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原子力公害=人類の未来を脅かす核汚染と科学者の倫理・社会的責任ー2016 [福島第一原子力発電所事故(2011)]

原子力公害=人類の未来を脅かす核汚染と科学者の倫理・社会的責任
原書名 原タイトル:Population control through nuclear pollution
著者 ジョン・W.ゴフマン John W. Gofman/著 
著者 アーサー・R.タンプリン Arthur R. Tamplin 
訳者 河宮 信郎 / 
出版者 明石書店

B6判: 19.2 x 13.6 x 2.6 cm/ページ数 374p
版注記 初版:アグネ 1974年刊
ISBN-13: 978-4750343167
出版・発売日: 2016/3/15
価格 ¥4,968(本体¥4,600)
新潟市図書館収蔵 巻館 NDC分類(9版) 539.99


内容紹介
米国原子力委員会の「プラウシェア核爆発計画」に伴う放射線リスクを科学的に推計した研究成果。放射線の危険性を網羅的に記述し、核=原子力利用による放射能汚染に警鐘を鳴らす。
核開発に直接関わっていた著者たちの内部報告。「核と国家」の内奥を明かした渾身の証言。
1970年代のアメリカにおいて原子力委員会は放射能の危険性について確認しないまま、原子力政策を推進しようとした。それに対し、科学者としての知的誠実さを貫き敢然と立ち向かった科学者たちがいた。3.11を経てもなお日本社会が包含する同じ構造上の問題に、いち早く警鐘を鳴らした科学者ゴフマンとタンプリンによる渾身の証言。

原子力公害_.jpg目次
訳者まえがき
序 言
著者まえがき
1 なぜ我々は証言するのか
2 放射線の生物学的影響
3 技術発展のための勇敢な騎士を警戒せよ
4 将来の汚染を防ぐための方策
5 原子力委員会の脅威―口先だけの「公衆衛生」
6 コロラド高原の悲劇
7 原子炉
8 廃棄が許されない放射性廃棄物
9 プルトニウム―公衆の健康と技術の驕り
10 核兵器計画
11 科学と科学者の倫理と社会的責任
12 科学的異議申し立てが緊急に必要である
付録 アメリカにおける貧困
再刊に寄せて
旧版訳者あとがき 原子力開発と問題点
原 註
略号表記一覧

著者等紹介
ジョン・W・ゴフマン John W. Gofman(1918-2007)
カリフォルニア大学バークレイ校で核物理化学のPh.D.を得、サンフランシスコ校でM.D.(医学博士号)を得た。1963~69年の間ローレンス研究所の副所長を務め、バークレイ校の医学物理学の教授に就任した。研究分野は多岐にわたり、核・放射線・遺伝子・がん・心臓医学に通暁した碩学である。低線量被曝の危険性解明によりライト・ライブリフッド賞(1992)を授与された。本書以外にも『新装版 人間と放射線―医療用X線から原発まで』(明石書店、2011年)ほか多数の放射線関係書を著している。


アーサー・R・タンプリン Arthur R. Tamplin(1926-2007)
カリフォルニア大学バークレイ校を卒業し、生化学の学士号、生物物理学のPh.D.を得た。ランドコーポレーションで宇宙開発に携わったのち、ローレンス研究所の生物学・医学部門のグループリーダーに就任。核爆発で生成された放射性核種が環境中に拡散し、最終的に人体に蓄積するメカニズムを解明する責任を担った。またその放射能が人体にいかなる影響を及ぼすかを追究した。

【訳者紹介】
河宮信郎(かわみや・のぶお)
1939年(昭和14年)広島県呉市生まれ。大阪府立三国丘高校卒、東京大学教養学部入学。1960年6/15の後、教養学部自治会委員長に就く。東京大学工学部卒・同修士課程修了(1963年)。名古屋大学工学部助手となり、金属物理学、固体物理学史、科学技術論の研究に従事、博士号取得(工学博士)。中京大学に移籍(1986年)、教養部を経て、経済学部教授(科学技術論、環境科学、環境経済学)、2009年退職(中京大学名誉教授)。
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。


