SSブログ

国民食の履歴書 =魚柄 仁之助 =2020.1 [食から見る]

91D7119GvLL.jpg国民食の履歴書?--カレー、マヨネーズ、ソース、餃子、肉じゃが

著者 魚柄仁之助[うおつかジンノスケ]??
出版年 2020.1
出版者 青弓社
A5判/ページ数 187p/高さ 21cm
ISBN 978-4-7872-2087-5
県立図書館収蔵 /383/U79/ 
>
新潟市立図書館収蔵 中央・ホンポート館 二階 /383.8/ウオ/
内容紹介
文明開化期からの家庭雑誌・料理雑誌を渉猟して、レシピどおりに調理し、経験豊かな舌で味を吟味。その結果から通説の輸入史・生育史に疑問やダメ出しを投げかけて、意外な経歴を明らかにする食文化論。
子どもも大人も大好物のカレーのとろみがついたルーは、インド本場のサラッとした汁カレーがどうやって変わってできあがったのか。
イギリス・ウスター生まれのソース、フランス伝来のマヨネーズも、どんなルートをたどって現在の「和風調味料」に変身したのか。
中国大陸から渡ってきた餃子が「日本各地の餃子」に変身する過程を解明し、「おふくろの味」「手料理」神話の代表=肉じゃがの「戦前から食卓にのぼっていた」イメージを実証的にくつがえす。「肉じゃが」が初めて雑誌に登場したのは、敗戦後の1950年、しかもレシピではなく街レポでの紹介だったのだ!
「食の鑑識家」が明治の文明開化から現在までの家庭雑誌・料理雑誌を徹底的に渉猟してレシピどおりに実作して、食べて、経験豊かな舌で味を分析する。そして、通説とされている輸入史・生育歴に疑問やときにはダメ出しを加える。鑑識ぶりも、徹頭徹尾、実証主義。「カレー、餃子、肉じゃがの国民食トリオ」が生まれ育った歴史を知る格好の食文化論。

