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江戸日本の転換点【著】武井弘一=2015年発刊-その九、山原(ヤンバル)の環境へ、橋川人が、食物連鎖の中で頂点捕食者で参入? [農から見つめる]

江戸日本の転換点―水田の激増は何をもたらしたか【著】武井弘一[たけいコウイチ]=2015年発刊


著者の論文【江戸時代の水田と自然環境 : 琉球との比較から】2017年(九州大学学術情報リポジトリ収蔵)と合わせて内容要約それでは、琉球・沖縄の農業で江戸時代の新田開発の特質を検討してみよう。その九では引き続き橋川人をとりあげ、生息・暮らしていた環境を検討する。


港川人は日本で初めて発見された旧石器時代人骨としてよく知られている。個体としてまとまるのはの男性1体女性3体。全体で多くて 9体分少なくとも 5体分以上の更新世人骨。
 第I(1)号人骨―熟年 (現代人の20歳後半~40歳台) 男性。ほぼ全身の完全骨格が残っており、顔面部や顎の特徴が分かる。歯の磨耗が著しい。身長およそ 153cm、頭蓋容積は1,390cc (現代人男性平均1,500cc, 女性平均1,330cc) 。短頭型で横後頭隆起が認められる。レントゲン写真で成長期に栄養不足や病気などで成長が止ると形成されるハリス線と呼ばれる横線が多く認められている
 第II(2)号人骨― 熟年女性。肩幅はせまく、腕の骨はほっそりとしているが、骨盤と大腿骨は比較的しっかりとしている。つまり上半身が華奢なわりに、下半身がしっかりしている港川人の共通した特徴が良く現れた人骨である。身長およそ 150cm 。頭蓋容積1,170cc。短頭型で横後頭隆起が認められる。
 第III(3)号人骨― 壮年女性。最も身長が高くおよそ156cm。I号人骨と同様なハリス線が認められる。
 第IV(4)号人骨― 熟年女性。身長144cm 。頭蓋容積1,090cc。短頭型で横後頭隆起が認められる。死後に腕を伸ばした状態で、まず腕が逆に曲げられて上腕骨下端が破断し、更に肘関節の後側やや下方の肘頭の部分が石器か何かで傷つけられたものと推察される人為的損傷 (切断、打ち割り) が認められる。これは何らかの「葬送儀礼」が行われた結果の傷と考えられる。
 下顎骨1―若い女性。下顎骨の中切歯 2本が失われ、歯槽が吸収されている。「抜歯」の可能性がある。これは日本最古の抜歯の証例と考えられている。
  港川人の眉間の高まりや眼窩周辺の形態などから、アジアの現代型ホモ・サピエンス(新人)の中で東南アジア地域のジャワ島の「ワジャック人」に最も近いと考察されている。

 「葬送儀礼」が行われたとみられる損傷、9体近くの個体が集合して発見されているなどから、このフィッシャ-・亀裂・れ目の遺跡は、港川人の「墓場」ではないかと推測されている。港川人はそうした水準の文化を持った人々。
港川人と動物、.jpg
 発掘調査で出土した脊椎動物化石は哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類。絶滅種のリュウキュウジカ、リュウキュウムカシキョン、オオヤマリクガメがいた。現存種では両生類のカエル類が多い。哺乳類ではコウモリ、ケナガネズミ、リュウキュウイノシシなど。鳥類ではハシブトガラス、アオバト、リュウキュウカラスバト、ヤンバルクイナ。爬虫類ではハブ、ヒメハブ、ガラスヒバア、アカマタ、リュウキュウヤマカメ。こうした動物らは、森林に覆われ水源の豊富な、現在の山原(ヤンバル)の動物相に近いとされている。
 
  鹿・リュウキュウジカが下層部に集中的に発見され、港川人骨群が発見された上層部に猪・イノシシが出現し、急激に増加していく傾向が認められた。どういう方法(弓矢、落とし穴など)でこのイノシシを捕獲したかは不明であるが、港川人の主要な狩猟動物が猪・イノシシであった。港川人が生活していた後期更新世の後期頃(約18,000年前)には、沖縄本島に多数のイノシシが生息していたことは明確である。沖縄本島の山下町第1洞穴(約32,000年前)からは、シカしか発見されていない。

 現在より約140m~80m海面低下していた見られる最終氷期極相期(約20,000~18,000年前)でも「琉球列島は大陸や台湾と繋がらなかった」というのが、専門学会・日本第四紀学会での通説である。つまり、つまり、琉球列島は、更新世後期の最終氷期極相期でも今と変わらない黒潮海流が貫流する「島嶼環境」であった、黒潮の幅は狭いだろうが一面海「島嶼環境」と考えられてる。猪・イノシシは、どうやって渡来したのだろう?ホモサピエンス・現人類が、生きた弁当で連れてきた猪・イノシシの仔・ウリボウが増えたのかな?
 現在の山原(ヤンバル)の哺乳類相の特徴は、森林に強く依存する種が多いこと、大型種はリュウキュウイノシシのみであること、土着の食肉(ネコ)目がいないことが挙げられている。鳥類でもタカなどの食肉の猛禽類が見られない。
 その山原(ヤンバル)の環境へ、橋川人・ホモサピエンス・現人類が、
食物連鎖の中で頂点捕食者(トッププレデター)の地位で参入登場したのか。?

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