詳しい目次


訳者まえがき

 序言
 著者まえがき

1 なぜ我々は証言するのか
  ・公衆の関心――放射線傷害の二面性
  ・被曝による死者はおそらく大幅に増加する

2 放射線の生物学的影響
  ・放射線はがんと白血病を誘発する
  ・連邦放射線審議会(FRC)指針の“許容”放射線量
  ・なぜずさんな自己満足が生じたのか?
  ・白血病以外のがんはどれだけ増えるか?
  ・放射線傷害の従来の評価は低すぎた
  ・放射線によるがん誘発の一般法則
  ・原子力平和利用に伴う公衆の被曝に関して「一般法則」がもつ意味
  ・なにをなすべきか
  ・放射線による遺伝的影響
  ・昔の楽天的な報告は誤りだった
  ・放射線による染色体の損傷

3 技術発展のための勇敢な騎士を警戒せよ
 原子力委員会(AEC)――ケース・スタディ
  すばらしい新技術が生まれる
  ・莫大なエネルギー供給がこの新技術を支える
  勇敢な騎士が新しい技術を擁護する
  ・推進と規制の間の相克
  新技術は人間に有害な副産物を生み出す
  ・5年から20年後の副作用発現
  放射線毒性に対する「許容」線量の概念が広められた
  ・合理的な対処法が必要である
  勇敢な騎士とその専門家たちと市民・公衆との争い
  ・「記録上安全」という主張は偽りである

4 将来の汚染を防ぐための方策
  ・汚染と敏感な人間身体
  ・なぜ汚染があるのか
  ・もっと多量の電力が必要だというのは本当か
  ・将来世代のために地球を守ろう
  ・汚染に対する規制への提言
  ・許容量はゼロでなければならない
  ・推進者は“需要”を“必要”に変える

5 原子力委員会の脅威――口先だけの「公衆衛生」
 ローレンス研究所の生物医学計画とプラウシェア計画
  ・原子力委員会の不安鎮静策
  ・汚染牛乳による甲状腺がん
  ・放射性降下物に関する厄介な問題
  ・放射能影響を研究するための新計画
  ・核爆弾のすばらしい将来性?
  ・予算の大削減
  ・新しい研究棟要求の闘い
  ・予算制限の理由
  現在までの状況
  ・“平和的”核爆発も放射性物質を噴き出す
  ・異常事態こそ状況解明の鍵
  ・プラウシェア計画における“例外的”な結果
  ・都合の悪い報告は後回し
  ・核爆発で新パナマ運河を掘る
  ・技術者の願望は危険が自然に消滅すること
  ・生物学的未知にさらされた技術者たち
  ・人間の生命に値段をつける
  ・テラー博士は核実験を悪いと思わない
  ・自然であれ人工であれ放射線は有害
  ・“常識”が正しいとは限らない
 爆発
  ・始まった核技術の急発展
  ・プラウシェアは大規模・大量の核爆発を計画する
  ・いまこそ心配すべきとき
  ・安全性が保証されないかぎり開発は危険である
  ・推進主義者たちは既知の危険にも無知を決め込む
  ・原子力正当化の神話学
  ・スチュワート博士の重要な貢献
  ・ラドフォード教授は“安全しきい値”の概念を攻撃する
  ・原子力委員会は回れ右をした
  ・公衆が決定権をもつべきである
  ・誤った実験を際限なく繰り返す
  ・実験例が少なすぎる研究は大災害をもたらす
  ・一杯食わされていたホリフィールド委員長
  ・回復した体細胞ががん化しない保証はない
  ・単なる願望を証拠事実で置き換えねばならない
  ・新基準設定の必要性
  ・公衆衛生が最優先
  原子力委員会の弾圧と報復
  ・決死の天然ガス増産計画
  ・決定を“黒幕の支配者”に任せるな
  ・原子力委員会の巡回興行――“平和な”原子力を教える試み
  ・コロラド住民は原子力委員会の圧力を感じている
  ・プラウシェア計画は廃棄すべし
  ・トッター教授の異様な提案
  ・対立意見を一般公開すべきである
  ・科学的発見はどのように発表されるか
  ・原子力委員会からの激烈な攻撃
  ・まず許容放射線線量を切り下げよ

