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<敵>と呼ばれても [移民・難民]

4861828260.jpg<敵>と呼ばれても
原書名 :They called us enemy
著者名1 ジョージ・タケイ /著  
  George Takei
著者名2 ジャスティン・アイジンガー /著  
  Justin Eisinger
著者名3 スティーヴン・スコット /著  
  Steven Scott
著者名4 ハーモニー・ベッカー /画  
   Harmony Becker
翻訳  青柳 伸子 ()
出版者 作品社
出版年 2020.10
ページ数 207p
大きさ 26cm
賞の名称 アジア・太平洋アメリカ司書協会ヤングアダルト文学賞
賞の回次 2020年
ISBN 978-4-86182-826-3
新潟市立図書館収蔵 中央 1階芸術 /778.2/タケ/
内容紹介
『スタートレック』のヒカル・スールー(ミスター・カトー)役で知られる日系俳優が、第二次世界大戦中に三年間を過ごした日系人強制収容所での日々―合法化された人種差別のもとで成長する絶望と、それでも決して失われなかった希望を語り尽くし、極限的な状況下における偏見や差別の問題を訴えかける。いままさに読まれるべき、長篇ノンフィクション・グラフィックノベル。
第二次世界大戦中、私は家族とともに、西海岸にいた12万人の日系アメリカ人と同じように自宅から退去させられ、全米にあった強制収容所に収監されました。理由はただ一つ、真珠湾を攻撃した人々と容貌が似ていたからです。それ以来、この出来事についての認知を高めることが、わたしの人生の使命となりました。そして、長年にわたり、新聞や雑誌の記事、インタビュー、世界中の聴衆に向けた講演会、高い評価を得たブロードウェイのミュージカルを通して、私たちの体験を語ってきました。
しかし、私たちの仕事はまだ終わっていません。1940年代に私たちが耐え忍んだのと同様の偏見やヒステリー状態が、世界のいたるところで、これまで発言を抑えられてきた人々の自由や生活の手段を脅かしつづけているのです。日本をはじめとする国々はもとより、アメリカ合衆国においても、幸運にも参加民主主義が行き渡っていますが、これを適切に機能させるためには、胸に抱いた理想に合致するよう世界を方向づける活動を続け、関与していかねばなりません。まだ道半ばではありますが、皆さんのご協力があれば、いつの日かともに達成できると信じています。
ジョージ・タケイ「日本版のためのあとがき」より
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==東京新聞 2021年4月30日 記事より
ジョージ・タケイ 1937年4月、カリフォルニア州ロサンゼルスで、山梨県生まれの父(日系1世)と同州生まれの母(同2世)の間に3人きょうだいの長男として生まれる。42年から3年あまり日系人強制収容所で過ごした。UCLA修士(演劇学)。在学中からハリウッドで俳優活動を始める。2005年に同性愛者を公言し、08年にパートナーのブラッドさんと結婚。創設にかかわった全米日系人博物館で挙式した。現在、同館理事も務める。
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◆民主主義は主体的に参加しないと意味がない
―2019年に収容経験を詳細に記した「THEY CALLED US ENEMY」(邦訳は、〈敵〉と呼ばれても・作品社)をグラフィックノベルという形で出版したわけは。
 「若い人たちに米国史の一章を知ってもらいたかったからです。これは日系人の歴史ではなく、米国そのものの歴史です。国の将来は若者たちの手に委ねられます。将来有権者となり、国を動かす原動力になる中高生に手にしてほしかったのです」
―本の中では、父親と強制収容や民主主義について議論を交わしている様子が描かれています。
 「父は私にとって、民主主義の道しるべでした。父の世代の多くが過酷な経験を話したがらない中、多くを語ってくれました。一家の柱として、さらに収容所の自治会長として苦しみ、怒りながらも、私たちの民主主義は依然として世界で最高だと教えてくれました。父は民主主義の大きな絵を描くことができたのです」
―人種間の融和が進まず、民主主義が危機に陥っていると指摘されます。
 「強制収容を可能とする大統領令を出したフランクリン・ルーズベルト大統領は、大恐慌下で『恐れるべきは恐れそのものだ』と国民を鼓舞し、危機を克服しましたが、彼自身が恐怖に見舞われてしまいました。偉大な大統領でさえ人間である以上、過ちから逃れられず、大衆の暴走を許してしまったのです」
 「父は、リンカーンの『人民の人民による人民のための政府』といった高尚な理想も実現するには参加しなければ意味がない、と教えてくれました。重要なのは(暴走による)思いもよらない結果を防ぐためにも、合理的な人たちが民主主義のプロセスに主体的に参加していくことです」

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