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満洲国における宣撫活動のメディア史ー王楽(オウラク)ー2023 [メディア]

満洲国における宣撫活動のメディア史 
満鉄・関東軍による農村部多民族支配のための文化的工作
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著者/編集 王楽(オウラク)
出版社:新聞通信調査会  https://www.chosakai.gr.jp/
334頁
発売日:2023年03月
ISBN 9784907087203 
内容説明
戦時期、農村部に居住する多民族の非識字層に向けて、視聴覚メディアによる宣撫宣伝活動が実施されていた。従来の活字メディアによる宣撫宣伝研究の枠組みを超えた実証的研究。
目次
第1章 宣撫とは何か
(欧米宣伝理論の導入;満洲における宣撫理論;宣撫におけるメディア)
第2章 制度化される宣撫
(満鉄における宣撫のあり方;関東軍の宣撫活動;現地化される宣撫活動の人員;モノとして整備される宣撫の技術)
第3章 宣撫宣伝活動の方法
(講演と映画上映;施療施薬と映画上映;人を引きつけるための工作方法)
第4章 各地域における宣撫宣伝活動の実践例
(商業主義と接合する宣撫―南満における漢族の娘々廟会;多民族多文化地域への拡散―北満における蒙古族のラマ教廟会)
著者等紹介
王楽[オウラク]
東北大学大学院情報科学研究科特任助教。1988年中国山東省生まれ。2011年来日。2015年、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。日本学術振興会特別研究員(DC2)、早稲田大学現代政治経済研究所特別研究所員、東京大学大学院情報学環特任研究員、駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部非常勤講師、目白大学メディア学部客員研究員などを経て、2021年に東京大学大学院博士課程修了。博士(学際情報学)を取得。専門はメディア史、歴史社会学。本書の基になった博士論文「満洲国農村部における宣撫宣伝活動のメディア史」で第21回アジア太平洋研究賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
第21回アジア太平洋研究賞 受賞要旨より
 満洲国農村部で実施された宣伝活動において重要視されたのが「宣撫」と呼ばれる活動である。本論文は、宣撫活動における重層的なメディアの利用を手がかりに、一次資料に基づいて、満洲国農村部の統治政策の実態を実証的に解明するメディア史研究でもある。
 第1章では、宣撫活動の実施にともなう「宣撫」概念の形成について明らかにする。そのうえで、宣撫活動のターゲットの特徴とメディアの独自の特徴を明らかにする。
 第2章では、満洲国の宣撫活動のあり方の起源と展開を明らかにするため、宣撫活動の歴史的な発展とその人的・技術的な基盤について分析する。
 第3章では、宣撫活動の実施側がより効果的な方法を模索する経緯を明らかにする。
 第4章では、人口が分散した満洲国農村部で最も大衆を集められる宗教的な祭礼とそれと同時に行われる定期市を利用する方法を検討する。
 終章では、宣撫活動が現地社会の影響によって変容し、さらに現地社会の変容に拍車をかけたことを明らかにする。本論文は満洲国農村部の宣撫活動に関する実証的な歴史研究の空白を埋める試みであると同時に、メディア研究において「複数のメディア」を統合した分析視座を提供した点に意義がある。

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