6 コロラド高原の悲劇
  ・肺がんの蔓延は防止できた
  ・簡単な解答を曖昧語法(obscurantism)にすり替える
  ・連邦放射線審議会が“証拠”を示せという間に人々が死んでゆく
  ・「安全なしきい値」という虚妄な願望
  ・原子力委員会は過ちからなにも学ばない
  ・連邦放射線審議会の特異な利益対危害の考え方
  ・ホリフィールド議員ウィルツ氏を攻撃
  ・ウラン鉱屑で住宅の敷地を埋め立てた
  ・放射能まみれの欠陥住宅
  ・放射能をもつ天然ガスがつぎの番か

7 原子炉
  ・原子力産業をもっとよく調べる
  ・原子力委員会の地方巡業
  ・原子炉からの放出物は食物を汚染する
  ・緩い基準を固守する本当の理由はなにか?
  ・プライス=アンダーソン法による原子力産業の免責
  ・タンプリンのモラトリアム提案の検閲削除
  ・原子力発電所のなにが悪いのか
  ・燃料棒のピンホールから放射能が漏れ出す
  ・使用ずみ燃料棒の安全な処分は恐るべき難問
  ・保険会社は原子炉事故のリスクを引き受けない
  ・運転が始まってから建設上の欠陥が見つかる
  ・高速増殖炉
  ・高速増殖炉は厳密な制御を要求される
  ・最大仮想事故を超えたフェルミ炉の事故
  ・核融合エネルギー――未来への期待

8 廃棄が許されない放射性廃棄物
  ・悲鳴以外はなんでも利用
  ・燃料再処理施設と廃棄物の「処分」
  ・漏出率が低くても水は汚染される

9 プルトニウム――公衆の健康と技術の驕り
  ・プルトニウム許容量は途方もない誤り
  ・低線量の影響を扱う実験の失敗
  ・宇宙用原子力補助動力(SNAP)
  ・マーティン・マリエッタ社の研究
  ・判断の基準は確率ではなく影響におくべきである
  ・ジーサマンの結論は無視された
  ・SNAPの事故確率はいかなる誤算だったか
  ・月着陸は「技術による災害」

10 核兵器計画
  ・核兵器の使用は決して合理化できない
  ・核兵器支出についての公的討論はなかった
  ・シンク・タンクは紙上で核戦争を戦う
  ・戦争を妥当かつ安全にしようと試みる人々
  ・核戦争計画のひどいまちがい――生物学的影響を無視
  ・公衆よりもミサイルを守るために数十億ドル

11 科学と科学者の倫理と社会的責任
  ・科学は社会の要求に応え損なっている
  ・「平和」を保証する核兵器開発
  ・超音速旅客機(SST)――巨大な欠陥製品
  ・中立性は無責任に通じる
  ・科学者の傲慢な自己過信
  ・経済性のほうが健康よりもっと重要?
  ・人類に対する責任感の喪失
  ・放射線基準は古いデータを根拠にしている
  ・トムキンズ博士の懸念は高コストだけ
  ・原子力委員会内の混乱
  ・慰謝書簡の署名者たちへの質問
  ・科学における全体主義
  ・原子力委員会は生物医学研究計画に関して18年遅れている
  ・嘲笑と中傷という報酬
  ・ローレンス研究所は検閲に拳骨をふるう
  ・原子力委員会の旅費支給は話者が翼賛スピーチをするときだけ
  ・週末の不在でタンプリン減給

12 科学的異議申し立てが緊急に必要である
  ・科学者が無力である分野
  ・科学の目的を問うべきだ
  ・科学と社会的必要を結びつける
  ・国民総汚染を拡大する核分裂炉――求められる批判的科学者集団の創出

 付録 アメリカにおける貧困

 再刊に寄せて
 旧版訳者あとがき 原子力開発と問題点

 原註
 略号表記一覧

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