アジアの脱植民地化と体制変動ー粕谷祐子編著 [波、亜細亜から・へ]
アジアの脱植民地化と体制変動
粕谷祐子編著
白水社
2022/02/28 刊行 510ページ
2022/02/28 刊行 510ページ
内容
初めてのアジア通史!
なぜ、アジアには民主制と独裁が混在しているのか? 17カ国の脱植民地化・脱占領の過程に着目し、解明した記念碑的著作
王国から共和国まで、権威主義体制から自由民主主義体制まで、多様なアジアの近現代史を統一的に描くことは果たして可能なのだろうか?
本書は、「脱植民化」、とりわけ第二次世界大戦前後の一九四〇年代から五〇年代に注目して、この問いに鮮やかに答えている。
というのも、この時期にできあがった権力関係の布置が現在の政治体制に重要な影響を及ぼす「起源」となっているからである。
本書がとくに心血を注いだのは、脱植民地化を果たしたアジア諸国でなぜ一部の国は民主化し、他は種々の独裁体制となったのか、ということである。
鍵となるのは、植民地期末期の「制度と運動」である。まず、制度としては自治制度と王室の二つを、また運動としては武装闘争をともなう急進的なものと非武装の穏健なものの二つを、独立前後の政治変動に影響する重要な要因と位置づける。
そして、これらの制度の存否と運動の強弱の組み合わせから、四種のリーダー集団を導き出し、独立後の体制類型を解明するのだ。
これまで多様に見えたアジアの近現代史は、この方法により初めて統一的な視野に収められる。比較政治学の記念碑的著作!
[目次]
はじめに(粕谷祐子)・007
序 章 アジアの政治体制形成論(粕谷祐子)・021
第Ⅰ部 民主制の起源
第1章 日本(清水唯一朗)・057
第2章 インドネシア(川村晃一)・087
第3章 マレーシア(中村正志)・115
第4章 フィリピン(高木佑輔)・145
第5章 ビルマ(中西嘉宏)・171
第6章 ラオス(山田紀彦)・191
第7章 インド・パキスタン(中溝和弥)・223
第8章 スリランカ(近藤則夫)・253
第Ⅱ部 独裁の起源
第9章 韓国(磯崎典世)・283
第10章 北朝鮮(礒﨑敦仁)・311
第11章 台湾(松本充豊)・341
第12章 中国(加茂具樹)・371
第13章 タイ(高橋勝幸)・397
第14章 ベトナム(石塚二葉)・427
第15章 カンボジア(山田裕史)・457
あとがき 485
[編者略歴]
粕谷 祐子(かすや ゆうこ)
1968年生まれ。1991年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業、1996年、東京大学法学政治学研究科博士課程単位取得退学、2005年、カリフォルニア大学サンディエゴ校で博士号取得。現在、慶應義塾大学法学部政治学科教授。専門は比較政治学、政治体制変動論、政治制度論、東南アジア政治。主な著作に『比較政治学』(ミネルヴァ書房、2014年)、Presidential Bandwagon: Parties and Party Systems in the Philippines (Keio University Press、2008)、翻訳書にA・レイプハルト『民主主義 対 民主主義--多数決型とコンセンサス型の36カ国比較研究』(共訳、勁草書房、2014年)、プシェヴォスキ『それでも選挙に行く理由』(共訳、白水社、2021年)などがある。
タグ:東南アジア
2022-04-23 11:00
nice!(0)
コメント(0)
コメント 0