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オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」 – 1992-鈴木 董 (著) [ユーラシア・西]

オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」 – 1992-鈴木 董  (著)
講談社現代新書
ISBN-13: 978-4061490970
オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」 (講談社現代新書) 新書 – 1992_.jpg目次 
●「トルコの脅威」の虚像
●超大国を支えたゆるやかな統合
●トルコ人はどこから来たか
●電光バヤズィット、十字軍を撃破
●イスラム=共存の知恵
●繁栄するバザール
●「赤いりんごの国」への聖戦
●地中海は「スレイマンの海」
●西欧人の恐れた「組織の帝国」
●「軍人の帝国」から「官僚の帝国」へ
西欧人の見た「残虐な征服者」は、西欧をはるかにこえる先進国だった。羊飼いでも大臣になれる開放的な社会。キリスト教世界で迫害されたユダヤ難民を受け入れた宗教的寛容性。多民族・多宗教の超大国を支えた「柔らかい専制」の秘密に迫る。
ユダヤ難民を保護した寛容性――近代西欧を見なれた我々にとって、西欧社会は開放的で合理的な社会だというイメージが定着している。そして、キリスト教も、合理的で寛容な宗教とイメージされがちである。これに対し、イスラム世界は閉鎖的で非合理的な社会であり、イスラムは不寛容な宗教だというイメージが強い。しかし、少なくとも中世から初期近代までは、実態はむしろ逆であった。……15世紀以降になると、それまではムスリムの支配下に安全に暮らしてきたスペインのユダヤ教徒も、(キリスト教徒に)厳しく迫害されるようになった。この時、迫害に耐えかねた彼らが安住の地として大量に移住した先が、オスマン帝国だった。ノーベル文学賞受賞者であるオーストリアのエリアス・カネッティも、彼らの子孫の一人である。かつてはオスマン領だったブルガリアのルスチュクに生まれ、ユダヤ人差別の存在をまったく知らずに育った。スイスの学校に入ってはじめて自分が差別される存在であることを知ったと、その自伝で述べている。

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