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生きづらい明治社会--不安と競争の時代--岩波ジュニア新書883 [明治以後・国内]

生きづらい明治社会91qhu75qGPL.jpg 生きづらい明治社会 不安と競争の時代
著者名1 松沢 裕作 /著  
出版者 岩波書店 岩波ジュニア新書   883
出版年 2018.9
ページ数 14,162p
大きさ 18cm
ISBN 978-4-00-500883-4

新潟市立図書館収蔵 中央ホンポート児童知識 ほか
NDC分類(9版) 210.6
内容紹介  中学生向け漢字にルビ全部ふられている。クリックしたら試し読みある。
日本が近代化に向けて大きな一歩を踏み出した明治時代は実はとても厳しい社会でした。景気の急激な変動、出世競争、貧困...。さまざまな困難と向き合いながら、人々はこの時代をどう生きたのでしょうか?不安と競争をキーワードに、明治という社会を読み解きます。
 私には、これまで明治時代の歴史を研究してきて感じることが一つあります。それは、このような大きな変化の時代の、そのさなかに自分が生きていたら、とても不安だっただろうということです。これまでの社会の仕組みがガラガラとこわれ、見通しのはっきりしないなかで新しい社会の仕組みがつぎつぎとできあがってゆく。良くも悪くも人生に見通しが立てられた時代がいきなり終わってしまったわけです。私は臆(おく) 病(びょう) なので、そんな社会に生きることを考えると、なかなかつらいだろうなと思ってしまいます。
 私がこの本のなかでこれから述べることは、不安のなかを生きた明治時代の人たちは、ある種の「わな」にはまってしまったということです。人は不安だとついついやたらとがんばってしまったりします。みんなが不安だとみんながやたらとがんばりだすので、取り残されるんじゃないかと不安になり、ますますがんばってしまったりします。これは、実は「わな」です。なぜなら、世の中は努力すればかならず報われるようにはできていないからです。

 明治時代と現代のあいだには一〇〇年以上の隔たりがあり、単純にくらべることはできません。しかし、考える手がかりとして、明治時代と現代の似ている点をみつけることはできます。これから、この本では、そうした似ている点を手がかりにしながら、なぜ明治の人びとはこんな「わな」にはまってしまったのかを考えてみたいと思います。
 考える手がかりとして、明治時代と現代の似ている点をみつけることはできます。これから、この本では、そうした似ている点を手がかりにしながら、なぜ明治の人びとはこんな「わな」にはまってしまったのかを考えてみたいと思います  「はじめに」より
目次
はじめに

第一章 突然景気が悪くなる──松方デフレと負債農民騒擾
 景気変動/松方デフレ/松方デフレの影響/負債農民騒擾/江戸時代の習慣と明治の制度/須長漣造の怒り/デフレーションという不条理
第二章 その日暮らしの人びと──都市下層社会
 ドヤ街とネットカフェ/貧民窟/貧民窟のルポルタージュ/住居と家族/職業と食事/都市下層社会の特徴

第三章 貧困者への冷たい視線──恤救規則
 生活保護/恤救規則/恤救規則の制定過程/窮民救助法案の挫折
第四章 小さな政府と努力する人びと──通俗道徳
 カネのない明治政府/地租改正と減税/通俗道徳/江戸時代から明治時代へ
第五章 競争する人びと──立身出世
 日清戦争/地租の増税と地方利益誘導の政治/貧民救助論争/逃れられない「わな」/立身出世の時代
第六章 「家」に働かされる──娼妓・女工・農家の女性
 売買される女性・非正規雇用の女性/公娼制度/芸娼妓解放令/「自由意志」という建て前/「家」とは何か/「家」のために働く女性/女性の抑圧のさまざまな形
第七章 暴れる若い男性たち──日露戦争後の都市民衆騒擾
 デモと暴動/日比谷焼き打ち事件/日比谷事件後の都市民衆騒擾/なぜ若い男性は暴動をおこすか/「あえて」もまた「わな」/戦争と平和,暴力と非暴力
おわりに──現代と明治のあいだ
著者
松沢裕作(まつざわ ゆうさく)
1976年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中途退学。慶應義塾大学経済学部准教授。専門は日本近代史。著書に「町村合併から生まれた日本近代」など。

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