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原発プロパガンダ 岩波新書 その④ [メディア]

400038355.jpg原発プロパガンダ

岩波新書 新赤版 1601
著者 本間 龍 / ホンマ リュウ
出版者 岩波書店
出版年 2016.4
ページ数 10,216p 
ISBN 978-4-00-431601-5
新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート館 S/539.0/ホン/

著者

1962年生まれ。博報堂で約18年間営業を担当。2006年退職後、在職中に発生した損金補填にまつわる詐欺容疑で逮捕・起訴。服役を通じて刑務所のシステムや司法行政に疑問をもち、出所後その体験を綴った『「懲役」を知っていますか?』(学習研究社)を上梓


目次

序章 「欺瞞」と「恫喝」
第1章 原発プロパガンダの黎明期(一九六八~七九)
第2章 原発プロパガンダの発展期(一九八〇~八九)
第3章 原発プロパガンダの完成期(一九九〇~九九)
第4章 プロパガンダ爛熟期から崩壊へ(二〇〇〇~一一)
第5章 復活する原発プロパガンダ(二〇一三~)


序章 「欺瞞」と「恫喝」 原発プロパガンダを流布したメディア


 多くの人々の意識に原発推進を訴えかけ、無意識のうちに同調させる。これこそまさに「プロパガンダ =宣伝行為」であり、原子力ムラは戦後四〇年以上、原発礼賛の宣伝広告活動を延々と展開してきた。

・原発は日本のエネルギーの三分の一を担っている
 •原発は絶対安全なシステム
 •原発はクリ—ンエネルギー
•原発は再生可能なエネルギー
これは、一つ一つの広告の中で必ず使用するように決められていた言葉・キャチフレーズなのだ。「原子力は電力の三分のーを担っている」   「原子カはクリーンエネルギー」などのコピーは、まさにメディアによって国民の目や耳に届けられた、「プロパガンダの成果」である。それらが絶え間ない新聞•雑誌広告やテレビ・ラジオ C Mによつて、全国隅々に流布されたということを、決して忘れてはならない。
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宣伝広告活動に費やした金額が最低でも約二兆四〇〇〇億円に上っていた

 幾多の事故や故障、隠蔽があったにもかかわらず、国民の意識を原発推進賛成に向けさせる、何か。その「何か」こそ、大量の「原発推進広告」と、原発政策に無批判となっていた「翼賛報道」であったのだ。


 メディアは長期間にわたり巨額の「広告費」をもらうことによって原子力ムラを批判できなくなり、逆にそのプロパガンダの一翼を担うようになってしまった。報道メディア (新聞やテレビ、雑誌等 )が完全に抱き込まれ、原発推進側 (原子力ムラ )の協同体となってしまっていた。
 スリーマイル島事故(1979年3月28日)もチェルノブイリ事故(1986年4月26日)も経験しており、日本のメデイアでも大きく取り上げられた。2002年の東電トラブル隠しの大騒ぎもあった。にもかかわらず、国民の意識は原発に肯定的だった。二〇〇九年の内閣府「原子力に関する特別世論調査」において、「原子力を推進」への賛成が五九.六 %、「現状維持」がー八.八 %という数字にはっきりと表れている。つまり、国民のハ割近くは原発推進に肯定的だったのである。


ところが二〇十一年三月の原発事故発生で、プロパガンダの中心だった東電がその機能を果たせなくなった。その結果、長年原子力ムラのご機嫌をうかがっていたメディアも息を吹き返し、ようやく様々な批判的検証がされるようになった。
 しかし、長年原発プロパガンダの片棒を担いだ事実について、ほとんどのメディアは検証をしようともしていない。大多数のメディアにとって、プロパガンダに従ったなどという体裁の悪い事実は存在せず、そもそも原発プロパガンダがあったことも認めたくはないのだ。



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