目次
第1章 日本のカレー(洋食調味料「御三家」と日本人;鮑のカレー ほか)
第2章 日本のマヨネーズ(和食のなかのマヨネーズ;敗戦後の規格外マヨネーズたち ほか)
第3章 日本のソース(ニッポンのソース道;醤油からソースを作る日本人 ほか)
第4章 日本の餃子(日本餃子の始まり;日本餃子「皮作り」の時代 ほか)
第5章 肉じゃがの歴史(「肉じゃが」という名前の誕生;肉じゃがと命名される前のじゃが芋のレシピ ほか)
著者等紹介
魚柄仁之助[うおつかジンノスケ] 1956年福岡県生まれ。食文化研究家。
著書に『刺し身とジンギスカン――捏造と熱望の日本食』『台所に敗戦はなかった――戦前・戦後をつなぐ日本食』『昭和珍道具図鑑――便利生活への欲望』(いずれも青弓社)、『食育のウソとホント――捏造される「和食の伝統」』『食のリテラシー』(ともにこぶし書房)、『食べかた上手だった日本人――よみがえる昭和モダン時代の知恵』『食ベ物の声を聴け!』(ともに岩波書店)、『冷蔵庫で食品を腐らす日本人――日本の食文化激変の50年史』(朝日新聞社)ほか多数。
91D7119L.jpg
詳しい目次
まえがき
第1章日本のカレー
1 洋食調味料「御三家」と日本人
仁義なき日本のカレー・無手勝流
2 鮑のカレー
3 まずは漆椀のカレー、和食だけに……
カレー煮
カレー椀
4 油揚げライスカレー
5 身欠きニシンカレー
6 蓮根カレー
7 魚の骨のカレー
8 里芋と竹輪のカレー餡
9 カレー粉入り味噌汁
10 牛肉のカレー味噌焼き
11 生節のカレーライス
12 王者エスビーが放つ絶対的ニッポンカレー
13 ひもかわのカレーチャプスイ
14 カレーロークス・コロッケ
第2章日本のマヨネーズ
1 和食のなかのマヨネーズ
マヨネーズの規格ができるまで
2 敗戦後の規格外マヨネーズたち
大豆粉マヨネーズ
粉ミルクマヨネーズ
片栗粉マヨネーズ
小麦粉マヨネーズ
馬鈴薯マヨネーズ
油なしマヨネーズ
全卵使用のマヨネーズ
規格外マヨネーズのまとめ
3 マイナイソースと呼ばれていた頃の初期マヨネーズ
築地精養軒のマヨネーズ
村井弦斎夫人のマイナイソース
板垣伯爵夫人が主宰の料理講習会で教えたマイナイソース
東伏見宮妃殿下のマヨネーズ
満蒙開拓団女子訓練所で教えるマヨネーズ
「酢油ソース」と呼ばれたマヨネーズの作り方
『軍隊調理法』に書かれたマヨネーズの作り方
4 「わたし、失敗しないので」マヨネーズ
スピード・マヨネーズ
味噌マヨネーズ
バターマヨネーズ
二倍に増えるマヨネーズ
「わたし、失敗しないので」マヨネーズのまとめ
5 マヨネーズの広告集
キューピー印マヨネーズの広告
ダンス印マヨネーズソースの広告
タマゴマヨネーズとスポーツマン印マヨネーズの広告
メランジーの広告
粉末鶏卵の広告
「キューピーマヨネーズ」――節米とマヨネーズとの関係
第3章日本のソース
1 ニッポンのソース道
日本のソースとは新?油のことだった
和食はショーユで洋食はソースなのか?
ウスターソースの定義
2 ?油からソースを作る日本人
終戦直後の家庭でできるソース作り
調理の専門書でも「?油からソースを作る」とされていた
女子大学の先生も?油からソースを作ると教えていた
戦前にさかのぼってもソースのもとは?油だった
?油メーカーのソース製造
専門書に見るウスターソース製造法
何でも自家調達する軍隊のソース製造法
3 ソースを使った和食の実例とその証拠となるレシピ
洋食の日本化とウスターソースが「おソース」になった道のり
1鶏の洗いをソースで食べる
2馬鈴薯のソース漬け
3ソースカツ丼
4古沢庵のソース漬け
5ご飯にソースをかけただけの料理
6冷奴にウスターソース
7鯖の昆布巻き蒸しにソースをかける
8刺し身のグラビアページにソースの広告が……
9支那の餃子をソースで食べる
10あの八百善でもソースは新?油だった
11一九一五年(大正四年)、ソース煎餅は名物だった
4 日本「ソース」広告集
カップ焼きそば用粉末ソースの元祖か?
広告 ソースの素
ソース工場と?油蔵は造りが違う
フランス仕込みのブドウソース
家庭でできるソース製造法の本の広告
?油とソースが同列に並べられたヒゲタ?油の広告
まとめ――何にでも?油からソースどぼどぼへ
第4章日本の餃子
1 日本餃子の始まり
日本餃子の黎明期
1「かうづら」と訳されていた餃子
2ビターマンと名付けられた日本餃子
3家庭料理本に登場した餃子
4日本餃子の系図と都市伝説
5日本餃子と中国餃子との違い
2 日本餃子「皮作り」の時代
餃子の作り方(レシピ)は皮の作り方
「満州国」大使館員のご夫人指南の餃子
パンとお菓子の名店が作る餃子の皮はピンク色
3 「焼き餃子は戦後の日本で始められた」説を覆す資料画像
4 餃子の皮作りと包み方のイラスト比較
皮の作り方と包み方のイラスト
皮作りが餃子の命! がわかるイラスト
花嫁講座で教える餃子の作り方
戦後いち早く出版された料理本の餃子イラスト
包み方の図版比較
5 手作り皮の洋風餃子?
ラビオリは洋風餃子だった
焼き餃子専用鍋が売られていた
6 餃子のレシピは餡のレシピに
手作り皮と市販の皮のレシピ比較
家庭料理の定番になった餃子のレシピ
一つのレシピに手作り皮と市販の皮が載っていた
7 餃子の発展型
自由形の餃子二点
1桃とハムの揚げ餃子
2卵の餃子
鍋物の具としての餃子
餃子の皮で残り物処理料理を
餃子の皮がおやつに変身
ジャムのかわりにカレー味でインド風
餃子のソース焼き
8 ニッポンの餃子のまとめ
餃子はもともと中華料理
餃子作りは家族でおこなうレジャーになった
第5章肉じゃがの歴史
1 「肉じゃが」という名前の誕生
最古?の「肉じゃが」表記
料理本の料理名から時代が読める
料理本に「肉じゃが」表記を発見!
2 肉じゃがと命名される前のじゃが芋のレシピ
「馬鈴薯の煮やう」ビーフシチュー風肉じゃが
某軍艦の献立にあった海軍料理
「甘煮」(うまに)がのちの肉じゃがに
肉豆腐と肉じゃがが合体した料理
豚肉を使った肉じゃがの始まり
豚バラ肉じゃがの源流
『軍隊調理法』に「肉じゃが」はなかった
3 肉じゃがという料理名の裾野に広がる「いもとにく」料理
同一ページに肉じゃが「風」料理が三つ並んだ料理本
煮崩れない揚げ芋で作る肉じゃが
ひき肉を使った肉じゃが風煮込み
4 肉じゃが登場後の発展型
肉じゃがは煮崩れてなきゃ派のためのレシピもあった
二十世紀末、肉じゃがの立ち位置は?
5 「肉じゃがはおふくろの味」伝説を作った料理本の見出し
おふくろの味が恋しいとき
「だんなさまの好きないなか料理」にされた肉じゃが
食べ飽きないおふくろの味
肉じゃがは飲み屋料理という認識
おふくろの味好み
若向きの味にした和食……の肉じゃが
6 都市労働力を支えた郷愁と肉じゃが
「いも&にくの煮物」に見る郷土色
懐かしきおふくろの味のルーツはここにあった
いもがなぜ「懐かしい・おふくろの味」なのか
7 肉じゃが「おふくろの味」と「肉じゃが」論
「おふくろの味」が登場
肉じゃがには伝統も確立された定義もなかった
懐かしい味の「懐かしい」のは肉ではなくイモだった
おふくろの味を作ったおふくろの食生活はこうだった

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

Facebook コメント