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スマート農業の導入で、機械代は増え、人件費は減り、利益は下がった。 [農から見つめる]

労力軽減に貢献 利益マイナスるb.jpg


スマート農業実証プロジェクトは、ロボット農機やドローン(小型無人飛行機)などの先端技術を現場に導入し、効果を明らかにする。「農業労働力確保緊急支援事業」と連携して実施。2019年度に全国69地区から始まり、現在148地区で実証中だ。

労働力不足の解消に向けたスマート農業実証(令和2年度補正)



 中間報告は初年度の水田作での効果を分析した。大規模、中山間、輸出の3類型に分け、代表事例で労働時間の削減率や経営収支を示した。

 労働時間は、慣行と比べてシーズン合計で10アール当たり0・2~1・9時間減り、人件費を削減できた。特に、ドローンを使った農薬散布は平均81%減、自動水管理システムは同87%の減少と、削減効果が大きかった。ドローンによる農薬散布は、ホースを人の手で引っ張る作業がないため、疲労の軽減効果も見られた。

 一方、経営面では10アール当たりの機械・施設費が54~261%増加。スマート農機を追加投資したことが響き、利益は慣行より同3000~2万8000円下がった。同省はまだ初年度の成果であることから、農機の扱いの習熟や利用面積の拡大で効率は上昇するとしている。


 生産者からの意見として「社員のモチベーションが上がった」「新規就農者でも熟練技術者並みの精度と時間で作業が可能になった」など、コストに反映されないメリットも指摘されている。


《今後は、地域の実情に即して、効果的なスマート農業の導入につながるよう、

・スマート農機の能力に見合った適正な活用面積の見極めや、初期投資の影響を緩和するためのシェアリング等の可能性

・商流全体を視野に入れた物流コストの低減や高付加価値化の取組

等について検証していきます。》と農業実証プロジェクトを進める。

今後はスマート農業活用の適正面積を見極めた経営モデルの作成などを検討する。


 最終的な実証成果は2021年春から取りまとられる。

 

支援 現場視点で  九州大学大学院農学研究院・南石晃明教授の話


 スマート農業の導入で労働時間が減り、経費が増えることは、現場の感覚からも、われわれの数学モデルからも予想された。収支が悪化しては生産者としては経営が成り立たない。

 スマート農業は農的生活を楽しみたい若者や兼業農家など、なじまない経営もある。農業は多様であり、全ての現場への普及を前提とすべきではない。

 どんな経営者が何の機能を必要としているかを見極め、現場の声を基にした導入コスト削減や政策支援が必要だ。


日本農業新聞11月17日記事、覚書

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