド米がもてはやされる現代の日本で、その品種改良の歴史を顧みる人は少なく、ましてや、かつての帝国日本が、コメによる植民地支配を行なっていたことなど想像すらできないでしょう。 本書は、話題作『ナチスのキッチン』の著者が、日本におけるコメの品種改良の歴史を繙き、その光と影の実態を明らかにした一冊です。
 冷害に強いコメをめざし稲の品種改良に取り組む農学者や育種技師は、やがて「育種報国」のスローガンのもと、台湾や朝鮮など大東亜共栄圏でコメの増産を推進します。こうした〈緑の革命〉も、やがて「稲も亦大和民族なり」という言葉や、「米食民族」対「パン食民族」という図式で、「大東亜戦争」や植民地支配を正当化していくことになります。
 著者が「生態学的帝国主義」と呼ぶ科学的征服の野望は過去のものではありません。それは多国籍企業による植物遺伝子の支配・独占などに姿を変えて、現代も世界を覆いつつあるのです。 (糸)

エピローグ「日本のエコロジカル・インペリアリズム」で、「二一世紀の帝国主義が、国家の枠を超えて、遺伝子操作技術をはじめとするバイオ・テクノロジーによって人間と人間以外の生物を同時に支配するという、新しい段階に突入することは間近に迫っているように思われる。医薬品産業と種子産業はしばしば同一の企業に担われている。古い時代の偶然が新しい時代に必然になることで、歴史は進展してきたからである」

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